有価証券報告書-第17期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 14:35
【資料】
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【項目】
200項目
(2)戦略
事業活動における自然関連課題(リスクおよび機会)を特定・管理する上で、事業活動がどのような生態系サービスに依存し、どのような要因で自然に影響を及ぼしているのかを把握すること(事業活動と自然資本との依存・影響関係の把握)は非常に重要であることを認識しています。事業と自然への依存・影響関係に係る評価について、評価ツールの「ENCORE」および「Materiality Screening Tool:MST」を用いて事業活動において予想される環境への依存・影響関係についてセクターレベルでの評価を行いました。また、ツールによる評価結果を用いて、妥当性確認(文献調査および社内実態確認)を行っています。妥当性確認の結果、必要に応じて評価結果を修正し、最終的に依存・影響度が高い項目(「VH:Very High」評価が対象)を「優先度の高い依存・影響項目」として特定しました。併せて、自然や生物多様性の状態は地域によって異なるため、当社グループが抱える自然関連のリスクの種類や程度も地域によって異なります。事業活動が自然に対して大きく依存または影響を与えている“場所“(=優先地域)を特定し、事業にとってどのようなリスク・機会につながるのかシナリオ分析を用いて評価を実施しています。
1)特定した「優先地域」および依存・影響項目
カカオ豆
当社グループの主要調達拠点(17拠点)を対象に、事前に特定した優先度の高い依存・影響項目ごとに評価を行いました。当社グループの調達カカオ豆生産拠点では、「陸域生態系の利用変化」に係る影響が高い結果となりました。特に、生物多様性重要性の評価項目において、分析対象17拠点中12拠点が非常に高いランクとする結果となっています。
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特に調達国の一つであるガーナでは、KBA(Key Biodiversity Area)およびWDPA(The World Database on Protected Areas)に設定されている森林保護区の近くに位置する農園から調達を実施していることを確認しています。
乳原料
乳原料に関する優先地域特定対象については、カカオ豆同様に、当社グループの主要調達拠点(国内外57拠点)を対象に、事前に特定した優先度の高い依存・影響項目ごとに評価を行いました。
乳原料調達拠点では、「水資源の利用」、「水質汚染」、「繊維およびその他の材料・土壌肥沃度の維持」、「地下水・地表水」の評価項目において、対象拠点の半数以上が高い評価ランクを示す結果となりました
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2)リスク・機会の評価
優先地域および依存・影響項目の特定結果を踏まえ、シナリオ分析を実施し、分析結果を基に、“特に対応が必要”と判断される重要なリスクと機会を特定しました。自然関連のリスクおよび機会は、自然への大きな依存または影響関係に基づき発生するという仮定のもと、当社グループにとっての自然関連のリスクおよび機会を、重大な依存および影響項目ごとに特定しました。
特定した自然関連のリスクおよび機会に対しては、時代とともに変化する可能性を考慮し、複数のシナリオに沿って定性的に重要度の評価を行いました。シナリオ分析に係るシナリオの考え方について、重要な不確実性である「生態系サービスの低下(物理リスクとの関連性が強い)」および「社会的側面の方向性の一致(移行リスクとの関連性が強い)」の二軸の組み合わせから、4象限のシナリオを検討するアプローチを採用しています。現状では、自然関連の各シナリオを区分するための明確な基準が存在せず、特定の事象における変化率を示す外部シナリオも限られていることから、4つのシナリオごとに想定される社会環境を検討し、分析に反映しています。今回の分析に用いた4シナリオごとに想定される社会環境については下図のとおりです。
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特定した依存・影響項目および優先地域に紐づくシナリオ分析によって整理したリスク・機会発生経路の一部を以下に示しています。
カカオ生産
カカオ豆調達に関する重要なリスクは、土地転換(森林伐採)、大気汚染、水質・土壌汚染による自然への影響を防ぐための規制強化や新たなルール化により、カカオ豆の生産活動が制限されて調達量が減少、規制対応に伴う負担がカカオ豆の価格に反映されて調達コストが増加するといったリスクが挙げられます。また、カカオ豆生産に伴う自然への負の影響を適切に防ぐ取り組みが実施できていない場合、エシカル消費の活発化となる社会情勢の中では、製品の売上が減少するリスクも挙げられます。
自社事業の機会に関しては、アグロフォレストリー導入支援や営農支援など自然への影響を低減する農業手法の導入支援により、持続可能なカカオ豆生産が行われ、調達制限や調達コスト増加を回避できる可能性が想定されます。その結果、安定的な調達が可能となり、事業継続性の向上が見込まれるため、重要な機会として判断しております。
乳原料
乳原料調達に関する重要リスクは、国内外ともに乳牛飼育における水利用、GHG排出、水質汚染による自然への悪影響を防ぐための規制強化や新たなルールの導入などにより、乳原料の生産活動が制限されることで調達量が減少、規制対応に伴う負担が乳原料の価格に反映されて調達コストが増加するなどのリスクが挙げられます。また、カカオ豆と同様に乳原料生産に伴う自然への負の影響を適切に防ぐ取り組みが実施できていない場合、エシカル消費が活発化した社会情勢の中では、製品の売上が減少するリスクも挙げられます。
移行リスクについては、酪農現場における環境対策の強化に伴う生乳生産量および調達量の制限が強化されるリスクが見込まれます。海外の酪農に関連する環境施策の一例として、オランダにおける家畜由来の窒素やリン酸塩の排出削減やニュージーランドにおけるGHG排出量に対して農家レベルで課税導入などの提案が挙げられます。畜産に関する環境施策および規制強化により、乳原料の生産活動が制限され、需給バランスが悪化し原材料の流通量減少、調達コスト増加リスクが高まることが想定されます。
事業における機会として、持続可能な農地・酪農経営(例:再生農業)の推進や、水使用効率の向上など、自然資本への影響を低減する取り組み推進により、乳原料の調達制限や調達コスト増加を回避できる可能性を想定しております。
3)リスクへの対応
当社グループでは、自然関連リスク低減への対応として、SBTNのアクション・フレームワークであるAR3T(Avoid(回避)、Reduce(低減)、Restore(復元)、Regenerate(再生)、Transform(変革))に従って取り組みを実施しております。また今後は、分析範囲の拡大、深耕し、自然関連リスクの回避・低減に向けて追加的な取り組み計画の策定を検討していきます。
回避認証原材料調達推進(NDPE方針に従った調達)
メイジ・カカオ・サポート(MCS)活動
調達農園トレーサビリティ確立
カカオ農家への森林教育
メイジ・デイリー・アドバイザリー(MDA)
軽減酪農におけるGHG排出削減
水源涵養林保全
再生・復元アグロフォレストリー
カーボンファーミング導入検証
変革カカオ細胞培養スタートアップCalifornia Cultured Inc.への出資
サプライヤーへのGHG排出削減支援

カカオ生産
カカオ農園周辺における森林等の陸域生態系への影響については、現地パートナーと協働し、調達先の農園を訪問しながらGPSマッピングによるモニタリングを行っております 。当該GPSマッピングは、携帯電話を持って農園の境界を歩き農園範囲を特定し、該当農園が保護地域に関与していないか確認しております。なお、GPSマッピングによる実態把握の結果、自然保護地域などに関与している農園および農地が確認できた場合、該当農家をサプライチェーンから除外し、自然保護地域へ関与しないよう指導を実施しております。
乳原料
酪農現場において特定されたリスクへの対応として、「持続可能性のある酪農経営」を支援する活動や飼料生産段階において生物多様性の向上、農地の保全・回復を目指す環境再生型の農業手法の導入支援を実施しております。当社グループは酪農・乳業におけるGHG排出量削減に向け2023年8月にカーボンファーミングの取り組みを推進する「道東カーボンファーミング研究会」の構成メンバーとなりました。道東カーボンファーミング研究会では、酪農家と連携し、生乳生産量日本一の別海町をフィールドとして、「カーボンファーミング」の評価・研究・実践を目的とした取り組みを推進しております。
カーボンファーミングを実施することにより土壌の有機物量を増やし、炭素貯留量が増加することを期待します。また、カーボンファーミングにより土壌の構造が改善され、土の通気性・保水性・排水性が向上し、高温や干ばつ等の気候変動の影響へのレジリエンス強化が期待できます。さらに、生物多様性の向上や生態系の保全などの共通便益をもたらすと言われております。
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