有価証券報告書-第58期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/17 16:00
【資料】
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【項目】
115項目
(2)戦略
当社は、気候変動が事業や財務に与える影響を把握するため、 国際エネルギー機関(IEA)の「NZE2050」や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の知見などをもとに、「気温上昇を1.5℃に抑える未来」と「約4℃まで上昇する未来」の2つのシナリオを想定して分析を行っております。
その結果をふまえ、当社は気候変動に対する強靭性(レジリエンス)を高めるための体制を整え、識別されたリスクへの対応と、機会の活用に取り組んでまいります。
①気候変動によるリスクと機会
気候変動に関するリスクには、さまざまな種類がありますが、大きく分けて、「移行リスク」と「物理的リスク」の2つに分類されます。
・移行リスク
気候変動への対応が進む中で生じるリスクであり、 現行および新たな規制リスク、法規制リスク、技術リスク、市場リスク、評判リスクなどが含まれます。
・物理的リスク
気候変動そのものによって生じるリスクで、台風や豪雨などの急性リスクと、気温や降水パターンの変化といった慢性リスクに分けられます。
一方、機会とは、気候変動への対応を通じて生まれる前向きな影響を指します。これには、新たな市場の機会、レジリエンスの向上、資源の効率性、エネルギー源の転換、製品・サービスの革新などが含まれます。
当社では、これらのリスクと機会について、調達および売上への影響を、短期(1年未満)・中期(1~3年)・
長期(3~10年)の視点から、財務的影響の大きさを高・中・低の3段階で評価・分析しております。
2024年度の分析結果は以下のとおりであります。
<1.5℃シナリオ>0102010_002.png
当社では、気温上昇を1.5℃に抑える未来を想定し、NZE2050等の国際的なシナリオに基づき、移行リスクおよび機会を評価しておりますが、2024年度は以下のような要因が新たに分析に反映されました。
・低炭素鉄製品や低炭素電力の価格が中長期的に下がる見通し
・GX-ETS制度など新たな規制の本格稼働が迫っていること
これにより、以下のような影響が想定されます。
★移行リスク分析
・規制リスク(現行/新たな規制)
GX-ETS制度などの新たな規制の本格稼働が迫っており、特に調達先である製造業への影響がある程度見込まれますが、現時点では段階的かつ限定的と考えられます。また、販売先である医療・福祉分野では、直近での規制強化は限定的と考えられます。そのため、調達および売上の両面において、規制リスクは、短期・中期・長期のいずれにおいてもおおむね中程度と評価しております。
・法規制リスク
低炭素鉄製品や低炭素電力の価格が中長期的に下がり、各業界の脱炭素対応が進む可能性が高くなったため、訴訟問題につながる可能性への影響度が低くなっております。
・技術リスク
低炭素技術の価格低下により、調達先では中長期的にリスクが緩和される一方で、医療・福祉分野では、長期的に技術開発の影響を受ける可能性があります。
・市場リスク
顧客の嗜好や市場の変化により、調達面では中期的に中程度の影響が見込まれますが、長期的にはやや低下する傾向です。売上面では、長期的に中程度の影響が想定されます。
・評判リスク
気候変動への対応が遅れることで顧客や株主からの信頼低下につながる可能性がありますが、脱炭素対応の進展により、前年より影響度はやや低下しております。
★機会分析
・市場の機会
民間金融機関による支援制度などのインセンティブ制度の充実により、製造業分野で新たな市場への参入が進むと予想されます。これにより、当社の調達面・売上面ともに中長期的な機会が見込まれます。
・レジリエンスの向上
省エネ対策や再エネプログラムへの参加が進むことで、エネルギー使用量の多い調達先(製造業など)にとってメリットが生まれ、長期的に当社の財務にも良い影響を与えると考えられます。
・資源の効率性
製造業における生産や輸送手段の効率化が進むことで、調達コストの最適化が期待され、中長期的に財務面での機会が生まれると見込まれます。
・エネルギー源の転換
政策インセンティブの活用や炭素市場への参画が進むことで、調達面では中長期的に中程度のプラス影響が見込まれます。
・製品・サービスの革新
調達先である製造業では、低排出製品の需要が高まり、それに応える低炭素製品・サービスの開発が進むと予想されます。また、販売先である医療・福祉業界でも、将来的に低排出製品へのニーズが高まると見込まれ、長期的に売上向上の機会となる可能性があります。
このように、当社では気候変動への対応をリスクだけでなく、成長の機会としても捉え、中長期的な視点での戦略を進めております。
<4℃シナリオ>0102010_003.png
当社では、IPCCのRCP8.5シナリオに基づき、気温が約4℃上昇する未来を想定し、気候変動によって生じる物理的リスクを評価しておりますが、これらの物理リスクについて、調達・売上の両面で短期・中期・長期すべての期間において「影響度は低い」と評価されました。
現時点では、当社の主要な調達先や販売先が位置する地域において、極端気象や慢性的な気候変動による直接的な財務的影響は限定的であると判断しております。
ただし、将来的な気候変動の進行や災害リスクの変化に備え、必要な対策を継続的に検討・実施してまいります。
②組織戦略のレジリエンス
当社では、このような組織に対するリスクと機会の分析結果を踏まえ、組織戦略において、その対策を講じることで組織のレジリエンス強化に努めています。具体的には、内部統制委員会においてリスクへの対策を議論・決定し、部門長を通じて各部門において対策を実施しております。
1.5℃シナリオにおいては、脱炭素化の進展に伴う政策・規制の強化や市場環境の変化が想定されることから、当社の事業活動に関連する調達環境やサプライチェーンへの影響について検討を進めております。また、調達先の多様化や在庫管理の適正化など、実行可能な範囲でのリスク低減策を検討しております。
顧客である医療機関については、地域特性や災害リスクなどが当社の供給体制に及ぼし得る影響について検討を進めております。これらの検討を踏まえ、気候変動の影響下でも安定的に製品を供給できるよう、営業体制やサポート体制の強化に努めております。
気候変動による正の影響については、物流手段の変化や市場ニーズの変化を踏まえ、新たな輸送手段や新市場の把握に努め、当社の調達コストの低減につながる可能性について検討しております。
4℃シナリオにおける自然災害等の影響による調達コスト増大のリスクに対しては、サプライチェーンの脆弱性を踏まえ、調達先の見直しや国内生産への切り替えなど、事業継続性を確保するための対応策について検討を進めております。
このように、当社では、シナリオ分析の結果を組織のレジリエンス強化に役立てております。

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