有価証券報告書-第20期(平成28年10月1日-平成29年9月30日)

【提出】
2017/12/22 15:04
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【項目】
102項目

事業内容

当社グループは、当社及び連結子会社7社(イー・ガーディアン東北株式会社、EGヒューマンソリューションズ株式会社、トラネル株式会社、EGセキュアソリューションズ株式会社、リアル・レピュテーション・リサーチ株式会社、株式会社アイティエス、E-Guardian Philippines Inc.)により構成されており、ソーシャルWEBサービス(※)を運営するクライアントに対し、当該ソーシャルWEBサービスに投稿されるコメント等への監視サービスを提供する掲示板投稿監視事業を展開しております。
現在、WEB上には、PCやモバイルによるコミュニティサービスの活性化を目的としたコンテンツやアプリケーションが多数存在しており、ソーシャルWEBサービスには、利用者が集まり、投稿するといったプラットフォームが増加しております。
しかしながら、当該ソーシャルWEBサービスに投稿されるコメント等の中には社会通念上不適切と考えられる内容や犯罪を誘引する内容が含まれる場合もあり、各種不適切なコメントをソーシャルWEBサービス上に掲載することは、当該ソーシャルWEBサービスの評判等を毀損するだけでなく、ユーザーが被害に遭うことにつながります。
そこで、当社グループでは、ソーシャルWEBサービスを有人及びシステムによって監視することにより、ソーシャルWEBサービス上に各種不適切なコメント等が掲載されることを防止しておりますが、投稿監視業務だけに特化するのではなく、投稿データの傾向や利用者属性を分析し、クライアントに対し、マーケティングや企画開発に利用可能な情報提供やコンサルティング等のサービスも行っております。
用語説明
(※)SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマースなどの個人同士双方向のコミュニケーションが介在する全てのインターネットメディア
掲示板投稿監視事業は、以下の4つの業務で区分しております。
1:ソーシャルサポート
近年急成長しているソーシャルメディアにおいて、監視・CSだけではなく、運用や分析といった多種多様な新サービスの展開や大型案件の獲得に注力いたしました。ビットコインなど仮想通貨に対する規制を盛り込んだ改正資金決済法が平成29年4月に施行されたのに先がけ、同年1月より、ビットコイン口座開設時に本人確認資料の審査を行う「ビットコイン本人認証サービス」を提供開始いたしました。主にインターネット上でやりとり出来る通貨を指す仮想通貨の一種であるビットコインは、価格の高騰を続け、その市場は盛り上がりを見せており、仮想通貨市場の拡大により更なるニーズの高まりが予測されることから、ビットコイン取引所に特化したサービスを正式に展開する運びとなりました。これまで培ってきた、カスタマーサポートセンターの運営やマッチングサービスなどの本人認証サービスのノウハウを活かし、ビットコイン取引所運営者の業務軽減に取り組むなど、シェア拡大を目指してまいります。
2:ゲームサポート
豊富な運用実績とノウハウの蓄積により既存顧客との関係の強化を目指すと同時に、コンシューマー向けゲームを制作している大手企業からの新規案件獲得や競合からのスイッチングに注力いたしました。拡大が続いているソーシャルゲーム市場において、日本市場に参入する中国系、韓国系等海外ゲーム企業の多言語CSをはじめ、多様化する顧客ニーズに対応すべく、当社グループの様々なサービスを併せて提供することで付加価値を高めてまいりました。平成29年9月には東京ゲームショウ2017へ出展し、国内顧客に対する当社グループ商材の認知拡大や海外顧客との取引数向上を図り、更なるシェア拡大を目指してまいります。
3:アド・プロセス
既存の広告審査業務だけでなく、広告枠管理から入稿管理、広告ライティング等の提供サービスの拡大に注力するとともに、派遣・常駐型と地方センターを組み合わせた効率的な運用により競合他社との差別化を図り、既存顧客への深耕営業や新規開拓、大型案件の獲得を目指してまいりました。昨今、キュレーションメディアにおいて、記事の信ぴょう性や著作権侵害の疑いなどの観点から、掲載記事の削除や非公開が相次ぐなど、その運営管理体制、在り方が大きな社会問題へと発展しております。また、ブラック企業や長時間労働による過労死など労働環境の悪化が社会問題となっており、企業の「働き方改革」への対応が急務となっている中、BPOサービスニーズの拡大を受け、シェア拡大を目指してまいりました。加えて、平成29年5月より提供を開始いたしました画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウ エーアイ)」を用いて、企業が展開する商品やサービス広告に使用されるロゴやキャラクター盗用による著作権侵害のパトロールを行うサービスの提供を開始いたしました。「Kiducoo AI」が、画像内において「何が写っているか」「どこに写っているか」の分析を得意とすることから、これまで当社が広告審査代行で培ったノウハウと掛け合わせ、技術と人の目による厳しい監視体制を敷く本サービスの展開により、著作権侵害の早期発見、早期解決に貢献し顧客ニーズに応えることで、案件獲得に努め、売上拡大を目指してまいります。
4:その他
人材派遣業務におきましては、子会社のEGヒューマンソリューションズ株式会社において、当社グループ全体の人材を採用・育成し、顧客先常駐(派遣型)ニーズに応えることで規模拡大を図ってまいります。サイバーセキュリティ分野におきましては、EGセキュアソリューションズ株式会社において、企業のセキュリティ技術者の人材不足という課題に対応すべく、セキュリティ支援プロジェクトを始動いたしました。同社がサイト制作の段階からセキュリティコンサルタントとして参加し、サイト制作・開発会社の技術向上、あわせてエンドユーザー様がセキュリティへ理解を深めるための安全なサイト提供に向けた支援を行い、根本的な課題解決に取り組むことでセキュリティ格差の解消を目指してまいりました。また、本プロジェクトに参加し、「セキュリティ」を自社の強みとすることを目指すパートナー企業を募集し、より多くの企業のセキュリティ強化を支援することで受注拡大を目指してまいります。コンプライアンス調査業務を専門に行うリアル・レピュテーション・リサーチ株式会社におきましては、既存顧客への深耕営業や新規開拓に注力し、事業拡大を目指してまいります。また、平成29年1月に子会社化した、電子デバイスに対するデバッグ事業を主業務とする株式会社アイティエスにおきましては、当社グループの一員としてのシナジーを発揮し、既存顧客への深耕営業や新規開拓を図り、シェア拡大を目指してまいります。
なお、各業務の具体的内容については以下の通りです。
[①:投稿監視業務]
投稿監視業務では、ソーシャルWEBサービスを運営する当社グループのクライアントに対して、当該企業の要望に応じて一般利用者から投稿されたコメント、画像、動画等が違法の可能性のある内容、個人情報、誹謗中傷を含む内容でないか、ソーシャルWEBサービスの評判、イメージ、ブランド等を損なう可能性がある内容ではないか、犯罪を誘引する内容ではないかをクライアントに代わって監視するサービスの提供を行っており、目視件数に応じて収入を得ております。
また、クライアントの多様な要望に応じる観点から、監視基準を持っていないクライアントに対して、顧客属性に対応した監視業務コンサルティングも行っております。
投稿監視業務の開始までのフローは、まず、ソーシャルWEBサービスを運営するクライアントから投稿監視サービスに関する依頼を受け、当社グループが、当該クライアントの要望に基づき、予算や掲載基準の有無、ユーザー層、監視の時間帯などを調査します。その調査結果に基づいて、クライアントにとって最適な掲載基準や投稿監視サービスの運用方法について提案をいたします。
その後、受注が決定次第、当社グループ内の監視体制を整備し、当該クライアントの運営するソーシャルWEBサービスの投稿監視を開始するとともに、クライアントへ日次報告や週次報告、月次報告をすることで投稿の傾向や件数等のレポーティングを行いクライアントから収入を得ております。
なお、ここでいう「監視」とは、クライアントと取り決めた掲載基準に従い、当社グループセンターに配備するインターネット端末から当社グループのオペレーター(※1)が、当該クライアントが運営するソーシャルWEBサービスを24時間365日「人の目」による目視チェック及びシステム監視を行い、投稿されたコメント等に対し、インターネット上に反映される前、もしくは、すでにインターネット上に反映されているコメントに対して掲載基準に合致するか否かを判断し、基準に合致しないコメント等を削除することをいいます。
当社グループでは、掲載基準に合致するか否かを判断するために掲載基準定義書を作成しており、例えば、その中に個人情報削除基準を設定した場合、個人の住所について、都道府県・市区町村は掲載可、丁目番地以下は掲載不可とし、メールアドレス電話番号については、携帯メールアドレス・PCメールアドレス・電話番号・著名人の電話番号、アドレスの明記・問い合わせアドレスはすべて掲載不可とする等具体的な項目ごとに掲載可否判定基準を設定しております。
また、品質管理部署を設置し、判断誤りを低減するために品質管理担当者が、判断誤りに対する改善策の検証、フォローを実施することで、品質を維持、向上させるための体制を整備しております。
以上のような事業活動により、当社グループは、悪質ユーザーを排除し、クライアントのソーシャルWEBサービスの健全化及び評判等の向上に努め、クライアントのソーシャルWEBサービスの活性化に繋げております。
[②:風評調査業務]
インターネット上で公開されているブログや掲示板などの情報から、クライアントの企業や製品・サービスに対する風評等を調査する業務を行っております。
具体的には、検索エンジンにて特定ワードで検索をかけ、ヒットした内容を目視します。該当の投稿(例えば、ネガティブなワードや商品に関する評判)を拾い出し、クライアントに報告いたします。
[③:広告審査業務]
インターネットやモバイルの普及により、多くの企業がインターネットを通じて商品・サービスを取り扱うようになり、各企業の顧客獲得の争いが過熱した結果、訴求力が強く、消費者の目を引く広告がインターネット上に溢れ、商品・サービスを本来以上の内容と誤認させてしまうトラブルが発生しております。このような環境のもと、インターネットの広告媒体や複数店舗が出店するサイト・モールなどに掲載される広告・サイト上のテキスト・画像情報などに対して、景品表示法、特定商取引法、薬事法等の各種関連法規及び顧客の掲載基準に基づいて、その基準に違反していないかを審査する業務を行っております。
[④:CS業務]
CS業務では、ソーシャルゲームをはじめとするソーシャルWEBサービス利用者からのメールや電話によるテクニカルサポート業務及び入退会などの問い合わせ対応等のヘルプデスク業務を行っており、対応件数に応じて収入を得ております。
ソーシャルWEBサービスにおいては、利用者からの問い合わせも多く、運営する当社グループのクライアントに代わって対応しております。
また、すでに当社グループのクライアントと投稿監視業務を請け負っている場合、掲載基準の取り決めを行っているので、操作方法に関する問い合わせやクレーム以外にも、ユーザーのアカウント停止やコメント削除に関する問い合わせの回答例も用意することができ、また、迅速に対応できます。
[⑤:オンラインゲームサポート業務]
オンラインゲームでは、基本プレイが無料で提供されることが多くユーザーのスイッチングコストが低いため、オンラインゲームそのものの面白さに加え、運営するクライアント側での運営管理の品質低下(例えば、ゲーム内でのイベントの回数が少ない、不正ツールを使っているユーザーへの迅速な対応など)が、利用者の離脱傾向を左右する傾向にあります。そのため、オンラインゲームサポート業務では、インターネット上でのオンラインゲームを運営するクライアント向けにゲームマスター業務(※2)をはじめ、ゲーム内及びWEBサイト上の掲示板等の投稿監視業務、サーバ監視業務、ユーザーからの通報・問い合わせ対応業務など、オンラインゲームの運営をサポートする各種業務全般の提供を行っており、対応内容に応じて収入を得ております。
[⑥:デバッグ業務]
デバッグ業務では、ソーシャルゲーム、スマートフォンのアプリ等に係るソフトウェア製品を対象に、事前にレビューを受けたテスト項目書に基づき、効率的に機種依存エラー(画像非表示、文字化け、レイアウト崩れ、文字切れなど)の問題を検証するため、基本的な動作チェックだけではなく、複合動作チェックまでを行っております。
また、開発者が予期しない不規則な動作をユーザーの目線から行うことにより、操作不能バグや強制終了、イレギュラーな操作による致命的なバグの検出する業務を行っており、対応内容に応じて収入を得ております。
用語説明
(※1)ソーシャルWEBサービスに投稿されるコメント、画像などを掲載基準に合致するか否かを目視する当社グループの契約社員、又は、メールや電話によるテクニカルサポート業務を担当する当社グループの契約社員。
(※2)オンラインゲームにおいて、ゲーム内特定地域でのキャラクター・イベント動作の観測チェックを行い、また、不正ユーザーへの対処やゲームユーザーからの要望対応、さらにゲームにログインしパトロールや誘導を行うサポート業務。
[事業系統図]
当社グループの事業の系統図は以下の通りであります。
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