有価証券報告書-第13期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/30 15:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。年度後半にかけては、世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社グループのような創薬ベンチャー企業の事業開発活動におきましても少なからず影響を与えております。
このような環境下において、当社グループは、共同研究や産学連携を活用した医薬品の開発候補化合物(*)の創出活動や研究開発ポートフォリオ(*)の拡充を図る一方、保有する開発化合物(*)の導出活動を推進してまいりました。
当連結会計年度の事業活動につきましては、ペット用医薬品の売上が総じて堅調に推移いたしました。犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)は、新型コロナウイルス感染症の発生から間もない第1四半期連結会計期間において、感染爆発が起きた米国の主要都市で物流・製品供給に一時的な影響が出たほか、導出先のElanco Animal Health Inc.(米国、以下「エランコ社(米国)」)が実施したチャネル在庫の圧縮により、売上が伸び悩みました。第2四半期連結会計期間以降、米国における売上は回復基調をたどり、堅調に推移しております。GALLIPRANT®の米国以外の地域における売上は好調に推移しました。第1四半期連結会計期間にはラテンアメリカ、第4四半期連結会計期間には日本において販売が開始され、順調な立ち上がりをみせております。
犬の食欲不振症治療薬ENTYCE®(一般名:capromorelin)につきましては、米国における売上が引き続き堅調に推移いたしました。capromorelinにつきましては、2020年10月に、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration、以下「FDA」)の動物用医薬品センター(CVM:Center for Veterinary Medicine)より、慢性腎臓病の猫の体重減少を管理する薬として承認を取得しました。
ヒト用医薬品につきましては、HK inno.N Corporation(韓国、以下「HKイノエン社(韓国)」)が韓国で販売中の胃食道逆流症(*)治療薬K-CAB®(一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上については、総じて好調に推移いたしました。第1四半期連結会計期間において、在庫調整等の影響があり、当社の販売ロイヤルティ収入が伸び悩みましたが、第2四半期連結会計期間以降は伸びを拡大、当社の販売ロイヤルティ収入は大幅に増加いたしました。
tegoprazanのグローバル開発につきましては、米国において、導出先のHKイノエン社(韓国)がFDAに新薬臨床試験開始届(IND)を提出し、2020年6月に試験実施の承諾を得ました。現在は第Ⅰ相臨床試験の開始に向け準備を進めております。中国においては、HKイノエン社(韓国)の中国のライセンス先であるShandong Luoxin Pharmaceutical Group Co.,Ltd.(中国、以下「Luoxin社(中国)」)がびらん性胃食道逆流症(*)を目標適応症とする第Ⅲ相臨床試験を終了し、中国当局に新薬承認申請を行いました。その後、当局より申請受理通知を受領いたしました。
このほかHKイノエン社(韓国)は、フィリピンのMetro Pharma Phils Inc.(フィリピン)、モンゴルのMonos Pharma LLC(モンゴル)、シンガポールのUnited Italian TradingCorporation(Pte) Ltd.(シンガポール)との間で、それぞれ、サブライセンス契約を締結し、2020年11月に公表いたしました。一方、日本においては、第Ⅱ相臨床試験の実施について、HKイノエン社(韓国)との協力関係の築き方等を含め、あらゆる可能性について検討を行っております。
当社グループが強みとする「イオンチャネル(*)創薬」に関しては、当社グループと旭化成ファーマ株式会社(以下「旭化成ファーマ社」)との共同研究から創出されたP2X7受容体拮抗薬(RQ-00466479/AK1780)、EAファーマ株式会社(以下「EAファーマ社」)との共同研究により創出された化合物、マルホ株式会社(以下「マルホ社」)に導出した選択的ナトリウムチャネル遮断薬、あすか製薬株式会社(以下「あすか製薬社」)との共同研究案件、以上4つのプログラムが着実な歩みをみせております。プログラムによっては、新型コロナウイルス感染症に伴い臨床試験の実施が一部遅延した案件や、導出交渉の進展が停滞した案件もあったものの、2020年11月にはあすか製薬社との共同研究案件で最初のマイルストンを達成いたしました。
当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)がSyros Phamaceuticals Inc.(米国、以下「シロス社(米国)」)に導出したレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/TM-411/SY-1425、以下「タミバロテン」)につきましては、シロス社(米国)が2020年12月の第62回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)において、併用第Ⅱ相臨床試験の新しいデータを報告いたしました。シロス社(米国)と研究チームは「タミバロテンとアザシチジンの併用療法は、標準化学療法では治療が困難なRARA陽性の未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対して高い奏功割合、即効性、十分な奏功期間、高い忍容性を示した。」とコメントしております。シロス社(米国)はFDAとの協議に基づき、骨髄異形成症候群(MDS)を適応とする第Ⅲ相臨床試験を2021年第1四半期に開始するとの計画を明らかにしたほか、AMLについてはタミバロテン、ベネトクラクス(他社のAML治療薬)、アザシチジンの3剤併用の新たな第Ⅱ相臨床試験を2021年第4四半期に開始する旨を公表いたしました。
医薬品候補化合物(*)の導出や共同研究に向けた取り組みにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での面談の機会が減少し、若干の悪影響を受けましたが、web会議等を利用しつつ事業開発活動を着実に進めてまいりました。2020年9月には、国立大学法人長崎大学との間で、新型コロナウイルス感染症に対する新規治療薬の共同研究を開始いたしました。2020年10月には、岐阜薬科大学との間で、産学連携に関する基本協定書を締結いたしました。
一方、当社連結子会社のラクオリア イノベーションズ株式会社につきましては、2018年12月の設立以来、アカデミア研究者発の医薬品候補化合物(*)のユニバース(集合体)構築や、バイオベンチャーの事業価値最大化に向けた最適なソリューションを提供し協業に尽力してまいりました。当社の創薬プラットフォームを活用した技術開発支援や知財戦略の策定支援、Exit(出口)戦略の提案については一定の成果が見られましたが、当社グループを取り巻く経営環境から総合的に判断し、2021年1月22日付で同社を解散することといたしました。なお、本件に伴う当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であります。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(A)財政状態
(資 産)
当連結会計年度末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ585百万円減少(前連結会計年度比12.1%減)し、4,251百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少780百万円、売掛金の減少216百万円、有証券の増加693百万円及び投資有価証券の減少436百万円によるものであります。
(負 債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ24百万円増加(前連結会計年度比11.2%増)し、240百万円となりました。これは主に、未払金の減少14百万円及びリース債務の増加43百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ609百万円減少(前連結会計年度比13.2%減)し、4,011百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失606百万円の計上によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は94.1%(前連結会計年度末比1.2ポイント減)となりました。
(B)経営成績
事業収益1,107百万円(前期比35.0%減)、営業損失486百万円(前期は、営業損失15百万円)、経常損失527百万円(前期は、経常利益21百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失606百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純利益5百万円)となりました。
また、事業費用の総額は1,593百万円(前期比7.3%減)であり、その内訳は、支払ロイヤルティ134百万円(前期比41.7%減)を事業原価138百万円(前期比47.5%減)に計上した他、研究開発費932百万円(前期比7.9%増)、その他の販売費及び一般管理費522百万円(前期比11.6%減)となりました。
なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ138百万円減少(前連結会計年度比6.3%減)し、2,061百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ241百万円減少し289百万円(前年同期比45.5%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失527百万円及び減価償却費124百万円を計上したことのほか、売上債権の減少216百万円による資金の獲得によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ9百万円増加し225百万円(前年同期比4.3%増)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入387百万円のほか、有形固定資産の取得による支出150百万円及び無形固定資産の取得による支出6百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ702百万円減少し6百万円(前年同期は、資金の獲得695百万円)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出7百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(A)生産実績
当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
(B)受注実績
当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。
(C)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、以下のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
事業収益 合計 (千円)1,107,301△35.0

(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ以下のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)割合(%)
A社760,84644.7
B社745,64543.8

相手先当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)
イ社530,06347.9
ロ社455,37041.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(A) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年(2019年度)より地母神「ガイア」のような創造力で「グローバル」規模の進化を目指す中期経営計画『Gaia 2021』(2019年12月期~2021年12月期)を推進しております。2年目である当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の中、一時的に事業活動が停滞するなどの影響を受け、特に導出交渉活動や臨床開発試験の遅延等が発生したため、事業収益は計画より48%減少の1,107百万円にとどまりました。
事業費用においては、研究開発活動やライセンス交渉の渉外活動も新型コロナウイルスの影響を受けたことにより、当初計画より466百万円減少し、当連結会計年度は営業損失△486百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損失△606百万円となりました。
『Gaia 2021』(2019年12月期~2021年12月期)の2年目にあたる当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
2019年度2020年度2021年度3ヶ年累計
(計画)(実績)(当初計画)(実績)(計画比)(計画)(計画)(実績)
事業収益2,0221,7022,1291,107△1,022
(△48.0%)
2,7386,8892,809
事業費用1,8351,7182,0591,593△466
(△22.6%)
2,3176,2113,311
営業利益又は営業損失(△)187△1570△486△556
( - )
420677△501
経常利益又は経常損失(△)1952185△527△612
( - )
427707△506
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)153513△606△619
( - )
343509△601

(B) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(C) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは研究開発型の創薬企業であり、開発化合物(*)の導出による契約一時金収入、研究開発の進捗に応じたマイルストン収入、医薬品の上市後において医薬品販売高に応じたロイヤルティ収入等の対価を受領することにより収益を得る契約形態を採用しております。しかしながら、依然として開発化合物(*)の導出に伴う契約一時金収入、あるいは開発の進捗に基づくマイルストン収入の割合も大きいことから、導出交渉及び開発の成否が全体の事業収益に大きな影響を与える可能性があります。
詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び市場から理解を得られる株主価値向上に根ざした明確なEquity storyを持った資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。
資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となってきております。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末における流動比率は1,518.4%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

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