有価証券報告書-第75期(2023/04/01-2024/03/31)
②戦略
気候変動による中長期の事業リスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」4℃シナリオ、「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑える」2℃シナリオの2つのシナリオで、温室効果ガス排出規制による影響と、主要原料(ばれいしょ)の調達と生産を中心に分析し、整理しました。
その結果、2℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の直接的な被害と、環境意識の高まりによる消費者行動の変化が大きなインパクトになり、4℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の被害に加え、日照時間不足によるばれいしょ収量の減少の影響が大きいことが分かりました。
これに対して、自社の温室効果ガスの削減を進めるとともに、ばれいしょの品種転換や品種開発、栽培技術の確立、産地の分散化を進めます。また、エシカル消費への対応や、持続可能な原料の探索と商品開発などが機会の創出になると考えています。今後は、継続的にリスク・機会の見直しや対応策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させることで、持続可能な社会を実現する企業活動に取り組んでいきます。
・移行リスク
(注)
※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下
※2 短期:2024年、中期:2030年頃
※3 プラスチック起因の課題解決に向け、アネロテック社(Anellotech Inc.)と低環境負荷で効率的なプラスチック再資源化の技術開発を進め、回収プラスチックの選別処理企業、モノマー・ポリマー・包装容器製造企業、商社や飲料・食品メーカー等連携して、技術の実用化に取り組んでいる共同出資会社。
・物理的リスク
(注)
※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下
※2 短期:2024年、中期:2030年頃
・機会
気候変動による中長期の事業リスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」4℃シナリオ、「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑える」2℃シナリオの2つのシナリオで、温室効果ガス排出規制による影響と、主要原料(ばれいしょ)の調達と生産を中心に分析し、整理しました。
その結果、2℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の直接的な被害と、環境意識の高まりによる消費者行動の変化が大きなインパクトになり、4℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の被害に加え、日照時間不足によるばれいしょ収量の減少の影響が大きいことが分かりました。
これに対して、自社の温室効果ガスの削減を進めるとともに、ばれいしょの品種転換や品種開発、栽培技術の確立、産地の分散化を進めます。また、エシカル消費への対応や、持続可能な原料の探索と商品開発などが機会の創出になると考えています。今後は、継続的にリスク・機会の見直しや対応策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させることで、持続可能な社会を実現する企業活動に取り組んでいきます。
・移行リスク
リスク項目 | 事業への影響 | 影響度 (※1) | 時期 (※2) | リスク対応策 | 進捗 |
炭素価格の上昇 | 炭素税導入により工場の操業や原材料などのコストが増加する | 小 | 中期 | 再生エネルギーの使用 | 製造拠点のカーボンオフセット電力への切り替え(国内13工場中9工場) |
メタネーション(水素と二酸化炭素からメタンガスを生成し、燃料化)の使用 | メタネーションに使われる水素産出技術などの開発に合わせて進める予定 | ||||
消費者の環境意識の高まりによる行動変化 | 気候変動によって環境に配慮した商品へ消費行動が拡大する | 中 | 中期 | 環境配慮型商品や認証商品への取組 | ・国内カルビーグループ工場にて、環境や人権に配慮した「RSPO認証パーム油(マスバランス方式)」の使用、2022年9月より「RSPO認証ラベル」を主力商品に表示開始し、2024年3月末時点でカルビー21品目、ジャパンフリトレー9品目で展開 ・FSC認証包材の使用 |
石油由来プラスチックの使用規制 | 石油由来原料の規制によって包材価格が上昇する。消費者意識が高まり、バイオプラスチック使用商品の選択が高まる | 中 | 中期 | リサイクルの推進 | ・株式会社アールプラスジャパン(※3)へ参画し、リサイクル原料調達の実証実験を行い、使用済みプラスチックの再資源化を推進 |
脱石油由来プラスチックへの転換 | ・一部商品におけるパッケージフィルムの薄膜化、サイズの縮小 ・パッケージフィルムに使用するインキをバイオマスインキに切り替え ・スタンドパックなどパッケージフィルムの一部にバイオマスPETを使用 |
(注)
※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下
※2 短期:2024年、中期:2030年頃
※3 プラスチック起因の課題解決に向け、アネロテック社(Anellotech Inc.)と低環境負荷で効率的なプラスチック再資源化の技術開発を進め、回収プラスチックの選別処理企業、モノマー・ポリマー・包装容器製造企業、商社や飲料・食品メーカー等連携して、技術の実用化に取り組んでいる共同出資会社。
・物理的リスク
リスク項目 | 事業への影響 | 影響度 (※1) | 時期 (※2) | リスク対応策 | 進捗 |
平均気温の上昇による原材料育成影響 | 気温上昇によってばれいしょの比重の低下が発生する | 小 | 中期 | ばれいしょの品種の転換・開発 | 気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発 |
栽培技術の確立 | ・土壌水分状態に合わせたイリゲーション(かん水)の実施 ・土壌状態に応じた適正施肥の推進 ・デコンパクターを使用した、耕盤層破壊 による根域拡大 | ||||
降水・気温パターンの変化 | 降水・気象パターンが変化することで、日照時間が減少し、ばれいしょの生育不良や収量の低下が発生する | 大 | 中期 | 産地の分散化 | 道央・東北・九州北部の産地を拡大 |
海外産ばれいしょの輸入ルートの確保 | 北米地域の拡大 | ||||
異常気象の続発化(豪雨、台風、洪水など) | 暴風雨などにより収穫時期のばれいしょ圃場の被害が拡大、工場の被災や物流寸断が長期化することで、調達・生産・供給量が減少する | 大 | 短期 | 異常気象を想定したオールハザード型BCPの策定 | 国内生産拠点のBCP推進 |
主要商品の生産拠点の分散化 | 物流効率等も考慮し、商品群の特性に応じた生産拠点の検討 | ||||
ハザードマップに基づく工場建設 | 生産拠点の水没リスクの確認を実施 | ||||
海外グループ工場からの供給 | ・2018年~「Honey Butter Chip」輸入(韓国) ・2022年「熱浪」輸入(香港) |
(注)
※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下
※2 短期:2024年、中期:2030年頃
・機会
機会項目 | 進捗 |
エシカル消費に対応した商品開発 | ・RSPO認証パーム油やFSC認証紙を使用した商品の発売 ・ポテトチップスのパッケージサイズ変更や「miino」のケースサイズ 縮小により、輸送効率を向上させ、CO2の排出量を削減 ・フードロスに対応した「Jagabeeのかけら」を発売 |
環境配慮型素材を使用した包装容器への転換 | ・プラスチック使用量の削減としてバイオマスPETの使用、バイオマス インキ使用 ・段ボールやカートンにおけるFSC認証紙の使用 |
気候変動に対応したばれいしょの品種開発と転換 | 気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発 |
農業の省人化による原料調達確保・拡大 | ・コントラクター事業の推進 ・多畦ハーベスターの導入運用を促進し、作業時間を削減 ・ばれいしょ輸送および受入れ体制を増強 |
持続可能な原料の探索と商品開発 | ・ホクレン農業協同組合連合会様と北海道農産物の振興に向けた連携協定 ・北海道産ばれいしょの安定生産調達体制の構築 ・北海道産ばれいしょを中心とした新商品開発ならびに販売促進 ・さつまいも、豆などの農産物を用いた新たな「食領域」の共同開発など |
長期保存が可能な食品の開発 | ・ポテトチップス、じゃがりこ、フルグラ等の賞味期限延長 |