有価証券報告書-第51期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 11:00
【資料】
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【項目】
119項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは冠婚葬祭業と石材事業を核として事業を展開する企業群であります。当社グループが営むそれぞれの事業において、加速する少子高齢化への対応は重要な課題と認識しております。少子化に伴う婚礼需要の減少、高齢化による介護、葬祭事業等の需要増加が見込まれる一方、異業種からの業界参入による競争激化も予想されます。 また、時流の変化により儀式や埋葬の形態の変化が加速し、お客様個々のニーズが更に多様化していくことも考えられます。
こうした厳しい経営環境の中、当社グループでは高品質のサービス・商品の提供を維持し、新たな顧客層の開拓を強化し業容を拡大してまいります。そのためにも既往の商品群に加え、お客様の細かなニーズに対応しうる魅力ある商品の開発を行い、広告宣伝等販売促進の強化を図ってまいります。更により多くのお客様に当社グループを利用していただくため、営業エリア拡大や友好的M&A等を推進してまいります。また、事業規模の拡大と収益基盤の強化を図るため、新規分野の事業化にも挑戦していく所存です。
これらを実現するためにも、サービスと商品の高度な品質管理体制をより堅確にするとともに、優秀な人材の確保と育成に注力してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
今後の持続的な成長を目指し、事業の選択と集中による経営資源の再配分を行い、既存事業の収益力向上を図ってまいります。また、事業規模の拡大と収益機会の強化を図るため、新規事業として納骨堂(屋内)ビジネスや再生可能エネルギー分野への参入について本格的に検討を進めてまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、売上面・コスト面において各事業間の相乗効果を追求し収益力の向上を図るため、連結経常利益率を重要な経営指標とし、10%以上を目標としております。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループが対処すべき主な課題は、次のとおりであります。
① サービス品質の向上
当社グループのすべての事業において、サービスの原点は「人」であるという観点から、人材育成を重要な課題と位置付け、プロとしてのスペシャリストを養成してまいります。また、専門知識を習得するため、「葬祭ディレクター」、「お墓ディレクター」、「ブライダルプロデューサー」等の各種資格取得を積極的に推進し、すべてのお客様に高品質のサービスを提供してまいります。
② 変化するニーズへの対応
葬祭事業につきましては、昨今の住宅事情や近隣世帯とのコミュニケーションの希薄化等により葬祭会館の需要が定着しております。一方で、葬儀規模は縮小傾向にあり、従来の葬送儀式よりも「家族葬」や「自分らしい葬儀」を希望する等、利用者のニーズは多様化しております。このような環境の下、自宅感覚のくつろぎと葬送時の特別な空間の演出等、利用者のニーズを的確に捉えた葬祭会館づくりを目指してまいります。また、サービス面においても、利用者の「想い」に十分に応えられるよう独自性を高めた商品サービスを創造してまいります。
石材卸売事業につきましては、個性的なデザイン墓や石種、また商品の納期については更なる短縮化が求められております。これらのニーズに応えるため、オリジナルデザイン墓石の開発や仕入ルートの拡充を図り豊富な石種を確保するとともに、KDDシステム※を活用した営業活動を展開してまいります。
石材小売事業につきましては、消費者の潜在的なニーズの掘り起こしやお墓に関する疑問、不安を解消するため、「想いのお墓づくり」を展開し、需要喚起と顧客満足度の向上に努めております。また、耐震構造墓石の提案やオリジナルデザイン墓石の開発を進め、更なる顧客満足を追求してまいります。
婚礼事業につきましては、多様な挙式スタイルを実現するため、総合式場、ゲストハウス、小規模式場の3タイプの婚礼会場を用意し設備面での充実を図っております。更に、地元食材を活かした独自の婚礼料理や、利用者のニーズを的確に捉えた商品プランを開発してまいります。
生花事業につきましては、近隣県に出店した各営業所において販路が拡大しております。今後も出店地域の生花需要を的確に捉え、生花商品の安定供給に努めてまいります。
互助会事業につきましては、会員の増加は、当社グループにおける将来の顧客基盤の確保に繋がることから、グループ全社で会員募集体制を強化してまいります。また、冠婚葬祭役務サービスのほか、会報誌の発行、各種カルチャー教室、生活情報セミナー・イベントの開催等会員サービスの充実を図り、会員数の増加に努めてまいります。
介護事業につきましては、サービス付き高齢者向け住宅に、通所介護・訪問介護・居宅介護支援の各事業所を併設し、高齢者の安心安全でこころ豊かな生活をサポートしてまいります。
③ 営業エリアの拡大
葬祭事業につきましては、福島県内において、当社葬祭会館の開設余地は限られたものとなりつつあります。今後は、福島県内既存会館のシェア向上に注力するとともに、関東地区でのエリア拡大に努めてまいります。
東北地方を主たる営業エリアとする石材卸売事業並びに石材小売事業につきましては、冬期間における売上高の減少等季節的な業績変動要因を低減させるため、関東地方以西への販路拡大を引続き検討してまいります。
生花事業につきましては、東北地方だけでなく北関東地区での拠点展開を検討してまいります。
これらの事業展開の中で、当社グループの相乗効果を最大限に引き出してまいります。
④ コンプライアンス体制の整備
当社グループは、事業活動において貨物自動車運送事業法、食品衛生法、割賦販売法、介護保険法等の規制を受けております。法令遵守体制につきましては、コンプライアンス規程、コンプライアンスマニュアル等に則り、原則毎月1回開催するコンプライアンス・リスク管理委員会や、適宜実施する研修会等を通して全社員への徹底を図っております。
⑤ 自然災害等への対応
自然災害等は企業活動にとって予測不可能なものであります。
当社グループは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故等を教訓とし、事業継続計画を策定いたしました。引き続き自然災害等の罹災時における中核事業の継続に努めてまいります。
また、震災復興面では、福島県に根差した企業として、原発事故避難者への墓地移転の支援や、被災した寺院への墓地修復等、業務を通じた支援にも継続して取り組んでまいります。
⑥ 社会貢献活動への取り組み
ライフサポート事業を通じた社会貢献はもとより、真に豊かな社会の実現に向け、企業市民としての責任を果たしてまいります。この方針を実現するため、「豊かな人生の演出」「豊かな社会の創造」「次世代への継承」を行動指針とし、様々な社会貢献活動へ取り組んでまいります。
※ KDDシステム
Kanno Design Databaseの略称で、約4,000件の墓石デザインや図面が登録されており、Web上から墓石の寸法、石の色、デザイン等を指定することで希望のお墓を検索することができるシステムです。取引石材店様のお客様への商品提案に役立つだけでなく、商品発注作業をスピーディーに行うことができます。