有価証券報告書-第55期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 12:35
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループでは、「私たちは、人々の『こころ』に満足と安らぎをもたらすサービスを提供する。」をグループ理念としております。
その実現のため、「グループの全員が心を一つにし、高い企業価値を実現する。」、「社員の自主性とパワーを最大限に生かした、社員主役の経営をすすめる。」、「どのお客様に対しても高品質のサービスを提供する。」の3項目を経営方針とするとともに、「お客様のこころに響く、いい仕事をする。」、「ネットワーク、チームワークを大切にする。」、「気概を持って進歩し続ける。」の3項目を全役職員の行動基準と定めております。
(2)経営環境と中長期的な会社の経営戦略
経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及や各種政策の効果等により、社会経済活動の制限が段階的に緩和され、緩やかに景気が持ち直すことが期待されますが、当面は不透明な経営環境が続くものと思われます。また、冠婚葬祭業と石材事業を核とする当社グループを取巻く事業環境におきましても、少子高齢化による需要への影響、時流の変化による儀式・埋葬の形態の多様化、価値観や生活様式の変化に伴うお客様ニーズの変化、異業種からの業界参入等、今後も変化の激しい状況が継続するものと予想されます。
なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響に関しましては、葬儀の小規模化及び低価格化の進行、石材商品の海外からの入荷量減少や入荷遅延、婚礼・宴会の延期や中止、生花需要の低迷等が生じております。
こうした経営環境の中、当社グループでは中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の重点施策に引き続き取り組んでまいります。まず、ビジネスのパラダイムシフトを推し進めるとともに、経営資源の適正配分を実行し、未来へのトランスフォーメーションを図る所存です。次に、BPRの推進や未来型テクノロジーの積極的導入等、生産性の追求に係る取組みを進めてまいります。更に、リーダー人財の育成や働きがいを高める環境づくり等、人財開発と働く環境の整備に努めます。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、売上面・コスト面において各事業間の相乗効果を追求し収益力の向上を図るため、連結売上高経常利益率を重要な経営指標とし、10%以上を目標としております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題
当社グループが対処すべき主な課題は、次のとおりであります。
① サービス及び業務品質の向上
当社グループのすべての事業において、サービスの原点は「人」であるという観点から、人財開発を重要な課題と位置付けております。専門知識を習得したプロとしてのスペシャリストを養成するため、教育研修を充実するとともに、各種資格取得を積極的に推進し、すべてのお客様に高品質のサービスを提供してまいります。また、環境変化に迅速に対応するため、リーダー人財の育成に注力し、サービスのみならず、あらゆる業務の品質と生産性の向上に努めます。
② 変化するニーズへの対応
葬祭事業につきましては、葬祭会館の需要が定着している一方で、葬儀規模は縮小傾向にあり、従来の葬送儀式よりも「家族葬」や「自分らしい葬儀」を希望する等、利用者のニーズは多様化しております。このような環境の下、多様な葬儀形態を実現するため、小規模葬祭会館から大規模葬祭会館まであらゆるタイプの会館を用意するとともに、自宅感覚のくつろぎや葬送時の特別な空間を演出する等、施設面での充実を図っております。更に、利用者のニーズを的確に捉えた独自性の高いサービス・商品の開発、オンラインを活用した営業スタイルの導入等を展開してまいります。
石材事業につきましては、デザイン性や希望する石種のほか、墓石の耐震化、納期の短縮化等が求められております。これらのニーズに応えるため、オリジナルデザイン墓石の開発や耐震構造墓石の提案を進めるとともに、豊富な石種の安定確保、オンラインを活用した営業スタイルの導入等を展開してまいります。また、消費者の潜在的
なニーズの掘り起こしやお墓に関する疑問、不安を解消するため、供養周辺サービスや墓石の診断及びリフォー
ム・メンテナンス等を推進いたします。更に、埋葬方法の多様化への対応として、永代供養塔の提案や屋内納骨堂の販売代行等に努めます。
婚礼事業につきましては、多様な挙式形態を実現するため、総合婚礼会場、ゲストハウス、小規模婚礼会場の3タイプの会場を用意し施設面での充実を図っております。更に、利用者のニーズを的確に捉えた独自性の高いサービス・商品の開発、オンラインを活用した営業スタイルの導入等を展開してまいります。
生花事業につきましては、葬祭事業における利用者のニーズを的確に捉えた生花商品の開発と、グループ内外の葬祭事業会社に対する提案を行ってまいります。また、今後も生花需要を的確に捉え、一般の生花小売店に対する生花の安定供給及びオンラインショップの充実に努めます。
互助会事業につきましては、会員の増加は、当社グループにおける将来の顧客基盤の確保に繋がることから、グループ全社で会員募集体制を強化してまいります。また、利用者のニーズを的確に捉えた冠婚葬祭役務サービスの
開発、会報誌の発行、各種相談への窓口及びオンラインでの対応、生活情報の発信等、会員サービスの充実を図
り、会員数の増加に努めます。
③ 営業エリアの拡大
葬祭事業につきましては、既存の営業エリア内において、同業他社との競争は激しい状況が続いております。今後は、既存葬祭会館のシェア向上に注力するとともに、葬祭会館の新設や友好的M&A等によるエリア拡大を検討いたします。
東北地方を主たる営業エリアとする石材事業につきましては、石材卸売数量の増加を図るため、関東地区における販路拡大に注力してまいります。また、国内における墓石需要の低迷に鑑み、海外における事業展開を本格化いたします。
生花事業につきましては、東北、北関東地区の既存営業所における販路拡大に加え、営業所の新設等を検討いたします。
これらの事業展開の中で、当社グループの相乗効果を最大限に引き出してまいります。
④ コンプライアンス体制の整備
当社グループは、事業活動において貨物自動車運送事業法、食品衛生法、割賦販売法、特定商取引に関する法律等の規制を受けております。法令遵守体制につきましては、コンプライアンス規程、コンプライアンス・マニュアル等に則り、原則毎月1回開催するコンプライアンス・リスク管理委員会や、適宜実施する勉強会等を通して全役職員への徹底を図っております。
⑤ 自然災害、感染症拡大等への対応
自然災害、感染症拡大等は企業活動にとって予測不可能なものであります。
当社グループは、2011年3月11日に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故等を教訓とし、事業継続計画を策定いたしました。また、昨今の気候変動がもたらす自然災害や新型コロナウイルスなどの感染症拡大等による影響を最小限に留めるための対策に努めております。
引き続き事業継続計画を随時見直し、中核事業を継続できるよう自然災害や感染症拡大等への対応を体系的に整備してまいります。
⑥ 社会貢献活動への取組み
ライフサポート事業を通じた社会貢献はもとより、真に豊かな社会の実現に向け、企業市民としての責任を果たしてまいります。この方針を実現するため、「東日本大震災ふくしまこども寄附金」への寄附、慰霊祭・仏教行事等の手伝い、地元スポーツチームへの協賛、地域清掃活動、ペーパーレス化の推進等、「福祉分野」「文化・スポーツ分野」「環境分野」を中心に様々な社会貢献活動へ取り組んでおります。今後更に、環境問題への取組み、社会的課題への対応、ガバナンスの実効性強化等に係るサステナビリティ目標を設定し、ESGの推進及び企業価値の向上による社会貢献を目指してまいります。