有価証券報告書-第8期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:01
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループは、基本理念として「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を掲げておりましたが、このたび、企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対して、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、基本理念をミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成として再構築致しました。
使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えをしっかりと持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」と致しました。
近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であって、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。
そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」をバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」
これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開し、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せ期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。
持続的成長性を計る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、1株当たりの純資産の増加を目指し加えて「フリーキャッシュ創造力」についても重視してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、事業基盤の強化と市場環境に左右されない安定した収益の確保を目指し、資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に加え、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連事業への参入を決定し、その取り組みを積極的に進めております。
このような中、2017年3月期に2020年(2020年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定し、推進してまいりました。この中期ビジョンは、「社会的意義のある新たな事業価値の創造」と「それを実現可能とする統制のとれた組織の構築」を基本理念に掲げ、「強固な財務基盤の構築」、「収益力・成長力の向上」、「人財育成力・組織力の強化」を目指したもので、このビジョンの下、当社グループは、営業収益の増加に向け様々な取り組みを行ってまいりました。
中期ビジョンでは、計数目標として、計画最終年度の2020年3月期における「配当後株主資本60億円程度」、「連結営業収益45億円以上」、「連結ROE8%以上」を目指しておりました。このうち連結営業収益については、電力販売の増加により2018年3月期の時点で大幅に超過し、2020年3月期には119億円となりました。配当後株主資本については、中期ビジョン開始前の2016年3月期の44億円から2017年3月期は53億円、2018年3月末は54億円と順調に推移しましたが、以降は3期にわたる特別配当の実施や自己株式の取得を実施したこと等の影響もあり、最終年度の2020年3月期も54億円にとどまりました。連結ROEについては、2018年3月期と2019年3月期は3%台、2020年3月期は4.5%となりましたが8%を超えることは出来ませんでした。
なお、次期中期ビジョンについては、2020年3月期決算短信の発表時に併せて発表することを予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延による経済社会活動への影響の見極めも必要であることから、本ビジョンの機関決定時期を延期することといたしました。
(4) 対処すべき課題
当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 株主資本の充実と持続的な収益力の確保
総合エネルギー及び金融関連分野における事業をコアとして事業展開を進めている当社グループとって、今後の新しい事業モデルを構築するためには、株主資本を充実させ企業体力を強化させることと持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度を重視し、各セグメントに対する経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資金効率をさらに向上させることが必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。
また、企業体力を強化するためには収益力の向上に加え、継続的に経費構造を見直し経費率の改善も同時に進めることも重要であると考えております。引き続きコスト削減を徹底してまいります。
② 効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化
上記の目標達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。そのためには広く経営管理の質を高めるとともに、一定の時間軸を踏まえた確固たる人財育成方針が必要であり、併せ資金需要に速やかに対応可能な資金調達機能も重要であると認識しています。
また、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループ事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生しうると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。
③ 新たな事業への挑戦と事業モデルの構築
当社グループでは祖業のアセット・マネジメント事業、ディーリング事業に加え、そのノウハウを活かし2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しております。今般、既存ビジネスをさらに拡充していくために電力・ガス小売事業を立ち上げましたが、今後も社会の変化のスピードに遅れることなく、一歩先の動き見据えた次の事業展開を考えていかねばなりません。社会的要請及び時代の方向性に即した事業に参入し、新たな収益基盤を築いていくことが重要であり、新規に参入していく事業分野において結果を得るためには、同業他社とは異なる独自性の高い事業モデルを構築していかねばなりません。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充
再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指し、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント、投資及び発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っておりますが、売電収入による収益基盤の強化、譲渡益による期間利益の確保、O&M事業の継続及び業務効率化や経費見直しに取り組んでまいります。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより九州地方において春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課される事態が増加してきており、今後は他のエリアでもその可能性が高まることも想定されます。当社グループはこれまで以上に出力抑制が実施される可能性を十分に認識し、業務効率化や経費見直し等を行ってまいります。
地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井4本の掘削が完了し、そのうち3ヵ所において自噴を確認し事業化に向けて着実な前進を示しました。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなる様、潜在的なリスク検証も含め、今後はパートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。発電設備等を電力系統に連系できるまでに時間を要する見通しであることから、現段階では2026年3月期以降になると見込まれますが、発電所としての運転開始に向けて取り組んでまいります。
② 電力取引関連事業における収益力強化と新たに報告セグメントとする小売事業の事業基盤の確立
600社を超える小売電気事業者がひしめき合う中、サービスの過当競争も想定されますが、当事業では、サービスの質の高さと独自のネットワークを武器として引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。
当社グループは日本における電力のサプライチェーン全体に事業領域を広げ、より機能的なサービスの提供と収益機会の開拓を図る方針を決定し、小売電気事業分野に本格的に参入するために、アストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)は小売電気事業を営むJust Energy Japan株式会社(以下、「JEJKK社」という。)を2020年4月に買収いたしました。小売電気事業は、中長期的には既存の事業を高め当社の企業価値向上に寄与するものと考えておりますが、ビジネスモデル上、顧客獲得にかかる代理店・取次店等への販売報酬を営業経費として先に計上し、顧客契約からの収益はその後数年の期間をかけて回収するという特性がある為、顧客を継続的に増やしていく成長過程においては、小売電気事業者は損益計算書上費用先行となるため、損益分岐点にいたるまで、小売事業については赤字が先行することになります。なお、2021年3月期より電力及びガスを対象とする小売事業を新たな報告セグメントとして独立いたします。
また、電力取引関連事業の今後の戦略の一環として新たな事業パートナーとの協働及び新たな事業モデル等検討を開始しておりますが、新規ビジネスフィールドでの取り組みのため、考えられるあらゆるリスクを考慮して推進してまいります。
③ アセット・マネジメント事業の収益基盤の拡充
当社グループのアセット・マネジメント事業を主として担っていたアストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)が2度の株式譲渡を経て2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となって以降、ASTAM社については、税引後当期純利益のうち当社の持分49.9%のみが、営業外損益としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に反映されることとなっております。ASTAM社の運用資産残高は2020年3月期末に前年比約1,000億円減少しておりますが、ASTAM社では、この動きに歯止めをかけ、顧客の属性分散、商品開発力及び提供力の拡充等を含めた立て直しを迅速に実行するため、新たな人材の確保と組織体制の見直しを行い運用資産残高の回復に取り組んでおります。
一方、現在当事業を主として推進しているアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)では、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しておりますが、2020年3月末には新たなファンドの運用業務も受託することとなりました。運用対象が拡大するに伴い、この運用業務を適切に行うと共に、ベンチャーキャピタルファンドについては、投資先企業の成長にも寄与できるよう、引き続き努力を継続してまいります。
④ ディーリング事業の一層の効率化
ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めない一方、取引にかかるコストは海外を中心に年々上昇していることから、引き続き管理部門の業務効率化やコストコントロールを積極的に行ってまいります。2020年度には原油と石油製品を除く商品先物がTOCOMから日本取引所グループ傘下の大阪取引所に移され、総合取引所が発足することから、参加者の増加が期待され、当社グループの得意とするリスク管理手法を用いて収益の最大化及び利益率の好転、資本効率の向上を目指して事業展開を行ってまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて
今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大については、わが国においても、戦後最大の危機であるとの見方もなされていることから、当社グループにおいても、その経済社会に対する影響を慎重に見極めて、今後の事業展開を行っていく必要があると考えております。また、今後起こりうる別種のウイルス等による感染拡大や自然災害に対しての想定も必要となってくると考えております。
なお、当社グループは、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う暫定的な措置として、非常事態宣言が出された4月には在宅勤務を原則とし、出社を許可制にしておりました。政府の自粛緩和等を受け、現状においては、在宅勤務を週2日とする体制をとっております。
社員の安全を第一とし、社内執務ゾーンにおける濃厚接触状態を回避し、社内感染を防ぐためにもフリーアドレス性を活用した執務スペースの確保やアクリルパネルの設置等を実施しております。今後はオンライン化されていない業務の一層のオンライン化について体制を整えていくことが急務であると考えております。
⑥ コンプライアンスの徹底
上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業を展開し、グループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。
⑦ セキュリティ対策
当社グループでは、事業別に業務上の全てのデータにアクセス権を設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を施すことで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。
その上で、役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。
今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。
⑧ IRの充実
「新たな事業への挑戦」に記載のとおり、当社グループの事業は複数で構成されているため、既存株主や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとの意見を頂いております。IRについては、近年、個人投資家説明会の開催や、四半期決算の補足説明資料開示、株主通信の充実等の取り組みに加え、2020年3月期は既存の月次開示に当社グループが保有する発電所の売電状況を加え、またオンライン決算説明会の開催、第三者機関による当社のレポート作成を実施し、事業全体の関連性及び状態をより分かり易く可視化に努めてまいりました。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。

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