訂正有価証券報告書-第5期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2017/03/31 10:56
【資料】
PDFをみる
【項目】
112項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、前半は円安による輸出企業を中心とした好調な企業業績や雇用の改善等により、緩やかな回復基調で推移しましたが、8月のチャイナショック以降は中国の景気減速や原油安による物価見通しの下振れ、地政学的リスクの拡大等により、リスクオフの動きによって円高・株安が進む展開となり、景気も横ばい状態が続くこととなりました。
国内株式市場においては、期初は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のアクティブ運用本格化の報道や米国の株高・円安などを受けて日経平均株価が上昇傾向で推移し、5月中旬から6月初めにかけてはバブル期以来の12連騰を記録するなどして、6月24日に年初来高値20,952円71銭をつけました。その後、ギリシャのデフォルト懸念や中国株式相場や原油価格の下落等から世界的な景気減速懸念が広がり、8月には中国人民元の切り下げを契機として世界的にリスクオフの流れが強まる展開となり、日経平均株価は9月末に17,000円割れの水準まで下落しましたが、10月以降は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意や欧州中央銀行(ECB)の追加緩和期待、日本郵政グループ3社の新規上場や米国の利上げ観測などを背景に上昇する展開となり、11月には20,000円近くまで反発する場面もありました。しかし、原油価格続落による欧米市場の株安につられ、日経平均株価も徐々に値を下げていく展開となり、年明けにはサウジアラビアとイランの国交断絶や北朝鮮の水爆実験等、地政学的リスクが高まったことに加え、米国の利上げ観測の後退や欧州金融機関の財務内容の悪化なども材料視される展開となり、2月上旬にはドル安・円高が急激に進行したことも手伝い、日経平均株価は2月12日に14,865円77銭の安値をつけました。その後は、主要産油国の生産調整に向けた動きや欧米市場の株価反発、国内企業の自社株買いの動きなどによって日経平均株価は持ち直し、当連結会計年度末は16,758円67銭で取引を終えました。年度ベースでは外国人投資家は日本株を7年ぶりに売り越し、日経平均株価は5年ぶりに下落しました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式売買代金は、前期と比較して17%増加しました。また、当社グループの主たる顧客層である個人投資家の二市場全体の株式委託売買代金は前期比で2%減少しました。その結果、二市場における個人の株式委託売買代金の割合は、前期の22%から18%に低下しました。
外国為替市場においては、ドル/円相場は期初に119円台で推移していましたが、5月下旬には米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言により米利上げ期待が高まったことでドル高・円安が急速に進行し、6月初旬には約13年ぶりの高値となる125円85銭をつけました。しかし、日本銀行総裁からの円安牽制発言やギリシャ債務問題への懸念を背景とするリスクオフの円買いによって上昇は抑えられました。8月には中国の株式市場が景気減速懸念から急落したことを受けてリスクオフの円買いが強まり、116円台前半まで円高が進行しましたが、その後は中国の景気減速懸念を材料視するリスクオフの円買いと米国の利上げ観測を材料視するドル買いとが交錯する展開が続きました。年明け後の1月29日には、日本銀行が予想外のマイナス金利の導入を決定し、ドル/円相場は一時121円台に上昇する場面もありましたが、2月に入ると米国景況感の悪化とイエレンFRB議長の議会証言による米追加利上げ観測の後退で急激な円高が進み、2月11日には平成26年10月以来となる110円台をつけました。日本の経常黒字が増加する流れの中、3月にかけてレパトリエーションの円買いも出て円は堅調に推移、1ドル=112円台で当連結会計年度末を迎えました。年度ベースでは4年ぶりの円高ドル安となりました。
このような状況の中で、当社グループの主要事業であるインターネット証券事業及び外国為替証拠金取引(以下、「FX取引」という。)事業においては、新規口座開設や取引に係る各種キャンペーンの実施、現物手数料値下げやスプレッド縮小の実施、取引環境の継続的な改善により、顧客利便性の向上を図ってまいりました。主な取り組みとしては、今後の取引拡大を見据えて、店頭FX取引のシステムを全面刷新し、「新FXネオ」のサービスを開始いたしました。新たな収益の柱として注力しているCFD取引においては、CFD取引専用スマートフォンアプリのリリースや外国株CFD、海外ETFCFD等の取扱銘柄の拡充を行い、その収益拡大に努めました。また、新しい商品・サービスの提供に向けて、アライアンスを推進し、株式会社大和証券グループ本社及び大和証券株式会社との業務提携に関する覚書、maneo株式会社等との資本業務提携や株式会社お金のデザインとの業務提携に関する基本合意書を締結いたしました。
これらの諸種の施策により、当連結会計年度末におけるGMOクリック証券株式会社の証券取引口座は284,648口座(平成27年3月末241,985口座)、店頭FX口座は436,199口座(平成27年3月末394,072口座)、株式会社FXプライムbyGMOの取引口座数は168,449口座(平成27年3月末158,266口座)となり、顧客基盤は更に拡大しました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は29,017百万円(前期比16.3%増)、純営業収益は27,425百万円(同16.5%増)、営業利益は10,611百万円(同37.0%増)、経常利益は10,570百万円(同37.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,453百万円(同32.9%増)となりました。
当連結会計年度における、主な収益及び費用の状況は次のとおりです。
(受入手数料)
受入手数料は主に株式取引、株価指数先物及びオプション取引、取引所FX取引などによる委託手数料、ならびに店頭FX取引におけるロスカット手数料等のその他受入手数料で構成されております。
当連結会計年度においては、前期と比較し株式売買代金が微増した他、株価指数先物及びオプション取引、取引所FX取引の取引量が増加しました。これを受けた形で、委託手数料は3,028百万円(前期比13.2%増)となりました。また、その他受入手数料は767百万円(同27.5%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度における受入手数料は3,799百万円(同15.6%増)となりました。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は主に外国為替、商品、株価指数に関連する店頭デリバティブ取引から発生する損益となっており、その中でも外国為替関連の店頭デリバティブ取引が大きな割合を占めております。当連結会計年度においては、外国為替相場はボラティリティの高い相場が継続し、前期と比較して取引量が増加しました。その結果、当連結会計年度におけるトレーディング損益は21,593百万円(前期比18.6%増)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度は前期と比較して、株式信用取引における建玉の平均残高が増加しました。その結果、金融収益は3,582百万円(前期比12.4%増)、金融費用は1,591百万円(同11.6%増)、差し引きした金融収支は1,991百万円(同13.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、主に委託取引にかかる取引所への支払手数料や顧客獲得及び認知度向上のための広告宣伝費から構成される取引関係費、システムの修繕保守、器具備品購入に係る不動産関係費、事務委託費等の事務費、人件費等から構成されております。当連結会計年度においては、取引量の増加に伴う支払手数料の増加、ブランド強化による広告宣伝費の増加などにより、取引関係費は7,773百万円(前期比3.8%増)となりました。器具・備品費の増加により不動産関係費は2,349百万円(同12.3%増)、事務委託費の増加により事務費は2,080百万円(同9.3%増)、人件費は2,897百万円(同12.5%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は16,813百万円(同6.5%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は4百万円(前期比75.4%減)、営業外費用は45百万円(同23.0%減)となりました。
(特別損失)
当連結会計年度における特別損失は法令上の要請に基づく金融商品取引責任準備金繰入等により414百万円(前期比32.7%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による支出が21,343百万円、投資活動による支出が369百万円、財務活動による収入が19,879百万円となった結果、34,633百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、21,343百万円のマイナス(前期は3,471百万円のマイナス)となりました。税金等調整前当期純利益10,155百万円を計上したことに加え、受入保証金の増加18,821百万円等による資金の増加があった一方、信用取引資産及び信用取引負債の増減による支出19,139百万円、短期差入保証金の増加7,753百万円、支払差金勘定及び受取差金勘定の増減による支出11,733百万円、預託金の増加7,600百万円、預り金の減少1,151百万円等により資金が減少した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、369百万円のマイナス(前期は2,775百万円のプラス)となりました。定期預金の払戻による収入1,180百万円等による資金の増加があった一方、投資有価証券の取得による支出756百万円、有形固定資産の取得による支出173百万円、無形固定資産の取得による支出452百万円、長期前払費用の取得による支出158百万円等を計上したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,879百万円のプラス(前期は17,090百万円のプラス)となりました。短期借入れによる純増額20,698百万円、長期借入れによる純増額1,440百万円、セールアンド割賦バックによる収入1,850百万円がありましたが、社債の償還による支出2,000百万円、配当金の支払額2,560百万円等があったことによるものです。