有価証券報告書-第81期(2025/06/01-2026/05/31)
②戦略
気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、建材事業、マテリアル事業、商業施設事業、国際事業の4事業のバリューチェーン全体を対象として、TCFDフレームワークに沿って整理し、重要性の評価を行いました。次に国際機関などが公表している外部シナリオをもとに、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つの将来世界観を描き、2030年時点における考慮すべき外部環境変化のシナリオを策定し、リスクと機会を特定いたしました。また、発生時期、事業収益にもたらす影響の大きさにより、大中小の3段階で分類いたしました。
■1.5℃シナリオ
発生時期:短期 現在~3年、中期 3年~10年、長期 10年~30年
(注)1.影響度は4つの報告セグメントを合わせて記載しております。
2.定量化に必要なパラメータ不足により、財務影響は非算出のため影響度は記載しておりません。
■4℃シナリオ
発生時期:短期 現在~3年、中期 3年~10年、長期 10年~30年
(注)影響度は4つの報告セグメントを合わせて記載しております。
<影響度の大きいリスクと機会への対応状況>a.温室効果ガス排出量削減目標の進捗とカーボンニュートラルへの展望
当社グループでは、温室効果ガス排出量の削減を主な取り組みとする「気候変動への対応」をマテリアリティの最重要項目と位置付けており、気候変動への対応における2030年度目標として、Scope1・2について2017年度比で50%削減、Scope3について2022年度比で25%削減を掲げております。また、2026年度(翌連結会計年度)までにScope1・2温室効果ガス排出量を2017年度比で37%削減することを中間目標として設定しており、この中間目標を当連結会計年度に前倒しで達成しました。一方、今後の事業成長戦略の一環として、新湊東工場の増築及びアルミ押出ライン増設や奈呉工場のスクラップ溶解炉増設といった工場・設備の増強を実施しており、これに伴いCO2排出量も増加する見込みであります。このような状況に対し、当社グループは、省エネルギー施策による使用エネルギー総量の削減を基本方針とし、その上で再生可能エネルギーを計画的に導入することで対応しております。
2030年度の温室効果ガス削減目標について、各施策が着実に進捗していることから、カーボンニュートラル実現を見据えて、中長期ロードマップの検討を進めております。
主な取り組み
1.省エネルギー施策
各工場において、老朽化設備の更新や照明のLED化などを推進し、省エネルギー設備への切り替えを進めております。また、設備を稼働していない時間帯に消費される「待機電力」の削減に注力しております。機器の主電源を切らずにスタンバイしている稼働待機時間の削減が可能か検討し、従来から電源を切っていた夜間や休日等の非稼働時に加え、休憩時間や非生産時に電源を切ることで不要な電力消費を最小限に抑制しております。
また、工場における圧縮空気の漏えい(以下、エア漏れという。)対策を積極的に推進しております。従来は、作業員による目視や聴覚で確認しておりましたが、産業用超音波カメラを導入することで、配管や機器接続部からの微細なエア漏れを可視化して特定することができ、より迅速なエア漏れ改善による電力削減が可能となりました。
これらの取り組みにより、年間約3,000トンの温室効果ガス排出量を削減しております。
2.CO2フリー電力への切り替え
当社グループでは、日本やドイツ等の拠点へCO2フリー電力の導入を進めております。日本国内におけるCO2フリー電力の利用については、2021年12月の本社・支店を皮切りに9工場の切り替えを進めており、年間約43,000トンの温室効果ガス排出量を削減しております。
3.太陽光発電設備の導入
当連結会計年度に増築した新湊東工場の屋根上に、面積約7,000㎡・パネル出力約1MWのPPAモデルによる太陽光発電システムを設置いたしました。発電した電力は同工場内で自家消費することで、年間約600トンの温室効果ガス排出量削減に寄与しております。
4.温室効果ガス排出量算定説明会の開催
Scope3削減に向けて、2025年11月にお取引先様を対象とした脱炭素説明会「温室効果ガス排出量算定説明会」を、あいおいニッセイ同和損害保険㈱・MS&ADインターリスク総研㈱の協力を得て開催いたしました。サプライチェーン全体での排出量算定や削減に向け、協働体制の基盤構築を進めてまいります。
b.資源循環の促進
当社グループは、2030年度の「建材向けアルミリサイクル率80%」達成を掲げ、リサイクル原料の安定確保と資源循環の推進を最重要課題と位置付けております。脱炭素社会の進展に伴い低炭素建材へのニーズが高まっており、特にリサイクルアルミは、原料から新地金を精錬するプロセスが不要となるため、天然資源由来の新地金に比べ製造時の温室効果ガス排出量を約97%削減できます。これは、リサイクルアルミ製品の市場価値向上という大きな機会をもたらします。
建物解体の現場では、多種多様な廃建材が同時に発生する中で、アルミサッシのみの分別・回収が困難であることや、トレーサビリティが不透明であることが、当社グループにおける高品質なリサイクル原料の安定調達を困難にしております。そのため目標とするリサイクル率の達成や、中長期的な低炭素製品の安定供給体制、及びコスト競争力に影響を及ぼすリスクがあります。
主な取り組み
1.アルミスクラップ専用溶解炉設置工事の進捗
奈呉工場内におけるアルミスクラップ専用溶解炉の設置工事を行い、2026年6月稼働で進めてまいりました。この溶解炉の導入により、アルミスクラップ材の使用を拡大し、アルミリサイクル率の向上に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。
2.新たな資源回収ネットワークの構築
当社は、2025年10月に資源循環の基盤強化に向け、㈱アビヅ、㈱イボキン、オリックス環境㈱、㈱こっこー、㈱HARITAの5社と新たな資源回収ネットワーク「サーキュラーエコノミーチャレンジャーズ(CEチャレンジャーズ)」を結成し、運用を開始いたしました。これにより、解体建物から発生する使用済みアルミサッシの一貫した回収・リサイクル体制を構築し、従来困難であったトレーサビリティの確保を実現しております。
気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、建材事業、マテリアル事業、商業施設事業、国際事業の4事業のバリューチェーン全体を対象として、TCFDフレームワークに沿って整理し、重要性の評価を行いました。次に国際機関などが公表している外部シナリオをもとに、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つの将来世界観を描き、2030年時点における考慮すべき外部環境変化のシナリオを策定し、リスクと機会を特定いたしました。また、発生時期、事業収益にもたらす影響の大きさにより、大中小の3段階で分類いたしました。
■1.5℃シナリオ
| 環境政策及び規制が強化され、カーボンプライシングが導入される。再生可能エネルギー導入や低炭素技術、環境配慮商品供給への投資が要求されるため、エネルギー調達コストや原材料調達コストが増大する。一方、市場では脱炭素関連商材の需要が増加し、環境配慮商品へのシフトが大きく進む。再エネ、省エネに関する技術革新も進展する。 参考シナリオ:IEA(国際エネルギー機関)ネットゼロ排出シナリオ |
| リスク / 機会 | インパクト | 事業に及ぼす影響 | 発生 時期 | 影響度 | |||
| 建材 事業 | マテリアル 事業 | 商業 施設 事業 | 国際 事業 | ||||
| 移行 リスク | 炭素税の導入 | 炭素税の導入による 操業コスト増加 | 中~ 長期 | 大(注)1 | |||
| 原材料への価格転嫁 | アルミ地金の 調達コスト増加 | 中~ 長期 | 大(注)1 | ||||
| ゼロカーボン対応の 建築基準法の施行 | カーボンフットプリント の削減要求を充足できず 販売機会を損失 | 中~ 長期 | 中 | 中 | - | - | |
| リサイクルアルミの 需要の増加 | 溶解炉ライン構想の 見直し費用の発生 | 中~ 長期 | 中(注)1 | ||||
| 機会 | 断熱性向上のための リフォーム需要の増加 | 高断熱商品の需要の増加 | 短~ 長期 | 中 | - | - | - |
| リサイクルアルミの 需要の増加 | リサイクルアルミを 使用した商品の需要の増加 | 中~ 長期 | (注)2 | - | (注)2 | ||
発生時期:短期 現在~3年、中期 3年~10年、長期 10年~30年
(注)1.影響度は4つの報告セグメントを合わせて記載しております。
2.定量化に必要なパラメータ不足により、財務影響は非算出のため影響度は記載しておりません。
■4℃シナリオ
| 環境政策及び規制の強化は先延ばしされ、温室効果ガス排出量の削減は進まず、カーボンプライシングも導入されない。そのため、地球温暖化がさらに進行することで、異常気象による台風や洪水などの深刻化・激甚化が進み、工場やサプライチェーンの維持コストが増加する。また、ナショナリズムが台頭し、地政学リスクが増加する。一方、激甚災害への備えが必要なことから、防災商品の需要が増加する。 参考シナリオ:現行政策シナリオ(CPS)、SSP3 |
| リスク / 機会 | インパクト | 事業に及ぼす影響 | 発生 時期 | 影響度 | |||
| 建材 事業 | マテリアル 事業 | 商業 施設 事業 | 国際 事業 | ||||
| 物理 リスク | 異常気象の深刻化・激甚化(水害の発生) | 自社工場被災による 売上機会の喪失 | 短~ 長期 | 大(注) | |||
| 気候変動に起因する感染症の発生・増加 | 感染症対策による国内と 海外のサプライチェーン 寸断 | 短~ 長期 | - | - | 小 | - | |
| 機会 | 異常気象の深刻化・激甚化 | 防災関連商材の需要の増加 | 短~ 長期 | 中 | - | - | - |
発生時期:短期 現在~3年、中期 3年~10年、長期 10年~30年
(注)影響度は4つの報告セグメントを合わせて記載しております。
<影響度の大きいリスクと機会への対応状況>a.温室効果ガス排出量削減目標の進捗とカーボンニュートラルへの展望
当社グループでは、温室効果ガス排出量の削減を主な取り組みとする「気候変動への対応」をマテリアリティの最重要項目と位置付けており、気候変動への対応における2030年度目標として、Scope1・2について2017年度比で50%削減、Scope3について2022年度比で25%削減を掲げております。また、2026年度(翌連結会計年度)までにScope1・2温室効果ガス排出量を2017年度比で37%削減することを中間目標として設定しており、この中間目標を当連結会計年度に前倒しで達成しました。一方、今後の事業成長戦略の一環として、新湊東工場の増築及びアルミ押出ライン増設や奈呉工場のスクラップ溶解炉増設といった工場・設備の増強を実施しており、これに伴いCO2排出量も増加する見込みであります。このような状況に対し、当社グループは、省エネルギー施策による使用エネルギー総量の削減を基本方針とし、その上で再生可能エネルギーを計画的に導入することで対応しております。
2030年度の温室効果ガス削減目標について、各施策が着実に進捗していることから、カーボンニュートラル実現を見据えて、中長期ロードマップの検討を進めております。
主な取り組み
1.省エネルギー施策
各工場において、老朽化設備の更新や照明のLED化などを推進し、省エネルギー設備への切り替えを進めております。また、設備を稼働していない時間帯に消費される「待機電力」の削減に注力しております。機器の主電源を切らずにスタンバイしている稼働待機時間の削減が可能か検討し、従来から電源を切っていた夜間や休日等の非稼働時に加え、休憩時間や非生産時に電源を切ることで不要な電力消費を最小限に抑制しております。
また、工場における圧縮空気の漏えい(以下、エア漏れという。)対策を積極的に推進しております。従来は、作業員による目視や聴覚で確認しておりましたが、産業用超音波カメラを導入することで、配管や機器接続部からの微細なエア漏れを可視化して特定することができ、より迅速なエア漏れ改善による電力削減が可能となりました。
これらの取り組みにより、年間約3,000トンの温室効果ガス排出量を削減しております。
2.CO2フリー電力への切り替え
当社グループでは、日本やドイツ等の拠点へCO2フリー電力の導入を進めております。日本国内におけるCO2フリー電力の利用については、2021年12月の本社・支店を皮切りに9工場の切り替えを進めており、年間約43,000トンの温室効果ガス排出量を削減しております。
3.太陽光発電設備の導入
当連結会計年度に増築した新湊東工場の屋根上に、面積約7,000㎡・パネル出力約1MWのPPAモデルによる太陽光発電システムを設置いたしました。発電した電力は同工場内で自家消費することで、年間約600トンの温室効果ガス排出量削減に寄与しております。
4.温室効果ガス排出量算定説明会の開催
Scope3削減に向けて、2025年11月にお取引先様を対象とした脱炭素説明会「温室効果ガス排出量算定説明会」を、あいおいニッセイ同和損害保険㈱・MS&ADインターリスク総研㈱の協力を得て開催いたしました。サプライチェーン全体での排出量算定や削減に向け、協働体制の基盤構築を進めてまいります。
b.資源循環の促進
当社グループは、2030年度の「建材向けアルミリサイクル率80%」達成を掲げ、リサイクル原料の安定確保と資源循環の推進を最重要課題と位置付けております。脱炭素社会の進展に伴い低炭素建材へのニーズが高まっており、特にリサイクルアルミは、原料から新地金を精錬するプロセスが不要となるため、天然資源由来の新地金に比べ製造時の温室効果ガス排出量を約97%削減できます。これは、リサイクルアルミ製品の市場価値向上という大きな機会をもたらします。
建物解体の現場では、多種多様な廃建材が同時に発生する中で、アルミサッシのみの分別・回収が困難であることや、トレーサビリティが不透明であることが、当社グループにおける高品質なリサイクル原料の安定調達を困難にしております。そのため目標とするリサイクル率の達成や、中長期的な低炭素製品の安定供給体制、及びコスト競争力に影響を及ぼすリスクがあります。
主な取り組み
1.アルミスクラップ専用溶解炉設置工事の進捗
奈呉工場内におけるアルミスクラップ専用溶解炉の設置工事を行い、2026年6月稼働で進めてまいりました。この溶解炉の導入により、アルミスクラップ材の使用を拡大し、アルミリサイクル率の向上に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。
2.新たな資源回収ネットワークの構築
当社は、2025年10月に資源循環の基盤強化に向け、㈱アビヅ、㈱イボキン、オリックス環境㈱、㈱こっこー、㈱HARITAの5社と新たな資源回収ネットワーク「サーキュラーエコノミーチャレンジャーズ(CEチャレンジャーズ)」を結成し、運用を開始いたしました。これにより、解体建物から発生する使用済みアルミサッシの一貫した回収・リサイクル体制を構築し、従来困難であったトレーサビリティの確保を実現しております。