有価証券報告書-第53期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

【提出】
2018/05/24 14:05
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【項目】
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の不確実性や地政学リスクによる金融資本市場の先行き不透明感があるものの、緩やかに回復しました。また、企業収益の改善により設備投資は徐々に増加し、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費も持ち直しつつあります。
当社グループの事業領域でありますICT(情報通信技術)関連業界におきましては、行政によるICT投資の推進・支援に伴い多様化する企業のイノベーションニーズに応えるため、ハードウェア、ソフトウェア、システム構築、通信、コンサルティング等の分野を横断した協業やアライアンスが活発化し、各々が持つ知識やノウハウ、事業基盤を融合した新技術・新サービスを開発する動きが加速しました。さらに、大企業や中堅企業を中心に、コストを抑制することだけを目的とするのではなく、競争力を強化するために新しいテクノロジーやサービスに積極的に投資する動きが高まりました。
また、携帯電話業界においては、「実質0円販売の禁止」、「ライトユーザー向けの料金プランの設定」など、総務省の一連の施策により戦略転換を迫られた大手キャリアが、既存ユーザーを基盤に通信以外のサービスを強化する戦略にシフトすることで競争力の回復を図る動きが顕著になっています。さらに、第5世代移動通信システム(5G)の導入による市場の回復も期待されている一方で、大手キャリアによるMVNO(*1)に対抗した安価な料金プランの提供やサブブランドの強化により、近年急成長したMVNO市場には伸び悩みがみられました。
こうしたなか、当社グループは、「新・中期経営計画(4カ年計画)」における2年目の「挑戦」をテーマに、「ソリューションの融合や新商材・新ビジネスへの取組みの本格化」、「販売パートナーの開拓」に注力し、情報化社会における中堅・中小企業の情報化及び企業価値創造のサポートを使命として、主要パートナー企業5社の製商品やサービスを融合した「経営情報ソリューションサービス(*2)」の提供に取り組んでまいりました。
また、平成29年10月には、中央区日本橋茅場町(東京都)の事業所を同区八丁堀に移転し、「情報創造コミュニティー(*3)」と「ドコモショップ八丁堀店(旧ドコモショップ茅場町店)」をリニューアルオープンいたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は売上高6,189,983千円(前期比6.7%増)、営業利益273,721千円(同17.8%増)、経常利益282,038千円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益196,885千円(同35.3%増)となりました。
(*1) Mobile Virtual Network Operator の略。仮想移動体通信事業者。携帯電話などの無線通信インフラを他の移動体通信事業者(MNO)から借り受け、自社ブランドで通信サービスを行う事業者をいいます。
(*2) 「経営情報ソリューションサービス」の内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容 [用語解説]」をご参照ください。
(*3) 「情報創造コミュニティー」の内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容 [用語解説]」をご参照ください。
事業セグメント別の状況は次のとおりです。
① ソリューション事業
ソリューション事業におきましては、政府の進める「働き方改革」を背景に、生産性の向上や多様な働き方に対応するクラウドサービスやモバイル端末を活用したユニファイドコミュニケーション(*)や基幹業務システムの改善に関する提案を重点的に進めてまいりました。
また、移転リニューアルいたしました「情報創造コミュニティー」には、各種講演会や展示会など、時流をとらえ、顧客やパートナー企業の価値創造に資する情報の発信と共有の場として多目的スペースを新設し、同施設の有効活用による案件創出に努めております。しかしながら、広告費や賃借料、消耗品等の移転関連費用が嵩み、投資が先行するかたちとなりました。
この結果、ソリューション事業では、売上高1,818,688千円(前期比0.9%減)、セグメント利益(営業利益)197,499千円(同22.9%減)となりました。
(*) 電話、チャット、メール、Web会議などさまざまな通信・コミュニケーション手段を1つのシステム上で統合して利用できるようにする技術や仕組みをいい、ユニファイドコミュニケーションの実現が社内の情報共有や業務効率化につながります。
② モバイル事業
店舗事業におきましては、フロアオペレーションの強化により顧客の待ち時間短縮を図るほか、当社独自の差別化施策として、携帯電話端末の購入者向けに「Microsoft Office 講座」やeラーニングコンテンツを提供するなど、顧客満足度向上に努めてまいりました。さらに、キャリア重点項目の計画値を達成することにより、前期に比べインセンティブ収入が大幅に増加しました。
また、法人サービス事業におきましては、ソリューション部門と連携したモバイルソリューションの提案や都内ドコモショップ近隣企業への職域活動を推進してまいりました。
この結果、モバイル事業では、売上高4,371,294千円(前期比10.2%増)、セグメント利益(営業利益)76,222千円(前期は営業損失23,789千円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は589,014千円となり前連結会計年度に比べて100,788千円増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、増加した資金は294,395千円(前期は178,570千円の増加)となりました。これは主に、たな卸資産の増加額37,219千円及び法人税等の支払額49,592千円により減少しましたが、税金等調整前当期純利益282,038千円の計上、減価償却費68,189千円の計上により増加した結果によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、減少した資金は59,535千円(前期は145,810千円の減少)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入90,270千円により増加しましたが、有形固定資産の取得による支出113,999千円及び敷金及び保証金の差入による支出31,210千円により減少した結果によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、減少した資金は134,071千円(前期は109,071千円の減少)となりました。これは主に、社債の償還による支出70,000千円及び配当金の支払額59,779千円によるものであります。