訂正有価証券報告書-第19期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

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2018/07/13 16:03
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業績等の概要

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との対比の記載はしておりません。(「以下、2 生産、受注及び販売の状況」及び「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析」においても同じ。)
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、地政学リスクや米国をはじめとした海外政策動向に関する不確実性は残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、企業の設備投資や生産の増加を受け、緩やかな回復を続けました。日本社会の働き方改革の推進を受けて余暇時間が増加し、低迷の続いていた個人消費も回復の動きを見せています。
当社グループに関連するデジタルコンテンツ流通を取り巻く事業環境については、平成29年の国内携帯電話端末出荷状況は前年比3.6%増の3,735.4万台となり5年ぶりの増加に転じた一方で、スマートフォンの出荷台数は前年比8.7%増の3,199.4万台となり、スマートフォンの出荷台数は過去最高の出荷実績となりました。(出所:「2017年国内携帯電話端末出荷状況」MM総研)
また、当社グループの主力事業領域である電子書籍市場規模は、平成28年度において1,976億円となり、前年度の1,584億円から392億円増加しております。また、電子雑誌市場は302億円、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は2,278億円とされております。日本の電子書籍市場は今後も拡大が見込まれ、平成33年度(2021年度)には電子書籍市場は3,120億円になり、電子雑誌市場規模440億円を合わせた電子出版市場は3,560億円程度になると予想されております。(出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2017」インプレス総合研究所)
一方で、平成29年9月頃から海賊版サイトの利用者が増加したことにより、一部の電子書店ではユーザーが流出してしまう事態が発生いたしました。そのため、高成長を維持していた電子書店の成長率が低下する影響が確認されております。当社グループといたしましては、出版社ならびに関係者と協議し、短期、中期それぞれの観点から海賊版サイト根絶に向けた対策を検討・実行しております。
このような事業環境の下、当社は、「ひとつでも多くのコンテンツをひとりでも多くの人へ」をミッションとして掲げ、著作物を公正利用のもと、出来るだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」を事業理念とし、日本における文化の発展、及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容の拡大に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の取り組みといたしましては、既存事業の強化に加え、平成29年3月に連結子会社化し同年6月に完全子会社化した株式会社出版デジタル機構との事業連携に注力するとともに、今後の成長を加速するための人材採用を積極的に行いました。また、様々な電子書籍配信ソリューションの強化、流通ネットワークの拡大を推進するため、積極的なM&Aや資本提携、子会社設立など事業基盤の整備に尽力いたしました。
さらに、増加したグループ会社のPMI(注)を実行するとともに、成長促進に向けた最適な資源配分を実行するべく、当社グループは平成29年9月1日より持株会社制に移行し、(旧)「株式会社メディアドゥ」を「株式会社メディアドゥホールディングス」へと社名変更して持株会社とし、電子書籍等の全事業を新設した(新)「株式会社メディアドゥ」に移管いたしました。その結果、株式会社メディアドゥホールディングスは平成30年2月末時点で連結子会社8社と持分法適用関連会社3社を抱え、グループ全体を統括管理する役割を担っています。
(注)Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)。経営統合に伴って、計画したシナジー効果を獲得するためのプロセス統合とマネジメントをいいます。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は37,213,346千円、経常利益は831,146千円、親会社株主に帰属する当期純利益は358,370千円となりました。
なお、セグメント別の業績は次のとおりであります。
(電子書籍流通事業)
電子書籍流通事業につきましては、当社グループの成長戦略の基本方針であります「国内事業拡大」、「海外流通展開」及び「電子図書館展開」に基づき次に挙げる取り組みを行いました。
まず「国内事業拡大」の取り組みとして、引き続き「LINEマンガ」などの大型電子書店へのディストリビューションを行うとともに、「じぶん書店」「comico PLUS」「pixivコミック」「メディバン」及び「メディバンマンガ」に電子書籍配信ソリューションの提供を開始いたしました。
また、株式会社メディアドゥと株式会社出版デジタル機構の連携を推し進めるべく、第1フェーズとして営業、オペレーション、システム技術、情報コミュニケーション等の業務フローやルーティンについての相互理解を完了し、効率化に向けた管理体制への移行を開始しています。第2フェーズとして、将来的な完全統合を前提とした中期経営計画を策定するともに、新規システム構築を進めています。
さらに、増加するシステム開発やオペレーション業務等へ広範囲に対応していくため、テック情報株式会社及び株式会社徳島データサービスとともに合弁会社「株式会社メディアドゥテック徳島」を設立するなど様々な施策を行ってまいりました。
次に「海外流通展開」の取り組みとしては、株式会社メディアドゥ及び北米事業拠点のMedia Do International, Inc.を通じて、海外電子書店大手comiXologyやBOOK☆WALKER等、8社へ販路を拡大し、英語に翻訳・電子化した海外未公開の日本原作マンガの配信を開始いたしました。
また、「W3C Publishing Summit」において、代表取締役社長執行役員CEOの藤田恭嗣が日本の出版業界を代表してアジアの電子書籍に関するプレゼンテーションを実施し、存在感をアピールするなど、グローバル展開への体制構築・強化に努めてまいりました。
最後に「電子図書館展開」の取り組みとしては、私立大学として初めて近畿大学への電子図書館システム提供を開始、国内の市町村として8件目、政令指定都市としては初めての導入となる浜松市への電子図書館システムの提供を開始するなど、サービスの利用拡大に注力いたしました。
また、第19回図書館総合展へ出展し、電子図書館サービスを通じた多文化サービス促進や地域創生に関するフォーラムを開催し、サービスの知名度向上にも注力しました。その他、引き続き海外電子図書館へ日本のコンテンツ輸出を推進しております。
その結果、売上高は36,225,744千円、セグメント利益は915,027千円となりました。
(メディア・プロモーション事業)
メディア・プロモーション事業につきましては、広告代理店事業、フライヤー、マンガ新聞、Lunascapeの各サービスについて、既存顧客への新たなサービスの提案・提供、新規顧客の獲得、人材及びシステム投資等を積極的に実施しました。
その結果、売上高は660,239千円、セグメント損失は118,061千円となりました。
(その他事業)
その他事業につきましては、主に音楽映像事業、ゲーム事業を行っております。
売上高は327,362千円、セグメント利益は59,379千円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、5,685,539千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びそれらの主の要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は1,470,405千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益811,033千円、減価償却費405,630千円、のれん償却額441,469千円及び仕入債務の増加額676,637千円があった一方で、売上債権の増加額446,553千円及び法人税等の支払額249,540千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は7,960,939千円となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出481,278千円、連結範囲の変更を伴う子会社の取得による支出4,454,492千円、投資有価証券の取得による支出688,185千円、関係会社株式の取得による支出1,335,291千円及び事業譲受による支出798,500千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果得られた資金は9,944,230千円となりました。これは主に長期借入れによる収入10,832,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出923,736千円及び配当金の支払額88,443千円があったことによるものであります。