有価証券報告書-第16期(平成26年3月1日-平成27年2月28日)

【提出】
2015/05/28 15:04
【資料】
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【項目】
80項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度におけるわが国の経済は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動により個人消費は一時的に落ち込み伸び悩んだ感がありましたが、政府の積極的な経済政策を背景に全般的には緩やかな回復基調で推移しました。
当社に関連するデジタルコンテンツ流通を取り巻く事業環境については、携帯電話の契約数は平成26年12月末時点で1億2,511万件となり、総務省発表の総人口(平成27年1月1日現在概算値)に占める割合(人口普及率)は98.5%に達したとされています。そのうち、スマートフォン契約数は6,544万件となり、携帯電話契約数全体の52.3%まで拡大しました。加えて、タブレット端末の平成26年上期(平成26年4月~9月)の国内出荷台数は前年度に比べ20.8%増の413万台となったと発表されており、モバイルインフラはさらに整備が進んでいるといえます。(出所:「2014年国内携帯電話端末出荷状況」「2014年度上期国内タブレット端末出荷状況」MM総研)
また、当社の主力事業領域である電子書籍市場は、平成26年度において1,250億円と予測されており、前年度の936億円から314億円増加し、初めて1,000億円の大台を突破すると想定されています。平成26年の出版市場(国内書籍・雑誌の推定販売額合計)は1兆6,065億円(出所:出版科学研究所)となっており、電子書籍市場は今後も引き続き拡大が見込まれ、平成30年には2,790億円となり、電子雑誌市場の550億円と合わせた電子出版市場は3,340億円程度になると予想されています。(出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2014」インプレス総合研究所)
このような事業環境の下、「ひとつでも多くのコンテンツをひとりでも多くの人に届けること」で「健全な著作物の創造サイクルを実現する」という事業理念を実現するため、積極的な業容の拡大に取り組んでまいりました。
電子書籍事業におけるディストリビューション、アライアンス、ストア運営など、既存ビジネスにおいて積極的な施策を講じるとともに、電子図書館サービスへの進出のための業務提携や、今後のグローバル展開に向けた海外電子書店との業務提携、大手SNSサービス事業者、大手出版社とともに海外への電子書籍配信合弁会社の発足など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
また、平成26年8月には、更なる発展を目指し、本社を名古屋市から東京都渋谷区に移転しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は8,074,664千円(前期比45.6%増)、経常利益は413,318千円(前期比81.0%増)、当期純利益は239,992千円(前期比36.0%増)となりました。
なお、当事業年度のセグメント別の業績は次のとおりであります。
(電子書籍事業)
電子書籍事業につきましては、LINE株式会社の「LINEマンガ」をはじめとした大型電子書店への電子書籍取次が堅調に推移し、売上高の伸長に大きく寄与するとともに、これまで取引が無かった大手電子書店との取引を開始するなど、ディストリビューション売上の底上げを図ることもできました。また、自社ストアとして絵本専門の電子書籍ストアアプリ「Toyboo!(トイブー!)」の提供を開始するなど、新たなユーザー層の獲得を試みました。
さらに、現在の「販売」中心のビジネスモデルから「貸出」によりコンテンツに触れる機会を創出するため、電子図書館プラットフォーム世界最大手OverDrive,Inc.との戦略的業務提携によって、日本での電子図書館サービスの推進と、同社を通じて日本の優れたコンテンツを海外へ提供していく準備を開始いたしました。
グローバル展開に向けた動きとしては、米国で電子書籍サブスクリプション(読み放題)サービスを展開するScribd Inc.へ日本のコンテンツを独占提供する契約を締結し、また「LINEマンガ」の海外版を推進する合弁会社LINE Book Distribution株式会社を、LINE株式会社、株式会社講談社、株式会社小学館とともに設立しました。
一方、開発面においては、ユーザーの読書体験価値の向上と読書履歴からのマーケティング活用を目指し、高機能且つ使い易いオリジナルビューア(注)を開発いたしました。このビューアによって、ユーザーサービスの向上はもとより、新規電子書店の獲得や新たな電子書籍のビジネスモデルの確立を推進し、さらなる業容の拡大につなげていきたいと考えています。
その結果、売上高は7,030,495千円(前期比52.0%増)、セグメント利益は340,188千円(前期比63.0%増)となりました。
(注)電子ファイルを表示・閲覧するためのソフトウエアのことをいいます。
(音楽・映像事業)
音楽・映像事業につきましては、引き続き「レゲエZION」「クラブZION」「DE-LUXE」などの音楽配信サービスをスマートフォン及びフィーチャーフォン向けに提供しましたが、モバイル有料音楽配信市場全体の縮小により、売上は減少傾向となりました。
その結果、売上高は469,621千円(前期比16.5%減)、セグメント利益は60,113千円(前期比5.3%増)となりました。
(ゲーム事業)
ゲーム事業につきましては、ソーシャルゲーム市場の競争激化により、売上は減少傾向となりました。
その結果、売上高は149,269千円(前期比32.0%減)、セグメント利益は5,320千円(前期は3,920千円の損失)となりました。
(その他事業)
その他事業につきましては、ニュース・情報系携帯電話サイト運営代行及び広告代理コンサルティング業務に引き続き注力し、取扱量が増えたことにより売上が拡大しました。
その結果、売上高は425,277千円(前期比211.6%増)、セグメント利益は7,390千円(前期は9,550千円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ163,148千円増加し、1,440,190千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、607,589千円となりました。
主な要因は、売上債権の増加769,568千円がありましたが、仕入債務の増加899,960千円及び減価償却費202,723千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、563,896千円となりました。
主な要因は、差入保証金の回収による収入43,213千円がありましたが、定期預金の預入による支出300,000千円、ソフトウエアやコンテンツ等の無形固定資産の取得による支出140,556千円、有形固定資産の取得による支出71,021千円、関係会社株式の取得による支出72,000千円及び貸付けによる支出15,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は119,455千円となりました。
主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入173,611千円、新株予約権の発行による収入が3,942千円ありましたが、長期借入金の返済による支出58,098千円によるものであります。