有価証券報告書-第62期(2025/01/01-2025/12/31)
(3) 気候変動に関する取組
①戦略
当社グループでは、将来の不確実な気候変動リスク・機会による影響を、国際エネルギー機関(IEA)並びに気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表している複数のシナリオを使用して特定・評価しています。産業革命期と比較して2100年までに気温が4℃上昇する4℃シナリオと、脱炭素化の取り組みが推進され1.5℃目標が達成されるとした1.5℃シナリオの2つのシナリオを設定し、2030年と2050年時点での気候変動リスク・機会による影響について定性・定量的にシナリオ分析を実施しています。以下は2023年10月までに実施したシナリオ分析で使用した設定シナリオと分析結果、並びに取り組み方針の説明です。
4℃シナリオでは、豪雨や台風をはじめとする自然災害の激甚化や、慢性的な気温上昇が予測されています。当社グループでも洪水によって操業を支えるインフラや自社施設が物理的被害を受けることが想定され、ハザードマップ上で最大3m程の洪水被害が示されている地域に所在する自社保有拠点が和歌山県和歌山市に集中していることを確認しているほか、気温上昇に伴い空調コストが増加するというリスクを確認しています。ただし、事業継続の面で最も懸念される当社グループが保有するデータセンターについては、その殆どがハザードマップ上で洪水並びに高潮被害の想定域外に位置しており、また万が一被災する場合にも当社グループが保有する複数のデータセンター間でバックアップが可能であることから、気候変動による物理的被害に対するレジリエンス性については現状十分に確保されているものと評価しています。一方、総合防災システムサービスへの需要や、BCPやセキュリティ意識の拡大によるクラウドサービス全般への需要が増加するという機会についても認識しています。
1.5℃シナリオでは、脱炭素に関わる政策や規制の厳格化が見込まれる中、当社グループではデータセンターの保守運用にあたって多くの電力消費を伴うことからも、カーボンプライシング制度の導入による支出の増加や、エネルギーミックスの変容による電力価格の高騰などエネルギー支出面でのコスト増加が想定されます。 一方で、サプライチェーン全体での脱炭素化、脱炭素化に向けた業務効率化、ペーパーレス化、食品ロス削減、などの取り組みを推進する顧客に向けたクラウドサービスの需要が増大することも想定しており、当社グループの重要な戦略上の課題の1つとして認識しています。
現在の取り組み状況として、洪水被害などの物理的リスクに対しては、大規模な自然災害などが発生した場合に備え、緊急事態の通報体制や緊急事態対応体制を整備するなど、BCPの強化を行っています。移行リスクについては、多くの電力消費を伴うデータセンターでは仮想化技術や省エネ装置の導入から積極的に省エネルギー化を推進しているほか、従業員の行動面でもテレワークやフリーアドレス導入、服装の自由化や週に一度の定時退社推進などから、業務効率化を通した省エネ化に取り組んでいます。販売するサービスについても、上述の通り地域社会の防災支援や食品小売事業者様の適正な仕入・在庫管理に貢献しており、社会的要請を踏まえた更なる開発努力を通してお客様の業務効率化と環境負荷低減への貢献を目指してまいります。
(注)影響度評価の指標は以下の通りです。
大:影響額が経常利益対比で±1%を超えると想定されるもの
中:影響額が経常利益対比で±1%未満のもの
小:影響が軽微なもの
2023年中に実施したシナリオ分析では、財務影響試算を実施した項目の中でも炭素税リスク並びに洪水による物理的影響が特に影響が甚大であると評価しています。
炭素税影響についてはIEAのWEO2022にて報告されている主に先進各国における2030年時点で想定されるカーボンプライス価格140USDを参考に、2022年12月期のScope1,2排出量実績である2,306.2t-CO2が2030年時点においても同程度排出されるものと仮定してインパクトを試算しています。なお、資産にあたって影響金額を円換算するにあたっては、同報告書中にて使用した為替レートとして示されている109.75円/USDを使用しています。
洪水被害については、国土交通省の公表する「治水経済調査マニュアル(案)」で示された直接・間接被害額算定のロジックを参考に、当社グループの事業所別にハザードマップを調査し、その最大浸水深予想に基づいて想定される最大の被害想定額を試算しています。そのうえで、他のリスク項目のインパクト評価との相対的な重要性評価の観点で、各拠点の氾濫が予想される近隣河川の河川等級に基づく年超過確率(洪水が発生する確率)を乗じることで、 2030年時点における保有リスク評価額に均しています。最後に、同じく国土交通省の公表する「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」にて示された各シナリオにおける洪水発生頻度倍率を乗じることで、各シナリオにおける洪水被害による被害のインパクトを推計しています。
(注)1.上記の試算結果は2030年時点における財務インパクトを想定したものです。
2.洪水リスクについては、2023年8月時点のハザードマップに基づいて試算しています。
3.上記試算結果については、外部のコンサルティング会社に委託して試算したものです。
②指標及び目標
当社グループでは、シナリオ分析により特定した影響やサステナビリティに対する基本的な考え方に基づき、温室効果ガス排出量をはじめ、以下一覧に示した定量情報を気候関連課題に関する取り組み指標として管理しています。また、目標としては温室効果ガス排出量を、2022年比で2032年までに42%削減することを掲げており、その実現に向けて、当社グループのデータセンターで使用する電力を順次CO2フリー電力へと切り替える、社用車の電動化を推進する等の対応を進めております。
(4) 人的資本・多様性に関する取組
人的資本・多様性に関する取組はグループ各社において推進しておりますが、制度が異なるため一律の記載はしておりません。本項で「当社グループ」との記載がない内容は、当社単体の取組であります。
①人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
<方針>働く環境戦略 Work Smart、効率よく働ける環境づくり
当社が魅力あるサービスを創出し、持続的に成長するためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、活き活きと働けることが重要であると考えております。能力を最大限に発揮し、豊かで充実した人生を実感できる、多様で働きがいのある環境づくりを推進してまいります。
また、企業競争力を高めるために「いかに効率よく働けるか」を追求し、効率性の向上を通じて得られた成果を、従業員一人ひとりの生活の充実や待遇の向上へとつなげてまいります。
<中期経営計画2030~人的資本投資戦略~>中期経営計画(2026-2030)では、2030年ビジョン「人々の豊かな暮らしに貢献し、誰からも選ばれるITカンパニーへ」の実現に向け、急速に進展する技術革新や社会構造の変化を成長の機会と捉え、主体性をもって進化し続ける個々の専門性と、その多様な強みを結集する組織力が企業価値向上の根幹であるとの認識のもと、次の人的資本投資戦略を重点に掲げています。
a.働く環境「社員・家族が安心して働ける環境を整備」
長時間労働の是正と、1ヶ月当たりの時間外労働が30時間を超える従業員をゼロとする目標を掲げ、時間外労働の状況を継続的に可視化するとともに、適切な教育の実施を通じて、業務の属人化や特定の従業員に業務が偏在する状況を是正します。また、アウトソーシングの活用やAIの積極的な導入により、生産性の向上を推進してまいります。
また、心理的安全性とエンゲージメントの向上を職場づくりの基盤とし、従業員が安心して意見を表明でき、互いを尊重し合える環境を整備します。エンゲージメント向上に向けては、組織内コミュニケーションの活性化や職場課題の定期的な把握・改善に取り組みます。
さらに、安全面やBCPの強化、採用力の向上に向けたオフィスの見直しの一環として、本社新築移転計画も進めており、これらの取組を通じて安心して働ける環境を実現してまいります。
b.育成「戦略的に育てる教育体系を整備」
長期的な人材競争力の向上に向け、キャリアパスの明確化と体系的な育成に取り組んでまいります。まず、求める人物像およびキャリアパスを明確化し、マネジメント候補となる人材の計画的育成を進めるとともに、従業員一人ひとりの経験・スキル保有状況を可視化し、将来的な配置を見据えた人材プールの構築を進めてまいります。
育成・教育面では、生産性向上に資するAI教育を拡充し、キャリアパスに応じた階層別教育を体系的に実施するとともに、専門性向上に向けた資格取得支援を強化してまいります。
また、これらの施策を継続的かつ効果的に運用するため、人材育成を専門的に担う部署の設置を予定し、育成体制の強化を図ってまいります。
c.採用「都市圏での採用拡大と広域な採用ブランドの構築」
事業成長に必要な人材を安定的に確保するため、和歌山における採用を継続しつつ、東京・大阪圏を中心とした都市圏での採用活動を強化してまいります。採用広報を強化するとともに、多様な地域から意欲と能力を備えた人材が集まる環境を整え、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材から選ばれる企業体を目指してまいります。
d.組織の活性化「全社員の主体性と生産性を高め、組織を活性化」
サイバーセル経営の価値を最大化し、全社員が企業価値創出へ参画する組織への進化を目指しております。経営を自分事として捉え、主体的に提案・実行できる状態を「活性化」と定義し、心理的安全性とエンゲージメントの向上を組織文化の基盤として、挑戦と協働が循環する風土の醸成に取り組んでまいります。
また、AIの活用による生産性向上と、グループ全体で統一した業務システムの活用による業務標準化・平準化を進め、時間当たり付加価値の最大化を図ることで、多様な人材が能力を発揮し続けられる強い組織の実現を目指してまいります。
e.人事評価制度「社員が思い描くキャリアの実現と多様な強みが発揮できる人事制度の再構築」
経営戦略と人材戦略の連動を前提に、全ての社員が健康で豊かに、効率よく働ける職場の実現に向けて、人事制度(等級・評価・報酬)を刷新してまいります。あわせて、戦略的な人材育成に注力し、社員が自らのキャリアを描けるよう、学びと成長の機会を広げてまいります。
(等級制度)
役割と責任の階層を明確化し、等級ごとの役割要件・期待行動・成果水準を共通基準として、配属・育成・評価・報酬を一貫して運用してまいります。これにより、キャリア形成の枠組みを整えてまいります。
(評価制度)
職種・役割に応じた評価項目を設定し、被評価者の成長につながる評価フィードバック面談の定着ならびに制度理解を深める取組を計画的に実施してまいります。
(報酬制度)
キャリアパスと連動した報酬体系及びメリハリのある賞与設計を進めるとともに、従業員の中長期的な資産形成の一助とすることに加え、当社の業績・株価への意識を高め、株主の皆様との価値共有を一層進め、企業価値の持続的な向上へのモチベーションを高めることを目的に、譲渡制限付株式(RS)インセンティブ制度の導入検討を行ってまいります。
② 主な取組
a. 働く環境(社員・家族が安心して働ける環境)
・多様な働き方ができる環境整備
テレワーク、時差出勤、時間単位休暇、健康休暇、服装(ドレスコード)自由化、社宅・単身赴任の運用見直し
・長時間労働の改善
時間外労働の継続的可視化、管理者・従業員向け教育、業務の標準化・手順化/ジョブローテーションによる属人化・業務偏在の是正、アウトソーシングの適正活用、AI導入による生産性向上
・心理的安全性・エンゲージメント
年次サーベイの実施と、結果に基づく改善サイクルの運用
・健康経営の推進
定期健康診断・ストレスチェックの実施と結果活用、健康休暇制度、GLTD(団体長期障害所得補償制度)、ワーク・エンゲージメント/プレゼンティーイズムの年次測定
・育児・介護と就業の両立支援
法定以上の育児休業期間・育児短時間勤務期間の設定・運用、男性の育児休業取得の支援
・オフィスの見直し
安全・BCP・採用力の観点から、本社新築移転計画の進捗管理
b. 育成(戦略的に育てる教育体系)
・育成体系
キャリアパスの明確化、キャリアパスに応じた階層別の育成体系の設計・運用
・学習機会
AI活用教育、資格取得報奨金制度/職種別資格取得支援制度の継続運用
・多様性・女性の活躍促進
女性管理職・管理職候補への登用、キャリア意識向上支援、未経験領域への挑戦機会の設計
・次世代リーダー育成
経営戦略塾/チームビルディング研修の継続・拡充
・経験・スキルの可視化と適材適所配置
経験・スキル保有状況の可視化に基づく人材プール形成及び育成、人事異動による流動性の向上
・体制強化
人材育成を担う部署の設置・機能整備
c. 採用(都市圏採用の強化と採用広報の拡充)
・採用体制の整備とチャネル拡充
東京・大阪圏を含む採用体制の整備、採用チャネルの拡充、候補者との接点機会の多様化
・認知度、企業イメージ向上
ウェブサイト・SNS等を活用した採用広報の展開
・受け入れ
オンボーディング(初期教育・配属連携)の運用強化
d. 組織の活性化(主体性×生産性)
・サイバーセル経営
努力と成果の連動性を高める設計運用、成果を称賛する仕組みの整備
・社員相互の信頼向上
心理的安全性 × エンゲージメントを基盤に、挑戦と協働が循環する風土醸成、テレワーク下のコミュニケーション機会の提供
・テクノロジーと標準化
生成AI等のデジタルツールの活用促進、グループの業務システムを統一化
e. 人事制度(等級・評価・報酬)
・等級
等級ごとの役割要件・期待行動・成果水準の整備、配属・育成・評価・報酬の一体運用
・評価
職種・役割に応じた評価項目の設定、評価フィードバック面談の定着、制度理解の浸透
・報酬
キャリアパスと連動した職種別報酬体系とメリハリある賞与設計の運用、譲渡制限付株式インセンティブ制度の導入
①戦略
当社グループでは、将来の不確実な気候変動リスク・機会による影響を、国際エネルギー機関(IEA)並びに気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表している複数のシナリオを使用して特定・評価しています。産業革命期と比較して2100年までに気温が4℃上昇する4℃シナリオと、脱炭素化の取り組みが推進され1.5℃目標が達成されるとした1.5℃シナリオの2つのシナリオを設定し、2030年と2050年時点での気候変動リスク・機会による影響について定性・定量的にシナリオ分析を実施しています。以下は2023年10月までに実施したシナリオ分析で使用した設定シナリオと分析結果、並びに取り組み方針の説明です。
| 4℃シナリオ | 1.5℃シナリオ |
| 産業革命期と比較して2100年までに気温が4℃も上昇すると想定したシナリオ。脱炭素化に向けた取り組みが現在から強化されないため、地球温暖化が成り行きに進み、異常気象などの災害の規模や頻度が拡大すると見込まれる。 | 産業革命期と比較して2100年までの気温上昇を1.5℃~2℃までに抑えられると想定したシナリオ。カーボンニュートラル実現に向けて、各国の政府や市場が脱炭素化に向けた取り組みを強化すると見込まれる。 |
| 参考シナリオ ・RCP8.5(IPCC) ・STEPS(IEA2021-2022) | 参考シナリオ ・RCP2.6(IPCC) ・SDS/NZE2050(IEA2019,2021-2022) |
4℃シナリオでは、豪雨や台風をはじめとする自然災害の激甚化や、慢性的な気温上昇が予測されています。当社グループでも洪水によって操業を支えるインフラや自社施設が物理的被害を受けることが想定され、ハザードマップ上で最大3m程の洪水被害が示されている地域に所在する自社保有拠点が和歌山県和歌山市に集中していることを確認しているほか、気温上昇に伴い空調コストが増加するというリスクを確認しています。ただし、事業継続の面で最も懸念される当社グループが保有するデータセンターについては、その殆どがハザードマップ上で洪水並びに高潮被害の想定域外に位置しており、また万が一被災する場合にも当社グループが保有する複数のデータセンター間でバックアップが可能であることから、気候変動による物理的被害に対するレジリエンス性については現状十分に確保されているものと評価しています。一方、総合防災システムサービスへの需要や、BCPやセキュリティ意識の拡大によるクラウドサービス全般への需要が増加するという機会についても認識しています。
1.5℃シナリオでは、脱炭素に関わる政策や規制の厳格化が見込まれる中、当社グループではデータセンターの保守運用にあたって多くの電力消費を伴うことからも、カーボンプライシング制度の導入による支出の増加や、エネルギーミックスの変容による電力価格の高騰などエネルギー支出面でのコスト増加が想定されます。 一方で、サプライチェーン全体での脱炭素化、脱炭素化に向けた業務効率化、ペーパーレス化、食品ロス削減、などの取り組みを推進する顧客に向けたクラウドサービスの需要が増大することも想定しており、当社グループの重要な戦略上の課題の1つとして認識しています。
現在の取り組み状況として、洪水被害などの物理的リスクに対しては、大規模な自然災害などが発生した場合に備え、緊急事態の通報体制や緊急事態対応体制を整備するなど、BCPの強化を行っています。移行リスクについては、多くの電力消費を伴うデータセンターでは仮想化技術や省エネ装置の導入から積極的に省エネルギー化を推進しているほか、従業員の行動面でもテレワークやフリーアドレス導入、服装の自由化や週に一度の定時退社推進などから、業務効率化を通した省エネ化に取り組んでいます。販売するサービスについても、上述の通り地域社会の防災支援や食品小売事業者様の適正な仕入・在庫管理に貢献しており、社会的要請を踏まえた更なる開発努力を通してお客様の業務効率化と環境負荷低減への貢献を目指してまいります。
| 項目 | 区分 | 事象 | 評価 | ||
| 4℃ シナリオ | 1.5℃ シナリオ | ||||
| 脱炭素への移行に伴う影響 | 政策・規制 | リスク | 炭素税導入による操業コスト増加 | ― | 大 |
| 機会 | ペーパーレス化や省エネ、食品ロス削減の推進による、システムサービスやクラウドサービスの需要増加 | 中 | 大 | ||
| 技術 | リスク | 高効率な設備機器の普及による設備導入及び切り替えコストの増加 | 中 | 大 | |
| 市場・評判 | リスク | 再生可能エネルギーの開発に伴う購買電力価格の高騰 | 小 | 中 | |
| リチウム等の価格高騰によるスマートフォンやタブレット端末の高騰に伴う買い替え需要の低迷 | 小 | 中 | |||
| 脱炭素対応のための諸費用の圧迫による、システムサービス利用に対する投資意欲低下 | 小 | 中 | |||
| 機会 | サプライチェーン全体での脱炭素化を目指す企業のクラウド化および環境配慮型データセンターの需要増加 | 中 | 大 | ||
| 気候変動による物理的影響 | 急性 | リスク | 洪水や高潮の発生による自社施設への直接的被害 | 大 | 大 |
| インフラの被災によるネットワーク機能の停止とCATVケーブルの破損 | 大 | 大 | |||
| 機会 | 総合防災システムサービスやクラウド化需要の拡大 | 大 | 中 | ||
| 慢性 | リスク | 主にデータセンターにおける空調利用量の増加 | 中 | 小 | |
(注)影響度評価の指標は以下の通りです。
大:影響額が経常利益対比で±1%を超えると想定されるもの
中:影響額が経常利益対比で±1%未満のもの
小:影響が軽微なもの
2023年中に実施したシナリオ分析では、財務影響試算を実施した項目の中でも炭素税リスク並びに洪水による物理的影響が特に影響が甚大であると評価しています。
炭素税影響についてはIEAのWEO2022にて報告されている主に先進各国における2030年時点で想定されるカーボンプライス価格140USDを参考に、2022年12月期のScope1,2排出量実績である2,306.2t-CO2が2030年時点においても同程度排出されるものと仮定してインパクトを試算しています。なお、資産にあたって影響金額を円換算するにあたっては、同報告書中にて使用した為替レートとして示されている109.75円/USDを使用しています。
洪水被害については、国土交通省の公表する「治水経済調査マニュアル(案)」で示された直接・間接被害額算定のロジックを参考に、当社グループの事業所別にハザードマップを調査し、その最大浸水深予想に基づいて想定される最大の被害想定額を試算しています。そのうえで、他のリスク項目のインパクト評価との相対的な重要性評価の観点で、各拠点の氾濫が予想される近隣河川の河川等級に基づく年超過確率(洪水が発生する確率)を乗じることで、 2030年時点における保有リスク評価額に均しています。最後に、同じく国土交通省の公表する「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」にて示された各シナリオにおける洪水発生頻度倍率を乗じることで、各シナリオにおける洪水被害による被害のインパクトを推計しています。
| 項目 | 事業インパクト(百万円) | ||
| 4℃シナリオ | 1.5℃シナリオ | ||
| 移行リスク | 炭素税 | ― | 35.4 |
| 物理リスク | 洪水による直接被害額 | 38.9 | 13.6 |
| 洪水による営業停止損失 | 23.8 | 8.3 | |
(注)1.上記の試算結果は2030年時点における財務インパクトを想定したものです。
2.洪水リスクについては、2023年8月時点のハザードマップに基づいて試算しています。
3.上記試算結果については、外部のコンサルティング会社に委託して試算したものです。
②指標及び目標
当社グループでは、シナリオ分析により特定した影響やサステナビリティに対する基本的な考え方に基づき、温室効果ガス排出量をはじめ、以下一覧に示した定量情報を気候関連課題に関する取り組み指標として管理しています。また、目標としては温室効果ガス排出量を、2022年比で2032年までに42%削減することを掲げており、その実現に向けて、当社グループのデータセンターで使用する電力を順次CO2フリー電力へと切り替える、社用車の電動化を推進する等の対応を進めております。
| 項目 | 2023年度 | 2024年度 | |||
| 温室効果ガス 排出量 | Scope1+2 | 2,341.2 | t-CO2 | 2,180.5 | t-CO2 |
| Scope1 | 179.0 | t-CO2 | 172.8 | t-CO2 | |
| Scope2 | 2,162.2 | t-CO2 | 2,007.7 | t-CO2 | |
| エネルギー 使用量 | 総エネルギー使用量 | 19,997.2 | GJ | 18,932.2 | GJ |
| 系統電力の割合 | 85.6 | % | 86.7 | % | |
| 再生可能エネルギーの割合 ※地熱、風力、太陽光、水力、バイオマス由来 | 1.3 | % | 0.0 | % | |
| 気象災害起因のサービス中断 | 発生件数 | 0.0 | 件 | 0.0 | 件 |
| 総ダウンタイム | 0.0 | 時間 | 0.0 | 時間 | |
(4) 人的資本・多様性に関する取組
人的資本・多様性に関する取組はグループ各社において推進しておりますが、制度が異なるため一律の記載はしておりません。本項で「当社グループ」との記載がない内容は、当社単体の取組であります。
①人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
<方針>働く環境戦略 Work Smart、効率よく働ける環境づくり
当社が魅力あるサービスを創出し、持続的に成長するためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、活き活きと働けることが重要であると考えております。能力を最大限に発揮し、豊かで充実した人生を実感できる、多様で働きがいのある環境づくりを推進してまいります。
また、企業競争力を高めるために「いかに効率よく働けるか」を追求し、効率性の向上を通じて得られた成果を、従業員一人ひとりの生活の充実や待遇の向上へとつなげてまいります。
<中期経営計画2030~人的資本投資戦略~>中期経営計画(2026-2030)では、2030年ビジョン「人々の豊かな暮らしに貢献し、誰からも選ばれるITカンパニーへ」の実現に向け、急速に進展する技術革新や社会構造の変化を成長の機会と捉え、主体性をもって進化し続ける個々の専門性と、その多様な強みを結集する組織力が企業価値向上の根幹であるとの認識のもと、次の人的資本投資戦略を重点に掲げています。
a.働く環境「社員・家族が安心して働ける環境を整備」
長時間労働の是正と、1ヶ月当たりの時間外労働が30時間を超える従業員をゼロとする目標を掲げ、時間外労働の状況を継続的に可視化するとともに、適切な教育の実施を通じて、業務の属人化や特定の従業員に業務が偏在する状況を是正します。また、アウトソーシングの活用やAIの積極的な導入により、生産性の向上を推進してまいります。
また、心理的安全性とエンゲージメントの向上を職場づくりの基盤とし、従業員が安心して意見を表明でき、互いを尊重し合える環境を整備します。エンゲージメント向上に向けては、組織内コミュニケーションの活性化や職場課題の定期的な把握・改善に取り組みます。
さらに、安全面やBCPの強化、採用力の向上に向けたオフィスの見直しの一環として、本社新築移転計画も進めており、これらの取組を通じて安心して働ける環境を実現してまいります。
b.育成「戦略的に育てる教育体系を整備」
長期的な人材競争力の向上に向け、キャリアパスの明確化と体系的な育成に取り組んでまいります。まず、求める人物像およびキャリアパスを明確化し、マネジメント候補となる人材の計画的育成を進めるとともに、従業員一人ひとりの経験・スキル保有状況を可視化し、将来的な配置を見据えた人材プールの構築を進めてまいります。
育成・教育面では、生産性向上に資するAI教育を拡充し、キャリアパスに応じた階層別教育を体系的に実施するとともに、専門性向上に向けた資格取得支援を強化してまいります。
また、これらの施策を継続的かつ効果的に運用するため、人材育成を専門的に担う部署の設置を予定し、育成体制の強化を図ってまいります。
c.採用「都市圏での採用拡大と広域な採用ブランドの構築」
事業成長に必要な人材を安定的に確保するため、和歌山における採用を継続しつつ、東京・大阪圏を中心とした都市圏での採用活動を強化してまいります。採用広報を強化するとともに、多様な地域から意欲と能力を備えた人材が集まる環境を整え、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材から選ばれる企業体を目指してまいります。
d.組織の活性化「全社員の主体性と生産性を高め、組織を活性化」
サイバーセル経営の価値を最大化し、全社員が企業価値創出へ参画する組織への進化を目指しております。経営を自分事として捉え、主体的に提案・実行できる状態を「活性化」と定義し、心理的安全性とエンゲージメントの向上を組織文化の基盤として、挑戦と協働が循環する風土の醸成に取り組んでまいります。
また、AIの活用による生産性向上と、グループ全体で統一した業務システムの活用による業務標準化・平準化を進め、時間当たり付加価値の最大化を図ることで、多様な人材が能力を発揮し続けられる強い組織の実現を目指してまいります。
e.人事評価制度「社員が思い描くキャリアの実現と多様な強みが発揮できる人事制度の再構築」
経営戦略と人材戦略の連動を前提に、全ての社員が健康で豊かに、効率よく働ける職場の実現に向けて、人事制度(等級・評価・報酬)を刷新してまいります。あわせて、戦略的な人材育成に注力し、社員が自らのキャリアを描けるよう、学びと成長の機会を広げてまいります。
(等級制度)
役割と責任の階層を明確化し、等級ごとの役割要件・期待行動・成果水準を共通基準として、配属・育成・評価・報酬を一貫して運用してまいります。これにより、キャリア形成の枠組みを整えてまいります。
(評価制度)
職種・役割に応じた評価項目を設定し、被評価者の成長につながる評価フィードバック面談の定着ならびに制度理解を深める取組を計画的に実施してまいります。
(報酬制度)
キャリアパスと連動した報酬体系及びメリハリのある賞与設計を進めるとともに、従業員の中長期的な資産形成の一助とすることに加え、当社の業績・株価への意識を高め、株主の皆様との価値共有を一層進め、企業価値の持続的な向上へのモチベーションを高めることを目的に、譲渡制限付株式(RS)インセンティブ制度の導入検討を行ってまいります。
② 主な取組
a. 働く環境(社員・家族が安心して働ける環境)
・多様な働き方ができる環境整備
テレワーク、時差出勤、時間単位休暇、健康休暇、服装(ドレスコード)自由化、社宅・単身赴任の運用見直し
・長時間労働の改善
時間外労働の継続的可視化、管理者・従業員向け教育、業務の標準化・手順化/ジョブローテーションによる属人化・業務偏在の是正、アウトソーシングの適正活用、AI導入による生産性向上
・心理的安全性・エンゲージメント
年次サーベイの実施と、結果に基づく改善サイクルの運用
・健康経営の推進
定期健康診断・ストレスチェックの実施と結果活用、健康休暇制度、GLTD(団体長期障害所得補償制度)、ワーク・エンゲージメント/プレゼンティーイズムの年次測定
・育児・介護と就業の両立支援
法定以上の育児休業期間・育児短時間勤務期間の設定・運用、男性の育児休業取得の支援
・オフィスの見直し
安全・BCP・採用力の観点から、本社新築移転計画の進捗管理
b. 育成(戦略的に育てる教育体系)
・育成体系
キャリアパスの明確化、キャリアパスに応じた階層別の育成体系の設計・運用
・学習機会
AI活用教育、資格取得報奨金制度/職種別資格取得支援制度の継続運用
・多様性・女性の活躍促進
女性管理職・管理職候補への登用、キャリア意識向上支援、未経験領域への挑戦機会の設計
・次世代リーダー育成
経営戦略塾/チームビルディング研修の継続・拡充
・経験・スキルの可視化と適材適所配置
経験・スキル保有状況の可視化に基づく人材プール形成及び育成、人事異動による流動性の向上
・体制強化
人材育成を担う部署の設置・機能整備
c. 採用(都市圏採用の強化と採用広報の拡充)
・採用体制の整備とチャネル拡充
東京・大阪圏を含む採用体制の整備、採用チャネルの拡充、候補者との接点機会の多様化
・認知度、企業イメージ向上
ウェブサイト・SNS等を活用した採用広報の展開
・受け入れ
オンボーディング(初期教育・配属連携)の運用強化
d. 組織の活性化(主体性×生産性)
・サイバーセル経営
努力と成果の連動性を高める設計運用、成果を称賛する仕組みの整備
・社員相互の信頼向上
心理的安全性 × エンゲージメントを基盤に、挑戦と協働が循環する風土醸成、テレワーク下のコミュニケーション機会の提供
・テクノロジーと標準化
生成AI等のデジタルツールの活用促進、グループの業務システムを統一化
e. 人事制度(等級・評価・報酬)
・等級
等級ごとの役割要件・期待行動・成果水準の整備、配属・育成・評価・報酬の一体運用
・評価
職種・役割に応じた評価項目の設定、評価フィードバック面談の定着、制度理解の浸透
・報酬
キャリアパスと連動した職種別報酬体系とメリハリある賞与設計の運用、譲渡制限付株式インセンティブ制度の導入