有価証券報告書-第17期(平成26年9月1日-平成27年8月31日)

【提出】
2015/11/26 10:00
【資料】
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【項目】
70項目

事業等のリスク

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経済・広告市場の動向による収入減
当社の売上高の大部分を占めるBSデジタル放送事業は、主に広告主への放送時間枠の販売による収入で構成されております。
一般に、国内の総広告費と景気の変動には密接な関係があるため、経済が低迷した場合には、その結果として国内の総広告費が減少する可能性があります。BSデジタル放送事業(タイム収入、スポット収入)においても広告主企業の業績によって大きな影響を受けるため、国内外の経済環境の急変や生産活動の停滞等が発生した場合、広告市場も影響を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。今後、景気動向に加え、広告主企業のマーケティング等の広告施策における構造的な変化が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(2) 放送業界及び競合メディア普及によるシェア低下
BSデジタル放送は、受信機器の普及台数が順調な伸びを示しており、広告媒体としての価値が向上しております。しかしながら地上放送を主とする放送業界は、既存放送局による市場の寡占が著しく、その中にあって当社は、無料BSデジタル放送事業者としての強みを発揮しながら、視聴世帯数の向上並びにシェア拡大が喫緊の課題であると認識しております。しかしながら、目標とする視聴世帯数が獲得できず、無料BSデジタル放送業界内でのシェア拡大が図れなかった場合、当社の媒体価値が低下及び広告主による出稿減少が生じることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、国内における携帯電話、スマートフォン等のタブレット端末の普及、更にブロードバンド等を通じたデジタルメディアが一般家庭に広く普及したことにより、視聴者の視聴習慣が変化し、テレビ放送自体の視聴時間の減少や、視聴世帯数の低下傾向が続いた場合、業界内の競争激化及び構造変化が進み、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(3) 放送業界における法的規制等の影響
当社のBSデジタル放送事業は、「放送法」及び「電波法」等の関係法令による規制を受けており、また一般社団法人日本民間放送連盟の定める放送基準に沿った放送を行っております。
「放送法」は、放送の健全な発展を図ることを目的とし、放送番組審議機関を設置すること等を定めており、当社は、同法に基づき平成17年12月に委託放送事業者(衛星基幹放送事業者)の認定を受け、平成22年12月に認定更新を受けております。
「電波法」は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、無線局の免許の取得・更新に関わる規則、免許の有効期間等を定めており、当社は、同法に基づき平成20年11月に無線局免許を取得し、平成25年11月に更新を受けております。
一般社団法人日本民間放送連盟の定める放送基準は、放送事業者が、社会の一員として、放送番組が一定のレベルを確保するために考えておかなければならない当然のことを確認するための自主基準であります。
当社は、これらの法令等に現時点で抵触している事実はなく、将来に亘り法令等を遵守し、事業を行ってまいる所存でありますが、仮に放送法の規定により認定の取消等を受けた場合、電波法の規定により免許の取消等を受けた場合、又は一般社団法人日本民間放送連盟及び関係省庁等による新たな規制等が施行された場合、若しくは業界慣行等により当社の事業政策に影響が生じることとなった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(4) 外国人等が取得した株式の取り扱いについて
外国人等が直接保有する議決権の合計が、当社議決権の5分の1以上を占めることとなる場合は、放送法の規定により、BSデジタル放送事業者としての認定が取り消される場合があります。この場合、当社は放送法の規定に基づき当該外国人等が取得した当社株式について、株主名簿への記載を拒否することができるとされております。なお、外国人等の有する当社議決権の割合が、100分の15に達した場合は、放送法の規定に基づき、その割合を6ヶ月ごとに公告いたします。
(5) コンプライアンス違反
① 不祥事・放送事故等
当社の社員及び派遣・請負スタッフによる不祥事、放送事故、不適切な内容の放送、番組制作過程でのトラブルや事故など当社の責任の下に防止策を講ずべき分野は多岐に亘っております。当社では、リスク管理委員会が洗い出した様々なリスクについて回避・転嫁・軽減・許容のための検討を行い、日々対策を講じております。しかしながら、こうしたリスクが顕在化した場合には、当社の社会的信用が著しく失墜し、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
② 個人情報保護法
当社は、番組の出演者、番組プレゼントの応募等のサービスにおいて、個人情報を保有する個人情報取扱事業者に該当することから、当該個人情報の取扱いについては、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)を遵守するとともに引き続き十分な対策を講じてまいります。また、社会保障・税番号制度(マイナンバー)に関する特定個人情報についても、十分な管理体制の構築と対策を講じてまいります。しかしながら、これらの個人情報の漏洩や不正アクセス、不正利用などの事態が発生した場合は、当社の社会的信用が著しく失墜し、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
③ 下請法等
当社番組の制作会社への番組制作委託の発注にあたっては、独占禁止法及び下請代金支払遅延等防止法(下請法)の規制を受けており、下請事業者等との公正な取引が要請されております。当社では、下請法を遵守するとともに、コンプライアンス担当部署において定期的に役員及び社員に対する研修・教育を行っております。しかしながら、これらの法令に抵触する事態が発生した場合、当社の社会的信用が著しく失墜し、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(6) 視聴世帯数低下による収入減
BSデジタル放送事業において、番組の視聴世帯数は視聴者の皆様からのご支持を測定するうえで、重要な指標となっており、また、放送時間枠等の販売価格を決定する重要な要素となっております。当社が放送する番組の視聴世帯数を向上させるためには、視聴者の皆様からのより高いご支持を得ることができる番組を放送する必要がありますが、放送する番組において、視聴者の皆様からのご支持が得られない場合には、視聴世帯数の低下を招き、広告収入の減少に直結することから、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(7) 放送権料の高騰
当社で放送される番組のうち、配給会社や権利元から放送権を購入している海外ドラマ等の購入番組については、視聴者の皆様のご支持が確立し、視聴者層が拡大する反面、当該購入番組の放送権料は、上昇傾向にあります。
今後、遍く国内の視聴者の皆様に良質な番組を提供するBSデジタル放送事業者としての使命を全うすべく、より質の高い番組の購入を進めて参りますが、当該購入番組の放送権料が著しく高騰した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(8) 収益の偏重による収入減
当社の収益は、ショッピング、ドラマ、アニメ、競馬の番組に、より比重が高いものとなっており、これらの収益番組をより盤石なものとする一方、新たな収益の柱となる強力なコンテンツの制作・獲得及び新規事業スキームの創造が喫緊の課題であると認識し、収益基盤の見直し、構造改革に取り組んでおります。今後、これら収益の柱となる番組が何らかの事由により終了した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(9) 大規模災害等による損害
当社の主要な収入である広告収入は、景気動向と密接に連動しており、大規模な災害が発生し、経済に重大な影響が生じる場合には、広告収入が直接影響を受けることとなります。
また、放送事業者は放送法の規定により、災害が発生した場合又はそのおそれがある場合にその予防並びに被害軽減のための放送を義務付けられており、災害が発生した場合には、予定されていたCMや番組の放送を休止し、緊急に特別番組を編成する等の措置を講ずることとなります。このような事態に至った場合、当該放送休止に伴い、広告収入が減少するため、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(10) 放送機材の障害
当社が番組を放送するために使用している放送用機材、放送設備及び放送衛星は、不具合等による障害が発生する可能性があります。当社は、バックアップ用放送設備等を保有しており、万が一の障害発生時には、代替システムの使用が可能であります。しかしながら、大規模災害等の発生により、代替システムも含め同時に障害が発生した場合は、番組の放送が不可能となり、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(11) 当社保有コンテンツの違法コピー等
BSデジタル放送事業において放送される番組は、その特性から、番組をコピーしても画質が劣化しないことから、違法な複製利用が横行した場合、放送事業者や権利者に著しい不利益をもたらします。当社番組が違法な複製及びインターネット上の動画投稿サイト等へアップロードされた場合には、当該サイト運営会社等に対し都度措置を講じておりますが、このような違法行為が現状以上に横行した場合、視聴世帯数の低下を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(12) SNSサイト内の安全性及び健全性の維持について
当社は、認知度向上と番組個別のファン層の囲い込みを目的として、SNSサイト「BSイレブンファン」を運営しております。本SNSはユーザー同士がコミュニケーションを取るための各種ツールが提供されると共に、不特定多数のユーザーが登録していることから、様々な問題(第三者の知的財産権侵害、プライバシー侵害、猥褻情報等の投稿、第三者への誹謗中傷、営利を目的とした利用、その他関係法令に抵触するおそれのある利用)が発生するリスクがあります。当社では、これらの問題に関しまして、次のとおり対応策を講じております。
① 利用規約の明確化
本SNSの利用規約において、ユーザーの皆様には、本SNSサイトの利用に際しての禁止される行為を明確に記載しております。当社は、ユーザーの行為が上記行為に該当すると判断したときは、当該投稿の削除、本SNSサイトの利用停止措置、強制退会処分等の厳格な措置を講ずることとしております。
② 投稿の監視体制
当社では、本SNSサイトの運営部署により、ユーザーによる投稿の監視を行っております。利用規約に反する行為や、関係法令に抵触すると判断される行為につきましては、発見次第、直ちに対処する体制を構築しております。
以上の各種対策を講ずることにより、当社といたしましては、現段階において一定水準の安全性・健全性が図れているものと認識しております。しかしながら、本SNSサイトが悪用される、若しくは外部からの不正アクセス等により当社の制御が効かない事態が発生、あるいは新たな法規制等により本SNSサイトの運営が困難となった場合、認知度向上等の目的を達成することができず、また当社の信頼性が失墜することにより、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(13) アニメーション・映画等への出資について
当社は、BSデジタル放送事業以外の収益源を確保するため、積極的に国内アニメーション作品、映画作品等への出資を行っております。これらの出資を行う場合には、効果や収支パターンの分析を慎重に行ったうえで投資判断を行っておりますが、これらの出資に対する収入は主にDVD、BD(ブルーレイディスク)の販売、作品放送権の販売に依存しており、更に映画事業については劇場への観客動員数も出資の成否を決める重要な要素となっており、当初計画した収益が得られない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(14) 設備投資が収益に結びつかないリスク
当社は、放送技術の向上や番組等のコンテンツ制作力強化のための設備投資を計画的に進めており、今後も同様の方針に基づき、視聴者の皆様により良質な番組を提供できるよう経営基盤の構築に邁進してまいる所存であります。しかしながら、一般に放送事業は放送設備の更新を始めとして資金需要が旺盛であり、また、今後、放送様式の変更等が行われることに伴い、多額の設備投資を実施することが見込まれますが、当該設備投資が十分な利益の確保に繋がらない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(15) 親会社が支配権を有することに伴うリスク
当社の親会社である㈱ビックカメラは、当事業年度末時点において、当社発行済普通株式の62.6%を所有しており、当社取締役及び監査役の選解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の当社の基本的事項についての決定権又は拒否権を引き続き有することとなります。当社の経営及びその他の事項に関して、他の株主の意向にかかわらず㈱ビックカメラが影響を与える可能性があります。なお、親会社に対する事前承認事項はなく、当社が独自に経営の意思決定を行っており、親会社との取引については、法定の会議体である取締役会においてチェックをする体制を採っております。
本書提出日現在、当社の取締役9名中1名は、㈱ビックカメラの取締役を兼任しております。また、当社従業員のうち1名は㈱ビックカメラからの受入出向者でありますが、当社の経営に関する重要な意思決定に影響を与える職位ではありません。
更に、当社は、㈱ビックカメラ及びその子会社との間で広告の出稿を中心とした様々な取引を行っており、かかる取引関係が終了又は変動した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。なお、㈱ビックカメラを中心とする企業グループ内に当社と競合する会社はありません。
① ビックカメラグループとの取引関係について
当社は、ビックカメラグループに属する会社と取引を行っています。
当事業年度における重要な取引は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載しております。
② 当社役員の㈱ビックカメラの役員等との兼任について
前述のとおり、当社取締役の川村仁志が㈱ビックカメラの取締役副社長執行役員総務本部長兼総務部長を兼任しております。これは、当社の経営体制強化を目的とするものであります。