有価証券報告書-第14期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/21 12:54
【資料】
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【項目】
112項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の中小型ディスプレイ市場では、主要製品であるスマートフォン向けの市場の成長が続きましたが、その成長率は従来に比べ鈍化がみられました。しかしながら、そのなかでも高精細ディスプレイを搭載する製品に関しては、ユーザーのスマートフォン買替時における高精細ディスプレイ搭載モデルへの移行需要が顕在化し、高い成長率が見られました。スマートフォンメーカー各社から発売された新モデルにおいては5型超の大型かつFull-HD(1080×1920画素)以上の高精細ディスプレイを搭載したモデルが数多く発表され、当社が得意とする高精細なLTPS(低温ポリシリコン)ディスプレイのニーズが拡大しました。
当社グループにおいては、欧米地域向けのスマートフォン用ディスプレイ販売が好調に推移し、中国・アジア顧客向けの販売も年度後半に売上を落としたものの通期では拡大したことから、当連結会計年度の売上高は前年同期を大きく上回りました。
以下はアプリケーション分野別の状況です。
(モバイル分野)
当分野には、スマートフォン、タブレット、携帯電話端末用のディスプレイが含まれます。当連結会計年度のモバイル分野の売上高は、売上高全体の84.7%を占める838,143百万円(前年同期比36.3%増)となりました。
当連結会計年度においては、欧米地域向けの売上が大幅に増加いたしました。中国向けの売上は、第3四半期会計期間の後半より競争環境の激化による受注減少が生じましたが、通期では前年同期に比べ増加いたしました。その他地域における売上高は、前年同期と同水準となりました。
当連結会計年度は、当社が強みを持つタッチセンサー機能をディスプレイに組み込んだインセルタッチ液晶モジュール「Pixel EyesTM 」の売上高が大きく拡大するなど、インセルタッチ液晶モジュールの普及が進みました。当社グループでは、このPixel EyesTMをより進化させ、機能を高めた第2世代型Pixel EyesTMを第4四半期会計期間から本格出荷するなど、ハイエンドスマートフォン市場におけるシェアの回復を図っております。
(車載・C&I・その他分野)
当分野には車載用、デジタルカメラやゲーム機等の民生機器用、医療用モニター等の産業用のディスプレイの他、特許収入等が含まれます。当連結会計年度の車載・C&I・その他分野の売上高は、売上高全体の15.3%を占める150,971百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
当連結会計年度においては、西欧や米国における自動車販売の好調を背景に車載用ディスプレイの販売は前連結会計年度を上回りましたが、デジタルカメラ向けなどの民生機器用ディスプレイの販売が減少したことにより、当分野の売上高は前連結会計年度比で若干減少しました。
当分野においては、車載向けでデザイン性にとんだ曲面型ディスプレイの開発などを行ったほか、今後の新しい事業分野の開拓に向け、超低消費電力を実現した反射型カラー液晶ディスプレイの標準モジュールの販売を開始いたしました。また、17インチクラスで世界初※の8K液晶ディスプレイを開発するなどの活動を行いました。
※2015年9月当社調べ
当社グループでは、第2四半期会計期間より新経営体制の下、「損益分岐点の引下げ」「キャッシュ・フロー健全化」「意識改革」を基本方針とした経営改革に取り組みました。具体的には、歩留り改善や原価低減、売上債権回収の短期化、組織改定を通じた損益意識の一層の強化・醸成などの施策を行い、この結果、営業利益の大幅な改善を図ることが出来ました。
加えて当社グループでは、今後の競争力強化に向け、「国内前工程(中小型液晶パネル製造)ラインの一部廃止」「中国における後工程製造の合理化に向けた取り組み」「早期退職支援制度の導入」を柱とする構造改革を決定いたしました。この構造改革実施により特別損失を計上いたしましたが、今後の固定費削減と経営資源活用の効率化を図ることが可能となり、将来の製品開発や新技術への投資を行うための環境を整えました。
上記の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は989,115百万円(前年同期比28.6%増)となりました。営業損益につきましては、売上高の増加による売上総利益の増加により16,710百万円の営業利益(前年同期比224.7%増)となりました。経常損益につきましては、営業外で特に年度の後半においてドル/円の為替レートが大きく円高方向に転じたことに加え、過去の超円高時に発生した長期性の債務の一部返済時に生じた為替差損を含む21,911百万円の為替差損が生じたことなどにより12,934百万円の経常損失(前年同期は経常利益1,864百万円)となりました。また、今期は特別損失として子会社の製造設備に係る減損損失1,101百万円が生じたことや事業構造改革に係る費用13,933百万円が生じたことなどから31,840百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失12,270百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、55,077百万円となり、前連結会計年度末に比べ39,565百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加した資金は151,442百万円(前連結会計年度は73,320百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純損失27,969百万円に対し、仕入債務の減少56,385百万円、たな卸資産の増加11,746百万円等の減少要因があった一方で、売上債権の減少56,413百万円、前受金の増加66,671百万円、減価償却費78,326百万円等の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により減少した資金は181,156百万円(前連結会計年度は96,346百万円の減少)となりました。これは、主に生産設備増強に伴う固定資産の取得による支出186,353百万円があった一方で補助金の受取額5,026百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は6,098百万円(前連結会計年度は24,971百万円の減少)となりました。これは、長期借入金の返済による支出8,993百万円、リース債務の返済による支出30,840百万円があった一方で、セール・アンド・リースバックによる収入33,489百万円等があったことによるものです。