有価証券報告書-第34期(平成28年6月1日-平成29年5月31日)

【提出】
2017/08/30 9:21
【資料】
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【項目】
77項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境について
① 顧客の購入意欲について
当社の不動産売買事業においては、景気、金利、地価、税制及び政策等によって、中古住宅に対する顧客の購入意欲が大きく左右されます。
当社においては、需要の高い不動産をタイムリーに提供できるようにするために、これらの外部動向について分析を行い、あわせて地域の特性と需要に応じた不動産のタイムリーな仕入れ、魅力ある中古住宅にするためのリフォーム工事、顧客の購入意欲を喚起する広告宣伝及び営業活動を行っております。
しかしながら、今後の景気の悪化、所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、税制及び政策の変更等があった場合は、顧客の購入意欲の減退につながり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社の不動産売買事業は、仕入れや販売に関する当社独自のノウハウこそあるものの、技術の独自性等に基づくものではないため、参入障壁は高くありません。特に景気の低迷や節約志向が拡大傾向にある経済環境においては、当社と類似する事業を展開する同業他社が増加する可能性があります。
当社は、中古住宅のリフレッシュ・リフォーム、仕入れの見極め等、様々なノウハウの蓄積に努め、中国地方及び九州地方において実績も積み重ねて、人脈や情報ネットワークを構築してまいりました。
しかしながら、競合他社の参入に伴い、差別化のための各種方策等が必要になった場合、または、当社の提供する不動産に競争力がないと顧客が判断した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 販売用不動産の仕入れ及び工事原価について
当社の自社不動産売買事業においては、顧客ニーズの高い立地の不動産を、安価かつ安定的に仕入れることが重要となります。
当社においては、中古住宅の売却情報を同業他社、金融機関及び取引先等のルートで入手しており、今後もこれらのネットワークを拡大及び強化する方針であります。あわせて、各種宣伝媒体を通して一般の方からも中古住宅の売却情報を得られるよう努めております。また、リフレッシュ・リフォームにおいても、キッチン、バス、トイレ等の水回り設備を除き、可能な範囲で既設部分の再利用を提案することで、低価格化を実現しております。
しかしながら、競争激化や経済環境の変化に伴う仕入価格の上昇、建材価格の上昇等があった場合、あるいは当社の再生基準に適合する中古住宅を十分に確保できなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 販売用不動産及び仕掛販売用不動産等について
当社の自社不動産売買事業においては、中古住宅等を仕入れておりますが、常に一定規模のたな卸資産を所有しております。当事業年度末の総資産に占める販売用不動産及び仕掛販売用不動産等の割合は、71.0%となっております。
当社においては、今後も、店舗網の拡充に伴い、仕入れの積極的な拡大を推進してまいりますが、並行して、中古住宅等の在庫管理を進化させるとともに営業力の強化も推進することにより、引き渡しまでに要する期間を短縮し、需給バランスに配慮した在庫回転率の向上に努めていく方針であります。
しかしながら、経済環境の変化等により期限までに引き渡しできなかった場合、または、顧客の住宅ローン審査の結果、引き渡しができなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 工事協力会社について
当社の自社不動産売買事業においては、各店舗の地域ごとに、当社が設定した一定の技術水準を満たす工事協力会社を選定し、リフレッシュ・リフォーム工事を発注しております。また、実際のリフレッシュ・リフォーム工事においては、工事協力会社と当社との間で打合せや報告により、厳格な品質管理及び工程管理を実現しております。さらに、工事協力会社の代替を可能にするため、キッチン等の住宅設備については同一の規格品を使用しております。
しかしながら、今後の営業地域の拡大や取り扱い物件の増加等に伴い、工事協力会社をタイムリーに確保ができなかった場合、または、工事協力会社の倒産等が発生した場合は、代替業者との調整に伴う工事遅延等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 瑕疵担保責任について
当社の自社不動産売買事業においては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき、中古住宅については引き渡し後2年間、新築住宅については引き渡し後10年間の瑕疵担保責任を負っております。
当社においては、仕入れの時に入念な現況調査を行い、基礎部分で致命的な欠陥がある等、再生に適さないと判断した場合には買取の対象から除外する、あるいは建屋を解体して平地にすることにより、当社の提供する中古住宅の品質を一定に維持しております。また、リフレッシュ・リフォーム施工時においては、法定水準を満たすような厳格な品質管理を実施しております。
しかしながら、引き渡し後の不動産に何らかの瑕疵があった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 自然災害等について
当社の自社不動産売買事業においては、台風や地震等の自然災害等により中古住宅の購入に対する顧客の購入意欲が減退する可能性、あるいは引き渡し前の中古住宅が破損または倒壊する恐れがあります。
当社は、地域拡大による収益規模拡大を図る方針の下、中国地方及び九州地方に出店しております。現在店舗を構える山口県、福岡県、佐賀県及び広島県については、比較的地震が少ない地域ですが、平成27年6月に出店した大分県及び自社所有の中古住宅のある熊本県については、前述の4県に比べて地震の多い地域であり、地震保険料率も一段階高くなっております。また、当社は、必要に応じて補強工事を行い耐震性能を高めております。
しかしながら、今後当社の営業地域において不測の自然災害が発生した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 有利子負債への依存と資金調達について
当社の自社不動産売買事業においては、常に仕入代金の支払いが販売代金の入金より先行しますが、当該仕入資金は、主に金融機関からの借入により調達しております。なお、当事業年度末の総資産額に占める有利子負債の割合は、20.8%となっております。
当社においては、事業運営に応じた機動的な調達という観点から、また、不動産に関する情報収集といった副次的な観点からも、金融機関からの借入を今後も継続していく方針であり、金融機関との良好な関係を構築しております。一方で金融機関への依存リスクや金利変動リスクにも、配慮していく必要があると認識しており、一定程度の自己資本比率を維持しております。
仮に、金融環境の変化に伴い、支払利息の負担が増加し、借入による調達がタイムリーに行えない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法令等について
① 法的規制や免許・許認可事項について
当社の各セグメントにおいては、以下のような法令等に基づいて事業を運営しており、これらの法的規制を受けております。
セグメントの名称主な適用法令
不動産売買事業宅地建物取引業法、都市計画法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、住宅の品質確保の促進等に関する法律、下請法、個人情報の保護に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律等
不動産賃貸事業宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、マンション管理の適正化の推進に関する法律、下請法、個人情報の保護に関する法律等
不動産関連事業建築士法、建設業法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、保険業法、特定商取引に関する法律、外国為替及び外国貿易法、下請法、個人情報の保護に関する法律等
その他事業介護保険法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、下請法、個人情報の保護に関する法律等

当社においては、これらの法令等の遵守のために、朝礼でのコンプライアンス重視の考えの唱和、関連する社内規程の整備、社内勉強会の実施や社外研修制度の活用、内部監査室や監査役による法令遵守の確認に加え、内部通報制度の運用等、積極的なコンプライアンス活動に取り組んでおります。
なお、当社の不動産売買事業においては、事業活動を推進するに際して、以下のとおり、宅地建物取引業法に定める宅地建物取引業免許、建設業法に定める一般建設業許可を得ております。前者においては、一定人数の資格取得者の登録義務等が許可要件として定められており、後者においては、専任技術者の設置等が許可要件として定められております。
免許、登録等の別番 号有効期間取消条項
宅地建物取引業免許国土交通大臣
(5)第5407号
自 平成25年11月9日
至 平成30年11月8日
宅地建物取引業法
第66条及び第67条
一般建設業許可山口県知事許可
(般-28)第14622号
自 平成29年3月27日
至 平成34年3月26日
建設業法
第3条

当社におきましては、過去において、これら許可要件の欠格事実はありません。
しかしながら、今後これらの法令等の改正や新たな法令等により規制強化が行われた場合、何らかの事情により法令遵守ができなかった場合、または、今後何らかの事情により、免許、許可及び登録の取り消し処分が発生した場合は、事業活動に大きく影響して、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の管理について
当社の事業活動全般においては、仕入先、顧客(潜在顧客含む。)等に関して、住所、氏名等の個人情報を多く有しております。
当社においては、個人情報の保護に関する法律に従い、個人情報の管理に関する社内規程を整備し、当該規程に沿って情報の一元管理を図るとともに、電子記録媒体に対する使用を制限する等により、漏えい防止策に取り組んでいるほか、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(いわゆるマイナンバー法)等に基づき、社内規程及び基本方針を整備して、マイナンバーを取り扱う担当者及び機種等を厳しく限定したうえで、漏えい防止に取り組んでおります。
しかしながら、不測の事態により、当社が保有する個人情報が外部へ漏えいした場合、あるいはマイナンバー制度において適切な対応ができない場合は、当社の信用の毀損や対応コストの負担につながり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟等について
当社は、現時点において業績に重要な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。
しかしながら、販売した不動産における瑕疵や債権未回収等の権利関係をめぐった顧客等との間でトラブルが発生した場合、または、リフォーム工事期間中に近隣からの騒音クレーム等が発生した場合は、これらに起因する訴訟が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① 人材の確保と育成について
不動産業界の競争激化の中で業績拡大を図るためには、専門的なスキルを持つスペシャリスト、全体を統括できるマネージャーの確保が重要であると考えております。
当社においては、これらの人材を確保するため、中途・新卒採用の強化、教育研修の充実を推進しております。また、人事制度を刷新して、公正な評価と報酬への正当な反映を実現するとともに、時差出勤及び有給休暇取得キャンペーンの推進等、福利厚生や待遇の充実を図ることにより、モラールの向上及び退職者数の抑制に努めているほか、平成28年6月に福岡支社を開設して、より多くの優秀な人材を採用する体制の強化を図っております。また、各種研修を通じて従業員の能力向上及び知識の蓄積を図るとともに話し合い等を通して、現場における問題意識の共有にも努めております。
しかしながら、一定の採用ができなかった場合、教育研修の効果が十分でなかった場合、多くの人材の社外流出が発生した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定人物への依存について
当社代表取締役社長である荻野利浩は、当社創業者であり、平成29年5月31日時点において筆頭株主として発行済株式総数1,356,200株(うち自己株式は202株)に対し644,200株(持株比率47.50%)を所有し、最高経営責任者として経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業活動上の重要な役割を果たしております。
当社においては、同人に対して過度に依存しないよう、合議制や権限移譲を推進することにより意思決定の合理化を図るとともに、経営管理ツールの導入を進めております。
しかしながら、現時点において、同人が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合は、当社の業務推進及び業績に影響を及ぼす可能性があります。