訂正有価証券報告書-第19期(平成28年12月1日-平成29年11月30日)

【提出】
2018/03/07 15:30
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成28年12月1日~平成29年11月30日)における我が国経済は、政府の積極的な経済政策を背景に個人消費は底堅い動きとなっており、また企業収益は改善に足踏みが見られるものの高い水準で推移し、全体として緩やかな回復基調となりました。一方、アジア諸国の経済動向や政策に関する不確実性など、先行きは依然として不透明な状況となりました。
このような状況の下、当社は主にコンピュータグラフィックス(コンピュータを使って制作された映像、以下「CG」)関連のエンターテインメント(娯楽)業界向けビジネスに多角的に取り組んでまいりました。開発推進・支援事業においては、既存及び新規ミドルウェアの開発期間延長によるサポート収入があったものの、ライセンス販売では、開発の長期化や開発受託案件の需要が成約まで至らなかったこと、導入コストの低い他社製品との競争激化、案件規模の縮小化などにより期初計画を大幅に下回りました。受託開発においては、クライアント先の体制・予算見直し等の影響及び開発規模の縮小等により、期初計画を大幅に下回り、売上に貢献することができませんでした。しかし、新たに取り組んでおります非エンターテインメント領域の新規開拓について、案件数がかなり増えてきております。当社の技術力を活かし、安定的な収益が見込まれる非エンターテインメント領域(自動車業界、建築業界、セキュリティ業界等)の分野を中心に、より広範囲の製品と組み合わせて使えるようにミドルウェアに改良を加えるとともに、積極的に拡販活動を行い、業績回復及び業績安定に向けて全力を尽くしてまいります。特に自動車分野に関しては、既に組込システムの先行開発から設計段階まで進み、実装も視野に入れております。また、データサイエンス(ディープラーニングの活用等)領域に関しては、ユーザー行動の未来予測等に成果が出始めており、両領域共に今後の事業拡大に繋がるものと確信しております。コンテンツ事業においては、各コンテンツにおけるユーザー数の減少並びに新規タイトルの開発遅延により計画未達になりました。期中において、株式会社S&Mゲームス社に「逆襲のファンタジカ」及び「刻のイシュタリア」を譲渡し、開発体制の再構築を図りましたが、「テラバトル2」に関しては、開発遅延に加え、リリース後にサーバー不具合、システムエラー等が生じたことやユーザーの継続率、課金率等が当初の想定に届かなかったことから、サービス設計の見直しや戦略の変更が必要となり、売上への寄与に至りませんでした。今後は、受託タイトルや協業タイトルを中心に開発を行うことで、業績変動の影響を抑え安定した利益を確保できるよう全力を尽くしてまいります。さらに、変化する市場環境に対応したサービス提供を行えるように運営体制の効率化を図ってまいります。人材事業においては、昨年度からの順調な売上伸長が継続し、稼働率もそれに応じて高まっていること、また厳しい人材マーケットにもかかわらず、比較的順調に社員の採用及び求職者・派遣労働者の確保ができ、業績は安定に推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高が6,115,712千円(前期比12.7%減)、営業損失は1,251,537千円(同839,597千円減)、経常損失は1,202,755千円(同773,809千円減)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,137,815千円(同638,466千円減)となりました。
なお、報告セグメントの状況(セグメント間の内部取引消去前)は、以下のとおりであります。
① 開発推進・支援事業
当連結会計年度においては、イギリスARM社の100%子会社であるGeomerics社より全てのプラットフォームに対してリアルタイムのグローバルイルミネーション(大域照明、または間接光表現)を提供する業界最高水準の技術である「Enlighten」に関するソフトウェアライセンスの取得及び全世界においての開発、販売、サポートの権利を取得いたしました。しかしながら、当期においては、全世界の販売体制の構築に手間取ったため、期初計画を下回りました。
また、新たに取り組んでおります非エンターテインメント領域の新規開拓については、まだ小規模ではありながら案件数が増加しております。安定的な収益が見込まれる非エンターテインメント領域(自動車業界、建築業界、セキュリティ業界等)の分野を中心に拡大してまいります。
なお、ミドルウェアにおいては、ライセンス販売での案件長期化や開発受託案件の需要が具体化まで至らなかったこと、導入コストの低い他社製品との競争激化、案件規模の縮小化などがあり、期初計画を大幅に下回りました。受託開発においては、クライアント先の体制・予算見直し等の影響及び開発規模の縮小等により、期初計画を下回りました。また、受託開発を行っている連結子会社のイグニス・イメージワークス株式会社においては、遊技機器向けグラフィックスの人員配置換え等を実施し、新規案件の獲得を目指しましたが、減収をカバーすることができませんでした。
以上の結果、売上高は3,082,713千円(前期比6.1%増)、セグメント損失は376,345千円(同361,864千円減)となりました。
② コンテンツ事業
当連結会計年度における主要タイトルの動向に関して、「逆襲のファンタジカ」及び「刻のイシュタリア」については、5月31日をもって株式会社S&Mゲームスにタイトルを譲渡いたしました。これは、コンテンツ事業の早期黒字化のためには抜本的な構造改革が必要との判断によるものであります。しかしながら、構造改革に時間がかかった結果として、株式会社ミストウォーカーとの協業タイトルである「テラバトル2」においても開発遅延に加え、リリース後のサーバー不具合、システムエラー等が生じたことやユーザーの存続率、課金率などが当初の想定に届かなかったことからサービス設計の見直し及び戦略の変更が必要となり、売上に貢献することができませんでした。また、未発表の1タイトルについても、今期内にリリースすることができませんでした。
以上の結果、売上高は1,560,463千円(前期比47.6%減)、セグメント損失は627,622千円(同609,575千円減)となりました。
③ 人材事業
当連結会計年度における派遣先企業で稼働中の一般派遣労働者数は延べ2,709名、有料職業紹介の成約実績数は165名となりました。
以上の結果、売上高は1,473,693千円(前期比30.1%増)、セグメント利益は301,499千円(同55.0%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ965,442千円減少し、548,974千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は、792,089千円(前連結会計年度は118,187千円の支出)となりました。これは主に売上債権の減少額136,839千円、減価償却費456,732千円の計上等の資金の増加要因があったものの、税金等調整前当期純損失1,049,259千円及び事業譲渡益183,496千円の計上等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、251,652千円(前連結会計年度は287,348千円の支出)となりました。これは主に事業譲渡による収入194,000千円等の資金の増加要因があったものの、無形固定資産の取得による支出409,611千円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、78,357千円(前連結会計年度は257,890千円の支出)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出111,500千円、長期借入金の返済による支出157,877千円、自己株式の取得による支出114,300千円等の資金の減少要因があったものの、長期借入金による収入400,800千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。