有価証券報告書-第69期(2025/04/01-2026/03/31)
(4) 戦略
当社グループでは、サステナビリティ委員会にて重要課題を設定し、各々の重要課題に対して戦略の立案等を進めております。環境については気候変動に対する取り組みと自然課題に対する取り組みについての開示を行いました。
他の重要課題については開示準備が整い次第、随時公表していく予定です。
なお、人材につきましては、5 従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本方針等に記載しています。
■気候変動に対する取り組み
分析のプロセス
TCFD提言で示された各リスクと機会の項目を参考に、気候変動問題が事業に及ぼす影響について検討しました。1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを用い、政策や市場動向の変化(移行リスクと機会)および災害等による物理的変化(物理的リスクと機会)に関する分析を実施しています。これらの分析を通じて、リスクと機会を洗い出し、事業への影響度と対応策を分析・策定しました。
気候変動シナリオ
◆1.5℃シナリオ(脱炭素移行シナリオ)
気候変動対策として、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目標としたシナリオです。世界各国でより厳格な規制や炭素税の導入、排出量取引制度の強化等が求められ、企業には脱炭素技術や再生可能エネルギーへの迅速な移行が強く求められ、企業競争力や市場評価に大きな影響を与えることが想定されています。
◆4℃シナリオ(高排出シナリオ)
気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオです。異常気象の激甚化や海面上昇に伴う沿岸部での浸水リスクが高まることにより、生活基盤やインフラを含む社会・経済・自然環境に深刻な影響をもたらすと想定されています。
主なリスクと機会は以下の通りです。
リスク
機会
■自然関連課題に対する取り組み
当社は、2009年に「メニコン環境宣言」を制定し、「人にも動物にも環境にも優しい地球企業でありたい」と考えており、私たちが開発した技術や英知が地球のすべてに恩返しできるようグループ全社で取り組んでいます。また、2022年には「サステナビリティ方針」と重要課題の見直しを行い、目指す姿である「健康で心豊かな社会の実現」に向け自然環境の負荷低減を進めています。
当社グループは、コンタクトレンズおよびケア用品の製造において、自然資本からの恩恵を受けて事業を行っています。特に清らかな水資源は不可欠で、自然資本からの恩恵に感謝するとともに、自然資本に与えている影響についても把握する必要があると考えます。今回、コア事業であるビジョンケア事業を対象に、LEAPアプローチに沿って、自然関連のリスク・機会の分析を行いました。
・自然状態の分析(Locate)
工場や販売店など当社グループの拠点についての自然状態を分析しました。自然への配慮が求められる地域は235拠点中49拠点(日本41、中国1、ヨーロッパ7)でしたが、そのうちの44拠点は本社や販売店など、自然へのインパクトは大きくないと考えられる地域でした。残る5拠点は国内外の工場地域であり、自然に対して負のインパクトを与えやすいと判明しました。5拠点とは、国内はメニコンネクト郡上工場、海外は中国、フランス、オランダ、イギリスの4工場です。
・自然への依存とインパクトの特定(Evaluate)
バリューチェーン全体における生態系サービスへの依存と自然資本への影響を特定・評価し、ヒートマップにまとめました。その結果、生態系サービスへの依存として、直接操業においては「水の浄化」、バリューチェーン上流においては「紙の調達におけるバイオマス資源」や「気候調整や水の浄化」、バリューチェーン下流においては「廃棄物の浄化」などの可能性が判明しました。また、自然資本への影響については、「生態系の利用」、「水質・土壌汚染物質の排出」、「騒音や光などによる妨害」の可能性があることが判明しました。
・自然関連リスクおよび機会の特定・評価(Assess)
TNFDが推奨するシナリオに沿って、生態系サービスの劣化(物理リスク)と市場と市場以外の力の整合(移行リスク)の2軸で描かれた4つのシナリオを想定し、それぞれのリスクおよび機会の強度(財務影響度)と発生可能性の観点から評価しました。

その結果、当社グループにとって重要と考えられるリスクおよび機会は以下の通りです。
リスク
機会
■資源循環の取り組み
当社グループでは、持続可能な社会の実現と環境への負荷低減に向け、資源循環の取り組みについても重要であると認識しています。
2050年には世界人口の約半数である約50億人が強度近視を含む近視になると予想されており、近年、使い捨てコンタクトレンズの需要が高まっています。その結果、使用済みコンタクトレンズケースの廃棄増加や、製造、流通過程でのプラスチックの増加が予想されており、廃プラスチックの適切な処理が重要であると考えています。
当社では使用済みプラスチックの社会課題解決に取り組むため、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に参画し、科学的な根拠に基づく資源化に関する研究を推進しています。これに伴い、東北大学との共同研究施設として2024年4月に「メニコン×東北大学みる未来のための共創研究所」を開設しました。また、2024年10月には「1Caseプロジェクト」を立ち上げ、使用済みコンタクトレンズケースを価値ある再生材として生まれ変わらせるという資源循環の取り組みも開始しました。メニコングループ販売店「Miru」全店をはじめメルス加盟施設などへ回収ボックスを順次設置するだけではなく、共創研究所が位置する仙台市内の区役所などへも回収ボックスを設置することで、自治体とも一体となり活動を推進しております。2026年3月現在の回収ボックス設置数は991となりました。今後も公共施設や各種学校などに新たな回収拠点を設置し、使用済みプラスチックの資源循環構築に取り組んでまいります。
また、廃プラスチックだけではなく、スマートクリーン消毒用ケースなどに使用されている白金の回収も開始しており、今後も環境に配慮した取り組みを増やしていく予定です。

当社グループでは、サステナビリティ委員会にて重要課題を設定し、各々の重要課題に対して戦略の立案等を進めております。環境については気候変動に対する取り組みと自然課題に対する取り組みについての開示を行いました。
他の重要課題については開示準備が整い次第、随時公表していく予定です。
なお、人材につきましては、5 従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本方針等に記載しています。
■気候変動に対する取り組み
分析のプロセス
TCFD提言で示された各リスクと機会の項目を参考に、気候変動問題が事業に及ぼす影響について検討しました。1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを用い、政策や市場動向の変化(移行リスクと機会)および災害等による物理的変化(物理的リスクと機会)に関する分析を実施しています。これらの分析を通じて、リスクと機会を洗い出し、事業への影響度と対応策を分析・策定しました。
気候変動シナリオ
◆1.5℃シナリオ(脱炭素移行シナリオ)
気候変動対策として、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目標としたシナリオです。世界各国でより厳格な規制や炭素税の導入、排出量取引制度の強化等が求められ、企業には脱炭素技術や再生可能エネルギーへの迅速な移行が強く求められ、企業競争力や市場評価に大きな影響を与えることが想定されています。
◆4℃シナリオ(高排出シナリオ)
気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオです。異常気象の激甚化や海面上昇に伴う沿岸部での浸水リスクが高まることにより、生活基盤やインフラを含む社会・経済・自然環境に深刻な影響をもたらすと想定されています。
主なリスクと機会は以下の通りです。
リスク
| リスク種類 | リスク要因項目 | 事業に及ぼす影響 | 指標 | 時間軸 | 想定される対応策 |
| 移行リスク | |||||
| 政策・法規制 | GHG排出削減規制強化 | GHG排出量の規制強化に伴い、再エネ発電設備の購入や高効率な生産設備の導入などの対応が必要となり、投資コストが増加する | 費用 | 中期 ~長期 | ・高効率熱源機器や生産設備への更新投資 ・PPAモデルを活用した再エネ電源調達の推進 ・炭素価格を考慮した投資評価制度の導入 |
| 物理リスク | |||||
| 急性 | サイクロンや洪水などの極端な天候事象の過酷さの増加 | 自社工場が被災し、生産活動が停滞または停止することで、売上高が減少する | 収益 | 短期 ~長期 | ・高リスク地域のハザードマップを活用した工場立地の再評価・工場建屋・設備の浸水・耐風対策(防水壁、屋上貯水など)の強化・被災時の操業移管を想定した国内外の代替拠点整備とBCP訓練 |
| サプライヤーの工場が被災し、部品や原材料の供給が停滞または停止することで、自社の生産が影響を受け、売上高が減少する | 収益 | 短期 ~長期 | ・包括型の損害保険契約による財務影響の最小化・複数のサプライヤーとの取引 | ||
| 慢性 | 降水パターンの変化と天候パターンの極端な変動 | 水資源の枯渇リスクの高まりや水道料金改定により、水使用コストが増加する | 費用 | 中期 ~長期 | ・再生水や雨水の利用による外部水道依存の低減・製造工程における水使用量のモニタリングとKPI設定・工場立地選定における水ストレス評価の導入 |
機会
| 機会種類 | 機会要因項目 | 事業に及ぼす影響 | 指標 | 時間軸 | 想定される対応策 |
| 機会 | |||||
| 製品およびサービス | 水ストレス地域の拡大 | 水ストレス地域の拡大により、生産や使用の場面で水の使用量を削減できる1DAYレンズの売上高が増加する | 収益 | 中期 ~長期 | ・1DAYレンズの水使用削減効果に関する情報発信の強化・水削減意識の高い高ストレス地域への販路拡大・製造段階の使用水量を削減した1DAY製品の新規開発 |
| 消費者の嗜好の変化 | 異常気象の頻発によりリモートワークへの移行や屋外活動の減少が進み、目を酷使する機会が増加することで、近視人口の拡大と近視進行抑制ニーズが高まり、売上が増加する | 中期 ~長期 | ・近視進行抑制レンズラインアップの拡充・学齢期の保護者向け啓発活動の展開 ・処方家の育成による処方の拡大 | ||
| 環境負荷を低減する製品・ビジネスの普及 | 資源循環(サーキュラーエコノミー)を考慮した製品設計(パッケージの水平リサイクル化およびアップサイクル)を推進することで、再生可能なシステムの構築を通じて資源を販売製品として活用できるようになり、売上が増加する | 中期 ~長期 | ・回収スキームを含めた製品等の水平リサイクル設計 | ||
| 市場 | 低排出商品およびサービスの開発および/または拡張 | 環境配慮型の商品やサービスの提供により、環境意識の高い顧客への販売量が拡大し、売上が増加する | 中期 ~長期 | ・環境配慮型製品(再生材使用、省資源設計)の展開 | |
■自然関連課題に対する取り組み
当社は、2009年に「メニコン環境宣言」を制定し、「人にも動物にも環境にも優しい地球企業でありたい」と考えており、私たちが開発した技術や英知が地球のすべてに恩返しできるようグループ全社で取り組んでいます。また、2022年には「サステナビリティ方針」と重要課題の見直しを行い、目指す姿である「健康で心豊かな社会の実現」に向け自然環境の負荷低減を進めています。
当社グループは、コンタクトレンズおよびケア用品の製造において、自然資本からの恩恵を受けて事業を行っています。特に清らかな水資源は不可欠で、自然資本からの恩恵に感謝するとともに、自然資本に与えている影響についても把握する必要があると考えます。今回、コア事業であるビジョンケア事業を対象に、LEAPアプローチに沿って、自然関連のリスク・機会の分析を行いました。
・自然状態の分析(Locate)
工場や販売店など当社グループの拠点についての自然状態を分析しました。自然への配慮が求められる地域は235拠点中49拠点(日本41、中国1、ヨーロッパ7)でしたが、そのうちの44拠点は本社や販売店など、自然へのインパクトは大きくないと考えられる地域でした。残る5拠点は国内外の工場地域であり、自然に対して負のインパクトを与えやすいと判明しました。5拠点とは、国内はメニコンネクト郡上工場、海外は中国、フランス、オランダ、イギリスの4工場です。
・自然への依存とインパクトの特定(Evaluate)
バリューチェーン全体における生態系サービスへの依存と自然資本への影響を特定・評価し、ヒートマップにまとめました。その結果、生態系サービスへの依存として、直接操業においては「水の浄化」、バリューチェーン上流においては「紙の調達におけるバイオマス資源」や「気候調整や水の浄化」、バリューチェーン下流においては「廃棄物の浄化」などの可能性が判明しました。また、自然資本への影響については、「生態系の利用」、「水質・土壌汚染物質の排出」、「騒音や光などによる妨害」の可能性があることが判明しました。
・自然関連リスクおよび機会の特定・評価(Assess)
TNFDが推奨するシナリオに沿って、生態系サービスの劣化(物理リスク)と市場と市場以外の力の整合(移行リスク)の2軸で描かれた4つのシナリオを想定し、それぞれのリスクおよび機会の強度(財務影響度)と発生可能性の観点から評価しました。

その結果、当社グループにとって重要と考えられるリスクおよび機会は以下の通りです。
リスク
| リスク 種類 | リスク要因項目 | 顕在化/潜在的 | 時間軸 | 財務への影響 | 想定される対応策 |
| 物理リスク | |||||
| 急性/ 慢性 | 自然の変化に起因する水資源の劣化 気候変動などにより、水源やその集水域の状況が変化する場合、水量、水質の変化が起き、工場の操業に悪影響を及ぼす可能性がある | 潜在的 | 長期 | ・取水や処理コストの増加 ・断水、渇水に起因する操業停止による売上損失 ・新たな取水先の探索、切替に関するコストの発生 | ・水量の継続的なモニタリングを行い、水源の変化にいち早く気付ける体制構築 ・代わりとなる取水方法の検討 ・排水の再利用や循環システムの導入 ・水の使用量削減、節水設備の導入 |
| 移行リスク | |||||
| 政策 | 使い捨てプラスチック製品に関する規制の強化 プラスチック廃棄に関する課題が深刻化し、自社製品を含むプラスチック製品に関する規制が厳しくなることにより、対策コストが増加する可能性がある | 潜在的 | 中期 | ・管理コストの増加 ・対策コスト、施設投資の増加 ・売上の減少(対応が不十分な場合) | ・将来のプラスチックに対する規制を見据えた予算計画 ・代替素材への転換(サステナブルな素材へ移行) ・リサイクル性の向上(製品や包装材の素材の単一化へ設計変更) |
機会
| 機会 種類 | 機会要因項目 | 顕在化/潜在的 | 時間軸 | 財務への影響 | 想定される対応策 |
| 機会 | |||||
| 資源効率 | 節水施設の導入 製造プロセスにおける水資源の利用効率を高めることで、水使用のコストを削減し水セキュリティを向上させる | 潜在的 | 中期 | ・運用コストの削減 ・水セキュリティの向上 | ・節水設備の導入 ・生産工程の見直し ・リサイクル技術の高度化により天然資源の使用量を削減 |
| 製品のリサイクルの推進 プラスチックのリサイクル推進により、プラスチック汚染の軽減や環境負荷の回避などにつながる リサイクルプラスチック需要が高まり、有価物として収益に寄与する可能性がある | 潜在的 | 中期 | ・調達レジリエンスの向上 ・資産価値、評判の向上による売上の増加 ・環境志向の市場へのアクセスによる売上の増加 | ・製品の設計段階からリサイクルしやすい単一素材への変更、再利用可能な容器、包装の採用 ・廃棄物削減目標の設定と実行 ・リサイクルプラスチック(PCR)の使用率増加を目標に設定し使用の推進 ・1Caseプロジェクトの強化、拡大 | |
■資源循環の取り組み
当社グループでは、持続可能な社会の実現と環境への負荷低減に向け、資源循環の取り組みについても重要であると認識しています。
2050年には世界人口の約半数である約50億人が強度近視を含む近視になると予想されており、近年、使い捨てコンタクトレンズの需要が高まっています。その結果、使用済みコンタクトレンズケースの廃棄増加や、製造、流通過程でのプラスチックの増加が予想されており、廃プラスチックの適切な処理が重要であると考えています。
当社では使用済みプラスチックの社会課題解決に取り組むため、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に参画し、科学的な根拠に基づく資源化に関する研究を推進しています。これに伴い、東北大学との共同研究施設として2024年4月に「メニコン×東北大学みる未来のための共創研究所」を開設しました。また、2024年10月には「1Caseプロジェクト」を立ち上げ、使用済みコンタクトレンズケースを価値ある再生材として生まれ変わらせるという資源循環の取り組みも開始しました。メニコングループ販売店「Miru」全店をはじめメルス加盟施設などへ回収ボックスを順次設置するだけではなく、共創研究所が位置する仙台市内の区役所などへも回収ボックスを設置することで、自治体とも一体となり活動を推進しております。2026年3月現在の回収ボックス設置数は991となりました。今後も公共施設や各種学校などに新たな回収拠点を設置し、使用済みプラスチックの資源循環構築に取り組んでまいります。
また、廃プラスチックだけではなく、スマートクリーン消毒用ケースなどに使用されている白金の回収も開始しており、今後も環境に配慮した取り組みを増やしていく予定です。
