有価証券報告書-第16期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2017/09/27 16:01
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成28年7月~平成29年6月)におけるわが国経済は、「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる。先行きについては、引き続き受注等への期待がみられる一方、人手不足やコストの上昇に対する懸念もある」と平成29年3月の内閣府調査報告で象徴された通り、プラス要素とマイナス要素が相交わる中で、米国トランプ政権の政策実行力及び東アジアの政情が不安視される状況も加わり、全般的に先行き不透明な状況にありました。
当社が属する情報サービス産業においては、依然としてIT人材不足という課題を抱えながらもIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータ、ロボット、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、FinTech(Finance Technology:フィンテック)等の新分野に対する期待感も強まり、引き続き市場は堅調に推移しました。
また、情報漏洩やセキュリティ事故が相次いでいることから、情報システム全体のセキュリティ対策には高い関心が寄せられています。併せて、働き方改革、時短経営が大きな話題となる中、課題解決をITシステムに求める動きも活発になっています。
このような環境の下、平成29年6月期は、中期経営計画の2年目として、「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」に取り組みました。
具体的な取組みとして、「事業基盤の安定化」活動については、前年度に引き続き、金融機関の情報化投資、自動車関連業界の設備投資の増加等に照準を合わせ、要員のシフト並びに開発体制の強化を実施することで、売上、営業利益共に順調な伸びを示しました。
「成長要素の強化」活動においては、自社商品であるWebセキュリティソリューション「WebARGUS®:ウェブアルゴス」(*1) と Excel®業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos®:ゾブロス」(*2)を中心に販売・開発体制の強化に取り組みました。
ウェブアルゴスに関しては、販売体制の強化により、大手金融機関への導入が決定した他、大型商談も増加傾向にありました。対象市場も日本国内に止まらず、まず東南アジア市場の開拓を目指し商談活動を開始しました。
また、改ざんされても瞬時に復旧するという「システムレジリエンス思想」に基づく製品のファミリー化を進める中で、商談対応として車載向けIoT版の研究開発、監視カメラへの改ざん対応開発、顧客要望に基づく拡張機能の開発等を通して、ウェブアルゴス適用領域の裾野を広げる活動を進めました。
ゾブロスに関しては、商品の認知度が進んだことや、大手企業グループにおける導入の成功事例がトリガーとなって引合いが大幅に増加し、導入会社数も250社を超えました。また、各種商談を通じてゾブロスが他社製品やサービスと連携して新たな価値を生み出す「オープンイノベーション」構築のプラットフォームとして期待を集めはじめており、ゾブロスを核とする新たなビジネスモデルの開拓にも注力しております。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高10,273,464千円(前期比10.0%増)、営業利益653,975千円(同24.6%増)、経常利益641,359千円(同16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は466,279千円(同32.7%増)となりました。
次にセグメント別の業績は以下のとおりであります。
なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。
①ソフトウェア開発事業
ビジネスソリューション事業分野においては、業務系ソフトウェアは金融を中心に通信、運輸、医療製薬等の業種全般が伸びると共に、運用サポートも好調に推移し、売上・利益共に対前年同時期より大幅に伸びました。
エンベデッドソリューション事業分野においては、モバイル関連の需要減を車載関連で代替する施策を進めた結果、全体で増収増益となりました。
自社商品事業分野は、主力としているウェブアルゴスとゾブロスが順調な伸びを示しました。
これらの結果、ソフトウェア開発事業の売上高は9,639,231千円(前期比12.2%増)、セグメント利益は659,212千円(同40.5%増)となりました。
②システム販売事業
カシオ計算機株式会社製中小企業向け経営支援基幹システム「楽一」を主力とする販売ビジネスにおいて、第2四半期までは環境変化への対応が遅れ苦戦を強いられましたが、第3四半期以降は各種施策を通じ改善が見られました。
これらの結果、システム販売事業の売上高は638,881千円(前期比15.7%減)、セグメント損失は7,881千円(前年同期はセグメント利益52,544千円)となりました。
(*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS®(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知から瞬間復旧まで0.1秒未満という性能により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染や改ざんを原因とする情報漏えいなどの被害拡大を防ぎます。
(*2)Excel®業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos®(ゾブロス)」は、Excel®ベースの非効率な業務を自動化します。短期間で大幅に業務を効率化することができるため、各企業の働き方改革・時短経営を支援します。(Excel®は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。)
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ249,959千円増加し、1,346,391千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上(640,532千円)、売上債権の増額による支出(326,063千円)、仕入債務の増額による収入(75,600千円)、未払金及び未払費用の増額による収入(50,910千円)、法人税等の支払額による支出(237,468千円)などにより221,853千円の収入(前連結会計年度は419,604千円の収入)となりました
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入(132,645千円)、保険積立金の積立による支出(7,946千円)、敷金及び保証金の差入による支出(11,438千円)、敷金及び保証金の回収による収入(20,071千円)などにより125,232千円の収入(前連結会計年度は3,200千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出(32,808千円)、配当金の支払額による支出(89,910千円)、株式の発行による収入(31,950千円)などにより97,844千円の支出(前連結会計年度は212,143千円の支出)となりました。