有価証券報告書-第8期(2022/04/01-2023/03/31)
②「戦略」
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動に起因するリスクが、事業運営、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けた投融資(サステナブルファイナンス、トランジション・ファイナンス等)を事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面での取り組みを積極的に展開してまいります。
B.移行計画の策定
地域の脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域総合金融グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成を目指すことを宣言いたしました。
今後は、カーボンニュートラルの達成に向けて移行計画を策定してまいります。
また、2022年5月から国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」に加盟し、投融資先のCO₂排出量の算定と開示の充実に取り組んでおります。
今後も、再生可能エネルギー事業などへの投融資やお客様のCO₂排出量削減支援を促進し、地域の脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
C.シナリオ分析
事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施し、グループ全体でシナリオ分析の高度化、精緻化を行いました。
気候関連リスクとして、「物理的リスク」と「移行リスク」を認識し、「物理的リスク」では水災など異常気象に伴う資産の毀損による信用コストの増大、「移行リスク」では気候変動に伴う規制強化や消費嗜好の変化などにより影響を受けるお客様に対する信用コストの増大を想定しております。
<物理的リスク>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
豪雨などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)から、2050年までの信用コストの増加額は最大で65億円程度という結果になりました。
※1 国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
※2 IPCCによるRCP8.5シナリオ等を参照しています。
<移行リスク>TCFD提言にて定義される炭素関連セクターの一部において、移行リスクの定量化を実施いたしました。選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、および需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算しました。2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で106億円程度という結果となりました。今後は、分析対象の拡大を通じて移行リスクの精緻化を図ってまいります。
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
※TCFD提言および日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
エネルギー:石油・ガス、石炭、電力(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
運輸:空運、海運、陸運、自動車
素材・建築物:金属・鉱物、化学、建設資材・資本財、不動産管理・開発
農業・食料・林業製品:飲料・食品、農業、製紙・林業
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動に起因するリスクが、事業運営、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けた投融資(サステナブルファイナンス、トランジション・ファイナンス等)を事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面での取り組みを積極的に展開してまいります。
B.移行計画の策定
地域の脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域総合金融グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成を目指すことを宣言いたしました。
今後は、カーボンニュートラルの達成に向けて移行計画を策定してまいります。
また、2022年5月から国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」に加盟し、投融資先のCO₂排出量の算定と開示の充実に取り組んでおります。
今後も、再生可能エネルギー事業などへの投融資やお客様のCO₂排出量削減支援を促進し、地域の脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
C.シナリオ分析
事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施し、グループ全体でシナリオ分析の高度化、精緻化を行いました。
気候関連リスクとして、「物理的リスク」と「移行リスク」を認識し、「物理的リスク」では水災など異常気象に伴う資産の毀損による信用コストの増大、「移行リスク」では気候変動に伴う規制強化や消費嗜好の変化などにより影響を受けるお客様に対する信用コストの増大を想定しております。
<物理的リスク>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
豪雨などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)から、2050年までの信用コストの増加額は最大で65億円程度という結果になりました。
直接影響 (担保価値毀損) | 間接影響 (お客様の売上停滞による業績悪化) | |
リスクイベント | 水災 | |
シナリオ | 4℃シナリオ(※1) | |
地域 | 熊本県・鹿児島県 | |
リスク指標 | 信用コスト | |
分析結果(※2) | 信用コスト増加額8億円 | 信用コスト増加額57億円 |
※1 国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
※2 IPCCによるRCP8.5シナリオ等を参照しています。
<移行リスク>TCFD提言にて定義される炭素関連セクターの一部において、移行リスクの定量化を実施いたしました。選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、および需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算しました。2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で106億円程度という結果となりました。今後は、分析対象の拡大を通じて移行リスクの精緻化を図ってまいります。
直接影響 | |
シナリオ | 1.5℃シナリオ(※) |
分析対象 | TCFDが定義する炭素関連セクターの一部 |
地域 | 国内 |
分析期間 | 2050年まで |
リスク指標 | 信用コスト |
分析結果 | 単年度最大で106億円程度 |
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林業製品 |
2.05% | 2.13% | 10.22% | 3.30% |
※TCFD提言および日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
エネルギー:石油・ガス、石炭、電力(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
運輸:空運、海運、陸運、自動車
素材・建築物:金属・鉱物、化学、建設資材・資本財、不動産管理・開発
農業・食料・林業製品:飲料・食品、農業、製紙・林業
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
リスク | 異常気象の激甚化によるお客様の事業活動の停滞、物損被害の発生によって、お客様の事業や財務状況へ影響し、当社グループ貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。(短期~長期) |
環境問題への対応が競合と比べ劣後することにより当社グループの企業評価が低下する恐れがあります。(短期~長期) | |
炭素税導入、石油石炭税率引き上げ等の気候変動に関連する政策や温室効果ガス(GHG)排出規制や新築建築物のエネルギー効率規制の強化によって、お客様の事業や財務状況へ影響し、当社グループ貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。(中期~長期) | |
機会 | エネルギーセクターにおける再生可能エネルギーの普及、不動産セクターにおける高効率建築や低炭素建材の導入、自動車・運輸セクターにおける電気自動車や低炭素技術の拡大など、お客様の脱炭素化に向けた設備投資等による資金需要の増加が見込まれます。(短期~長期) |
自然災害の激甚化や環境配慮意識の向上によるお客様の行動変化により、自然災害に備えた保険商品や環境保全に関連した金融商品・サービスの提供機会の増加が見込まれます。(短期~長期) | |
すべてのセクターに共通して、異常気象の激甚化により、お客様の防災設備への追加インフラ投資等による資金需要の増加が見込まれます。(中期~長期) |