有価証券報告書-第17期(2022/04/01-2023/03/31)
<戦略>当社は、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しております。
当社は、気候変動課題を、企業のリスクと機会になると認識し、全社で取り組む必要があると考えており、中期経営計画の基本方針として、ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)を掲げ、気候変動課題をはじめとするサステナビリティを巡る社会課題の解決に取り組んでおります。
今後も、これまでの気候変動に関する取り組みをより一層推進するとともに、更なる情報開示に取り組んでまいります。
ア.気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会
当社は、気候変動による当社への主な影響(リスクと機会)を生命保険事業、資産運用のそれぞれにおいて、次のとおり認識しております。


※1 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。
※2 影響の受ける時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。
イ.気候変動が当社事業に及ぼす影響分析
気候変動が当社の事業に及ぼす影響を把握するため、以下のシナリオ分析を実施しました。今後も引き続きシナリオ分析を継続し、精度の向上を図るとともに、分析結果を踏まえて脱炭素に向けた取り組みやリスク管理を行ってまいります。
a.気候変動が当社の生命保険事業に及ぼす影響分析
気候変動が当社の生命保険事業(保険金支払)に及ぼす影響について、保険金支払額の大幅な増加に繋がるような事象として、夏季の気温上昇による熱中症の罹患者の増加、感染症媒介蚊の活動可能地域拡大等による熱帯性感染症の罹患者の増加や洪水被害等の増加・長期化による健康被害などが考えられます。
2022年度は、熱中症死亡について以下のとおり一定の前提を基に定量的に分析した結果、当社の死亡保険金支払額実績と比較して極めて小さい点や、将来のお支払いに備えて積み立てている責任準備金からのお支払いが可能である点を踏まえれば、保険金支払額の増加が当社の財務健全性に与える影響は限定的であることが確認できました。また、2021年度に実施した下記(b)及び(c)の分析結果については前提に大きな変更がないため、結果に大きな影響がないことを確認しました。
なお、気候変動が生命保険事業に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。今後、更なる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでまいります。
(a) 熱中症死亡の増加
気温上昇としてIPCC※1第5次評価報告書に基づくRCP8.5※2シナリオを適用した場合の、日本全国の平均気温の上昇を前提とし、国内で熱中症死亡が増加することを想定した試算を行いました。年齢階層別に分析を行った結果、特に高齢層を中心に、2031年度から2050年度までの累計で保険金等の支払額が約70億円程度増加するものと推定しております。
(b) 熱帯性の感染症被害拡大
感染症媒介蚊について気温上昇がもたらす活動地域・活動期間の拡大を推定し、蚊が媒介する熱帯性の感染症(デング熱、マラリア)による保険金等の支払額の増加について分析しました。気温上昇としてIPCC第5次評価報告書に基づくRCP8.5シナリオを適用し、近年の熱帯地域における熱帯性の感染症の発生状況や本邦の衛生状態等を参考に、デング熱が日本国内でも流行し、お客さまが入院、お亡くなりになったりすることを想定の上、2031年度から2050年度まで毎年被害が発生したと仮定した試算では、保険金等の支払額の増加は、20年間の累計で最大150億円程度でした。
(c) 未知の感染症の発生
熱帯林の開発、永久凍土の融解等により、未知の感染症が顕在化し、新たな感染症の大流行(パンデミック)が発生する恐れがあります。未知の感染症が発生した場合、対面営業による営業活動が困難になる等の理由により、営業実績が低迷する可能性がありますが、数十年に一度の発生確率を仮定した場合、当社の財務健全性に与える影響は限定的であることが確認できました。
※1 IPCCとは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略語で、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織のことです。
※2 RCP8.5シナリオとは、RCPシナリオの一つです。RCPシナリオとは、人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が、将来どの程度になるかを想定した排出シナリオのことです。
b.気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析
(a) NGFSの気候シナリオ分析
脱炭素社会への移行に伴う経済環境の変化により、当社保有資産への影響が想定されます。当社では、気候変動リスク等に関する金融当局ネットワーク(NGFS※1)が公開する複数の金融市場シナリオ※2及び炭素価格シナリオを使用して、2050年までの当社保有資産への影響を分析しました。
なお、気候変動が資産運用に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。今後、更なる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでまいります。
(当社運用収益に係るシナリオ分析)
NGFSシナリオ(金融市場シナリオ)の下で、当社利差益への影響を分析しました。当社が分析に使用したシナリオは、国内外の長期金利が緩やかに上昇するシナリオであることから、国債等の円金利資産を保有する当社においては、利差益の増加が見込まれました※3。
(当社保有資産に係るシナリオ分析)
NGFSシナリオ(炭素価格シナリオ)の下で、有価証券価値の下落額(投資先企業の将来炭素コスト負担増額)を分析しました。当社ポートフォリオにおいては、特に10年超の年限が長い債券において一定の下落額が見込まれました※4。実際には、投資先企業の収益悪化や時価評価額下落は徐々に顕在化することや、保有資産は途中売却が可能であること等を踏まえると、当社財務状況への影響は限定的であると考えております。
※1 NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークのことです。日本からも2018年6月に金融庁が、2019年11月に日本銀行が参加しております。使用したシナリオは、①各国が現在行われている以上の気候変動対策を行わないために地球温暖化が進行するCurrent Policiesシナリオ(3℃以上上昇)、②2050年カーボンニュートラル及び気温上昇1.5℃目標を各国が協調して計画的に達成するNet Zero 2050シナリオ、③2030年以降に急速に気候変動対策を進めるDelayed Transitionシナリオ(対応遅れ)の3シナリオです。
※2 2022年公表のシナリオ(シナリオモデル:REMIND-MAgPIE 3.0-4.4)。なお、直近のロシア・ウクライナ 戦争やこれに起因するエネルギー危機等の影響は考慮しておりません。
※3 本分析において、インフレ率の上昇等に伴う事業費の増加等は考慮しておりません。
※4 算出に必要なデータ(温室効果ガス排出量等)が揃わない場合は、分析対象外としております。また、投資先企業が将来実施する、収益改善の取り組み等による効果は考慮しておりません。
(b) 重要セクターに着目した資産運用収益への影響分析
気候変動の影響度合いが大きく、かつ当社の投融資額が多い重要度が高いセクターとして、電力、鉄鋼、エネルギーの3セクターを対象として選定し、それぞれ2℃及び4℃シナリオ※における影響度を分析しました。結果として、2℃シナリオにおいては、いずれのセクターについても、炭素税の導入や再生可能エネルギーの普及等の社会変化が業績や財務に及ぼす影響が大きくなる可能性が示されました。
今後とも、当該セクターの投資先については、分析結果を十分に考慮したエンゲージメントを実施してまいります。当社は、投資先に対し、分析により示された具体的影響に関する対話を実施するとともに対応を促し、運用成果の向上を目指します。
※ IEA「World Energy Outlook」の各シナリオ、IEAレポート、環境省他「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~」などを参照しております。
各シナリオの世界観

※ シナリオの世界観には、IEA「World Energy Outlook 2021」等を参考
シナリオ分析のプロセス

≪STEP1≫重要セクター別のリスクと機会の重要度評価
国際機関等が発行する文献調査を中心に、外部有識者の協力を得ながら、当社にとって重要な3セクターにおけるリスクと機会の重要度を評価しております。

≪STEP2、STEP3≫重要セクターへの影響
STEP1で抽出した重要セクター別の重要度の大きいリスクと機会の項目について、STEP2として2℃シナリオと4℃シナリオにおける具体的な状況を想定し、STEP3として投融資先企業の業績・財務に与える影響について定性的に評価しております。
<セクター①電力>
<セクター②エネルギー>
<セクター③鉄鋼>
※ 「影響因子(パラメータ)」及び「業績・財務への影響」に記載している矢印(↑/↓)については、影響因子の方向性又は当社の資産価値への影響の方向性を示したものです。
≪STEP4≫対応策
重要セクターの投資先について、シナリオ分析で抽出された具体的影響を十分に考慮し、「目的を持った対話」(エンゲージメント)を実施することで、中長期的な運用成果の向上を目指します。エンゲージメントにおいては、投資先に対し具体的影響への対応状況について確認するとともに、脱炭素化に向けた取り組みを促してまいります。
(c) 投資先企業における炭素コストの影響分析
今後、脱炭素社会への移行が進む中で、各国政府による炭素税の導入などカーボンプライシングを通じた炭素コストの増加により、当社の投資先企業へ影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の国内外の株式及び社債ポートフォリオについて、以下の2つのシナリオに基づいて、炭素コスト増加に伴う投資先企業への影響について定量的な分析を行いました※1、2。
投資先企業における炭素コスト負担額は、国内外の株式及び社債のすべてのアセットクラスにおいて、2050年にかけて増加します。また、国内社債において、他の資産と比較して、炭素コスト負担額が大きくなっております。これは、国内社債の投資残高が4資産中で最も高く、また炭素コストの大きいセクターの保有割合も相対的に大きいことによります。

利益指標としてのEBITDA※3と炭素コスト負担額とを比較し、炭素コスト負担額がEBITDAを超える投資先を財務への潜在的影響が大きい投資先と考え、これらへの投資金額のポートフォリオに占める割合を算出いたしました。その結果、当該割合は、2050年時点において、低価格シナリオで1.7%、高価格シナリオで9.4%となりました。

当社としては、財務への潜在的影響が大きい投資先企業に対するエンゲージメントを強化し、脱炭素化への移行を促すことで、ポートフォリオへの影響緩和を図ってまいります。
※1 分析の前提となる炭素コストの想定として、S&P Trucost社 によるUCC(Unpriced Cost of Carbon)を使用しております。UCCは、IEAによる炭素価格シナリオ等をベースとし、地域や産業特性も加味し、企業の温室効果ガス排出量を現時点のもので一定と仮定した上で、将来時点における企業の追加的な炭素コストを推計したものです。
※2 今回の分析は、現状のEBITDA、温室効果ガス排出量を用い、推定される炭素コストを前提として算出した簡易的なシミュレーションです。将来的な経済や事業環境の変化、政策対応等の変動要因は考慮しておらず、それらによって投資先への財務影響は大きく変化する可能性があります。
※3 EBITDAとは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
ウ.脱炭素に向けての取り組み
当社は、カーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素社会への移行に関する取り組みを実践し、事業の強靭性を高めてまいります。
※ ESGインテグレーションとは、投資判断において、財務情報に加え、ESG要素を考慮することです。当社では、全運用資産に対して実施しております。
当社は、気候変動課題を、企業のリスクと機会になると認識し、全社で取り組む必要があると考えており、中期経営計画の基本方針として、ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)を掲げ、気候変動課題をはじめとするサステナビリティを巡る社会課題の解決に取り組んでおります。
今後も、これまでの気候変動に関する取り組みをより一層推進するとともに、更なる情報開示に取り組んでまいります。
ア.気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会
当社は、気候変動による当社への主な影響(リスクと機会)を生命保険事業、資産運用のそれぞれにおいて、次のとおり認識しております。


※1 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。
※2 影響の受ける時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。
イ.気候変動が当社事業に及ぼす影響分析
気候変動が当社の事業に及ぼす影響を把握するため、以下のシナリオ分析を実施しました。今後も引き続きシナリオ分析を継続し、精度の向上を図るとともに、分析結果を踏まえて脱炭素に向けた取り組みやリスク管理を行ってまいります。
a.気候変動が当社の生命保険事業に及ぼす影響分析
気候変動が当社の生命保険事業(保険金支払)に及ぼす影響について、保険金支払額の大幅な増加に繋がるような事象として、夏季の気温上昇による熱中症の罹患者の増加、感染症媒介蚊の活動可能地域拡大等による熱帯性感染症の罹患者の増加や洪水被害等の増加・長期化による健康被害などが考えられます。
2022年度は、熱中症死亡について以下のとおり一定の前提を基に定量的に分析した結果、当社の死亡保険金支払額実績と比較して極めて小さい点や、将来のお支払いに備えて積み立てている責任準備金からのお支払いが可能である点を踏まえれば、保険金支払額の増加が当社の財務健全性に与える影響は限定的であることが確認できました。また、2021年度に実施した下記(b)及び(c)の分析結果については前提に大きな変更がないため、結果に大きな影響がないことを確認しました。
なお、気候変動が生命保険事業に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。今後、更なる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでまいります。
(a) 熱中症死亡の増加
気温上昇としてIPCC※1第5次評価報告書に基づくRCP8.5※2シナリオを適用した場合の、日本全国の平均気温の上昇を前提とし、国内で熱中症死亡が増加することを想定した試算を行いました。年齢階層別に分析を行った結果、特に高齢層を中心に、2031年度から2050年度までの累計で保険金等の支払額が約70億円程度増加するものと推定しております。
(b) 熱帯性の感染症被害拡大
感染症媒介蚊について気温上昇がもたらす活動地域・活動期間の拡大を推定し、蚊が媒介する熱帯性の感染症(デング熱、マラリア)による保険金等の支払額の増加について分析しました。気温上昇としてIPCC第5次評価報告書に基づくRCP8.5シナリオを適用し、近年の熱帯地域における熱帯性の感染症の発生状況や本邦の衛生状態等を参考に、デング熱が日本国内でも流行し、お客さまが入院、お亡くなりになったりすることを想定の上、2031年度から2050年度まで毎年被害が発生したと仮定した試算では、保険金等の支払額の増加は、20年間の累計で最大150億円程度でした。
(c) 未知の感染症の発生
熱帯林の開発、永久凍土の融解等により、未知の感染症が顕在化し、新たな感染症の大流行(パンデミック)が発生する恐れがあります。未知の感染症が発生した場合、対面営業による営業活動が困難になる等の理由により、営業実績が低迷する可能性がありますが、数十年に一度の発生確率を仮定した場合、当社の財務健全性に与える影響は限定的であることが確認できました。
※1 IPCCとは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略語で、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織のことです。
※2 RCP8.5シナリオとは、RCPシナリオの一つです。RCPシナリオとは、人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が、将来どの程度になるかを想定した排出シナリオのことです。
b.気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析
(a) NGFSの気候シナリオ分析
脱炭素社会への移行に伴う経済環境の変化により、当社保有資産への影響が想定されます。当社では、気候変動リスク等に関する金融当局ネットワーク(NGFS※1)が公開する複数の金融市場シナリオ※2及び炭素価格シナリオを使用して、2050年までの当社保有資産への影響を分析しました。
なお、気候変動が資産運用に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。今後、更なる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでまいります。
(当社運用収益に係るシナリオ分析)
NGFSシナリオ(金融市場シナリオ)の下で、当社利差益への影響を分析しました。当社が分析に使用したシナリオは、国内外の長期金利が緩やかに上昇するシナリオであることから、国債等の円金利資産を保有する当社においては、利差益の増加が見込まれました※3。
(当社保有資産に係るシナリオ分析)
NGFSシナリオ(炭素価格シナリオ)の下で、有価証券価値の下落額(投資先企業の将来炭素コスト負担増額)を分析しました。当社ポートフォリオにおいては、特に10年超の年限が長い債券において一定の下落額が見込まれました※4。実際には、投資先企業の収益悪化や時価評価額下落は徐々に顕在化することや、保有資産は途中売却が可能であること等を踏まえると、当社財務状況への影響は限定的であると考えております。
※1 NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークのことです。日本からも2018年6月に金融庁が、2019年11月に日本銀行が参加しております。使用したシナリオは、①各国が現在行われている以上の気候変動対策を行わないために地球温暖化が進行するCurrent Policiesシナリオ(3℃以上上昇)、②2050年カーボンニュートラル及び気温上昇1.5℃目標を各国が協調して計画的に達成するNet Zero 2050シナリオ、③2030年以降に急速に気候変動対策を進めるDelayed Transitionシナリオ(対応遅れ)の3シナリオです。
※2 2022年公表のシナリオ(シナリオモデル:REMIND-MAgPIE 3.0-4.4)。なお、直近のロシア・ウクライナ 戦争やこれに起因するエネルギー危機等の影響は考慮しておりません。
※3 本分析において、インフレ率の上昇等に伴う事業費の増加等は考慮しておりません。
※4 算出に必要なデータ(温室効果ガス排出量等)が揃わない場合は、分析対象外としております。また、投資先企業が将来実施する、収益改善の取り組み等による効果は考慮しておりません。
(b) 重要セクターに着目した資産運用収益への影響分析
気候変動の影響度合いが大きく、かつ当社の投融資額が多い重要度が高いセクターとして、電力、鉄鋼、エネルギーの3セクターを対象として選定し、それぞれ2℃及び4℃シナリオ※における影響度を分析しました。結果として、2℃シナリオにおいては、いずれのセクターについても、炭素税の導入や再生可能エネルギーの普及等の社会変化が業績や財務に及ぼす影響が大きくなる可能性が示されました。
今後とも、当該セクターの投資先については、分析結果を十分に考慮したエンゲージメントを実施してまいります。当社は、投資先に対し、分析により示された具体的影響に関する対話を実施するとともに対応を促し、運用成果の向上を目指します。
※ IEA「World Energy Outlook」の各シナリオ、IEAレポート、環境省他「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~」などを参照しております。
各シナリオの世界観

※ シナリオの世界観には、IEA「World Energy Outlook 2021」等を参考
シナリオ分析のプロセス

≪STEP1≫重要セクター別のリスクと機会の重要度評価
国際機関等が発行する文献調査を中心に、外部有識者の協力を得ながら、当社にとって重要な3セクターにおけるリスクと機会の重要度を評価しております。

≪STEP2、STEP3≫重要セクターへの影響
STEP1で抽出した重要セクター別の重要度の大きいリスクと機会の項目について、STEP2として2℃シナリオと4℃シナリオにおける具体的な状況を想定し、STEP3として投融資先企業の業績・財務に与える影響について定性的に評価しております。
<セクター①電力>

<セクター②エネルギー>

<セクター③鉄鋼>

※ 「影響因子(パラメータ)」及び「業績・財務への影響」に記載している矢印(↑/↓)については、影響因子の方向性又は当社の資産価値への影響の方向性を示したものです。
≪STEP4≫対応策
重要セクターの投資先について、シナリオ分析で抽出された具体的影響を十分に考慮し、「目的を持った対話」(エンゲージメント)を実施することで、中長期的な運用成果の向上を目指します。エンゲージメントにおいては、投資先に対し具体的影響への対応状況について確認するとともに、脱炭素化に向けた取り組みを促してまいります。
(c) 投資先企業における炭素コストの影響分析
今後、脱炭素社会への移行が進む中で、各国政府による炭素税の導入などカーボンプライシングを通じた炭素コストの増加により、当社の投資先企業へ影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の国内外の株式及び社債ポートフォリオについて、以下の2つのシナリオに基づいて、炭素コスト増加に伴う投資先企業への影響について定量的な分析を行いました※1、2。
| シナリオ | |
| 低炭素価格シナリオ | パリ協定に基づく各国のNDC(Nationally Determined Contributions、国別削減目標)が完全に実施されるシナリオ。 |
| 高炭素価格シナリオ | 各国の政府による適切な政策実施により、2100年の気温変化がパリ協定と整合的である2℃以下となるシナリオ。 |
投資先企業における炭素コスト負担額は、国内外の株式及び社債のすべてのアセットクラスにおいて、2050年にかけて増加します。また、国内社債において、他の資産と比較して、炭素コスト負担額が大きくなっております。これは、国内社債の投資残高が4資産中で最も高く、また炭素コストの大きいセクターの保有割合も相対的に大きいことによります。

利益指標としてのEBITDA※3と炭素コスト負担額とを比較し、炭素コスト負担額がEBITDAを超える投資先を財務への潜在的影響が大きい投資先と考え、これらへの投資金額のポートフォリオに占める割合を算出いたしました。その結果、当該割合は、2050年時点において、低価格シナリオで1.7%、高価格シナリオで9.4%となりました。

当社としては、財務への潜在的影響が大きい投資先企業に対するエンゲージメントを強化し、脱炭素化への移行を促すことで、ポートフォリオへの影響緩和を図ってまいります。
※1 分析の前提となる炭素コストの想定として、S&P Trucost社 によるUCC(Unpriced Cost of Carbon)を使用しております。UCCは、IEAによる炭素価格シナリオ等をベースとし、地域や産業特性も加味し、企業の温室効果ガス排出量を現時点のもので一定と仮定した上で、将来時点における企業の追加的な炭素コストを推計したものです。
※2 今回の分析は、現状のEBITDA、温室効果ガス排出量を用い、推定される炭素コストを前提として算出した簡易的なシミュレーションです。将来的な経済や事業環境の変化、政策対応等の変動要因は考慮しておらず、それらによって投資先への財務影響は大きく変化する可能性があります。
※3 EBITDAとは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
ウ.脱炭素に向けての取り組み
当社は、カーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素社会への移行に関する取り組みを実践し、事業の強靭性を高めてまいります。
| 事業会社としての取り組み | ・施設や車両の省エネ化 ・再生可能エネルギーの使用 |
| 機関投資家としての取り組み | ・ESGインテグレーション※における気候変動要素の組み込み ・気候変動への対応を重視したスチュワードシップ活動の実施 ・投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量計測及び管理 ・社会の脱炭素化に資する投資の推進 |
※ ESGインテグレーションとは、投資判断において、財務情報に加え、ESG要素を考慮することです。当社では、全運用資産に対して実施しております。