有価証券報告書-第17期(2022/04/01-2023/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社が掲げる経営理念には、お客さまによりそい、一人ひとりの人生を守り続けていくために、全社員一丸となって歩んでいくという、当社の決意が込められております。この経営理念を実現するため、当社が目指していく具体的な姿を経営方針として制定しております。
(経営理念)
いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。
(経営方針)
かんぽ生命保険は、お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指します。
① お客さま一人ひとりの人生によりそい、分かりやすい商品と質の高いサービスを提供します。
② お客さまにより良いサービスを提供するため、お客さまと接する社員が力を発揮する態勢を整備します。
③ 社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。
④ コーポレート・ガバナンスの確立による健全な経営を行い、常に新しい価値を創造することで、持続的な成長を生み出します。
⑤ 健康促進、環境保護、地域と社会の発展に積極的に貢献します。
⑥ すべてのステークホルダーと密接なコミュニケーションを図ります。
(2) 経営環境
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の国内での断続的な感染再拡大や、各国中央銀行の金融引締め政策等による海外経済の減速等の影響を受けたものの、行動制限緩和に伴う個人消費の回復、入国規制緩和によるインバウンド需要の持ち直しや、設備投資の回復等から、緩やかに回復しました。米国経済は、物価上昇を背景とした積極的な金融引締めが続く中で住宅投資が大きく減速したものの、個人消費や設備投資が下支えとなり、底堅く推移しました。欧州経済は、サービス業の回復が一巡したことに加え、エネルギー価格の高止まりや金融引締め等により需給両面の要因から製造業の活動が停滞し、減速基調で推移しました。
こうした経済状況の中、運用環境は以下のようになりました。
国内長期金利は、日本銀行の長短金利操作付き金融緩和政策のもと、11月まで概ね0.17%~0.25%程度で推移しましたが、12月に日本銀行が長期金利の許容変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大したことを受けて、0.5%程度まで上昇して推移しました。その後は、米中堅銀行の経営破綻を契機とした金融不安の高まりや、海外中銀の利上げ打ち止め観測等から海外金利が低下する中、国内長期金利も低下し、3月末は0.35%程度となりました。
日経平均株価は、円安の進展や行動制限緩和による企業業績の改善期待から8月に29,000円台まで上昇しましたが、9月には各国の金融引締め政策等による世界景気の後退懸念から25,000円台まで下落しました。その後は概ねレンジでの推移となり、12月の日本銀行による長短金利操作の修正や、3月の米中堅銀行の破綻を契機として下落する場面もありましたが、海外中銀の利上げ打ち止め観測や、各国金融当局の迅速な対応による金融不安の鎮静化等を受けて持ち直し、3月末は28,000円台となりました。
また、近年、生命保険業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。
少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い伝統的な死亡保障へのニーズが縮小する一方、社会保障制度に対する不安感や自助努力意識の高まりから、医療・介護等の第三分野商品に対するニーズの拡大が見られ、今後もこの傾向は継続するものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、お客さまに迅速かつ適切に保険金等をお支払いするという生命保険事業の社会的役割は重要性を増しております。また、各種サービスのデジタル化に向けた取り組み等が進展しており、当社としても、時代とともに加速するお客さまの価値観やライフスタイルの変化・多様化に合わせて最適なサービスを提供できるよう、引き続きお客さま本位の業務運営の推進・定着に取り組んでいます。
販売チャネルにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う環境変化等により、従来からの営業職員チャネルや銀行を中心とした金融機関の窓口販売チャネル等の対面チャネルに加え、デジタル技術の活用により非対面・非接触での保険サービスを提供する取り組みが進んでおります。
当社におきましては、創業以来、養老保険・終身保険を中心とした簡易で小口な商品を、全国津々浦々の郵便局を通じて、家庭市場を中心に多くのお客さまにご提供するという独自のビジネスモデルを展開してまいりました。商品・チャネル・顧客基盤といったこれらの特徴は、他社にはない当社の大きな強みである一方、時代や環境の変化に適応したビジネスモデルの転換を図る必要性を認識しております。かかる課題認識を踏まえた当社の成長戦略の詳細は、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
また、当社は、2019年度において、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案が判明いたしました。これにより、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。
当該業務改善計画の実施状況については、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります(以下、かかる事案の経緯及び再発防止に向けた取り組み等を総称し、「募集品質に係る諸問題」といいます。)。
(3) 目標とする経営指標
当社は、お客さまから真に信頼される企業へと「再生」し、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、お客さま体験価値(CX)※1を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、「持続的成長」を目指す、との経営の方向性を示すものとして、2022年3月期からの中期経営計画を、2021年5月に公表いたしました。本中期経営計画において、当社グループは、お客さまのご評価を主要目標として設定し、「お客さま満足度」※2や「ネットプロモータースコア(NPS®)」※3の向上を目指してまいります。また、ご契約の継続を重視し、経営基盤を維持していくためのストックベースの目標として「保有契約件数(個人保険)」を設定するとともに、財務目標として「連結当期純利益」、「1株当たり配当額」及び「EV成長率」を設定しております。
※1 お客さま体験価値(CX)とは、Customer Experienceの略語で、商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値のことです。
※2 お客さま満足度を5段階評価として、「満足」「やや満足」として回答いただいた合計割合です。
※3 ネットプロモータースコア(NPS®)とは、Net Promoter Scoreの略語であり、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
当該主要目標の達成状況については、下記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 目標とする経営指標の達成状況等」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略及び対処すべき課題
(当社における募集品質に係る諸問題について)
当社は、2019年度において発生した当社及び当社代理店の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。業務改善計画において掲げた再発防止策(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)については、2023年4月までにすべて実施済みとなっております。
(中期経営計画)
当社は、2021年5月に、2021年度から2025年度までの中期経営計画を公表いたしました。この中期経営計画において、当社は、生命保険会社としての社会的使命を果たしていくため、今一度「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念に立ち返り、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、持続的な成長を目指しております。
しかしながら、2022年度の新契約は緩やかな回復に留まっており、保有契約も減少傾向が継続していることから、2023年度においては、特に、営業推進体制の改革を通じて、コンサルタント一人ひとりの成長を促していく「営業力の底力をつける取り組み」とお客さま体験価値の向上に加え、業務の効率化による生産性の向上や一層のコスト削減を図る「ビジネスモデルの改革」に両輪として取り組み、社員一人ひとりが主体的に行動することで持続的な成長を実現してまいります。
① 再生に向けた取り組み
ア.信頼回復に向けた取り組みの継続
2022年4月より、当社は専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実施しております。2023年度は、新しいかんぽ営業体制構築の意義を踏まえ、2023年度の営業目標の達成と、向こう3年間を見据えて営業の底力を築いていくことを目指し、取り組みを進めてまいります。具体的には、営業社員の育成について、中長期的な視点で一人ひとりの能力を伸ばすため、一人ひとりの能力の伸びを定量的に評価する仕組みを構築します。加えて、経営課題である営業推進に会社を挙げて取り組むため、本社・フロントライン※が一体で営業を推進する体制へと改革します。その上で、目標達成に向けた手段を本社から示すとともに、積極的に意思疎通を図ることで、本社とフロントラインの情報・考え方を常に一致させ、全社を挙げて営業推進に取り組んでまいります。
今後も、上記の取り組みを通じて、新しいかんぽ営業体制を定着させ、お客さまのご意向に沿った提案を更に増やすことにより、新契約の回復を通じて保有契約の確保を目指してまいります。
※ フロントラインとは、お客さま対応を行う営業部門等のことです。
イ.事業基盤の強化
a.保険サービスの充実
人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えするとともに、世代を繋ぎ顧客基盤の拡大に寄与する保険サービスの開発を進めてまいります。
具体的には、2023年4月より、戻り率※を改善するなど学資保険「はじめのかんぽ」の商品改定を実施しており、より魅力的な商品をお客さまに提供することで、青壮年層のお客さまの利用拡大に繋げるとともに、学資保険を起点に、ご加入いただいたお客さま等から、そのご家族や知人へ当社商品をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいりたいと考えております。今後も、継続的にお客さまニーズに応える保険サービスの開発に取り組んでまいります。
※ 戻り率とは、払い込みいただく保険料総額に対する、受け取れる学資金の割合のことです。
b.資産運用の深化・高度化
資産運用においては、ERM※1のフレームワークの下、ALM※2運用を基本として、安定的な資産運用収益の確保を目指すとともに、2025年予定の経済価値ベースの新資本規制導入の動きに適切に対処しつつ、オルタナティブ※3等の投資領域ごととポートフォリオ構築の両面から資産運用を深化・高度化してまいります。なお、収益追求資産への投資については、米国金利の上昇等の直近の市場環境の変化に適切に対応するため、ポートフォリオを見直したことにより、中期経営計画期間において、総資産に占める収益追求資産の比率が16%程度となることを見込んでおります。引き続き、リスク許容量と投資機会に応じてオルタナティブ等の収益追求資産への投資を継続してまいります。
ESG※4投資については、温室効果ガス削減目標達成に向けた投資先に対する目的を持った対話(エンゲージメント)の強化、中期経営計画期間中のKPIに設定した、投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力の目標達成に向けた投融資の積極化、「インパクト“K”プロジェクト」※5を通じた社会課題解決に向けたインパクト志向の投資※6の推進を進めてまいります。
※1 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
※2 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
※3 オルタナティブとは、債券や上場株式などの相対的に歴史の長い金融商品(伝統的資産)以外の新しい投資対象や投資手法の総称です。
※4 ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。
※5 「インパクト“K”プロジェクト」とは、かんぽ生命が独自に定める投資のフレームワークを用いることで、当社の実現したい未来の社会及びそれに繋がる社会課題解決に向け、各アセットの特性に応じてインパクト志向の投資を推進する取り組みです。
※6 インパクト志向の投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
c.事業運営の効率化・高度化
当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、お客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に取り組んでおります。具体的には、デジタルを活用し、保険金請求等の手続きの受付において簡易で分かりやすい操作方法等を導入し、コンサルタント等の業務を効率化するとともに、受付時のペーパーレス化を実現することにより、印刷費や書類保管費用を削減し、その場で処理を完結させることで、書類審査や請求内容のシステム入力等のバックオフィス業務を削減してまいります。併せて、当社のフロントラインにおける内務事務の見直しや効率化の推進に取り組んでまいります。このほか、当社の旅費支払等の業務を、日本郵政コーポレートサービス株式会社に委託することで、業務の更なる効率化を実現してまいります。
今後も中期経営計画に掲げる業務の効率化、経費の削減や強化領域への投資などの取り組みを進め、事業運営の効率化・高度化を進めてまいります。
② 持続的成長に向けた取り組み
ア.お客さま体験価値の向上
当社は、引き続き、お客さま体験価値(CX)の向上の観点から、保険サービスを抜本的に見直し、お客さまの利便性や募集品質を向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう取り組みます。また、その体験価値をご評価いただいたお客さまから、そのご家族や知人、更には地域・社会全体へかんぽ生命をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいります。
具体的には、「お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案」、「その場で完結する簡便な手続きの提供」、「チーム一体でのきめ細やかなサポート」、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー」に取り組んでまいります。
なお、これらの取り組みの実現には、高い技術力を持ったデジタル人材を獲得することが必要不可欠であり、その実現に向け、2023年5月に、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社において子会社「かんぽデジタルシステムズ株式会社」を設立しております。当該子会社を活用し、クラウド運用や開発といった先進技術を導入することで、当社のお客さま体験価値の向上を加速させてまいります。
a.お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案
お客さまのニーズや必要な保障内容などについてデジタルを活用したツール等により可視化するとともに、遠方にお住いのご家族等にも同席いただける仕組みを導入し、お客さま一人ひとりに最適なご提案を行ってまいります。2023年度においては、営業社員がお客さまのご意向を、正しく・漏れなく・適切なタイミングで把握するためのシステムサポート機能の導入に取り組んでまいります。
b.その場で完結する簡便な手続きの提供
デジタル技術の活用により、お客さまのニーズに応じて、オンライン、対面等様々なお申込み・ご請求形態を選択できるようにしてまいります。2023年度には、契約者さま向けWebサービス(マイページ)において、貸付の一部弁済や、ご契約者さまと被保険者さまが別人の保険契約における、貸付を可能とする機能等を拡充するとともに、ご家族でもマイページの閲覧ができるようにしてまいります。加えて、保険金受取人の指定・変更請求等から請求受付やバックオフィス業務のデジタル化を開始するとともに、対象請求を順次拡大し、その場で完結する簡便な手続を更に可能としてまいります。
また、お客さまの契約状況や問合せチャネルに関わらず、デジタルや非対面チャネルを効果的に組み合わせ、お客さまのお困りごとをスムーズに解決する体制の構築に取り組んでおります。
c.チーム一体でのきめ細やかなサポート
コンサルタント、郵便局窓口に加えてカスタマーセンタースタッフなど、お客さまにご対応するすべての社員がチーム一体で、きめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供できる環境を整備してまいります。具体的には、2023年4月に、カスタマーサービス推進部を新設し、サポートの本格開始に向け体制強化を図っております。加えて、2022年度から一部地域で実施している、申込手続時にオンラインでご意向確認を行う取り組みについて、対象地域の拡大を進めております。更に、お客さまと当社のコンタクト情報等を契約単位で集約した、お客さまデータベースの稼働を開始しており、2023年度には、お客さまからの各種請求を、契約単位ではなくお客さま単位で漏れなく受付可能となるよう機能拡大に取り組んでまいります。
d.お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー
訪問による対面の対応に加えて、オンラインなど様々な方法による手厚いアフターフォローや、メール等によるお客さまごとに最適なタイミングでの情報提供を行うなど、お客さまのニーズに幅広くお応えすることで、お客さまの周囲の方々も含めた信頼の獲得を目指してまいります。2023年度には、お客さまのライフイベントや関心に応じた有益な情報のメール配信等を順次拡大するとともに、各種手続きや次のステージのライフプランのご相談をサポートする取り組み等を行うことで、手厚いアフターフォロー等を実施してまいります。また、各種請求や手続きを実施したお客さま情報等をコンサルタントへ連携・通知し、アフターフォローを行う施策を一部地域において開始しており、2023年度中の全国展開に向け準備を進めております。
イ.ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)
当社は、自らの社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決に貢献してまいります。優先的に取り組む社会課題(マテリアリティ)として、「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「地域と社会の発展・環境保護への貢献」、「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being※1向上」、「社員一人ひとりが生き生きと活躍できる環境の確立」、「社会的使命を支えるコーポレートガバナンス」の5つの課題を設定し、解決に向けて取り組んでまいります。
具体的には、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減や女性管理職比率の向上に向けた取り組みに加え、2023年度の重点的な取り組みとして、人権デューデリジェンス※2や生物多様性の保全に向けた対応も進めてまいります。今後も推進態勢の更なる強化を図るとともに、サステナビリティレポート等を通じて、積極的に情報開示をしてまいります。また、当社のマテリアリティの一つである「地域と社会の発展・環境保護への貢献」の実現及び当社の信頼感・認知度の更なる向上のため、社会の中で生きていく力の素地を形成する時期である小学校高学年向けに、「お金の教育」に係る当社独自の教材を活用した授業を実施してまいります。
加えて、当社は、介護や相続といった社会課題の解決に向けて、お客さまにとってなくてはならないサービスの開発に取り組んでおります。2022年11月には、ベンチャー企業やベンチャー投資に関する調査・研究を行うかんぽNEXTパートナーズ株式会社を当社の子会社として設立し、2023年2月には、ベンチャー企業へ投資業務を行う会社とすることについての認可申請を行っております。今後、更なるベンチャー企業の成長への貢献と当社との事業連携による新サービスの開発等によるお客さまへの提供価値の向上を目指してまいります。
※1 Well-beingとは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることです。
※2 人権デューデリジェンスとは、企業が人権に与える影響を特定し、対処するための継続的なプロセスを指します。
③ 再生と成長のための土台作り
ア.企業風土改革・働き方改革
当社は、経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長する企業を目指します。
具体的には、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、中長期的な人材ポートフォリオモデルを踏まえた社員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援、マネジメント力の強化、人事評価制度の高度化を柱とした企業風土改革を推進してまいります。また、全社員を対象としたES調査(エンゲージメントスコア調査)を通じて、上記取り組みの効果検証及び改善、並びに全社及び各職場の課題解決に全社を挙げて取り組むとともに、テレワークの活用などにより多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、働き方改革を推進してまいります。併せて、女性活躍推進、仕事と育児・介護との両立支援、障がい者雇用の推進、性の多様性に対する理解浸透等による、ダイバーシティの実現を推進してまいります。
これらの取り組みにより、社内コミュニケーションが活性化され、相互理解の下、全社が一体感を持ち、お客さま本位の考え方に基づき自律的・主体的に行動する会社を実現してまいります。
イ.ガバナンスの強化
当社は、組織としての透明性・公平性を確実に高め、更には、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。
健全なコーポレートガバナンスを確保した上で、不祥事件等対策、マネー・ローンダリング等対策及び個人情報保護・情報セキュリティ対策を強化するなど、健全な業務運営を確保するための取り組みを継続して実施してまいります。なお、不適切な取扱いが発覚した場合には、速やかに事実確認を行うとともに、再発防止策を講じ、その徹底を図ってまいります。また、当社の提供する保険サービスなどがマネー・ローンダリング等に悪用されることを防止する観点から、事業の特性及び代理店の状況並びに法令等を踏まえ、マネー・ローンダリング等に係るリスクの低減や顧客管理態勢の高度化に取り組んでおります。このほか、DX戦略の推進に合わせて、サイバー攻撃への検知をはじめ情報セキュリティ管理態勢の強化に取り組んでまいります。
上記の中期経営計画の取り組み等を実施することで、株主、投資家をはじめとする様々なステークホルダーの皆さまのご期待に沿えるよう、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(1) 経営方針
当社が掲げる経営理念には、お客さまによりそい、一人ひとりの人生を守り続けていくために、全社員一丸となって歩んでいくという、当社の決意が込められております。この経営理念を実現するため、当社が目指していく具体的な姿を経営方針として制定しております。
(経営理念)
いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。
(経営方針)
かんぽ生命保険は、お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指します。
① お客さま一人ひとりの人生によりそい、分かりやすい商品と質の高いサービスを提供します。
② お客さまにより良いサービスを提供するため、お客さまと接する社員が力を発揮する態勢を整備します。
③ 社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。
④ コーポレート・ガバナンスの確立による健全な経営を行い、常に新しい価値を創造することで、持続的な成長を生み出します。
⑤ 健康促進、環境保護、地域と社会の発展に積極的に貢献します。
⑥ すべてのステークホルダーと密接なコミュニケーションを図ります。
(2) 経営環境
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の国内での断続的な感染再拡大や、各国中央銀行の金融引締め政策等による海外経済の減速等の影響を受けたものの、行動制限緩和に伴う個人消費の回復、入国規制緩和によるインバウンド需要の持ち直しや、設備投資の回復等から、緩やかに回復しました。米国経済は、物価上昇を背景とした積極的な金融引締めが続く中で住宅投資が大きく減速したものの、個人消費や設備投資が下支えとなり、底堅く推移しました。欧州経済は、サービス業の回復が一巡したことに加え、エネルギー価格の高止まりや金融引締め等により需給両面の要因から製造業の活動が停滞し、減速基調で推移しました。
こうした経済状況の中、運用環境は以下のようになりました。
国内長期金利は、日本銀行の長短金利操作付き金融緩和政策のもと、11月まで概ね0.17%~0.25%程度で推移しましたが、12月に日本銀行が長期金利の許容変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大したことを受けて、0.5%程度まで上昇して推移しました。その後は、米中堅銀行の経営破綻を契機とした金融不安の高まりや、海外中銀の利上げ打ち止め観測等から海外金利が低下する中、国内長期金利も低下し、3月末は0.35%程度となりました。
日経平均株価は、円安の進展や行動制限緩和による企業業績の改善期待から8月に29,000円台まで上昇しましたが、9月には各国の金融引締め政策等による世界景気の後退懸念から25,000円台まで下落しました。その後は概ねレンジでの推移となり、12月の日本銀行による長短金利操作の修正や、3月の米中堅銀行の破綻を契機として下落する場面もありましたが、海外中銀の利上げ打ち止め観測や、各国金融当局の迅速な対応による金融不安の鎮静化等を受けて持ち直し、3月末は28,000円台となりました。
また、近年、生命保険業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。
少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い伝統的な死亡保障へのニーズが縮小する一方、社会保障制度に対する不安感や自助努力意識の高まりから、医療・介護等の第三分野商品に対するニーズの拡大が見られ、今後もこの傾向は継続するものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、お客さまに迅速かつ適切に保険金等をお支払いするという生命保険事業の社会的役割は重要性を増しております。また、各種サービスのデジタル化に向けた取り組み等が進展しており、当社としても、時代とともに加速するお客さまの価値観やライフスタイルの変化・多様化に合わせて最適なサービスを提供できるよう、引き続きお客さま本位の業務運営の推進・定着に取り組んでいます。
販売チャネルにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う環境変化等により、従来からの営業職員チャネルや銀行を中心とした金融機関の窓口販売チャネル等の対面チャネルに加え、デジタル技術の活用により非対面・非接触での保険サービスを提供する取り組みが進んでおります。
当社におきましては、創業以来、養老保険・終身保険を中心とした簡易で小口な商品を、全国津々浦々の郵便局を通じて、家庭市場を中心に多くのお客さまにご提供するという独自のビジネスモデルを展開してまいりました。商品・チャネル・顧客基盤といったこれらの特徴は、他社にはない当社の大きな強みである一方、時代や環境の変化に適応したビジネスモデルの転換を図る必要性を認識しております。かかる課題認識を踏まえた当社の成長戦略の詳細は、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
また、当社は、2019年度において、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案が判明いたしました。これにより、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。
当該業務改善計画の実施状況については、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります(以下、かかる事案の経緯及び再発防止に向けた取り組み等を総称し、「募集品質に係る諸問題」といいます。)。
(3) 目標とする経営指標
当社は、お客さまから真に信頼される企業へと「再生」し、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、お客さま体験価値(CX)※1を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、「持続的成長」を目指す、との経営の方向性を示すものとして、2022年3月期からの中期経営計画を、2021年5月に公表いたしました。本中期経営計画において、当社グループは、お客さまのご評価を主要目標として設定し、「お客さま満足度」※2や「ネットプロモータースコア(NPS®)」※3の向上を目指してまいります。また、ご契約の継続を重視し、経営基盤を維持していくためのストックベースの目標として「保有契約件数(個人保険)」を設定するとともに、財務目標として「連結当期純利益」、「1株当たり配当額」及び「EV成長率」を設定しております。
※1 お客さま体験価値(CX)とは、Customer Experienceの略語で、商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値のことです。
※2 お客さま満足度を5段階評価として、「満足」「やや満足」として回答いただいた合計割合です。
※3 ネットプロモータースコア(NPS®)とは、Net Promoter Scoreの略語であり、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
当該主要目標の達成状況については、下記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 目標とする経営指標の達成状況等」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略及び対処すべき課題
(当社における募集品質に係る諸問題について)
当社は、2019年度において発生した当社及び当社代理店の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。業務改善計画において掲げた再発防止策(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)については、2023年4月までにすべて実施済みとなっております。
(中期経営計画)
当社は、2021年5月に、2021年度から2025年度までの中期経営計画を公表いたしました。この中期経営計画において、当社は、生命保険会社としての社会的使命を果たしていくため、今一度「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念に立ち返り、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、持続的な成長を目指しております。
しかしながら、2022年度の新契約は緩やかな回復に留まっており、保有契約も減少傾向が継続していることから、2023年度においては、特に、営業推進体制の改革を通じて、コンサルタント一人ひとりの成長を促していく「営業力の底力をつける取り組み」とお客さま体験価値の向上に加え、業務の効率化による生産性の向上や一層のコスト削減を図る「ビジネスモデルの改革」に両輪として取り組み、社員一人ひとりが主体的に行動することで持続的な成長を実現してまいります。
① 再生に向けた取り組み
ア.信頼回復に向けた取り組みの継続
2022年4月より、当社は専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実施しております。2023年度は、新しいかんぽ営業体制構築の意義を踏まえ、2023年度の営業目標の達成と、向こう3年間を見据えて営業の底力を築いていくことを目指し、取り組みを進めてまいります。具体的には、営業社員の育成について、中長期的な視点で一人ひとりの能力を伸ばすため、一人ひとりの能力の伸びを定量的に評価する仕組みを構築します。加えて、経営課題である営業推進に会社を挙げて取り組むため、本社・フロントライン※が一体で営業を推進する体制へと改革します。その上で、目標達成に向けた手段を本社から示すとともに、積極的に意思疎通を図ることで、本社とフロントラインの情報・考え方を常に一致させ、全社を挙げて営業推進に取り組んでまいります。
今後も、上記の取り組みを通じて、新しいかんぽ営業体制を定着させ、お客さまのご意向に沿った提案を更に増やすことにより、新契約の回復を通じて保有契約の確保を目指してまいります。
※ フロントラインとは、お客さま対応を行う営業部門等のことです。
イ.事業基盤の強化
a.保険サービスの充実
人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えするとともに、世代を繋ぎ顧客基盤の拡大に寄与する保険サービスの開発を進めてまいります。
具体的には、2023年4月より、戻り率※を改善するなど学資保険「はじめのかんぽ」の商品改定を実施しており、より魅力的な商品をお客さまに提供することで、青壮年層のお客さまの利用拡大に繋げるとともに、学資保険を起点に、ご加入いただいたお客さま等から、そのご家族や知人へ当社商品をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいりたいと考えております。今後も、継続的にお客さまニーズに応える保険サービスの開発に取り組んでまいります。
※ 戻り率とは、払い込みいただく保険料総額に対する、受け取れる学資金の割合のことです。
b.資産運用の深化・高度化
資産運用においては、ERM※1のフレームワークの下、ALM※2運用を基本として、安定的な資産運用収益の確保を目指すとともに、2025年予定の経済価値ベースの新資本規制導入の動きに適切に対処しつつ、オルタナティブ※3等の投資領域ごととポートフォリオ構築の両面から資産運用を深化・高度化してまいります。なお、収益追求資産への投資については、米国金利の上昇等の直近の市場環境の変化に適切に対応するため、ポートフォリオを見直したことにより、中期経営計画期間において、総資産に占める収益追求資産の比率が16%程度となることを見込んでおります。引き続き、リスク許容量と投資機会に応じてオルタナティブ等の収益追求資産への投資を継続してまいります。
ESG※4投資については、温室効果ガス削減目標達成に向けた投資先に対する目的を持った対話(エンゲージメント)の強化、中期経営計画期間中のKPIに設定した、投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力の目標達成に向けた投融資の積極化、「インパクト“K”プロジェクト」※5を通じた社会課題解決に向けたインパクト志向の投資※6の推進を進めてまいります。
※1 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
※2 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
※3 オルタナティブとは、債券や上場株式などの相対的に歴史の長い金融商品(伝統的資産)以外の新しい投資対象や投資手法の総称です。
※4 ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。
※5 「インパクト“K”プロジェクト」とは、かんぽ生命が独自に定める投資のフレームワークを用いることで、当社の実現したい未来の社会及びそれに繋がる社会課題解決に向け、各アセットの特性に応じてインパクト志向の投資を推進する取り組みです。
※6 インパクト志向の投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
c.事業運営の効率化・高度化
当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、お客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に取り組んでおります。具体的には、デジタルを活用し、保険金請求等の手続きの受付において簡易で分かりやすい操作方法等を導入し、コンサルタント等の業務を効率化するとともに、受付時のペーパーレス化を実現することにより、印刷費や書類保管費用を削減し、その場で処理を完結させることで、書類審査や請求内容のシステム入力等のバックオフィス業務を削減してまいります。併せて、当社のフロントラインにおける内務事務の見直しや効率化の推進に取り組んでまいります。このほか、当社の旅費支払等の業務を、日本郵政コーポレートサービス株式会社に委託することで、業務の更なる効率化を実現してまいります。
今後も中期経営計画に掲げる業務の効率化、経費の削減や強化領域への投資などの取り組みを進め、事業運営の効率化・高度化を進めてまいります。
② 持続的成長に向けた取り組み
ア.お客さま体験価値の向上
当社は、引き続き、お客さま体験価値(CX)の向上の観点から、保険サービスを抜本的に見直し、お客さまの利便性や募集品質を向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう取り組みます。また、その体験価値をご評価いただいたお客さまから、そのご家族や知人、更には地域・社会全体へかんぽ生命をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいります。
具体的には、「お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案」、「その場で完結する簡便な手続きの提供」、「チーム一体でのきめ細やかなサポート」、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー」に取り組んでまいります。
なお、これらの取り組みの実現には、高い技術力を持ったデジタル人材を獲得することが必要不可欠であり、その実現に向け、2023年5月に、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社において子会社「かんぽデジタルシステムズ株式会社」を設立しております。当該子会社を活用し、クラウド運用や開発といった先進技術を導入することで、当社のお客さま体験価値の向上を加速させてまいります。
a.お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案
お客さまのニーズや必要な保障内容などについてデジタルを活用したツール等により可視化するとともに、遠方にお住いのご家族等にも同席いただける仕組みを導入し、お客さま一人ひとりに最適なご提案を行ってまいります。2023年度においては、営業社員がお客さまのご意向を、正しく・漏れなく・適切なタイミングで把握するためのシステムサポート機能の導入に取り組んでまいります。
b.その場で完結する簡便な手続きの提供
デジタル技術の活用により、お客さまのニーズに応じて、オンライン、対面等様々なお申込み・ご請求形態を選択できるようにしてまいります。2023年度には、契約者さま向けWebサービス(マイページ)において、貸付の一部弁済や、ご契約者さまと被保険者さまが別人の保険契約における、貸付を可能とする機能等を拡充するとともに、ご家族でもマイページの閲覧ができるようにしてまいります。加えて、保険金受取人の指定・変更請求等から請求受付やバックオフィス業務のデジタル化を開始するとともに、対象請求を順次拡大し、その場で完結する簡便な手続を更に可能としてまいります。
また、お客さまの契約状況や問合せチャネルに関わらず、デジタルや非対面チャネルを効果的に組み合わせ、お客さまのお困りごとをスムーズに解決する体制の構築に取り組んでおります。
c.チーム一体でのきめ細やかなサポート
コンサルタント、郵便局窓口に加えてカスタマーセンタースタッフなど、お客さまにご対応するすべての社員がチーム一体で、きめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供できる環境を整備してまいります。具体的には、2023年4月に、カスタマーサービス推進部を新設し、サポートの本格開始に向け体制強化を図っております。加えて、2022年度から一部地域で実施している、申込手続時にオンラインでご意向確認を行う取り組みについて、対象地域の拡大を進めております。更に、お客さまと当社のコンタクト情報等を契約単位で集約した、お客さまデータベースの稼働を開始しており、2023年度には、お客さまからの各種請求を、契約単位ではなくお客さま単位で漏れなく受付可能となるよう機能拡大に取り組んでまいります。
d.お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー
訪問による対面の対応に加えて、オンラインなど様々な方法による手厚いアフターフォローや、メール等によるお客さまごとに最適なタイミングでの情報提供を行うなど、お客さまのニーズに幅広くお応えすることで、お客さまの周囲の方々も含めた信頼の獲得を目指してまいります。2023年度には、お客さまのライフイベントや関心に応じた有益な情報のメール配信等を順次拡大するとともに、各種手続きや次のステージのライフプランのご相談をサポートする取り組み等を行うことで、手厚いアフターフォロー等を実施してまいります。また、各種請求や手続きを実施したお客さま情報等をコンサルタントへ連携・通知し、アフターフォローを行う施策を一部地域において開始しており、2023年度中の全国展開に向け準備を進めております。
イ.ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)
当社は、自らの社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決に貢献してまいります。優先的に取り組む社会課題(マテリアリティ)として、「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「地域と社会の発展・環境保護への貢献」、「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being※1向上」、「社員一人ひとりが生き生きと活躍できる環境の確立」、「社会的使命を支えるコーポレートガバナンス」の5つの課題を設定し、解決に向けて取り組んでまいります。
具体的には、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減や女性管理職比率の向上に向けた取り組みに加え、2023年度の重点的な取り組みとして、人権デューデリジェンス※2や生物多様性の保全に向けた対応も進めてまいります。今後も推進態勢の更なる強化を図るとともに、サステナビリティレポート等を通じて、積極的に情報開示をしてまいります。また、当社のマテリアリティの一つである「地域と社会の発展・環境保護への貢献」の実現及び当社の信頼感・認知度の更なる向上のため、社会の中で生きていく力の素地を形成する時期である小学校高学年向けに、「お金の教育」に係る当社独自の教材を活用した授業を実施してまいります。
加えて、当社は、介護や相続といった社会課題の解決に向けて、お客さまにとってなくてはならないサービスの開発に取り組んでおります。2022年11月には、ベンチャー企業やベンチャー投資に関する調査・研究を行うかんぽNEXTパートナーズ株式会社を当社の子会社として設立し、2023年2月には、ベンチャー企業へ投資業務を行う会社とすることについての認可申請を行っております。今後、更なるベンチャー企業の成長への貢献と当社との事業連携による新サービスの開発等によるお客さまへの提供価値の向上を目指してまいります。
※1 Well-beingとは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることです。
※2 人権デューデリジェンスとは、企業が人権に与える影響を特定し、対処するための継続的なプロセスを指します。
③ 再生と成長のための土台作り
ア.企業風土改革・働き方改革
当社は、経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長する企業を目指します。
具体的には、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、中長期的な人材ポートフォリオモデルを踏まえた社員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援、マネジメント力の強化、人事評価制度の高度化を柱とした企業風土改革を推進してまいります。また、全社員を対象としたES調査(エンゲージメントスコア調査)を通じて、上記取り組みの効果検証及び改善、並びに全社及び各職場の課題解決に全社を挙げて取り組むとともに、テレワークの活用などにより多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、働き方改革を推進してまいります。併せて、女性活躍推進、仕事と育児・介護との両立支援、障がい者雇用の推進、性の多様性に対する理解浸透等による、ダイバーシティの実現を推進してまいります。
これらの取り組みにより、社内コミュニケーションが活性化され、相互理解の下、全社が一体感を持ち、お客さま本位の考え方に基づき自律的・主体的に行動する会社を実現してまいります。
イ.ガバナンスの強化
当社は、組織としての透明性・公平性を確実に高め、更には、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。
健全なコーポレートガバナンスを確保した上で、不祥事件等対策、マネー・ローンダリング等対策及び個人情報保護・情報セキュリティ対策を強化するなど、健全な業務運営を確保するための取り組みを継続して実施してまいります。なお、不適切な取扱いが発覚した場合には、速やかに事実確認を行うとともに、再発防止策を講じ、その徹底を図ってまいります。また、当社の提供する保険サービスなどがマネー・ローンダリング等に悪用されることを防止する観点から、事業の特性及び代理店の状況並びに法令等を踏まえ、マネー・ローンダリング等に係るリスクの低減や顧客管理態勢の高度化に取り組んでおります。このほか、DX戦略の推進に合わせて、サイバー攻撃への検知をはじめ情報セキュリティ管理態勢の強化に取り組んでまいります。
上記の中期経営計画の取り組み等を実施することで、株主、投資家をはじめとする様々なステークホルダーの皆さまのご期待に沿えるよう、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。