有価証券報告書-第14期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「私たちは、がん免疫治療分野の最先端を切り拓くことにより、一人ひとりが自らの力でがんを克服する世界を実現します。」を経営理念として、安全性が高く、QOL(Quality of Life - 生活の質)の髙いがん治療薬の研究開発の推進及び医薬品(薬剤)の上市の実現を目指します。
がんの克服を願うすべての人にとって「希望の光」となるがん治療薬の創製を目指すために、がん免疫療法を「サイエンスの光」で照らし、自らが前人未踏の領域を突破するための研究開発を推進する光となる意思を込めて、2017年7月1日から会社名を「ブライトパス・バイオ株式会社」に変更いたします。
当社グループは、安定経営の基盤作り及びステークホルダーへの価値創出の最大化に尽力することを基礎として、当社の技術・ノウハウを活用・発展させて、がんに苦しむ患者様のQOL(Quality of Life - 生活の質)の向上及び国内外のがん免疫療法(Immuno-Oncology)の領域及び市場の拡大に寄与するとともに、世界のがん治療の発展に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果としてライセンス・アウトによる契約一時金やマイルストン収入、販売ロイヤリティなどを獲得するビジネス・モデルであります。
中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規パイプラインを積極的に導入していく方針でありますので、当面は研究開発活動に専念することとなり、研究開発費用を主要因とする損失が続く状況であります。
従いまして、売上高や親会社株主に帰属する当期純損失の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、研究開発活動の効率化、パイプラインの充実を財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
リード開発品ITK-1は、ライセンス契約済みで、2018年度中に予定する去勢抵抗性前立線がん対象Ph3試験の最終解析で有効性と安全性を検証し承認申請に移行できれば、その後数年に亘って開発マイルストーン報酬、上市できれば販売ロイヤリティ収入が見込まれます。GRN-1201は、現在進めている非小細胞肺がん対象の免疫チェックポイント阻害剤併用Ph2試験で有効性を示すことができれば、その臨床データをもってライセンスアウトし、契約一時金から始まるライセンス収入を得ていくことを想定しています。それに重なるかたちで、導入および自社創製の新規パイプラインが収益化のタイミングを迎えるよう、多様な開発プロジェクトを進めています。
当社は今後、これまでのがんペプチドワクチンを中心とした事業展開から、がん免疫療法のより広い領域(創薬モダリティー)で研究開発を行っていきたい考えです。がん免疫療法の中心的な概念である免疫応答は、近年その学術的な各イベントを多段階の免疫サイクルとして語られることが多くなりました。当社はその免疫サイクルの中において一箇所に留まるのではなく、各ステップを横断的にカバーするパイプライン構成を目指すことで、一つひとつのパイプラインから得た独自のノウハウが、優秀な人材の獲得や共同研究ネットワークの拡大など、複合的にシナジーを生み出す事業体系を目指してまいります。
免疫チェックポイント抗体は、免疫サイクルの一部へのアプローチを改善したものといえますが、今後はその他のどのポイントに位置づけられる薬剤同士を組み合わせるのが良いのかという「複合化」が、そしていかに患者個々人に合う治療法が提供できるかという「個別化」がキーワードになってくると考えられます。
近況ではGRN-1301(ネオアンチゲン)、T-iPSなどの新規パイプラインを開始いたしましたが、今後さらなる躍進を遂げるために、前述の免疫サイクルへの統合的アプローチの推進と、時代の流れを読んだ今以上のスピードによる事業展開を行ってまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは設立以来、創薬ベンチャーとして、新規作用メカニズムのがん治療薬であるがんペプチドワクチンの開発を行い成長してきました。今後も持続的に成長し、企業価値の向上を図るうえで、研究開発活動の質及びその研究開発活動を支える企業活動の基盤としての経営の質を向上させる必要があると認識しております。当社グループが対処すべき事項として認識している事項は、以下のとおりであります。
① パイプラインの進捗
[ITK-1 : 去勢抵抗性前立腺がんを適応症とする薬剤選択型がんペプチドワクチン]
富士フイルム株式会社及び同社のグループ会社(以下「富士フイルムグループ」といいます。)とともに第Ⅲ相臨床試験を実施しております。平成28年4月に症例の獲得活動を終了し、現在、最終解析実施までの観察期間となっております。この最終解析において統計的有意差をもって生存期間の延長が示されることが承認申請の要件となりますし、今後において、第Ⅲ相臨床試験のスケジュールが大きく遅延することのないよう対策を講じるとともに、富士フイルムグループだけでなく、医療機関、医薬品開発業務受託機関(CRO‐Contract Research Organization)、医薬品製造受託機関(CMO‐Contract Manufacturing Organization)、外部コンサルタント等との協力体制を強化してまいります。
[GRN-1201 : グローバル展開を想定した欧米人向けがんペプチドワクチン]
現在、米国にてメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に第Ⅰ相臨床試験を、非小細胞がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を行っております。自社での研究開発のため、当パイプラインにおいては多額の開発資金を要します。今後、臨床試験において有効性と安全性を立証し、グローバル製薬企業にライセンス・アウトし後期臨床試験を委ねるまでにさらに資金が必要となる可能性があります。ライセンス・アウトまでのスケジュールの進捗管理の徹底を図りつつ、状況に応じて第三者割当増資等の資金調達により臨床試験に要する資金を確保していく必要があります。
また、免疫チェックポイント阻害剤という作用メカニズムの異なるがん免疫治療薬との併用を想定した臨床試験を行っております。この併用療法は、がんペプチドワクチン及び免疫チェックポイント阻害剤それぞれの作用機序を活かし、がん免疫治療薬が有する課題を補完し合うことで相乗効果を発揮し、がん治療の効果を一層高める療法であります。早期のライセンス・アウトを実現してまいります。
[GRN-1301 : ネオアンチゲン‐遺伝子変異抗原ペプチドワクチン]
非小細胞がんを適応症とするネオアンチゲンペプチドワクチンを開発するため、地方独立行政法人 神奈川県立病院機構が有する特許「上皮成長因子受容体(EGFR)のT790M点突然変異に由来する抗原ペプチド」の譲渡を受けました。肺がんは、米国では年間22万人、日本では年間約13万人が新たに罹患すると報告されています。その内一部の患者は、治療の過程で既存の治療薬であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対し耐性を生じている状態でした。しかし、これらの患者の約6割にはEGFR-T790M点突然変異という遺伝子変異が生じていることが分かっており、当社は、このEGFR-TKI耐性遺伝子変異を抗原とするペプチドワクチンの開発を開始しました。
がん免疫で薬剤耐性への対策を講じるという創薬コンセプトを、臨床試験を通じて示していく必要があり、早期に臨床試験を開始することを目指します。
[T-iPS : iPS細胞由来再生T細胞療法]
平成28年12月1日付けにて株式会社アドバンスト・イミュノセラピーを子会社化し、中内啓光東京大学医科学研究所教授兼スタンフォード大学教授らの創製技術を用いたiPS細胞由来再生T細胞療法の研究開発を開始しました。同社は、iPS技術を用いてがん細胞を攻撃するT細胞を再生させる(若返らせる)ことにより、がん免疫療法においてこれまで課題とされてきたT細胞の疲弊と、様々な過程で起こりうる副作用を回避する独自の技術を保有しております。当初はコンセプトを示しやすいウイルス性血液がんの一種であるEBウイルス性リンパ腫を適応症としますが、将来的には固形がんへの展開を見込んでおります。
世界初のiPS細胞のがん免疫療法への応用を試みるものであり、安全性が適正に担保されたところで臨床試験を進めるべく、準備を進めております。本開発品は、再生医療等製品として開発を進めており、早期承認制度に基づいた承認の取得の可能性を想定し、適切な基準に対応した体制を整えておく必要があります。
② 研究開発体制の強化
当社グループは、久留米本社、東京支社及び川崎創薬研究所に研究開発の施設を有しております。
当社グループの研究開発は、がん免疫療法における開発領域を対象として、探索的研究から第Ⅲ相臨床試験まで広い範囲に亘り、また臨床効果を裏付けるためのバイオマーカーの樹立及び臨床検体の実測定等の周辺にも及んでいます。そのため、開発工程や分野毎に、高度な専門性を有し、社内・社外とのコミュニケーションを通じ個々の能力を高められる研究員の育成、及びそのような専門性を有する研究員をまとめてプロジェクトを推進させるプロジェクト・リーダーの育成を図る必要があります。また、プロジェクトの進捗の加速及び各研究員の経験値を向上させるために研究用機器を含めたさらなる研究開発環境の充実を図っていく必要があります。
また、開発技術力については、OJTによる教育研修及び大学や研究機関・企業を通じて常に最先端の技術を積極的に集積・共有して研究開発における技術力・遂行能力の向上を図っていき、ハイレベルな研究開発体制を構築してまいります。
③ 研究開発におけるアライアンス・ネットワーク体制の強化・推進
当社グループの属するがん免疫治療薬分野は、昨今のがんに対する効果のある新薬の登場などによる非常に大きな期待の中で、日本及び海外で研究開発が盛んになされており、市場も急激に拡大しております。
当社グループもその機会を逃すことなく、新規パイプラインの導入及び推進を加速させていく必要があります。そのために新規技術・ノウハウを日本及び海外の大学や企業等から積極的に導入すべく、国内外の人的・情報ネットワークをより一層強化・推進していくことが課題であると考えております。
④ 経営体制の強化
(ⅰ)人材の確保と育成
他の創薬ベンチャーと同様に当社も新規性のある医薬品の開発を行っておりますので、個々の社員には非常に高度な専門性が要求されます。そのため、適切な人材の確保が重要な課題となります。十分な技術・知識のみならずベンチャーマインドを有し、成長意欲のある人材を全部門において採用し、OJTによる人材育成により、今後拡大・加速していくことが予想される事業・研究開発スピードに対応してまいりたいと考えております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループにとって前述のアライアンス・ネットワーク体制の構築は重要な課題であり、また株主を含めたステークホルダーとの良好な関係も重要な課題であります。社外関係者との良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。特に、当社グループの取引先は主に上場企業、医療機関、公的な研究機関でありますので、協業体制を構築し、取引関係を維持していくには、当社グループも社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く製品を提供していく創薬企業としての社会的責任を果たしていく必要があると認識しております。
そのため、当社グループは小規模ではありますが、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制および管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査の充実及び監査役との連携強化などの施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。
(ⅲ)資金調達・財務基盤の強化
当社グループは創薬ベンチャーであり、実際の製品化までの研究開発活動において年単位での時間を要します。製品化までの研究開発活動において設備投資、人材の採用・育成、また、企業価値向上のための新規パイプラインの創製(最新の技術の探索、導入及び共同研究など)に多額の資金が必要となります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、様々な資金調達の可能性を検討してまいります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「私たちは、がん免疫治療分野の最先端を切り拓くことにより、一人ひとりが自らの力でがんを克服する世界を実現します。」を経営理念として、安全性が高く、QOL(Quality of Life - 生活の質)の髙いがん治療薬の研究開発の推進及び医薬品(薬剤)の上市の実現を目指します。
がんの克服を願うすべての人にとって「希望の光」となるがん治療薬の創製を目指すために、がん免疫療法を「サイエンスの光」で照らし、自らが前人未踏の領域を突破するための研究開発を推進する光となる意思を込めて、2017年7月1日から会社名を「ブライトパス・バイオ株式会社」に変更いたします。
当社グループは、安定経営の基盤作り及びステークホルダーへの価値創出の最大化に尽力することを基礎として、当社の技術・ノウハウを活用・発展させて、がんに苦しむ患者様のQOL(Quality of Life - 生活の質)の向上及び国内外のがん免疫療法(Immuno-Oncology)の領域及び市場の拡大に寄与するとともに、世界のがん治療の発展に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果としてライセンス・アウトによる契約一時金やマイルストン収入、販売ロイヤリティなどを獲得するビジネス・モデルであります。
中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規パイプラインを積極的に導入していく方針でありますので、当面は研究開発活動に専念することとなり、研究開発費用を主要因とする損失が続く状況であります。
従いまして、売上高や親会社株主に帰属する当期純損失の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、研究開発活動の効率化、パイプラインの充実を財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
リード開発品ITK-1は、ライセンス契約済みで、2018年度中に予定する去勢抵抗性前立線がん対象Ph3試験の最終解析で有効性と安全性を検証し承認申請に移行できれば、その後数年に亘って開発マイルストーン報酬、上市できれば販売ロイヤリティ収入が見込まれます。GRN-1201は、現在進めている非小細胞肺がん対象の免疫チェックポイント阻害剤併用Ph2試験で有効性を示すことができれば、その臨床データをもってライセンスアウトし、契約一時金から始まるライセンス収入を得ていくことを想定しています。それに重なるかたちで、導入および自社創製の新規パイプラインが収益化のタイミングを迎えるよう、多様な開発プロジェクトを進めています。
当社は今後、これまでのがんペプチドワクチンを中心とした事業展開から、がん免疫療法のより広い領域(創薬モダリティー)で研究開発を行っていきたい考えです。がん免疫療法の中心的な概念である免疫応答は、近年その学術的な各イベントを多段階の免疫サイクルとして語られることが多くなりました。当社はその免疫サイクルの中において一箇所に留まるのではなく、各ステップを横断的にカバーするパイプライン構成を目指すことで、一つひとつのパイプラインから得た独自のノウハウが、優秀な人材の獲得や共同研究ネットワークの拡大など、複合的にシナジーを生み出す事業体系を目指してまいります。
免疫チェックポイント抗体は、免疫サイクルの一部へのアプローチを改善したものといえますが、今後はその他のどのポイントに位置づけられる薬剤同士を組み合わせるのが良いのかという「複合化」が、そしていかに患者個々人に合う治療法が提供できるかという「個別化」がキーワードになってくると考えられます。
近況ではGRN-1301(ネオアンチゲン)、T-iPSなどの新規パイプラインを開始いたしましたが、今後さらなる躍進を遂げるために、前述の免疫サイクルへの統合的アプローチの推進と、時代の流れを読んだ今以上のスピードによる事業展開を行ってまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは設立以来、創薬ベンチャーとして、新規作用メカニズムのがん治療薬であるがんペプチドワクチンの開発を行い成長してきました。今後も持続的に成長し、企業価値の向上を図るうえで、研究開発活動の質及びその研究開発活動を支える企業活動の基盤としての経営の質を向上させる必要があると認識しております。当社グループが対処すべき事項として認識している事項は、以下のとおりであります。
① パイプラインの進捗
[ITK-1 : 去勢抵抗性前立腺がんを適応症とする薬剤選択型がんペプチドワクチン]
富士フイルム株式会社及び同社のグループ会社(以下「富士フイルムグループ」といいます。)とともに第Ⅲ相臨床試験を実施しております。平成28年4月に症例の獲得活動を終了し、現在、最終解析実施までの観察期間となっております。この最終解析において統計的有意差をもって生存期間の延長が示されることが承認申請の要件となりますし、今後において、第Ⅲ相臨床試験のスケジュールが大きく遅延することのないよう対策を講じるとともに、富士フイルムグループだけでなく、医療機関、医薬品開発業務受託機関(CRO‐Contract Research Organization)、医薬品製造受託機関(CMO‐Contract Manufacturing Organization)、外部コンサルタント等との協力体制を強化してまいります。
[GRN-1201 : グローバル展開を想定した欧米人向けがんペプチドワクチン]
現在、米国にてメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に第Ⅰ相臨床試験を、非小細胞がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を行っております。自社での研究開発のため、当パイプラインにおいては多額の開発資金を要します。今後、臨床試験において有効性と安全性を立証し、グローバル製薬企業にライセンス・アウトし後期臨床試験を委ねるまでにさらに資金が必要となる可能性があります。ライセンス・アウトまでのスケジュールの進捗管理の徹底を図りつつ、状況に応じて第三者割当増資等の資金調達により臨床試験に要する資金を確保していく必要があります。
また、免疫チェックポイント阻害剤という作用メカニズムの異なるがん免疫治療薬との併用を想定した臨床試験を行っております。この併用療法は、がんペプチドワクチン及び免疫チェックポイント阻害剤それぞれの作用機序を活かし、がん免疫治療薬が有する課題を補完し合うことで相乗効果を発揮し、がん治療の効果を一層高める療法であります。早期のライセンス・アウトを実現してまいります。
[GRN-1301 : ネオアンチゲン‐遺伝子変異抗原ペプチドワクチン]
非小細胞がんを適応症とするネオアンチゲンペプチドワクチンを開発するため、地方独立行政法人 神奈川県立病院機構が有する特許「上皮成長因子受容体(EGFR)のT790M点突然変異に由来する抗原ペプチド」の譲渡を受けました。肺がんは、米国では年間22万人、日本では年間約13万人が新たに罹患すると報告されています。その内一部の患者は、治療の過程で既存の治療薬であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対し耐性を生じている状態でした。しかし、これらの患者の約6割にはEGFR-T790M点突然変異という遺伝子変異が生じていることが分かっており、当社は、このEGFR-TKI耐性遺伝子変異を抗原とするペプチドワクチンの開発を開始しました。
がん免疫で薬剤耐性への対策を講じるという創薬コンセプトを、臨床試験を通じて示していく必要があり、早期に臨床試験を開始することを目指します。
[T-iPS : iPS細胞由来再生T細胞療法]
平成28年12月1日付けにて株式会社アドバンスト・イミュノセラピーを子会社化し、中内啓光東京大学医科学研究所教授兼スタンフォード大学教授らの創製技術を用いたiPS細胞由来再生T細胞療法の研究開発を開始しました。同社は、iPS技術を用いてがん細胞を攻撃するT細胞を再生させる(若返らせる)ことにより、がん免疫療法においてこれまで課題とされてきたT細胞の疲弊と、様々な過程で起こりうる副作用を回避する独自の技術を保有しております。当初はコンセプトを示しやすいウイルス性血液がんの一種であるEBウイルス性リンパ腫を適応症としますが、将来的には固形がんへの展開を見込んでおります。
世界初のiPS細胞のがん免疫療法への応用を試みるものであり、安全性が適正に担保されたところで臨床試験を進めるべく、準備を進めております。本開発品は、再生医療等製品として開発を進めており、早期承認制度に基づいた承認の取得の可能性を想定し、適切な基準に対応した体制を整えておく必要があります。
② 研究開発体制の強化
当社グループは、久留米本社、東京支社及び川崎創薬研究所に研究開発の施設を有しております。
当社グループの研究開発は、がん免疫療法における開発領域を対象として、探索的研究から第Ⅲ相臨床試験まで広い範囲に亘り、また臨床効果を裏付けるためのバイオマーカーの樹立及び臨床検体の実測定等の周辺にも及んでいます。そのため、開発工程や分野毎に、高度な専門性を有し、社内・社外とのコミュニケーションを通じ個々の能力を高められる研究員の育成、及びそのような専門性を有する研究員をまとめてプロジェクトを推進させるプロジェクト・リーダーの育成を図る必要があります。また、プロジェクトの進捗の加速及び各研究員の経験値を向上させるために研究用機器を含めたさらなる研究開発環境の充実を図っていく必要があります。
また、開発技術力については、OJTによる教育研修及び大学や研究機関・企業を通じて常に最先端の技術を積極的に集積・共有して研究開発における技術力・遂行能力の向上を図っていき、ハイレベルな研究開発体制を構築してまいります。
③ 研究開発におけるアライアンス・ネットワーク体制の強化・推進
当社グループの属するがん免疫治療薬分野は、昨今のがんに対する効果のある新薬の登場などによる非常に大きな期待の中で、日本及び海外で研究開発が盛んになされており、市場も急激に拡大しております。
当社グループもその機会を逃すことなく、新規パイプラインの導入及び推進を加速させていく必要があります。そのために新規技術・ノウハウを日本及び海外の大学や企業等から積極的に導入すべく、国内外の人的・情報ネットワークをより一層強化・推進していくことが課題であると考えております。
④ 経営体制の強化
(ⅰ)人材の確保と育成
他の創薬ベンチャーと同様に当社も新規性のある医薬品の開発を行っておりますので、個々の社員には非常に高度な専門性が要求されます。そのため、適切な人材の確保が重要な課題となります。十分な技術・知識のみならずベンチャーマインドを有し、成長意欲のある人材を全部門において採用し、OJTによる人材育成により、今後拡大・加速していくことが予想される事業・研究開発スピードに対応してまいりたいと考えております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループにとって前述のアライアンス・ネットワーク体制の構築は重要な課題であり、また株主を含めたステークホルダーとの良好な関係も重要な課題であります。社外関係者との良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。特に、当社グループの取引先は主に上場企業、医療機関、公的な研究機関でありますので、協業体制を構築し、取引関係を維持していくには、当社グループも社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く製品を提供していく創薬企業としての社会的責任を果たしていく必要があると認識しております。
そのため、当社グループは小規模ではありますが、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制および管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査の充実及び監査役との連携強化などの施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。
(ⅲ)資金調達・財務基盤の強化
当社グループは創薬ベンチャーであり、実際の製品化までの研究開発活動において年単位での時間を要します。製品化までの研究開発活動において設備投資、人材の採用・育成、また、企業価値向上のための新規パイプラインの創製(最新の技術の探索、導入及び共同研究など)に多額の資金が必要となります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、様々な資金調達の可能性を検討してまいります。