有価証券報告書-第14期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが属する国内ゲームアプリ市場の市場規模は、「ファミ通ゲーム白書2019」によると、2017年に10,580億円(前年比109.1%)、2018年に11,660億円(同110.2%)に達し、2019年は12,500億円、2020年は13,000億円と成長を続けていくと予想されております。しかし、中国・韓国系企業のタイトルのシェアは年々増加しており、ゲームメーカーの競争環境は激化しております。そのため、資金調達力などの企業体力に限界のある小・中規模事業者の淘汰が進んでおり、今後も事業者間の合従連衡が行われていくものと考えております。
このような環境のもと、当社グループは、スマートフォンゲームの運営に特化したゲームサービス事業を営んでおり、既にリリースされているゲームタイトルをゲームメーカーから買取や協業、またはM&Aで仕入れ、国内最大数のゲーム運営で蓄積したノウハウやAI基盤を活用することで、費用を削減しながらも高品質な「スマート運営」が可能としております。また、長期にわたる利益創出を実現し、規模成長を追求するべく、2018年から6か月の再設計期間を経て黒字化を目指す「再設計型」タイトルの獲得を開始し、2019年から仕入ペースを加速させる中で、市場に増加している「再設計型」の買取を積極的に行ってきました。さらに、新機能開発などで売上伸長を狙う「グロスアップ」や、他メーカーが開発・運営しているタイトルの海外版を当社が開発・運営する「グローバルチャレンジ」を積極的に推し進めてまいりましたが、計画と乖離する結果となり、業績が悪化いたしました。
業績の悪化をうけて、2019年12月期第2四半期決算発表と同時に「転換点リカバリープラン」を発表いたしました。規模成長の追求から持続的利益体質を目指す戦略に転換し、「再設計型」・「グロスアップ」・「グローバルチャレンジ」の取り組みは凍結いたしました。加えて、人員の最適化・全社費用の徹底削減などの構造改革を行った上で、データドリブンによる全タイトルのグロス逓減率良化と更なる運営のスマート化を目指します。
このような下半期の取り組みにより、持続的利益体質への体制構築は完了いたしました。
構造改革の結果、2020年1月には、2019年8月と比較して従業員数は230名減少し、変動費を除く費用(新規タイトルに係る費用を除く)は、29%の削減に至りました。タイトル運営に関しては、第4四半期において、3タイトルがエンディングしました。また、買取時に策定した回収計画どおりに進んでいない2タイトルにつき、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき減損したこと及び、子会社取得にかかるのれんを『会計制度委員会報告第7号連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(日本公認会計士協会)』の32項に基づき減損したことにより、計752,764千円を特別損失として計上いたしました。一方で、2019年11月29日開示の「株式会社gloopsのブラウザゲーム事業における吸収分割後承継会社の株式譲渡契約締結のお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、「大戦乱!!三国志バトル」と「SKYLOCK(スカイロック)」の2タイトルが2019年12月より収益帰属化しております。
また、累計60タイトル運営により蓄積されたロイヤルユーザーの売上データやコストデータに基づき、タイトルごとに売上・EBITDAガイドを策定するなど、全タイトルでKPI管理手法、コスト管理手法を刷新いたしました。その結果、23タイトルにおいて運営期間の延長が決定しております。
上記の取り組みの結果、2019年12月には営業利益において、単月黒字を達成しております。
当連結会計年度の売上高は11,649,841千円(前年同期比4.0%減)、営業損失は774,804千円(前年同期は営業利益17,108千円)、経常損失は814,917千円(前年同期は29,092千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,408,942千円(前年同期は3,257,497千円)となっております。
なお、当連結会計年度末における当社グループはゲームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて2,039,143千円減少し、4,833,246千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少(前連結会計年度末比857,276千円の減少)、のれんの減少(前連結会計年度末比709,643千円の減少)、長期前払費用の減少(前連結会計年度末比216,149千円の減少)、繰延税金資産の減少(前連結会計年度末比257,948千円の減少)などがあったことによるものであります。
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて228,035千円増加し、3,451,675千円となりました。これは主に、1年内償還予定の社債の増加(前連結会計年度末比200,000千円の増加)、長期借入金の増加(前連結会計年度末比150,000千円の増加)があった一方で、未払法人税等の減少(前連結会計年度末比113,336千円の減少)などがあったことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて2,267,179千円減少し、1,381,570千円となりました。これは主に、利益剰余金の減少(前連結会計年度末比2,408,942千円の減少)などがあったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ857,276千円減少し、2,193,725千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、329,936千円となりました。これは主に、減損損失970,742千円、のれん償却額341,969千円、減価償却費395,318千円などの増加要因があった一方で、税金等調整前当期純損失2,066,400千円などの減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、879,228千円となりました。主な支出要因は、無形固定資産の取得による支出495,524千円、子会社株式の取得による支出284,000千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、351,888千円となりました。これは主に、社債発行による収入976,681千円、長期借入れによる収入250,000千円などの増加要因があった一方で、社債償還による支出844,500千円などの減少要因があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは、ゲームサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同期比(%) |
| ゲームサービス事業(千円) | 11,649,841 | 96.0 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| グリー株式会社 | 2,143,208 | 17.7 | 2,096,155 | 18.0 |
| Apple Inc. | 2,514,531 | 20.7 | 1,935,287 | 16.6 |
| Google LLC | 2,093,431 | 17.3 | 1,677,383 | 14.4 |
| 株式会社ディー・エヌ・エー | 1,502,594 | 12.4 | 1,484,165 | 12.7 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は11,649,841千円(前期比4.0%減)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
当連結会計年度の売上原価は7,194,746千円(前期比3.2%減)となりました。売上原価の主な内容は、外注費、プラットフォーム手数料、事業の業務に伴う人件費及びスマートフォンゲームに係る償却費などであり、売上高の増加に伴って増加しております。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,229,899千円(前期比11.6%増)となりました。主な内容は、人件費、賃借料及びのれん償却額などであります。
当連結会計年度の営業外収益は、1,890千円(前期比60.0%減)となりました。
当連結会計年度の営業外費用は、42,004千円(前期比17.5%減)となりました。主な内容は、支払利息、社債利息及び社債発行費であります。
当連結会計年度の特別利益は、19,397千円(前期比1075.6%増)となりました。
当連結会計年度の特別損失は、1,270,880千円(前期比35.5%減)となりました。主な内容は、スマートフォンゲーム等に係る減損損失、のれんの減損損失及び事業構造改革費用の発生であります。
財政状態の分析に関しては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュフローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、2,193,725千円となっております。
ゲームサービス事業の持続的な成長に伴う運転資金、ゲームタイトルの仕入れ、将来的なM&A等の可能性に備えております。
なお当社グループは資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、複数の取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、スマートフォンゲーム市場の変化、他社との競合、プラットフォーム運営事業者や業務提携先との関係、技術革新への対応度合い、特定経営者への依存、人材の確保育成、ネットワーク災害、コンプライアンスと内部管理体制、知的財産権、個人情報管理、サービスの安全性及び健全性等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは、優秀な人材の採用、セキュリティ対策、新規事業の開拓、魅力ある新たなゲームタイトルの仕入や業務提携及びゲームメーカー又はその事業のM&A等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
(3)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのために、ゲームサービス事業における展開、新規事業・サービスへの積極的な取り組み、システム技術・インフラの強化、優秀な人材の確保と育成、内部管理体制の強化等を行ってまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは創業以来「会いたいときに会いたい人に会える社会の実現」を企業理念として、不可逆に進む社会のオンライン化の先端で人と人とを結び付ける事業を展開しております。
社会のオンライン化に伴い、人々が所属するコミュニティも次第にオンライン空間に移行しております。オンライン上のコミュニティは、利益が出ない等の運営主体の都合により終了するため、個人の空間の突然の喪失が増加しております。そのため、当社グループは「コミュニティの永続発展」というミッションを掲げ、オンライン時代の居場所の喪失という課題解決を通じ、全ての人がいつでも大切な人と繋がれる社会を作っております。
現在は、最大のオンラインコミュニティ市場であるスマートフォンゲームを主軸の領域として、運営に特化したゲームサービス事業を営んでおります。国内最大数のゲーム運営で蓄積したビッグデータに基づくノウハウやAI基盤を活用することで、ユーザーの皆さまが長く、ワクワク楽しめる「10年空間」の実現を目指しております。
今後社会のオンライン化の進展に伴って訪れるビジネス機会においても、当社グループがゲームサービス事業で培ってきたコミュニティ運営のノウハウやデータベースを活用した新たなサービスの開発によって参入障壁を築き、独自の領域を切り拓くことで、「オンライン時代の100年企業」を目指してまいります。