有価証券報告書-第46期(2023/08/01-2024/07/31)

【提出】
2024/10/29 16:17
【資料】
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【項目】
145項目
②戦略
当社グループは、TCFDの提言に従い、2022年に気候変動シナリオ分析を実施しました。分析は1.5℃及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、リスク・機会の抽出と対応策を検討しました。その結果、1.5℃上昇時は気候関連政策の強化が予想され、具体的には、炭素税等カーボンプライシングの導入に伴うコスト増加や、環境関連規制を強化する観点から導入が予測されるフロンやプラスチック関連の規制強化に対応していくための設備投資やコストが発生することが想定されます。
また、4℃シナリオを想定した、気温の上昇時においては、さらなる暴風雨の発生等、異常気象の激甚化により、物流拠点や店舗施設への損害を及ぼし、また店舗休業が事業に大きなインパクトとなる可能性があることがわかりました。なお、今後は検討範囲を拡大し、気候変動による購買行動の変化など商品に関する影響も考慮に入れつつ、機会やリスクに関する分析を進める予定です。
JMホールディングスにおけるリスクと事業インパクト
分類大分類小分類指標考察(例)定性評価
移行リスク政策/規制炭素価格コスト・バリューチェーン各段階における課税・再生エネルギーへの転換や排出量削減対策の実施
政府による排出量規制強化コスト/資産・省エネ政策の強化に伴うノンフロン冷蔵・冷凍機器への投資
市場顧客行動の変化売上高・顧客行動の変化に伴う売れ筋商品の変化・製品・サービスの環境対策が適切に取られない場合、顧客ロイヤリティの低下
原材料のコスト増調達コスト・エネルギーコストの急激かつ予期せぬ変化や生産性の悪化
評判消費者の評判の変化売上高・気候変動開示の不足等による消費者からの評判の低下
ステークホルダーの懸念の増大または否定的なフィードバック資本・気候変動開示の不足等による投資家からの評判の低下
技術既存の製品やサービスを排出量の少ないオプションに置き換える売上高・低環境負担の包装等エシカル製品への代替
物理リスク急性的リスクサイクロンや洪水などの極端な気象事象の過酷さの増加コスト
売上高
・集中豪雨や台風による物流センターや店舗施設内外の浸水又は停電被害に伴う対策及び復旧費の増加
・営業日数・利用客の低下に伴う売上減
慢性的リスク降水パターンの変化と気象パターンの極端な変化調達コスト・原材料等の生産性の悪化に伴うコスト増


JMホールディングスのリスク対応策と機会
リスク項目リスク対応策と機会
炭素価格(リスク対応策)
・カーボンプライス政策動向のモニタリング・サプライヤーとの協働でのCO2削減
(機会)
・再生エネルギーへの切替えや太陽光発電設置による購入電力量の削減
政府による排出量規制強化(リスク対応策)
・ノンフロン冷蔵・冷凍ショーケースへの入れ替え
原材料のコスト増(リスク対応策)
・原材料メーカーや業界の市場動向のモニタリング・調達先の分散、産地及び調達先の見直し
顧客の行動の変化(リスク対応策)
・売れ筋の変化対応・環境配慮商品や認証品の積極的な開発
(機会)
・植物性食品の開発及び販売・エシカル消費対応
サイクロンや洪水などの極端な気象事象の過酷さの増加(リスク対応策)
・店舗、商品等の保管拠点のハザードマップの確認と洪水防止投資、保険付保
降水パターンの変化と気象パターンの極端な変化(リスク対応策)
・調達先の分散、産地及び調達先の見直し