有価証券報告書-第20期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のようなものがあります。
当社グループでは事業に密接関連性のあるリスクとして、中長期にわたって対処すべき経営上の重要課題(マテリアリティ)のうち「委託リスク(物流ソリューションの高度化)」、「人的資本リスク(人材・パートナーとの成長基盤の強化)」、「気候変動リスク(環境課題への対策強化)」、「法令違反リスク(安全・コンプライアンスの向上/ガバナンスの高度化)」及び事業全体のリスクである「情報セキュリティリスク」をグループの戦略リスクとして設定し、グループリスクマネジメント会議を通じて、リスクの対応策について検討・議論を行い、経営計画への反映を図っております。
なお、当社グループとしましては、これらのリスクの発生可能性を認識した上でその発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、次の事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であり、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1) 戦略リスク
① パートナー企業との連携強化を含むサービスインフラの維持・強化
当社グループのデリバリー事業では、当社グループが保有する経営資源を企業からの物流業務受託(from B)の獲得に最大限活用しております。そのため、個人宅(to C)への輸送業務のうち7割程度を、また、路線運行(東京・大阪間等物流拠点間の長距離輸送)のうち大部分をパートナー企業に委託しております。
ロジスティクス事業等においても、デリバリー事業と同様に一部業務をパートナー企業に委託しております。そのような中、当社では「SAGAWAパートナープログラム」を推進し、SGパートナーモールの展開や相談窓口・お知らせ機能の設置、各種マニュアル・動画の掲載による情報発信等、コミュニケーションの強化を図っております。
また、「適正取引促進会」を通じた適切な単価改定等に関する協議や、2025年8月に設立したSDトランスライン株式会社を通じたパートナー企業の経営課題の解決に資するプログラムの開発・提供等、パートナー企業の支援を含む持続可能な輸配送インフラの維持・強化に取り組んでおります。
当社グループは、想定輸送量・業務量に応じ複数の委託先の確保に努めておりますが、十分な委託先が確保できない場合は、当社グループ従業員の業務時間が長時間化することで人件費の想定以上の増加や、配達の遅延等が発生する可能性があります。また、「2024年問題」への対応、少子高齢化による労働力不足や、インフレ・賃金上昇により外注費が高騰する場合は、当社グループで負担する費用が増加する可能性があります。
加えて、当社グループの委託先にて不祥事が発生した場合や委託先の業務品質が顧客の要求に応えることができない場合には、当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材・パートナーとの成長基盤の強化
少子高齢化が進み、長期の人口減少過程に入っている日本において、人材の採用・確保競争は今後も激化することが想定されます。持続的な成長の実現に向けて、インフラを支える人材を量的・質的にも確保することは、労働集約型産業である当社グループにとって重要性が極めて高い課題です。自社、パートナー企業を含めたリソースの継続的な確保や、成長に必要な知見を有した人材を十分に確保・育成し定着させるため、誰でも働きやすい環境の整備や、適正な評価、給与等を通じて、働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。
働きやすい環境の整備については、多様な人材の活躍を目指して、「女性キャリア支援研修」等の女性活躍推進策を実施しております。事業基盤としての宅配便事業の収益性維持と生産性向上を担うセールスドライバーをはじめとする現場のオペレーションを支える人材については、DXによるオペレーションの見直し(省力化×負荷軽減)、インフレ環境を前提とした継続的なベースアップの実施、及びパートナー企業との連携強化により、限られた人材で効率的なオペレーションが維持できるよう、物流現場の生産性向上に取り組んでまいります。
加えて、グループ各社の社内求人情報に対し自らの意思で挑戦できる「グループ公募制度」、実力のある優秀な人材が、年齢や経験年数などに関係なく、2階級上の役職へ早期昇格を目指しチャレンジできる「チャレンジ制度」、自身の今後のキャリア希望を「自己申告制度」を通して申告し「キャリア面談」を受けられる制度など、様々な仕組みを運用し、柔軟な人材登用にも取り組んでおります。
また、新たな取組みとして従業員自らが希望する職務を自己申告し、申告されたスキルや経験が希望部署のニーズと一致した場合にその部署への異動の機会を得ることができる「フリーエージェント制」の導入や従業員インセンティブ・プランとして、株式報酬制度(株式付与ESOP信託)を導入しております。
これらの取組みが効果を発揮できなかった場合、長期ビジョン・中期経営計画の基盤となる人的資本の不足につながり、目標の未達、営業収益の減少や費用増加等により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 気候変動への適応と緩和
近年、気候変動等の影響により日本各地において深刻な風水害や山火事が頻発しており、災害対策の強化が必要な状況にあります。地球温暖化は急速に進行しており、世界気象機関によると、2024年から2028年までの5年間で世界平均気温はさらに上昇するとみられ、気候変動の適応策及び緩和策の検討と実施は急務となっております。
また、日本政府は、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しており、脱炭素社会への移行が急速に進む中、企業におけるGHG排出削減の取組みが重要になっております。特に運輸部門のGHG排出量は約2割を占め、物流という社会インフラを担う当社グループの脱炭素社会に向けた取組みは責務であり、対策を従来以上に強化する必要があります。
さらに、当社グループは国内のみならず海外でもM&Aなどを通じて事業拡大しており、従来以上に気候変動に対してより多角的にリスクへの感度を上げて対応してまいります。
気候変動リスクの適応策及び緩和策につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動への対応 ② 戦略」をご参照ください。
④ リスク管理体制の高度化
当社グループの事業運営に当たっては多くの許認可等を取得しているため、関係法令のコンプライアンスを含むリスク管理体制の強化を図り、違反行為の発生を防止する取り組みを実施しております。
具体的には、当社グループ各社がリスクを識別・評価した上で、対応策を策定、継続的なモニタリングを実施し、必要に応じてリスク項目や対応策を見直す体制を構築しております。また、関係法令のコンプライアンスなどの当社グループ全体に影響がある重大リスクについては、各社にリスク対応策の策定・モニタリングを義務付けるなど、グループ全体のリスク管理の強化を図る体制を構築しております。
今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合、当該法規制への対応に係る追加費用の発生や、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ サイバー攻撃への対応強化
当社グループは、情報資産の保護、顧客の信頼確保及び事業活動の安定的な継続のためサイバー攻撃への対応強化に継続的に取り組んでおります。
第三者機関による定期的な当社グループ情報セキュリティ対策へのアセスメントを通じて、国際的なガイドライン及び業界標準に基づいた情報セキュリティ体制の適切性の確認、自社が開発・運用するシステム及びアプリケーションに対する定期的な脆弱性診断の実施、社内における各種ログ情報を集約・分析する体制を整備し、異常の早期検知及び迅速な対応を可能とする運用の整備を行っております。また、経営層をはじめ、従業員に対する情報セキュリティ教育・啓発の継続的な実施及び標的型攻撃メール等を想定した訓練等を実施するとともに、組織・体制面の整備として、当社グループ内にサイバー攻撃専門の対応組織SGH-CSIRT(SG Holdings Computer Security Incident Response Team)を設置及び日本シーサート協議会に加盟する等の取組みを行っております。
万が一、サイバー攻撃等により情報の漏えい・喪失や業務システムの停止による業務停止等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求及び情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に関するその他のリスク
① デリバリー事業への依存
デリバリー事業は、当社グループの連結営業収益の6割超を占める主要な事業であります。
当社グループでは、「ロジスティクス事業」「グローバル物流事業」を2031年3月期までの長期ビジョンにおける重点事業と位置づけ、顧客のサプライチェーン全体に物流ソリューションを組合せて提供する「トータルロジスティクス」の提供を成長戦略の基本方針としております。
特にグローバル物流事業では、継続的な経済成長が見込まれる消費国へのフレイトフォワーディング事業を中心に、顧客インダストリの拡大と物流領域の拡張を行うことで事業規模を拡大し、2031年3月期にはデリバリー事業に次ぐ規模の営業収益6,000億円を目標としております。
国内においては、ロジスティクス事業により荷物の保管及び流通加工等の付加価値の高いサービスを提供することで、デリバリー事業の取扱個数の増加に寄与するほか、競争環境に左右されにくい事業基盤を構築してまいります。
当社グループとしましては、今後においてもこれらの取組みを継続的に実施していく方針でありますが、景気低迷や地政学リスク等による個人の消費や企業物流の減少等により、これらの取組みが想定どおりに進展しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 燃料価格等の上昇
当社グループは、事業を行うに当たり多数のトラック等輸送機材を使用しており、その燃料費は原油価格や為替相場の動向により変動いたします。
当社グループとしましては、天然ガストラック等の環境対応車を導入し、燃料価格の変動による費用増加リスクの抑制に努めており、また、今後も新技術の導入による省エネルギーや代替エネルギーに対応した車両が開発された際には、積極的に導入していく方針であります。しかしながら、中東情勢の悪化等による急激な燃料価格の上昇が生じた場合や、サービス価格への転嫁により当社グループのサービスへの需要が減少した場合、当該費用増加を運賃等のサービス価格に転嫁できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競争環境の激化
デリバリー事業の主要サービスである宅配便については、当社グループを含めた大手3社での競争が激化しております。また、ロジスティクス事業においても3PLやフォワーディングの各業務サービスにおける同業他社との競争が高まっているものと認識しております。
当社グループとしましては、サービス競争力の強化及び「GOAL」を中心としたトータルロジスティクスの提案により、顧客にとってより効率的かつ付加価値の高い物流ソリューションの提供を行い、当該競争環境下でのシェア向上を図っていく所存であります。しかしながら、今後、当社グループの優位性が相対的に低下した場合や、更なる競争激化によるサービス価格下落が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 輸送トラブル
デリバリー事業では、法人・個人を含めた顧客所有の物品を顧客の指定どおりに輸送することが中心となります。このため、当社グループによるサービス提供の過程において、輸送品の破損、配達先の誤り及び輸送量の増加に伴い予定時間内の輸送ができない場合は、当社グループによるサービスの信用を損なう可能性があります。
2026年3月期には、想定以上の取扱個数の増加により、一時集荷停止及び配送遅延が生じました。これを受けて、需要予測の向上、オペレーションの改善、中継機能の強化を重点課題として対策を進めております。
当社グループとしましては、こうしたトラブルの発生を抑制するべく、発生要因等をデータベース化し、ミスの低減やセールスドライバーの教育等の改善策を継続的に実施しておりますが、今後これらに起因するトラブルが頻発した場合や、当該トラブルを理由とした損害賠償が増加した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 不動産事業における継続的な資産流動化
不動産事業では、SGリアルティ株式会社が中心となって当社グループ拠点における資産管理・運営、大型施設の開発及び既存施設の転用等の資産活用を行っております。また、当社グループが所有、利用している物流施設及び開発したマルチテナント型の物流施設を信託受益権化するなど、機動的に売却するバランスシートのコントロールを通じて、営業収益及び営業利益を計上しています。
当社グループとしましては、今後も継続的に収益性が見込まれる物件の取得、施設の開発及びこれらの売却を行っていく方針ではありますが、不動産市況の変動、建設資材や人件費の高騰、物件の開発遅延等を要因として、物件の仕入価格、簿価及び売却価格等が変動することにより、適時かつ適切な価格による不動産及び信託受益権の売買が困難となる可能性があります。このような事象が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 重大事故
当社グループは、デリバリー事業を中心に公道を利用した陸上輸送業を営んでおります。昨今、運送事業者の安全対策に係る規制が継続的に強化される中、運送事業運営者への安全配慮に対する社会的責任は一層強く求められております。
当社グループとしましては、安全を最優先とした対策を実施しておりますが、重大事故が生じた場合は車両の使用停止等の行政処分が行われ、当社グループの一部又は全部の事業の停止を余儀なくされるとともに、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、国土交通省報告事故の違反点数が累積することで、事業停止命令を受けた場合や、事業許可の取消しがなされた場合は事業の継続が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 海外展開
当社グループは、アジアを中心に海外各国へ事業展開しております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、国際・海外物流を含むグローバル物流事業の強化を図る所存であります。
このため、世界各国間の貿易摩擦の激化及び紛争等の影響による為替及び海上・航空運賃の急激な変動や、当社グループの拠点がある地域での経済情勢・事業環境の悪化、予期せぬ法律・規則等の変更、政情の悪化やテロ活動の活発化、商慣習の相違、自然災害や各種感染症の発生等のリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ M&A、事業提携
当社グループでは、事業拡大及び企業価値向上に向け、M&A及び事業提携についても選択肢の一つとしております。特にこれらの経営戦略を実行する場合は、対象会社への十分なデューデリジェンスを実施するとともに、社外取締役・監査役も参加する投資検討委員会にて出資・取得価額の妥当性について十分に検討した上で実行することとしております。しかしながら、当該M&Aや資本提携等の実施時に見込んだ成果が計画どおりに進捗しないこと等によるのれんや株式取得価額の減損等、当初予期していなかった事業上の問題の発生、取引関連費用の負担等によって当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、特に資本業務提携や共同出資によるジョイントベンチャー設立等については、提携等の実施当初に企図した成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消や提携会社の解散等が生じる可能性があります。この場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 役員との取引関係
当社代表取締役会長である栗和田榮一が理事長を務める当社グループの外郭団体として、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団があります。当社グループとしましては、サステナビリティ活動の一環として両財団の活動方針に賛同し、美術品の無償寄託及び人材支援等の活動を今後も継続して実施する方針としております。
また、2025年3月期、当社グループは一般財団法人SGH防災サポート財団を設立し、栗和田榮一が理事長に就任しております。当財団は2025年12月に内閣府から公益財団法人の認定を受け、公益財団法人SGH防災サポート財団に移行しております。当財団は災害が頻発する日本の防災という社会課題を解決すべく、災害時の物資支援に関わる物流インフラを整備・運用し、官民連携のもと、被災地の復興支援や被災された方々の生活支援に加え、災害発生直後の緊急支援にも対応する体制を整え、災害に強く、持続可能な社会の実現を目指して活動してまいります。
なお、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団は、当連結会計年度末現在、合計で当社普通株式の58,636,362株(発行済株式総数対比9.16%)を保有しております。両財団が当社株式に係る議決権を行使する際は、定款により理事会の3分の2以上の賛成を得る必要がある旨を定めており、当社グループとしましては、両財団の議決権行使に係る独立性確保のため、当該議決権行使に係る理事会決議に当社グループ役職員を兼務する理事は参加しないこととしております。また、公益財団法人SGH防災サポート財団は議決権を行使しない方針です。さらに、これら全ての財団の理事選任に当たり、当社グループ役職員を兼務する評議員は、当社グループ役職員を兼務する理事の選任に当たっては評議会の決議に参加しないこととしております。
⑩ 今後の設備投資
当社グループでは、継続的に物流施設の開発を行っており、関東エリアにおける中継機能強化と輸送ネットワークの更なる効率化を目的に、2026年7月より関東ハブセンターの稼働を予定しております。また、2027年3月期に関西、2029年3月期に九州において大型中継センターの稼働を予定するなど、今後も継続的に持続可能な輸配送インフラの維持・強化を図っていく方針であります。当該物流施設の建設に関連して想定以上のコストが発生する場合や、完成後において想定どおりの投資効果を発揮しない場合等においては、費用負担の増加や減損の発生等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 規制、コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業運営に当たっては、次のような法規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合、当該法規制への対応に係る追加費用の発生や、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 事業上の重要な許認可等
当社グループの事業運営に当たっては、主に次のような許認可等が必要となっております。当社グループでは、これら許認可等の規制に係る関係法令等の遵守に努めておりますが、今後、法令違反等が発生することでこれらの許認可等が停止又は取消しとなった場合や法規制の厳格化が生じる場合は、当社グループの事業の継続が困難となり、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
[主要な事業上の許認可等]
(注) 昨年度まで記載しておりました通関業の許可につきましては、2026年6月1日付の任意開示文書のとおり取消処分を受けたため、記載を削除しております。
② 労務関連法令
当社グループは、2026年3月期末現在において従業員60,483人、パートナー社員等45,281人(期中平均人員数)が在籍しており、そのうち大半を占める国内従業者については、「労働基準法」に従って36協定の遵守や休憩時間の確保等が義務付けられております。当社グループでは、これらの法令遵守のみならず中期経営計画において多様な働き方推進を掲げるなど、従業員の働きやすさの改善に向けて積極的に制度設計を行っております。
このように、当社グループでは継続的に労働環境の改善を進めておりますが、労務管理に関する不祥事が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報セキュリティ、システムに関するリスク
① 情報漏えい
当社グループは、役職員情報のみならず、事業運営の過程において集荷先・配達先情報や顧客企業担当者情報等の多数の個人情報を取得しております。また、顧客企業向けサービスにおいては、顧客企業の営業秘密を保有する場合があります。こうした機密情報を保護するため、データに関するパスワード管理、アクセス制限及びハードコピーに関する施錠管理の徹底に加え、経営層も含めた全従業員に対して情報セキュリティ教育・訓練による啓発を継続的に行う等、情報の厳重な管理に努めております。
しかしながら今後、システムトラブル、当社グループ従業員の故意・過失、サイバー攻撃等による不正アクセス及びコンピュータウイルス感染等により、情報の漏えい又は喪失等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求及び情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システムトラブル
当社グループ事業の中で、特にデリバリー事業及びロジスティクス事業においては、リアルタイムでの輸送状況管理及び倉庫運営における在庫管理等の観点から、ITの活用は不可欠となっております。また、大量の取引をシステムにより集約管理していることから、会計処理においてもシステムへの依存度が高い状況であります。当社グループでは、子会社にシステム開発・保守・運用を行うSGシステム株式会社を有しており、グループ内外における物流システムの開発・提供を行っております。
リスク回避に向け適宜開発等を行っているものの、重大なバグの露見、サイバー攻撃等による不正アクセス及びコンピュータウイルス感染等を起因としたシステムトラブルの発生並びにシステム提供元におけるトラブルがあった場合は、当社グループの各事業の業務が停止する可能性のほか、システム上の問題への対応及び当社顧客からの損害賠償請求等により多額の費用が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 訴訟その他の法的手続・災害等に関するリスク
① 訴訟その他の法的手続
当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵にかかわらず、これらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、訴訟提起内容や損害賠償請求額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害等の発生
当社グループは、車両や大規模な物流拠点を利用するデリバリー事業が中核事業であり、また、当該事業のみならず、各事業について情報管理を行うコンピュータシステム、荷物の自動仕分け機、冷凍・冷蔵倉庫等電気供給が必要な設備による業務運営が前提となっているものがあります。また、車両以外にも、鉄道・航空機・船舶など様々なインフラを活用して事業を営んでおります。
このため、自然災害が発生することで輸送経路の遮断や一部設備の破損が生じたり、停電等の電力供給の停止により設備稼働が停止したりする場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、各種感染症の感染拡大が発生した場合、行動制限による輸送の遮断や量的制限、経済の停滞などにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは事業に密接関連性のあるリスクとして、中長期にわたって対処すべき経営上の重要課題(マテリアリティ)のうち「委託リスク(物流ソリューションの高度化)」、「人的資本リスク(人材・パートナーとの成長基盤の強化)」、「気候変動リスク(環境課題への対策強化)」、「法令違反リスク(安全・コンプライアンスの向上/ガバナンスの高度化)」及び事業全体のリスクである「情報セキュリティリスク」をグループの戦略リスクとして設定し、グループリスクマネジメント会議を通じて、リスクの対応策について検討・議論を行い、経営計画への反映を図っております。
なお、当社グループとしましては、これらのリスクの発生可能性を認識した上でその発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、次の事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であり、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1) 戦略リスク
① パートナー企業との連携強化を含むサービスインフラの維持・強化
当社グループのデリバリー事業では、当社グループが保有する経営資源を企業からの物流業務受託(from B)の獲得に最大限活用しております。そのため、個人宅(to C)への輸送業務のうち7割程度を、また、路線運行(東京・大阪間等物流拠点間の長距離輸送)のうち大部分をパートナー企業に委託しております。
ロジスティクス事業等においても、デリバリー事業と同様に一部業務をパートナー企業に委託しております。そのような中、当社では「SAGAWAパートナープログラム」を推進し、SGパートナーモールの展開や相談窓口・お知らせ機能の設置、各種マニュアル・動画の掲載による情報発信等、コミュニケーションの強化を図っております。
また、「適正取引促進会」を通じた適切な単価改定等に関する協議や、2025年8月に設立したSDトランスライン株式会社を通じたパートナー企業の経営課題の解決に資するプログラムの開発・提供等、パートナー企業の支援を含む持続可能な輸配送インフラの維持・強化に取り組んでおります。
当社グループは、想定輸送量・業務量に応じ複数の委託先の確保に努めておりますが、十分な委託先が確保できない場合は、当社グループ従業員の業務時間が長時間化することで人件費の想定以上の増加や、配達の遅延等が発生する可能性があります。また、「2024年問題」への対応、少子高齢化による労働力不足や、インフレ・賃金上昇により外注費が高騰する場合は、当社グループで負担する費用が増加する可能性があります。
加えて、当社グループの委託先にて不祥事が発生した場合や委託先の業務品質が顧客の要求に応えることができない場合には、当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材・パートナーとの成長基盤の強化
少子高齢化が進み、長期の人口減少過程に入っている日本において、人材の採用・確保競争は今後も激化することが想定されます。持続的な成長の実現に向けて、インフラを支える人材を量的・質的にも確保することは、労働集約型産業である当社グループにとって重要性が極めて高い課題です。自社、パートナー企業を含めたリソースの継続的な確保や、成長に必要な知見を有した人材を十分に確保・育成し定着させるため、誰でも働きやすい環境の整備や、適正な評価、給与等を通じて、働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。
働きやすい環境の整備については、多様な人材の活躍を目指して、「女性キャリア支援研修」等の女性活躍推進策を実施しております。事業基盤としての宅配便事業の収益性維持と生産性向上を担うセールスドライバーをはじめとする現場のオペレーションを支える人材については、DXによるオペレーションの見直し(省力化×負荷軽減)、インフレ環境を前提とした継続的なベースアップの実施、及びパートナー企業との連携強化により、限られた人材で効率的なオペレーションが維持できるよう、物流現場の生産性向上に取り組んでまいります。
加えて、グループ各社の社内求人情報に対し自らの意思で挑戦できる「グループ公募制度」、実力のある優秀な人材が、年齢や経験年数などに関係なく、2階級上の役職へ早期昇格を目指しチャレンジできる「チャレンジ制度」、自身の今後のキャリア希望を「自己申告制度」を通して申告し「キャリア面談」を受けられる制度など、様々な仕組みを運用し、柔軟な人材登用にも取り組んでおります。
また、新たな取組みとして従業員自らが希望する職務を自己申告し、申告されたスキルや経験が希望部署のニーズと一致した場合にその部署への異動の機会を得ることができる「フリーエージェント制」の導入や従業員インセンティブ・プランとして、株式報酬制度(株式付与ESOP信託)を導入しております。
これらの取組みが効果を発揮できなかった場合、長期ビジョン・中期経営計画の基盤となる人的資本の不足につながり、目標の未達、営業収益の減少や費用増加等により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 気候変動への適応と緩和
近年、気候変動等の影響により日本各地において深刻な風水害や山火事が頻発しており、災害対策の強化が必要な状況にあります。地球温暖化は急速に進行しており、世界気象機関によると、2024年から2028年までの5年間で世界平均気温はさらに上昇するとみられ、気候変動の適応策及び緩和策の検討と実施は急務となっております。
また、日本政府は、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しており、脱炭素社会への移行が急速に進む中、企業におけるGHG排出削減の取組みが重要になっております。特に運輸部門のGHG排出量は約2割を占め、物流という社会インフラを担う当社グループの脱炭素社会に向けた取組みは責務であり、対策を従来以上に強化する必要があります。
さらに、当社グループは国内のみならず海外でもM&Aなどを通じて事業拡大しており、従来以上に気候変動に対してより多角的にリスクへの感度を上げて対応してまいります。
気候変動リスクの適応策及び緩和策につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動への対応 ② 戦略」をご参照ください。
④ リスク管理体制の高度化
当社グループの事業運営に当たっては多くの許認可等を取得しているため、関係法令のコンプライアンスを含むリスク管理体制の強化を図り、違反行為の発生を防止する取り組みを実施しております。
具体的には、当社グループ各社がリスクを識別・評価した上で、対応策を策定、継続的なモニタリングを実施し、必要に応じてリスク項目や対応策を見直す体制を構築しております。また、関係法令のコンプライアンスなどの当社グループ全体に影響がある重大リスクについては、各社にリスク対応策の策定・モニタリングを義務付けるなど、グループ全体のリスク管理の強化を図る体制を構築しております。
今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合、当該法規制への対応に係る追加費用の発生や、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ サイバー攻撃への対応強化
当社グループは、情報資産の保護、顧客の信頼確保及び事業活動の安定的な継続のためサイバー攻撃への対応強化に継続的に取り組んでおります。
第三者機関による定期的な当社グループ情報セキュリティ対策へのアセスメントを通じて、国際的なガイドライン及び業界標準に基づいた情報セキュリティ体制の適切性の確認、自社が開発・運用するシステム及びアプリケーションに対する定期的な脆弱性診断の実施、社内における各種ログ情報を集約・分析する体制を整備し、異常の早期検知及び迅速な対応を可能とする運用の整備を行っております。また、経営層をはじめ、従業員に対する情報セキュリティ教育・啓発の継続的な実施及び標的型攻撃メール等を想定した訓練等を実施するとともに、組織・体制面の整備として、当社グループ内にサイバー攻撃専門の対応組織SGH-CSIRT(SG Holdings Computer Security Incident Response Team)を設置及び日本シーサート協議会に加盟する等の取組みを行っております。
万が一、サイバー攻撃等により情報の漏えい・喪失や業務システムの停止による業務停止等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求及び情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に関するその他のリスク
① デリバリー事業への依存
デリバリー事業は、当社グループの連結営業収益の6割超を占める主要な事業であります。
当社グループでは、「ロジスティクス事業」「グローバル物流事業」を2031年3月期までの長期ビジョンにおける重点事業と位置づけ、顧客のサプライチェーン全体に物流ソリューションを組合せて提供する「トータルロジスティクス」の提供を成長戦略の基本方針としております。
特にグローバル物流事業では、継続的な経済成長が見込まれる消費国へのフレイトフォワーディング事業を中心に、顧客インダストリの拡大と物流領域の拡張を行うことで事業規模を拡大し、2031年3月期にはデリバリー事業に次ぐ規模の営業収益6,000億円を目標としております。
国内においては、ロジスティクス事業により荷物の保管及び流通加工等の付加価値の高いサービスを提供することで、デリバリー事業の取扱個数の増加に寄与するほか、競争環境に左右されにくい事業基盤を構築してまいります。
当社グループとしましては、今後においてもこれらの取組みを継続的に実施していく方針でありますが、景気低迷や地政学リスク等による個人の消費や企業物流の減少等により、これらの取組みが想定どおりに進展しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 燃料価格等の上昇
当社グループは、事業を行うに当たり多数のトラック等輸送機材を使用しており、その燃料費は原油価格や為替相場の動向により変動いたします。
当社グループとしましては、天然ガストラック等の環境対応車を導入し、燃料価格の変動による費用増加リスクの抑制に努めており、また、今後も新技術の導入による省エネルギーや代替エネルギーに対応した車両が開発された際には、積極的に導入していく方針であります。しかしながら、中東情勢の悪化等による急激な燃料価格の上昇が生じた場合や、サービス価格への転嫁により当社グループのサービスへの需要が減少した場合、当該費用増加を運賃等のサービス価格に転嫁できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競争環境の激化
デリバリー事業の主要サービスである宅配便については、当社グループを含めた大手3社での競争が激化しております。また、ロジスティクス事業においても3PLやフォワーディングの各業務サービスにおける同業他社との競争が高まっているものと認識しております。
当社グループとしましては、サービス競争力の強化及び「GOAL」を中心としたトータルロジスティクスの提案により、顧客にとってより効率的かつ付加価値の高い物流ソリューションの提供を行い、当該競争環境下でのシェア向上を図っていく所存であります。しかしながら、今後、当社グループの優位性が相対的に低下した場合や、更なる競争激化によるサービス価格下落が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 輸送トラブル
デリバリー事業では、法人・個人を含めた顧客所有の物品を顧客の指定どおりに輸送することが中心となります。このため、当社グループによるサービス提供の過程において、輸送品の破損、配達先の誤り及び輸送量の増加に伴い予定時間内の輸送ができない場合は、当社グループによるサービスの信用を損なう可能性があります。
2026年3月期には、想定以上の取扱個数の増加により、一時集荷停止及び配送遅延が生じました。これを受けて、需要予測の向上、オペレーションの改善、中継機能の強化を重点課題として対策を進めております。
当社グループとしましては、こうしたトラブルの発生を抑制するべく、発生要因等をデータベース化し、ミスの低減やセールスドライバーの教育等の改善策を継続的に実施しておりますが、今後これらに起因するトラブルが頻発した場合や、当該トラブルを理由とした損害賠償が増加した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 不動産事業における継続的な資産流動化
不動産事業では、SGリアルティ株式会社が中心となって当社グループ拠点における資産管理・運営、大型施設の開発及び既存施設の転用等の資産活用を行っております。また、当社グループが所有、利用している物流施設及び開発したマルチテナント型の物流施設を信託受益権化するなど、機動的に売却するバランスシートのコントロールを通じて、営業収益及び営業利益を計上しています。
当社グループとしましては、今後も継続的に収益性が見込まれる物件の取得、施設の開発及びこれらの売却を行っていく方針ではありますが、不動産市況の変動、建設資材や人件費の高騰、物件の開発遅延等を要因として、物件の仕入価格、簿価及び売却価格等が変動することにより、適時かつ適切な価格による不動産及び信託受益権の売買が困難となる可能性があります。このような事象が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 重大事故
当社グループは、デリバリー事業を中心に公道を利用した陸上輸送業を営んでおります。昨今、運送事業者の安全対策に係る規制が継続的に強化される中、運送事業運営者への安全配慮に対する社会的責任は一層強く求められております。
当社グループとしましては、安全を最優先とした対策を実施しておりますが、重大事故が生じた場合は車両の使用停止等の行政処分が行われ、当社グループの一部又は全部の事業の停止を余儀なくされるとともに、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、国土交通省報告事故の違反点数が累積することで、事業停止命令を受けた場合や、事業許可の取消しがなされた場合は事業の継続が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 海外展開
当社グループは、アジアを中心に海外各国へ事業展開しております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、国際・海外物流を含むグローバル物流事業の強化を図る所存であります。
このため、世界各国間の貿易摩擦の激化及び紛争等の影響による為替及び海上・航空運賃の急激な変動や、当社グループの拠点がある地域での経済情勢・事業環境の悪化、予期せぬ法律・規則等の変更、政情の悪化やテロ活動の活発化、商慣習の相違、自然災害や各種感染症の発生等のリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ M&A、事業提携
当社グループでは、事業拡大及び企業価値向上に向け、M&A及び事業提携についても選択肢の一つとしております。特にこれらの経営戦略を実行する場合は、対象会社への十分なデューデリジェンスを実施するとともに、社外取締役・監査役も参加する投資検討委員会にて出資・取得価額の妥当性について十分に検討した上で実行することとしております。しかしながら、当該M&Aや資本提携等の実施時に見込んだ成果が計画どおりに進捗しないこと等によるのれんや株式取得価額の減損等、当初予期していなかった事業上の問題の発生、取引関連費用の負担等によって当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、特に資本業務提携や共同出資によるジョイントベンチャー設立等については、提携等の実施当初に企図した成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消や提携会社の解散等が生じる可能性があります。この場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 役員との取引関係
当社代表取締役会長である栗和田榮一が理事長を務める当社グループの外郭団体として、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団があります。当社グループとしましては、サステナビリティ活動の一環として両財団の活動方針に賛同し、美術品の無償寄託及び人材支援等の活動を今後も継続して実施する方針としております。
また、2025年3月期、当社グループは一般財団法人SGH防災サポート財団を設立し、栗和田榮一が理事長に就任しております。当財団は2025年12月に内閣府から公益財団法人の認定を受け、公益財団法人SGH防災サポート財団に移行しております。当財団は災害が頻発する日本の防災という社会課題を解決すべく、災害時の物資支援に関わる物流インフラを整備・運用し、官民連携のもと、被災地の復興支援や被災された方々の生活支援に加え、災害発生直後の緊急支援にも対応する体制を整え、災害に強く、持続可能な社会の実現を目指して活動してまいります。
なお、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団は、当連結会計年度末現在、合計で当社普通株式の58,636,362株(発行済株式総数対比9.16%)を保有しております。両財団が当社株式に係る議決権を行使する際は、定款により理事会の3分の2以上の賛成を得る必要がある旨を定めており、当社グループとしましては、両財団の議決権行使に係る独立性確保のため、当該議決権行使に係る理事会決議に当社グループ役職員を兼務する理事は参加しないこととしております。また、公益財団法人SGH防災サポート財団は議決権を行使しない方針です。さらに、これら全ての財団の理事選任に当たり、当社グループ役職員を兼務する評議員は、当社グループ役職員を兼務する理事の選任に当たっては評議会の決議に参加しないこととしております。
⑩ 今後の設備投資
当社グループでは、継続的に物流施設の開発を行っており、関東エリアにおける中継機能強化と輸送ネットワークの更なる効率化を目的に、2026年7月より関東ハブセンターの稼働を予定しております。また、2027年3月期に関西、2029年3月期に九州において大型中継センターの稼働を予定するなど、今後も継続的に持続可能な輸配送インフラの維持・強化を図っていく方針であります。当該物流施設の建設に関連して想定以上のコストが発生する場合や、完成後において想定どおりの投資効果を発揮しない場合等においては、費用負担の増加や減損の発生等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 規制、コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業運営に当たっては、次のような法規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合、当該法規制への対応に係る追加費用の発生や、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 事業上の重要な許認可等
当社グループの事業運営に当たっては、主に次のような許認可等が必要となっております。当社グループでは、これら許認可等の規制に係る関係法令等の遵守に努めておりますが、今後、法令違反等が発生することでこれらの許認可等が停止又は取消しとなった場合や法規制の厳格化が生じる場合は、当社グループの事業の継続が困難となり、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
[主要な事業上の許認可等]
| 許認可事業 | 法律 | 監督官庁 | 許認可等 の内容 | 有効 期限 | 許認可等の 取消事由 | セグメント |
| 一般貨物自動車 運送事業 | 貨物自動車運送事業法 | 国土交通省 | 許可 | なし | 同法第33条 | デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
| 第一種貨物利用 運送事業 | 貨物利用運送事業法 | 国土交通省 | 登録 | なし | 同法第16条 | デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
| 第二種貨物利用 運送事業 | 貨物利用運送事業法 | 国土交通省 | 許可 | なし | 同法第33条 | デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
| 倉庫業 | 倉庫業法 | 国土交通省 | 登録 | なし | 同法第21条 | デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
| 宅地建物取引業 | 宅地建物取引業法 | 国土交通省 | 免許 | 2026年 8月23日 | 同法第66条 | 不動産事業 |
| 第二種金融商品 取引業 | 金融商品取引法 | 金融庁 | 登録 | なし | 同法第52条 | 不動産事業 |
| 指定自動車整備 事業 | 道路運送車両法 | 国土交通省 | 指定 | なし | 同法第93条 | その他 |
| 自動車分解整備 事業 | 道路運送車両法 | 国土交通省 | 認証 | なし | 同法第93条 | その他 |
| 労働者派遣事業 | 労働者派遣法 | 厚生労働省 | 許可 | 2029年 6月30日 | 同法第14条 | その他 |
(注) 昨年度まで記載しておりました通関業の許可につきましては、2026年6月1日付の任意開示文書のとおり取消処分を受けたため、記載を削除しております。
② 労務関連法令
当社グループは、2026年3月期末現在において従業員60,483人、パートナー社員等45,281人(期中平均人員数)が在籍しており、そのうち大半を占める国内従業者については、「労働基準法」に従って36協定の遵守や休憩時間の確保等が義務付けられております。当社グループでは、これらの法令遵守のみならず中期経営計画において多様な働き方推進を掲げるなど、従業員の働きやすさの改善に向けて積極的に制度設計を行っております。
このように、当社グループでは継続的に労働環境の改善を進めておりますが、労務管理に関する不祥事が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報セキュリティ、システムに関するリスク
① 情報漏えい
当社グループは、役職員情報のみならず、事業運営の過程において集荷先・配達先情報や顧客企業担当者情報等の多数の個人情報を取得しております。また、顧客企業向けサービスにおいては、顧客企業の営業秘密を保有する場合があります。こうした機密情報を保護するため、データに関するパスワード管理、アクセス制限及びハードコピーに関する施錠管理の徹底に加え、経営層も含めた全従業員に対して情報セキュリティ教育・訓練による啓発を継続的に行う等、情報の厳重な管理に努めております。
しかしながら今後、システムトラブル、当社グループ従業員の故意・過失、サイバー攻撃等による不正アクセス及びコンピュータウイルス感染等により、情報の漏えい又は喪失等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求及び情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システムトラブル
当社グループ事業の中で、特にデリバリー事業及びロジスティクス事業においては、リアルタイムでの輸送状況管理及び倉庫運営における在庫管理等の観点から、ITの活用は不可欠となっております。また、大量の取引をシステムにより集約管理していることから、会計処理においてもシステムへの依存度が高い状況であります。当社グループでは、子会社にシステム開発・保守・運用を行うSGシステム株式会社を有しており、グループ内外における物流システムの開発・提供を行っております。
リスク回避に向け適宜開発等を行っているものの、重大なバグの露見、サイバー攻撃等による不正アクセス及びコンピュータウイルス感染等を起因としたシステムトラブルの発生並びにシステム提供元におけるトラブルがあった場合は、当社グループの各事業の業務が停止する可能性のほか、システム上の問題への対応及び当社顧客からの損害賠償請求等により多額の費用が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 訴訟その他の法的手続・災害等に関するリスク
① 訴訟その他の法的手続
当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵にかかわらず、これらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、訴訟提起内容や損害賠償請求額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害等の発生
当社グループは、車両や大規模な物流拠点を利用するデリバリー事業が中核事業であり、また、当該事業のみならず、各事業について情報管理を行うコンピュータシステム、荷物の自動仕分け機、冷凍・冷蔵倉庫等電気供給が必要な設備による業務運営が前提となっているものがあります。また、車両以外にも、鉄道・航空機・船舶など様々なインフラを活用して事業を営んでおります。
このため、自然災害が発生することで輸送経路の遮断や一部設備の破損が生じたり、停電等の電力供給の停止により設備稼働が停止したりする場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、各種感染症の感染拡大が発生した場合、行動制限による輸送の遮断や量的制限、経済の停滞などにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。