有価証券報告書-第15期(2024/01/01-2024/12/31)
対処すべき課題
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<経営方針>(1) 企業理念
当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。
・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。
・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。
・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。
・ 安全指針 自分を守る、仲間を守る。
(2) VISION 2030
当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。
VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。
目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供
事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。
目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大
当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。
目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率
戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。
(3) 第5次中期経営計画
<経営環境>世界経済は、アジア新興国を中心に安定的な成長が期待されるものの、紛争の長期化や保護主義政策の拡大、中国経済停滞の長期化が懸念されるなど将来を見通しにくい状況が続いています。また、石油化学業界においては、中国での大型設備増強により需給バランスが悪化し、汎用品を中心に国際市況も低迷していることから、国内での業界再編が進みつつあります。
<対処すべき課題>2025年度から開始した第5次中期経営計画では、基本方針を「新たな成長ステージへ」と定め、以下の基本戦略を推進することで、更なる企業価値向上を図ってまいります。
基本戦略
戦略Ⅰ 稼ぐ力の強化
当社グループは、VISION 2030で掲げた「世界で輝くスペシャリティケミカル企業」の実現に向け、これまでも機能化学品(機能性材料、電子材料)の生産能力の増強に多くの経営資源を割くなど事業ポートフォリオ改革を進めてまいりましたが、第5次中期経営計画では、それを更に加速し、連結営業利益に占める機能化学品比率を8割超まで高めてまいります。
機能性材料分野の冷凍機油原料においては、主用途であるエアコンの市場が、今後も世界的に拡大し、特にインドを中心としたアジア地域における成長が見込まれるなか、当社は冷凍機油原料のリーディングカンパニーとして、増強した生産能力を活用するとともにグローバルに展開した物流拠点を活かすことで、収益拡大を図ってまいります。電子材料分野においては、AIなどの最先端用途向けを中心に半導体市場の拡大が見込まれるとともに、品質に対する要求水準が高まっております。当社は、四日市工場において、2022年に品質管理棟を新設するなど、高純度溶剤の品質管理体制を強化し、より付加価値の高い製品を創出してまいります。また、グループ会社である黒金化成において、2024年に増強した次世代半導体材料設備の活用等により、最先端分野向けを中心に需要を取り込んでまいります。基礎化学品においては、アジア地域における需給がさらに緩む懸念もありますが、当社は自動車・住宅などの国内基幹産業を支える販売シェアの高い製品を数多く有しており、合理化の徹底などを通して安定供給と収益確保を両立させ、その社会的使命を果たしてまいります。
戦略Ⅱ 将来への布石
戦略ドメインにおける新製品・新規事業の開発においては、これまでの「探索」から「創出」へとステージを上げてまいります。当社は、バイオ医薬品向け原料として注目されている「糖鎖」について、スタートアップ企業を始めとした社外との協業等により、他社に先駆けて量産化技術を確立することで、糖鎖製造を担うトップメーカーとなることを目指すとともに糖鎖を活用したバイオ医薬品の創薬にも貢献してまいります。更に、次世代光学レンズ材料として期待される「脂環式化合物」は、当社のコア技術であるオキソ反応を用いており、2027年度中の事業化に向けて取組みを加速してまいります。
カーボンニュートラルの実現に向けた施策としては、千葉工場において新たに導入したCO2回収装置を用いて、CO2を原料として再利用することで排出量を削減するなど、マイルストーンとして掲げた2030年の目標である2017年度比30%削減を第5次中期経営計画の期間中に前倒しで達成することを目指してまいります。
戦略Ⅲ 経営基盤の強化
当社は、競争力ある製品を世界へ展開するため、「安全総点検運動2022」の継続や予兆診断システム、高度制御システムの活用等によるスマート保安を推進することで工場の現場力を強化し、安全・安定操業を実現してまいります。加えて、一人ひとりの事情に応じた働き方が選択できる職場環境を整備するため、育児・介護・治療通院のための支援制度等の拡充や工場事務所棟の新設、改修など、ソフト・ハード両面で職場環境を改善し、多様な人財が活躍できるようにしてまいります。これらの施策に取組むことで経営基盤を強化し、サステナブル経営を更に推進してまいります。
財務資本戦略
当社グループは、今後の成長分野への投資と内部留保のバランスを勘案しつつ、株主の皆様への利益還元を実施してまいりましたが、財務健全性が一段と高まったことを受け、株主還元の強化を図ってまいります。配当性向を従来の30%目処から40%目処に引き上げるとともに、安定した配当を継続する観点からDOE(株主資本配当率)4%以上を新たに設定いたします。また、機動的に自己株式の取得を実施するなど、株価と資本コストを意識した経営を推進してまいります。
経営数値目標
期間累計連結営業利益 449億円、期間累計連結EBITDA 653億円、ROE 15%の達成を目指してまいります。また、最終年度となる2027年度には、連結営業利益 165億円、連結EBITDAは過去最高水準となる236億円を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<経営方針>(1) 企業理念
当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。
・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。
・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。
・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。
・ 安全指針 自分を守る、仲間を守る。
(2) VISION 2030
当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。
VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。
目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供
事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。
目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大
当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。
目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率
戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。
(3) 第5次中期経営計画
<経営環境>世界経済は、アジア新興国を中心に安定的な成長が期待されるものの、紛争の長期化や保護主義政策の拡大、中国経済停滞の長期化が懸念されるなど将来を見通しにくい状況が続いています。また、石油化学業界においては、中国での大型設備増強により需給バランスが悪化し、汎用品を中心に国際市況も低迷していることから、国内での業界再編が進みつつあります。
<対処すべき課題>2025年度から開始した第5次中期経営計画では、基本方針を「新たな成長ステージへ」と定め、以下の基本戦略を推進することで、更なる企業価値向上を図ってまいります。
基本戦略
戦略Ⅰ 稼ぐ力の強化
当社グループは、VISION 2030で掲げた「世界で輝くスペシャリティケミカル企業」の実現に向け、これまでも機能化学品(機能性材料、電子材料)の生産能力の増強に多くの経営資源を割くなど事業ポートフォリオ改革を進めてまいりましたが、第5次中期経営計画では、それを更に加速し、連結営業利益に占める機能化学品比率を8割超まで高めてまいります。
機能性材料分野の冷凍機油原料においては、主用途であるエアコンの市場が、今後も世界的に拡大し、特にインドを中心としたアジア地域における成長が見込まれるなか、当社は冷凍機油原料のリーディングカンパニーとして、増強した生産能力を活用するとともにグローバルに展開した物流拠点を活かすことで、収益拡大を図ってまいります。電子材料分野においては、AIなどの最先端用途向けを中心に半導体市場の拡大が見込まれるとともに、品質に対する要求水準が高まっております。当社は、四日市工場において、2022年に品質管理棟を新設するなど、高純度溶剤の品質管理体制を強化し、より付加価値の高い製品を創出してまいります。また、グループ会社である黒金化成において、2024年に増強した次世代半導体材料設備の活用等により、最先端分野向けを中心に需要を取り込んでまいります。基礎化学品においては、アジア地域における需給がさらに緩む懸念もありますが、当社は自動車・住宅などの国内基幹産業を支える販売シェアの高い製品を数多く有しており、合理化の徹底などを通して安定供給と収益確保を両立させ、その社会的使命を果たしてまいります。
戦略Ⅱ 将来への布石
戦略ドメインにおける新製品・新規事業の開発においては、これまでの「探索」から「創出」へとステージを上げてまいります。当社は、バイオ医薬品向け原料として注目されている「糖鎖」について、スタートアップ企業を始めとした社外との協業等により、他社に先駆けて量産化技術を確立することで、糖鎖製造を担うトップメーカーとなることを目指すとともに糖鎖を活用したバイオ医薬品の創薬にも貢献してまいります。更に、次世代光学レンズ材料として期待される「脂環式化合物」は、当社のコア技術であるオキソ反応を用いており、2027年度中の事業化に向けて取組みを加速してまいります。
カーボンニュートラルの実現に向けた施策としては、千葉工場において新たに導入したCO2回収装置を用いて、CO2を原料として再利用することで排出量を削減するなど、マイルストーンとして掲げた2030年の目標である2017年度比30%削減を第5次中期経営計画の期間中に前倒しで達成することを目指してまいります。
戦略Ⅲ 経営基盤の強化
当社は、競争力ある製品を世界へ展開するため、「安全総点検運動2022」の継続や予兆診断システム、高度制御システムの活用等によるスマート保安を推進することで工場の現場力を強化し、安全・安定操業を実現してまいります。加えて、一人ひとりの事情に応じた働き方が選択できる職場環境を整備するため、育児・介護・治療通院のための支援制度等の拡充や工場事務所棟の新設、改修など、ソフト・ハード両面で職場環境を改善し、多様な人財が活躍できるようにしてまいります。これらの施策に取組むことで経営基盤を強化し、サステナブル経営を更に推進してまいります。
財務資本戦略
当社グループは、今後の成長分野への投資と内部留保のバランスを勘案しつつ、株主の皆様への利益還元を実施してまいりましたが、財務健全性が一段と高まったことを受け、株主還元の強化を図ってまいります。配当性向を従来の30%目処から40%目処に引き上げるとともに、安定した配当を継続する観点からDOE(株主資本配当率)4%以上を新たに設定いたします。また、機動的に自己株式の取得を実施するなど、株価と資本コストを意識した経営を推進してまいります。
経営数値目標
期間累計連結営業利益 449億円、期間累計連結EBITDA 653億円、ROE 15%の達成を目指してまいります。また、最終年度となる2027年度には、連結営業利益 165億円、連結EBITDAは過去最高水準となる236億円を目指してまいります。