有価証券報告書-第12期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 13:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
147項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、ミッションとして「経済情報で、世界を変える」を掲げ、世界中の経済情報を人とテクノロジーの力で整理・分析・創出することで、人々の生産性を高め、創造性を解放し、世界中の意思決定を支えるプラットフォームを作りあげたいと考えています。当該ミッションの実現を目指し、既存ビジネスの更なる改善・強化、新規ビジネスへの取り組みを図りたいと考えています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
ミッションである「経済情報で、世界を変える」を実現するために、B2B・B2Cのあらゆるシーンでビジネスパーソンの意思決定を支えるサービスを開発・提供しています。当社グループは、引き続きサブスクリプション売上の最大化を経営の最重要方針として掲げ、事業を超えるシナジーを創出させるべく「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」といった国内のB2B SaaSサービスを一気通貫で統括する経営体制に、2020年12月期より変更します。これにより、サービス毎の連携を今まで以上に強化することで、機能及びコンテンツの拡充により顧客単価の向上や、新たなサービス開発を目指します。また、組織間連携も強化することで、営業やカスタマーサクセス、開発体制の効率化と強化を実施し、「SPEEDA」事業及び「その他」事業の更なる拡大を目指します。
「NewsPicks」事業においては、動画事業や法人向けサービスを通じて無料・有料会員数の増加を目指し、国内の事業基盤を確固たるものとした後、経済メディアの枠を超え、企業がリクルーティングやブランディングプラットフォームとしても活用できる経済インフラとしての役割を拡大させていきます。米国を中心に展開している「Quartz」事業に関しても、広告事業で収益をあげながら、有料課金事業へ積極的な先行投資を実施することで、有料課金事業を第二の収益の柱へと成長させることを目指します。
また、「SPEEDA」事業、「その他」事業、「NewsPicks」事業、「Quartz」事業の各々の自前での更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携等を通じて、経済情報のプラットフォームを提供する企業として、企業価値の更なる拡大を図って参りたいと考えています。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループが対処すべき課題は、以下の項目と認識しています。
① Quartz事業における有料課金事業の拡大
2018年11月より開始した有料課金事業は堅調に立ち上がっていますが、米国ビジネスを成長させる上では、有料課金事業の更なる拡大が重要であると考えています。2019年の10月には、有料課金事業の更なる強化と経営の意思決定ならびに業務遂行のスピードをあげるために、経営体制を刷新しました。新経営体制が掲げた方針である“One Quartz”のもと、webサイトとアプリをリニューアルし、UI/UXを統一することでユーザーの操作性を高めてきました。また、英国や日本などでもローカル版のサービスをリリースしました。2020年1月には、日米両国において新編集長を採用し、有料課金事業拡大のための体制強化を図っています。Quartz事業につきましては、当社グループにおける事業ポートフォリオにおいて最重要事業の1つと位置付け、当社代表取締役の一人である梅田が米国に在住し、当該事業へのガバナンスを効かせています。また、コスト構造の合理性追求による収益基盤強化のために、当社執行役員がQuartz社のCFOとして、事業統合の責任者に就いています。引き続き、事業推進に不可欠な企業文化の融合、管理システムやコーポレート機能の整備を行いながら、中長期視点での事業拡大に取り組んでまいります。
② 国内事業の収益基盤の強化及び加速
当社グループは、従来より収益基盤の強化に努めてまいりましたが、今後も中長期的な成長を実現させるため、国内既存事業のより一層の強化が必要であると考えています。収益基盤を強化するために重要となるのが、SPEEDA事業における契約ID数の増加、NewsPicks事業における有料会員数の増加による、サブスクリプション売上の一層の拡大であると考えています。かかる課題に対処するために、効果的なプロモーション活動を通じて知名度を向上させると共に、継続的な機能・利便性・ユーザーインターフェースの向上・改善、コンテンツの一層の魅力の向上、動画コンテンツの強化、法人向けサービスの強化を行っていきます。
③ 事業を超えたシナジーの創出
当社グループはこれまで、執行役員体制を執り、各担当執行役員に権限委譲を進めることで、事業ごとに迅速な意思決定ができるようにしてきました。2018年5月には、バーチャルホールディングス(仮想持株会社)化することで、SPEEDA・NewsPicks・INITIAL(旧:entrepedia)・FORCAS・Quartz・UB Venturesなど、事業単位で迅速に意思決定ができる体制を実現し、「自走できる組織」であることをグループの強みの1つとして、成長してきました。
今後、グループ全体で更なる成長を実現するべく、2020年12月期より、事業を超えたシナジー創出を目指して「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」といった国内のB2B SaaS事業を一気通貫で統括する経営体制へと変更しました。これにより、サービス毎の連携を今まで以上に強化することで、機能およびコンテンツの拡充によるSaaS事業としての顧客単価の向上や、新たなサービス開発を目指してまいります。また、組織間連携も強化することで、営業やカスタマーサクセス、開発体制の効率化と強化を実施し、更なる事業の拡大を目指していきます。
④ 優秀な人材の確保
「経済情報で、世界を変える」という当社グループのミッションをグローバルで実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠であると考えています。当社グループにおいては、「7つのルール」というコアバリューを掲げており、当該ミッションとバリューに共感する優秀な人材の確保に努めています。また、国内のみならず海外においても人材採用は重要な経営課題であり、今後グローバル展開を加速させるためにも、引き続き、人材の採用に注力してまいります。
⑤ 情報管理体制の強化
当社グループが運営する事業においては、顧客情報、個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要であると考えています。
個人情報保護方針及びインサイダー取引の未然防止を含む社内規程の整備並びに規程の運用の徹底、社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理していますが、引き続き関連社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の更なる整備等を図り、情報管理のための体制を強化してまいりたいと考えています。
⑥ システムの安定的な稼働
当社グループの運営するサービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。
かかる課題に対処するため、利用者の増加、取扱いデータ容量拡大に対応するためのシステム投資、メンテナンス投資及び運用監視体制強化を引き続き計画的に行ってまいります。また、データのバックアップ体制強化のためのシステム投資についても計画的に行ってまいります。
⑦ 迅速な意思決定を行うための組織体制の強化
組織が拡大しても、引き続き高い成長力を維持していくためには、効率的かつ迅速に経営意思決定を行う必要があります。
具体的には、経営上の重要な意思決定を迅速に行うために必要な、主要なKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)や財務数値を社内においてタイムリーに把握できる体制・仕組みを構築してまいりたいと考えています。また、内部牽制体制とのバランスを図りながら、意思決定を迅速に行うため役職員への適切な権限付与を整備することが重要と考えています。
⑧ 内部管理体制の強化
継続的に当社グループが成長を遂げていくためには、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクを適切にコントロールするための体制強化や、未然の不正防止や業務の適正性を確保するための内部統制システムの強化が重要な課題と考えています。
具体的には、代表取締役及び監査等委員会直属の内部監査部門が、内部監査規程に基づき内部監査を実施しています。内部監査の結果は、被監査部門にフィードバックされるとともに、代表取締役及び監査等委員会に報告されます。
コーポレート・ガバナンスの一層の充実という観点から、2019年3月28日開催の第11回定時株主総会の決議に基づき、監査等委員会設置会社に移行しました。監査等委員会は社外取締役3名で構成されています。各監査等委員取締役が取締役会等に積極的に参加し、高い専門的見地から取締役の意思決定・業務執行について適宜意見を述べることにより、取締役会への監査・監督機能の一層の強化を図ってまいります。監査等委員取締役、内部監査部門及び会計監査人による会合を定期的に開催することにより、監査・監督機能がより有効・適切に機能するよう努めてまいります。