有価証券報告書-第60期(2024/10/01-2025/09/30)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
私たち岐阜造園グループは、創業者である小栗弥一が「植弥」として1927年に創業して以来、一貫して街並みや住まいに緑の空間を提供する造園緑化事業を行ってまいりました。当社グループは、造園緑化事業を「ガーデンエクステリア」、「ランドスケープ」という2つの領域に細分化し、それぞれの領域、ときにはそれらを融合した領域において、創業者が確立した技術やDNAを最大限活用することで最高の作品を社会に提供することを経営の根幹としております。第62期(2027年9月期)においては、創業者である小栗弥一が「植弥」として1927年に創業して以来100年目を迎える節目に当たります。当社グループの現在のステージは、「造園業」から「景観産業会社」へと変革した時点であると認識しておりますが、創業100年の節目を前に新たなステージとして「環境創造企業」への更なる進化を目指し、これを目標としております。「環境創造企業」とは「景観産業」+「環境保全」の役割を果たす企業をいい、匠の造園技術を活用し、美しい空間を作るだけでなく、人と自然が共生できる「こころを満たす」環境を創造する企業であります。当社グループは、「環境創造企業」としての使命を全うすることで、社会問題を解決する一助になるとともに、企業価値の継続的な向上を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、営業エリア展開等による事業規模の拡大と、予実管理の徹底による収益力の向上を目指しており、これらの目標を管理し実現するため、売上高、売上総利益率及び売上高経常利益率を経営指標として重視しております。
(3)経営戦略等
当社グループは、2030年に向けた成長戦略を策定しており、その達成のために必要な姿勢として、私たちがありたい姿を以下のように掲げております。
・「その景色は、こころを打つか。」を私たちの絶対的な品質基準とします。
・日本全国で「質の高い造園工事は岐阜造園に」という流れをつくります。
・社員とその家族が誇れる「業界一働きがいのある会社」を目指します。
なお、具体的な数値目標としては以下のように掲げております。

これらの目標を達成するために成長を支える3つ基本戦略を策定しております。




この成長を支える3つの基本戦略を実行するための方策としては、以下のように10の方策を実施してまいります。
①職人型現場力による付加価値の高い造園緑化施設の提供
当社グループは、創業98年で培ったDNAを財産とし、工事監督やデザイナーであっても、いざとなればスコップを持って作業する能力や、重機等を操縦する技能、植物の取り扱いに関する知識を合わせ持っている「職人型現場力」を最大の強みとしております。この強みは、創業以来培った匠の技術が織りなす、観る人に感動を与えるエクステリアデザインによる顧客への提案力であり、当社グループが提案するエクステリアデザインを現実の造園緑化施設として実現する技術力の高さであることや、定められた期日までに安全かつ効率的に施工を完了させる長年の経験に裏付けされた施工管理のことであります。この強みを最大限活用することで、付加価値の高い造園緑化施設を提供することを目指しております。
②新たなイノベーションの創出
創業者は、明治後期から大正時代にかけて造園業界でNo.1と言われた京都「植治」七代目小川治兵衛(山縣有朋の別邸「無鄰菴」等を作庭)の下で修業しました。数々の修業を経て培った高い技術を駆使し、地元の岐阜で本格的な日本庭園を数多く作庭しておりました。高度成長期には、伝統的な造園技術と東京で主流となっていた、「さつき」や「つつじ」の密植の大刈込の造形美で、モダンかつ革新的な和風庭園を作庭しておりました。当社は創業当時から常に「技術の探索」を行い、それを深掘りし「技術を更に深化」させることで、今で言うところのイノベーションを行っており、現在の市場における当社の優位性に繋がっております。
今後も、造園技術に裏打ちされた斬新で独創的なデザイン提案等「技術の探索」を推進し、営業から施工、完成後のメンテナンスまで一気通貫で行える当社のシステムを、さらに深掘りしていく事で「技術の深化」をはかり、新たなイノベーションの創出につなげてまいります。
③SDGsへの貢献・サステナビリティ経営推進
当社では4~5年ほど前から毎年、東北の雪深い産地の落葉樹を700~1,000本調達し、当社の圃場にて植木材料として大切に育て、造園資材として利用すると言う取組みをおこなっております。これらの樹木は林業素材としては殆ど価値がなく、通常は伐採されるものですが、冬の雪の重さや強風により特徴のある樹形となり、庭園木として「わび・さび」を表現するとても貴重な造園資材となっています。これらを当社の匠の技により時間をかけて一流の名木素材に仕立てています。また、当社は石組みによる造形美の表現を得意としております。石積などに使用する石材についても、地元の人たちが見過ごすような石の中から味わいのある石を選別し、地産地消も進めています。一見あまり価値のないような樹木や石ですが、当社の匠の技術力により付加価値を高め、自然の美しさ、経年変化の魅力や奥深さを表現しています。また、このように有効利用することで、CO2の削減にも貢献しております。今後も社会的責任を果たせるよう「サステナビリティ」を意識した経営を行ってまいります。
人財への投資に関する取り組みに関しましても、当社は、人材育成機関として岐阜造園アカデミーを設立し、創業以来培った匠の技術を次世代へ繋ぐための学びの場としております。なお、詳細については、「第2事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
④積水ハウス株式会社グループからの受注・連携強化
当社は、積水ハウス株式会社と2020年5月に業務提携契約を、2020年6月、2023年2月には資本提携を行い、同社グループとの関係をより強化しております。同社の第6次中期経営計画においては、日本一の外構設計施工会社になることが表明されております。その達成に向けて「鳳コンサルタント株式会社」、「株式会社鴻池組」及び当社グループが一体として協業することが示されております。当社グループは、この協業による大型ランドスケープ案件や大規模プロジェクトへの参画を期待しており、事業拡大のチャンスと捉えております。今後も同社グループとは、取引関係だけでなく、相互の知見や技術を有効活用し、より一層、街や暮らしに潤いを与える緑空間創造企業としての使命を果たしてまいります。
⑤関東における事業拡大
当社グループは、当社において、本社・パインズ岐阜(岐阜県岐阜市)、名古屋支店(名古屋市西区)、東京支店(東京都千代田区)、長久手営業所・パインズ長久手(愛知県長久手市)、大阪営業所(大阪市淀川区)の5拠点、そして、子会社である株式会社景匠館(大阪市淀川区)の合計6拠点で営業活動を実施しております。特に中部及び関西エリアに拠点が多く、重点的な営業活動エリアではありますが、今後、事業を拡大するにあたっては、関東地区での事業拡大を第一に考えております。関東地区では、設計事務所やデベロッパーなどへプロジェクトの初期段階から提案営業を重ねることで、大型ランドスケープ案件や、富裕層向けの高額案件を受注しています。引き続き東京支店の組織強化を図り、更なる受注の拡大に繋げていきます。また、営業エリア拡大との視点では、福岡営業所の開設を計画しております。
⑥埼玉植物園との業務提携
当社は、2024年3月に、株式会社埼玉植物園との間で資本提携を視野に入れた業務提携を行いました。同社は埼玉県川口市を拠点とする老舗造園会社であり、関東エリアを中心に苗木の生産・卸売、緑化造園事業を展開しております。上述の通り、当社グループは、成長戦略の一つとして関東エリアでの事業規模の拡大を目指しております。また、同エリアでは特に、一般顧客に向けたガーデンエクステリアのニーズがあると考えております。当社グループは、同社との協業を通じて関東地区における施工拠点と位置付けさせていただくと共に、里山植栽と自然石を利用したモデルガーデンとして一般顧客に展示させていただくことでニーズに応えてまいります。当社グループは、これらの活動を通じて、同社と新たな付加価値を創出し、両社の業容の拡大と企業価値の向上に貢献してまいります。
⑦戦略的M&Aの推進
造園業界においては、後継者問題や職人の高齢化、新卒中途採用の求人難等により、廃業する業者も多く、造園事業許可業者数が減少しています。一方、地球温暖化や都市部の再開発事業におけるランドスケープ需要の拡大、国の緑化政策等、造園に対する社会的需要が高まっています。このような状況に対応すべく、戦略的M&Aを推進し、持続的な成長を目指します。また、M&Aを行うにあたっては、営業エリアの拡大、施工能力の強化、優秀な人材確保、強みを最大化する相乗効果の発揮、スケールメリットの獲得という視点を重視しております。
⑧海外事業の推進
当社は、2018年に中国青島における日本庭園の設計業務、2023年にカナダバンクーバーにおける大規模体験型農場ガーデンの設計業務を受注しました。今後も世界各国の自然環境に沿った日本独自の庭園手法や植栽技術を提案することにより、海外における受注活動も進めてまいります。
⑨PFI事業の推進
PFI(Private Finance Initiative)事業とは、公共施設等の整備・改修等事業を実施する手法の一つであり、施設の設計・建設・維持管理・運営を、民間の資金や経営能力、技術的能力などのノウハウを活用して行う事業手法をいい、これにより、地方自治体は、低廉で良質な公共サービスを地域住民やその利用者に提供することが可能となります。当社グループは、PFI事業を新たな事業機会と捉えて、これまで培ってきた公園等の指定管理業務のノウハウを活用しつつ、すでに複数のPFI事業を受注している積水ハウス株式会社の協力も得ることで、売上拡大を目指してまいります。
⑩話題性があり、ランドマークとなる案件の受注促進
当社は、日本中で大きな話題となっているテーマパークの緑化事業、有名な高級リゾートホテルの庭園及び地域のランドマークとなるような公園の施工を受注しております。今後もこのような話題性がありランドマークとなる案件の積極的な受注を推進し、業界の地位や当社グループの認知度の向上に努めてまいります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、物価上昇の継続と海外経済の不透明感などが懸念されるものの、公共建設投資においては、国土強靭化に向けた施策やインフラ老朽化対策の継続、民間建設投資においては、都市部を中心とした再開発事業や物流施設・ホテル等の非住宅分野における投資が継続したことから、堅調に推移してきました。その一方で、インフレや円安を背景とする建設資材価格の高騰や賃金の上昇、人手不足による工期の長期化が経営課題となっております。
当社グループは、そのような状況の中、以下の項目を優先的に対処すべき事業上の課題として取り組んでまいります。
①人材の確保、育成及び技能の伝承
当社グループが行う造園緑化事業では、設計や施工に関する技術は専門性が高く、熟練を要するため、一朝一夕では習得することが困難です。しかしながら、顧客に求められる品質・納期・価格を達成するためには、より多くの技術者を擁し、技術力を一層向上させることが必須であります。このため、今後の事業展開においては、優秀な人材の確保、育成及び技能の伝承が重要な課題となります。
採用に関しては、優秀な人材という点においては、新卒・中途採用ともに業種を超えた競争状態にあります。このような状況において、当社では、主要な高校や大学に定期的に訪問し、当社の認知度を上げることで、新卒採用に向けた高校や大学との連携を強化してまいります。中途採用に関しても、複数の転職エージェントとの連携を強化し、積極的に優秀な人材の採用に努めてまいります。これら採用活動とともに、人材の定着化を図るために、新入社員とは、定期的な面談を実施し、課題や意見を抽出し、早期解決に取り組みます。また、成果に応じた適切な人材評価制度と給与体系を構築することで、評価制度の見える化を推進してまいります。これらに加えて、労働時間のモニタリングを強化することで、時間外労働を削減し、ワークライフバランスの実現を図ります。
人材の育成及び技能の伝承に関しては、現場技術者の教育訓練を強化するために社内教育機関として「岐阜造園アカデミー」を設置しております。「岐阜造園アカデミー」では、月に1回以上開催する講習会や講習会の模様を撮影した動画作成を行っております。これにより、人材育成を加速させ、多くの現場経験を積むことで技能を伝承してまいります。また、造園・土木施工管理技能士、造園技能士、樹木医等の資格取得についても重要な方針としております。
②営業エリアの拡大
事業規模の拡大に向けては、現在の商圏にとどまることなく、営業エリアの拡大を通じて新規顧客を開拓することが不可欠であると認識しております。現在、東京・大阪・名古屋の三大都市圏を拠点とし、その近郊地域にも受注活動を展開しておりますが、今後の具体的なエリア戦略として、東京・大阪・名古屋に次ぐ主要商業都市である福岡への営業拠点開設を視野に入れ、四大都市を中心とした営業基盤の強化を図ってまいります。これにより、持続的な事業規模の拡大を目指してまいります。また、営業エリア拡大に加え、同業他社や異業種を対象としたM&Aの実施、並びに相乗効果が期待できる企業との事業提携など、戦略的アライアンスの推進にも積極的に取り組んでまいります。
③内部管理体制の強化
経営環境の変化に適応しつつ、更なる事業拡大を推進し企業価値を向上させるためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要な課題であると認識しております。当社では、社内における情報共有を目的としたITインフラを構築し、一定規模の受注案件に関する情報共有や拠点間における情報交換、他部門との情報共有などに関しては、定期的な会議体を設置し、早期の問題解決、業務改善につなげてまいります。また、社外との情報共有としては、お客様評価アンケートを実施してまいります。お客様評価アンケートの回答を解析することにより、継続的な受注の獲得やクレームの事前察知に役立ててまいります。
④ITの導入
企業価値の向上のためには、業務をより効率的に行うことが必須となります。当社グループは、業務を効率化するためには、ITを活用した業務システムを構築することが必要となります。当社においては、全社基幹システムを導入することで、バックオフィス業務を効率化すると共に業績の見える化を目指します。また、同時に、IT全般のセキュリティー確保、保存文書のペーパーレス化、生成AIの活用による業務の効率化を実施してまいります。
(1)経営方針
私たち岐阜造園グループは、創業者である小栗弥一が「植弥」として1927年に創業して以来、一貫して街並みや住まいに緑の空間を提供する造園緑化事業を行ってまいりました。当社グループは、造園緑化事業を「ガーデンエクステリア」、「ランドスケープ」という2つの領域に細分化し、それぞれの領域、ときにはそれらを融合した領域において、創業者が確立した技術やDNAを最大限活用することで最高の作品を社会に提供することを経営の根幹としております。第62期(2027年9月期)においては、創業者である小栗弥一が「植弥」として1927年に創業して以来100年目を迎える節目に当たります。当社グループの現在のステージは、「造園業」から「景観産業会社」へと変革した時点であると認識しておりますが、創業100年の節目を前に新たなステージとして「環境創造企業」への更なる進化を目指し、これを目標としております。「環境創造企業」とは「景観産業」+「環境保全」の役割を果たす企業をいい、匠の造園技術を活用し、美しい空間を作るだけでなく、人と自然が共生できる「こころを満たす」環境を創造する企業であります。当社グループは、「環境創造企業」としての使命を全うすることで、社会問題を解決する一助になるとともに、企業価値の継続的な向上を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、営業エリア展開等による事業規模の拡大と、予実管理の徹底による収益力の向上を目指しており、これらの目標を管理し実現するため、売上高、売上総利益率及び売上高経常利益率を経営指標として重視しております。
| 第60期実績 | 第61期業績予測 | |||
| 金額(千円) | 比率(%) | 金額(千円) | 比率(%) | |
| 売上高 | 6,271,357 | - | 6,312,000 | - |
| 売上総利益 | 1,800,159 | 28.7 | 1,750,420 | 27.7 |
| 経常利益 | 549,108 | 8.8 | 575,722 | 9.1 |
(3)経営戦略等
当社グループは、2030年に向けた成長戦略を策定しており、その達成のために必要な姿勢として、私たちがありたい姿を以下のように掲げております。
・「その景色は、こころを打つか。」を私たちの絶対的な品質基準とします。
・日本全国で「質の高い造園工事は岐阜造園に」という流れをつくります。
・社員とその家族が誇れる「業界一働きがいのある会社」を目指します。
なお、具体的な数値目標としては以下のように掲げております。

これらの目標を達成するために成長を支える3つ基本戦略を策定しております。




この成長を支える3つの基本戦略を実行するための方策としては、以下のように10の方策を実施してまいります。
①職人型現場力による付加価値の高い造園緑化施設の提供
当社グループは、創業98年で培ったDNAを財産とし、工事監督やデザイナーであっても、いざとなればスコップを持って作業する能力や、重機等を操縦する技能、植物の取り扱いに関する知識を合わせ持っている「職人型現場力」を最大の強みとしております。この強みは、創業以来培った匠の技術が織りなす、観る人に感動を与えるエクステリアデザインによる顧客への提案力であり、当社グループが提案するエクステリアデザインを現実の造園緑化施設として実現する技術力の高さであることや、定められた期日までに安全かつ効率的に施工を完了させる長年の経験に裏付けされた施工管理のことであります。この強みを最大限活用することで、付加価値の高い造園緑化施設を提供することを目指しております。
②新たなイノベーションの創出
創業者は、明治後期から大正時代にかけて造園業界でNo.1と言われた京都「植治」七代目小川治兵衛(山縣有朋の別邸「無鄰菴」等を作庭)の下で修業しました。数々の修業を経て培った高い技術を駆使し、地元の岐阜で本格的な日本庭園を数多く作庭しておりました。高度成長期には、伝統的な造園技術と東京で主流となっていた、「さつき」や「つつじ」の密植の大刈込の造形美で、モダンかつ革新的な和風庭園を作庭しておりました。当社は創業当時から常に「技術の探索」を行い、それを深掘りし「技術を更に深化」させることで、今で言うところのイノベーションを行っており、現在の市場における当社の優位性に繋がっております。
今後も、造園技術に裏打ちされた斬新で独創的なデザイン提案等「技術の探索」を推進し、営業から施工、完成後のメンテナンスまで一気通貫で行える当社のシステムを、さらに深掘りしていく事で「技術の深化」をはかり、新たなイノベーションの創出につなげてまいります。
③SDGsへの貢献・サステナビリティ経営推進
当社では4~5年ほど前から毎年、東北の雪深い産地の落葉樹を700~1,000本調達し、当社の圃場にて植木材料として大切に育て、造園資材として利用すると言う取組みをおこなっております。これらの樹木は林業素材としては殆ど価値がなく、通常は伐採されるものですが、冬の雪の重さや強風により特徴のある樹形となり、庭園木として「わび・さび」を表現するとても貴重な造園資材となっています。これらを当社の匠の技により時間をかけて一流の名木素材に仕立てています。また、当社は石組みによる造形美の表現を得意としております。石積などに使用する石材についても、地元の人たちが見過ごすような石の中から味わいのある石を選別し、地産地消も進めています。一見あまり価値のないような樹木や石ですが、当社の匠の技術力により付加価値を高め、自然の美しさ、経年変化の魅力や奥深さを表現しています。また、このように有効利用することで、CO2の削減にも貢献しております。今後も社会的責任を果たせるよう「サステナビリティ」を意識した経営を行ってまいります。
人財への投資に関する取り組みに関しましても、当社は、人材育成機関として岐阜造園アカデミーを設立し、創業以来培った匠の技術を次世代へ繋ぐための学びの場としております。なお、詳細については、「第2事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
④積水ハウス株式会社グループからの受注・連携強化
当社は、積水ハウス株式会社と2020年5月に業務提携契約を、2020年6月、2023年2月には資本提携を行い、同社グループとの関係をより強化しております。同社の第6次中期経営計画においては、日本一の外構設計施工会社になることが表明されております。その達成に向けて「鳳コンサルタント株式会社」、「株式会社鴻池組」及び当社グループが一体として協業することが示されております。当社グループは、この協業による大型ランドスケープ案件や大規模プロジェクトへの参画を期待しており、事業拡大のチャンスと捉えております。今後も同社グループとは、取引関係だけでなく、相互の知見や技術を有効活用し、より一層、街や暮らしに潤いを与える緑空間創造企業としての使命を果たしてまいります。
⑤関東における事業拡大
当社グループは、当社において、本社・パインズ岐阜(岐阜県岐阜市)、名古屋支店(名古屋市西区)、東京支店(東京都千代田区)、長久手営業所・パインズ長久手(愛知県長久手市)、大阪営業所(大阪市淀川区)の5拠点、そして、子会社である株式会社景匠館(大阪市淀川区)の合計6拠点で営業活動を実施しております。特に中部及び関西エリアに拠点が多く、重点的な営業活動エリアではありますが、今後、事業を拡大するにあたっては、関東地区での事業拡大を第一に考えております。関東地区では、設計事務所やデベロッパーなどへプロジェクトの初期段階から提案営業を重ねることで、大型ランドスケープ案件や、富裕層向けの高額案件を受注しています。引き続き東京支店の組織強化を図り、更なる受注の拡大に繋げていきます。また、営業エリア拡大との視点では、福岡営業所の開設を計画しております。
⑥埼玉植物園との業務提携
当社は、2024年3月に、株式会社埼玉植物園との間で資本提携を視野に入れた業務提携を行いました。同社は埼玉県川口市を拠点とする老舗造園会社であり、関東エリアを中心に苗木の生産・卸売、緑化造園事業を展開しております。上述の通り、当社グループは、成長戦略の一つとして関東エリアでの事業規模の拡大を目指しております。また、同エリアでは特に、一般顧客に向けたガーデンエクステリアのニーズがあると考えております。当社グループは、同社との協業を通じて関東地区における施工拠点と位置付けさせていただくと共に、里山植栽と自然石を利用したモデルガーデンとして一般顧客に展示させていただくことでニーズに応えてまいります。当社グループは、これらの活動を通じて、同社と新たな付加価値を創出し、両社の業容の拡大と企業価値の向上に貢献してまいります。
⑦戦略的M&Aの推進
造園業界においては、後継者問題や職人の高齢化、新卒中途採用の求人難等により、廃業する業者も多く、造園事業許可業者数が減少しています。一方、地球温暖化や都市部の再開発事業におけるランドスケープ需要の拡大、国の緑化政策等、造園に対する社会的需要が高まっています。このような状況に対応すべく、戦略的M&Aを推進し、持続的な成長を目指します。また、M&Aを行うにあたっては、営業エリアの拡大、施工能力の強化、優秀な人材確保、強みを最大化する相乗効果の発揮、スケールメリットの獲得という視点を重視しております。
⑧海外事業の推進
当社は、2018年に中国青島における日本庭園の設計業務、2023年にカナダバンクーバーにおける大規模体験型農場ガーデンの設計業務を受注しました。今後も世界各国の自然環境に沿った日本独自の庭園手法や植栽技術を提案することにより、海外における受注活動も進めてまいります。
⑨PFI事業の推進
PFI(Private Finance Initiative)事業とは、公共施設等の整備・改修等事業を実施する手法の一つであり、施設の設計・建設・維持管理・運営を、民間の資金や経営能力、技術的能力などのノウハウを活用して行う事業手法をいい、これにより、地方自治体は、低廉で良質な公共サービスを地域住民やその利用者に提供することが可能となります。当社グループは、PFI事業を新たな事業機会と捉えて、これまで培ってきた公園等の指定管理業務のノウハウを活用しつつ、すでに複数のPFI事業を受注している積水ハウス株式会社の協力も得ることで、売上拡大を目指してまいります。
⑩話題性があり、ランドマークとなる案件の受注促進
当社は、日本中で大きな話題となっているテーマパークの緑化事業、有名な高級リゾートホテルの庭園及び地域のランドマークとなるような公園の施工を受注しております。今後もこのような話題性がありランドマークとなる案件の積極的な受注を推進し、業界の地位や当社グループの認知度の向上に努めてまいります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、物価上昇の継続と海外経済の不透明感などが懸念されるものの、公共建設投資においては、国土強靭化に向けた施策やインフラ老朽化対策の継続、民間建設投資においては、都市部を中心とした再開発事業や物流施設・ホテル等の非住宅分野における投資が継続したことから、堅調に推移してきました。その一方で、インフレや円安を背景とする建設資材価格の高騰や賃金の上昇、人手不足による工期の長期化が経営課題となっております。
当社グループは、そのような状況の中、以下の項目を優先的に対処すべき事業上の課題として取り組んでまいります。
①人材の確保、育成及び技能の伝承
当社グループが行う造園緑化事業では、設計や施工に関する技術は専門性が高く、熟練を要するため、一朝一夕では習得することが困難です。しかしながら、顧客に求められる品質・納期・価格を達成するためには、より多くの技術者を擁し、技術力を一層向上させることが必須であります。このため、今後の事業展開においては、優秀な人材の確保、育成及び技能の伝承が重要な課題となります。
採用に関しては、優秀な人材という点においては、新卒・中途採用ともに業種を超えた競争状態にあります。このような状況において、当社では、主要な高校や大学に定期的に訪問し、当社の認知度を上げることで、新卒採用に向けた高校や大学との連携を強化してまいります。中途採用に関しても、複数の転職エージェントとの連携を強化し、積極的に優秀な人材の採用に努めてまいります。これら採用活動とともに、人材の定着化を図るために、新入社員とは、定期的な面談を実施し、課題や意見を抽出し、早期解決に取り組みます。また、成果に応じた適切な人材評価制度と給与体系を構築することで、評価制度の見える化を推進してまいります。これらに加えて、労働時間のモニタリングを強化することで、時間外労働を削減し、ワークライフバランスの実現を図ります。
人材の育成及び技能の伝承に関しては、現場技術者の教育訓練を強化するために社内教育機関として「岐阜造園アカデミー」を設置しております。「岐阜造園アカデミー」では、月に1回以上開催する講習会や講習会の模様を撮影した動画作成を行っております。これにより、人材育成を加速させ、多くの現場経験を積むことで技能を伝承してまいります。また、造園・土木施工管理技能士、造園技能士、樹木医等の資格取得についても重要な方針としております。
②営業エリアの拡大
事業規模の拡大に向けては、現在の商圏にとどまることなく、営業エリアの拡大を通じて新規顧客を開拓することが不可欠であると認識しております。現在、東京・大阪・名古屋の三大都市圏を拠点とし、その近郊地域にも受注活動を展開しておりますが、今後の具体的なエリア戦略として、東京・大阪・名古屋に次ぐ主要商業都市である福岡への営業拠点開設を視野に入れ、四大都市を中心とした営業基盤の強化を図ってまいります。これにより、持続的な事業規模の拡大を目指してまいります。また、営業エリア拡大に加え、同業他社や異業種を対象としたM&Aの実施、並びに相乗効果が期待できる企業との事業提携など、戦略的アライアンスの推進にも積極的に取り組んでまいります。
③内部管理体制の強化
経営環境の変化に適応しつつ、更なる事業拡大を推進し企業価値を向上させるためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要な課題であると認識しております。当社では、社内における情報共有を目的としたITインフラを構築し、一定規模の受注案件に関する情報共有や拠点間における情報交換、他部門との情報共有などに関しては、定期的な会議体を設置し、早期の問題解決、業務改善につなげてまいります。また、社外との情報共有としては、お客様評価アンケートを実施してまいります。お客様評価アンケートの回答を解析することにより、継続的な受注の獲得やクレームの事前察知に役立ててまいります。
④ITの導入
企業価値の向上のためには、業務をより効率的に行うことが必須となります。当社グループは、業務を効率化するためには、ITを活用した業務システムを構築することが必要となります。当社においては、全社基幹システムを導入することで、バックオフィス業務を効率化すると共に業績の見える化を目指します。また、同時に、IT全般のセキュリティー確保、保存文書のペーパーレス化、生成AIの活用による業務の効率化を実施してまいります。