訂正有価証券報告書-第2期(平成28年1月1日-平成28年12月31日)

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2017/05/01 12:03
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連結財務諸表注記事項(US GAAP)

注記1.事業、会計処理の原則及び表示の基礎
(1) 事業
窪田製薬ホールディングス株式会社(以下、窪田製薬ホールディングス)は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社は、全世界において数百万人に影響を及ぼしている視力を脅かす眼疾患に対する医療ソリューションを提供することを目的とした、非臨床及び臨床開発段階における複数の技術による幅広い製品候補ポートフォリオを有しています。当社は、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、白内障、加齢黄斑変性、並びに主に若年成人に影響を及ぼすスターガルト病や網膜色素変性のような失明をきたす稀少性網膜疾患などを適応症とする製品候補の開発を目指しています。また、モバイルヘルス分野におきましては、在宅・遠隔医療分野での需要を見込み、ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫をはじめとする、網膜血管新生による眼疾患の治療中および治療後の病変と経過をモニタリングする在宅眼科医療機器を開発しています。本書において「当社」、「我々」及び「私たち」とは、窪田製薬ホールディングス株式会社、あるいは窪田製薬ホールディングス株式会社及びアキュセラ・インクを含む子会社を指すものとします。
(2) 本社機能移転取引
平成28年12月1日付で、当社は、その本社機能を日本に移転し、日本法に基づき設立された窪田製薬ホールディングスがワシントン州の会社として設立されたアキュセラ・インク(米国)の親会社となり、最終的に上場会社となる企業再編を行いました。本社機能の移転(以下「本社機能移転取引」といいます。)は、平成28年8月9日付のアキュセラ・インク、ワシントン州の会社として設立された窪田製薬ホールディングスの完全子会社であるアキュセラ・ノースアメリカ・インク(以下「米国子会社」といいます。)及び窪田製薬ホールディングスとの間の合併契約及び計画に基づき効力を生じました。合併の効力発生時において、(1)アキュセラ・インクは米国子会社に吸収合併され、米国子会社が存続会社かつ窪田製薬ホールディングスの完全子会社となり商号をアキュセラ・インクに変更し、(2)アキュセラ・インクの発行済普通株式の各株式は消却され、窪田製薬ホールディングスの普通株式1株を受領する権利に転換されました。窪田製薬ホールディングスの普通株式合計約37.8百万株は、本社機能移転取引に基づき、同社が東京証券取引所マザーズ市場にコード番号4596で上場する前に、アキュセラ・インクの株主に対して交付されました。
窪田製薬ホールディングスは、1934年米国証券取引所法(改正済)ルール12g-3(a)に基づき、アキュセラ・インクの登録承継者となっております。平成28年12月31日現在の授権株式数は、窪田製薬ホールディングスの授権株式数を示しております。
(3) 連結財務諸表が準拠している用語、様式及び作成方法及びその作成状況
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第95条の規定を適用し、米国において一般に認められた会計基準による用語、様式及び作成方法に基づいて作成しております。
(4) 連結財務諸表の作成状況及び米国証券取引委員会における登録状況
当社は、上記(2)に記載のとおり、平成28年12月1日付の本社移転取引に伴い、1934年米国証券取引所法(改正済)ルール12g-3(a)に基づき、アキュセラ・インクの登録承継者となっており、米国の1934年証券取引所法第13条に基づき、米国において一般に認められた会計基準による用語、様式及び作成方法(以下、米国会計基準)に基づく連結財務諸表を含む年次報告書(Form 10-K)を米国証券取引委員会に提出しております。また、米国会計基準に準拠して連結財務諸表を作成しています。
(5) 日本における会計処理基準との主要な相違点
日本において一般に認められた会計基準による用語、様式及び作成方法に準拠して連結財務諸表を作成した場合と、当社が採用する米国会計基準に準拠して連結財務諸表を作成した場合との主要な相違の内容は次のとおりです。
① 収益認識
収益認識の会計処理は、米国財務会計基準審議会の会計基準書Accounting Standards Codification(以下、ASC)605「収益の認識」に準拠しており、米国証券取引委員会により公表された、Staff Accounting Bulletins(SAB)に従い、①契約について説得力のある証拠が存在すること、②製品等の引渡しまたはサービスの提供がなされたこと、③買主に対する売主の価格が固定または決定可能であること、④代金の回収可能性が合理的に保証されていること、のいずれの要件も満たした時点で収益を認識しております。
② 市場性のある有価証券
ASC 320「投資-負債及び持分証券」の規定に準拠して、市場性のある有価証券及び投資を「満期保有目的有価証券」及び「売却可能有価証券」に分類しております。「満期保有目的有価証券」は償却原価により測定し、満期まで保有する意思のある有価証券を分類しております。「売却可能有価証券」は公正価値により測定し、未実現の保有損益は実現するまで資本の部のその他の包括損益累計額に区分表示しております。
有価証券及び投資の価値の下落が一時的であるかどうかについて下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、及び公正価値の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思等をもとに判断し、一時的でないと判断された場合には、帳簿価額と公正価値の差を評価損として認識しております。
③ 有給休暇
有給休暇の会計処理は、ASC 710「報酬-全般」に準拠しています。従業員に付与された有給休暇のうち、未使用の有給休暇に対して負債を計上しています。
④ 株式報酬
ストック・オプション等の株式を基礎とした報酬については、ASC 718「報酬-株式報酬」に基づいて会計処理を行っております。株式報酬取引に係る費用は公正価値に基づいて測定され、対応する金額は株主資本に含めて計上されております。
⑤ 研究開発
研究開発費については、ASC 730「研究開発費」に従っており、将来の研究開発活動のために利用または提供される商品またはサービスに対して支払った払戻不能の前渡金を繰延べ、回収可能性の評価を前提に、当該商品の利用期間または関連サービスの提供期間にわたって償却しております。
(6) 表示の基礎
当社の連結財務諸表には、当社ならびに当社の完全子会社であるアキュセラ・インク及び窪田オフサルミクス株式会社の財務諸表が含まれています。連結会社間の残高及び取引はすべて連結上消去しています。当社経営陣の意見では、当該連結財務諸表には、財務諸表を公正に表示するために必要な通常の反復的調整を含むすべての調整が反映されています。米国会計基準に準拠した連結財務諸表を作成するため、経営陣はこれらの連結財務諸表及び添付の注記で報告された数値に影響を与える見積り及び仮定を行わなければなりません。実際の結果はこれらの見積りと著しく相違する場合があります。
当社の普通株式は無額面であるため、旧アキュセラ・インクの前連結会計年度における資本剰余金の表示は、当連結会計年度の資本金と表示を一致させるために組替えております。
(7) セグメント
当社は1つのセグメント、すなわち医薬品開発において事業活動を行っています。当社の全ての重要な資産は米国に所在します。平成28年12月31日終了年度において、全収益は米国において発生しました。
注記2.重要な会計方針
(1) 収益の認識
当社の事業戦略のひとつは、製品候補の開発及び商業化のために製薬会社と提携契約を締結することです。契約の条項には、払戻不能のライセンス使用料、研究開発活動の資金提供、開発マイルストーンの達成に基づく支払い、規制及び収益マイルストーンの達成に基づく支払い、及び製品売上または製品売上のロイヤリティが含まれる場合があります。当社は以下の4つの基本的な条件をすべて満たした時に収益を認識します。(a) 取決めについての説得力のある証拠が存在する場合、(b)サービスが提供された場合、(c) 手数料が固定または決定可能な場合、及び(d) 回収可能性が合理的に保証されている場合。これらの条件が充足される前に受領された金額は、繰延収益として計上されます。
平成28年12月31日終了年度に認識された収益は、すべて大塚製薬株式会社(以下、大塚製薬)との提携契約によって発生した金額からなります。(注記9.提携及びライセンス契約を参照)
(2) 複数要素契約
当社と大塚製薬との提携契約は複数要素契約であり、当該契約に含まれる成果物が個別の会計単位と認められるか否かを特定するため、当該契約の分析を行いました。開発に関する活動は大塚製薬にとって単独で価値を有していたため、当社はこれらのサービスが個別の会計単位としての基準を満たすものと判断しました。販売価格の最善の見積り(以下「BESP」といいます。)は、提供するサービスの価値についての当社の分析及び類似の開発サービスを提供する第三販売者により請求される料金の検討に基づいています。研究サービスについて請求される料金は、第三販売者が類似研究サービスについて請求する価格に対し競争力を有すると当社は判断しました。当社の提携契約において返品の権利はありませんでした。もっぱら当社の管理下にない将来の事象により偶発的に発生する支払は、当該偶発性が解消するまでの間、配分可能な契約対価から除外されます。
開発努力に基づく収益は第三者によりサービスが発生した際に認識されます。常勤または非常勤の報酬を受領する従業員によって獲得された収益は、労働時間に基づく比例履行モデルを用いて認識されます。会計単位に基づくサービスの総額を見積ることができ、かかる履行義務が最善努力に基づき履行される場合、収益は比例履行モデルを用いて認識されます。予想される費用の総額と比較した現在までに発生した費用は、これが完成物の引渡しを表すものとして比例履行の決定に用いられます。各会計単位において要求される努力の水準及び当社の履行義務の完成に予想される期間の決定については、実質的な判断が必要とされます。
(3) 繰延収益
上記の収益認識基準を満たす前に受領した金額は、繰延収益として計上されます。
(4) 現金及び現金同等物ならびに投資
当社は、取得日後3か月以内に満期が到来する、流動性の高い商品への投資を現金同等物とみなします。金額は原価で計上され、これは公正価値に近似します。当社の現金同等物は、現預金及びマネー・マーケット・ファンドから成り立っています。
当社は投資ポートフォリオ(社債、コマーシャル・ペーパー、米国政府機関債及び預金証書から構成されます。)の全体を売却可能なものと分類しています。売却可能有価証券は、各貸借対照表日現在の市場価格に基づく公正価値で計上され、未実現利益及び損失はその他の包括利益(損失)累計額の項目に純額で表示されています。取得時に発生したプレミアムまたはディスカウントは、利益において償却されます。
当社は、取得原価を下回る当社の投資の公正価値の下落が一時的といえないものであるかにつき定期的に評価しています。かかる評価は当該未実現損失の深刻さ及び期間、ならびに当該投資を償却原価ベースの回復まで保有する可能性がそうでない可能性より高いかに関する複数の質的及び量的要因で構成されます。実現利益及び損失は個別法を用いて計算されています。実現利益及び損失ならびに一時的でないと判断された価値の下落は、損益計算書のその他の収益(費用)の項目に計上されます。
当社は貸借対照表日から満期が12か月以上の投資を長期とみなし、貸借対照表日から満期が12か月未満の投資を短期とみなします。
(5) 信用リスクの集中
平成28年12月31日現在の当社の未収金は、当社と大塚製薬との提携により受け取るべき金額からなります。これまでの回収の実績を踏まえ、当社と大塚製薬との契約上の取決めに基づく残高はすべて支払われるものと当社は判断したため、当該期間において貸倒引当金は計上されませんでした。大塚製薬との契約上の取決めに基づき、担保は要求されていません。
(6) 有形固定資産
有形固定資産は、減価償却累計額控除後の原価により計上されます。当社は、器具備品について5年の見積耐用年数にわたり定額法で償却しています。ただし、リース物件改良費は、リース契約期間または資産の見積耐用年数のいずれか短い期間にわたり定額法で償却しています。
なお、主な見積耐用年数は以下のとおりであります。
実験装置及びコンピューター装置 5年
リース物件改良費 2年~7年
オフィス家具及び備品 5年
維持及び修理のための支出は、発生時に費用計上します。
使用目的で保有する長期性資産は、事象または状況の変化により帳簿価額が回収できない可能性が示されたときは、減損評価の対象となります。帳簿価額が、当該資産の割引前将来キャッシュ・フローに基づき回収不能である場合、減損金額は資産の簿価と公正価値との差額となります。当社は、表示期間において、減損損失を計上していません。
(7) 公正価値
当社は現金同等物及び投資を公正価値で測定し、計上します。公正価値は、測定日において主たるもしくは最も有利な資産もしくは負債の市場における市場参加者間で秩序ある取引が行われた場合に、資産の売却によって受け取るであろう価格、または負債の移転のために支払うであろう価格(出口価格)と定義されます。公正価値測定に使用される評価手法は、観察可能なインプットの使用を最大化し、観察不能なインプットの使用を最小化します。
貸借対照表に反映される未収金及び買掛金の帳簿価額はその短期の性質により公正価値に近似します。
(8) 株式報酬
株式報酬費用は、報奨の公正価値に基づき付与日に見積もられ、見積失権分を控除し、修正定額法に基づき、必要な役務期間(通常は権利確定期間)にわたり費用として認識されます。当社の株式型インセンティブ・プラン(以下「エクイティ・プラン」といいます。)に基づくストック・オプションの公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション価格決定モデルを用いて計算されます。かかるモデルは、予想無リスク金利、株価ボラティリティ率、配当利回り及び加重平均オプション期間を決定するための仮定の設定を必要とします。当社は、アワードの付与日から、かかるアワードが従業員の追加的な役務の提供を条件としなくなる日までまたは当社普通株式の市場価格が最低限の期間にわたり一定の水準に達した日までのいずれかの期間(権利確定期間)にわたって株式報酬費用を認識します。未行使のオプションは、5年から10年後に失効します。当社は、各付与の公正価値を単独のアワードとして見積もり、オプションの権利確定期間にわたり定額法で報酬費用に組込み、償却しています。当社はまた、株式報酬費用の計算に使用されるストック・オプションが将来失効する割合を10%と想定しております。従業員等が退職した場合は、当社は現在までに発生した費用に対して失効した数を考慮して、精算処理を行います。
制限付株式ユニット及び制限付株式アワードの公正価値は、付与日における当社株式の市場価格と同等です。当社は、かかる価値を制限付株式の権利確定期間にわたり定額法で報酬費用に組込み、償却しています。
(9) 研究開発費
研究開発費には、臨床開発スタッフ及び科学者に支払われた給与、研究及び開発活動を実施するための外部サービス提供者ならびに開発業務受託機関への支払手数料が含まれます。また、研究所備品、ライセンス料、顧問料、旅費及び研究開発活動に従事する第三者に支払われた報酬、ならびに設備費及び情報技術費用を含む一般管理費用の割当分が含まれることもあります。研究開発費は発生時に費用計上されます。
前臨床化合物が将来の研究開発に利用または提供されるという確証がないため、研究開発提携契約に関連する返金不能の前払金支払は、現在、発生時に費用計上されています。提携プロジェクトが研究開発費を発生し始める前においては、返金不能の前払金は、前払費用として計上されています。当社は実施者契約取決めにしたがい、各報告期間において返金不能の前払金が将来の研究開発活動のために利用または提供される性質を有するか否かを評価します。その時点で、かかる支払を繰延べ資産計上するかどうかを決定します。将来における経済的利益は見込めるものの確実性を持ってその度合いを測定できない場合に、当社は、ライセンスに対する契約上の権利を取得するための支払いが発生した際に、それらを費用として計上します。
払戻可能の前払金の支払いは、払戻可能保証金として計上されます。手数料が払戻し不可となった際には、将来における経済的利益の確実性を基に、資本化または費用計上されます。
(10) 法人税
当社は、繰延税金資産及び負債を、財務諸表または税務申告書においてすでに認識された事象の将来の税効果のため認識します。ストック・オプション行使及びその他持分報奨に関連する超過税金ベネフィットは、株主資本に計上されます。繰延税金負債及び資産は財務諸表上の帳簿価額と税務上の資産及び負債の差異、営業損失ならびに繰越税額控除に基づき、当該差異または繰越が回収されるかまたは解消されると予想される年度において有効となると考えられる適用税率を用いて測定されます。評価性引当金は、繰延税金資産のベネフィットが実現されない可能性が実現される可能性より高いと当社が考える場合に、計上されます。
当連結会計年度において、当社は税効果会計における繰延税金資産及び負債の表示方法について簡便法を採用し、連結貸借対照表において長期資産及び負債として分類しました。かかる会計基準の採用が当社の連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
(11) 為替換算及び再測定
当社の連結財務諸表には、当社ならびに当社の完全子会社であるアキュセラ・インク及び窪田オフサルミクス株式会社の財務諸表が含まれています。当社及び窪田オフサルミクス株式会社の機能通貨は日本円であり、アキュセラ・インクの機能通貨は米ドルであります。当連結会計年度の期首から本社機能移転取引の日付まで、当社は米ドルの日本円への換算のため本社機能移転日である平成28年12月1日現在のレートを用いました。以降、当社はアキュセラ・インクの取引による資産及び負債の日本円への換算に、各報告期間末に有効なレートを用いており、また、収益及び費用は、期中平均レートを用いて換算され、これらの換算による非現金利益及び損失は、株主資本の一部を構成するその他包括利益累計額に含まれる為替換算調整勘定として認識されます。
注記3.最近の会計に関する発表
平成26年5月、米国財務会計基準審議会(以下「FASB」といいます。)は、GAAPに基づく既存の収益認識指針のほぼすべてを差し替えるため、会計基準更新書(以下「ASU」といいます。)第2014-09号「顧客との契約から生じる収益の認識(Topic 606)」を公表しました。ASU第2014-09号の中核となる原則は、約束された商品またはサービスが顧客に移転された時点において、これらの商品またはサービスに対し受領することが期待される対価を反映した金額で収益を認識することです。ASU第2014-09号は、この原則を達成するため、5段階のプロセスを定めており、契約上の履行義務の識別、取引価格に含まれる変動する対価の見積り及び取引価格を独立した履行義務に配分することを含み、既存のGAAPに基づき求められるよりも多くの判断及び見積が収益認識プロセスにおいて求められる可能性があります。ASU第2014-09号は、(i)ASU第2014-09号に定められる一定の実務上の便法を選択するオプションを示して各過年度に遡及適用する方法または(ⅱ)ASU第2014-09号の適用日に認識されたその累積的影響額を遡及させ定められた追加の開示を行う方法のいずれかを用いて、適用することができます。平成27年8月、FASBは、ASU第2014-09号における発効日を1年延期するための、ASU第2015-14号「顧客との契約から生じる収益の認識(Topic 606):発効日の延期」を公表しました。平成28年4月、FASBはASU第2016-10号「顧客との契約から生じる収益(Topic606):履行義務の識別及びライセンス」を公表しました。ASU第2016-10号は、契約上の個別の履行義務の識別及び知的財産のライセンス付与の会計処理を明確化するものです。平成28年5月、FASBは、ASU第2016-12号「顧客との契約から生じる収益(Topic 606):限定的な改善及び実務上の便法」を公表しました。これにより、中核となる原則は変更されず、回収可能性の評価、売上税の表示、非現金対価の測定及び一定の移行に関する事項についての指針が明確化されました。改正済収益認識新基準の適用は、平成29年12月15日以降より後に開始する事業年度及びそれらの期中期間から開始されます。早期適用は、平成28年12月15日より後に開始する事業年度及びそれらの期中期間についてのみ認められています。
大塚製薬との契約の解除及び活動終了期間の完了後、当社は大塚製薬との契約に基づくいかなる将来の収益も見込んでいません。現在、当社は複数のパートナーシップの可能性を模索しており、将来における戦略的パートナーとの提携からの収益を得る可能性があります。当社が収益を生じる契約を締結した場合、当社はASU第2014-09号の採用がもたらす影響を評価していきます。
平成28年2月、FASBは、ASU第2016-02号「リース(Topic 842)」を公表しました。かかる新指針は、貸借対照表におけるリース資産及び負債を認識することにより、組織の透明性及び比較可能性を高めることを目的としており、リース契約に関する追加的な財務情報の開示を義務付けるものです。かかる修正は、主に借手のオペレーティング・リースに対処するためのものであり、借手は、すべてのリース資産及び負債を貸借対照表上で会計処理することになります。ASU第2016-02号は、平成30年12月15日より後に開始する事業年度及びそれらの期中期間において適用されることが求められています。当社は現在、ASU第2016-02が当社の連結財務諸表に及ぼす影響を評価しています。
平成28年3月、FASBはASU第2016-09号「報酬-株式報酬(Topic 718):従業員の株式に基づく報酬の会計に対する改善」を公表しました。かかる新指針は、株式報酬取引の会計処理を簡素化することを目的としています。かかる改訂には、株式報酬の会計処理における以下のさまざまな側面が含まれます。
・法人税の会計処理
・キャッシュ・フロー計算書における超過税金ベネフィットの分類
・失効
・源泉税に関する最低要件
・雇用者が源泉徴収目的で株式の一部を留保する場合の源泉徴収のキャッシュ・フロー計算書の区分
ASU第2016-09号は、平成28年12月15日より後に開始する事業年度及びそれらの期中期間において適用されることが求められています。当社は、ASU第2016-09号が当社の連結財務諸表に重大な影響を及ぼすと考えていません。
上記以外で、当社は、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性のある、最近公表された会計基準を適用する予定はありません。
注記4.現金及び現金同等物ならびに投資
FASBの会計基準編纂書のTopic 820「公正価値測定及び開示」に基づき、公正価値は、測定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われた場合に、資産の売却によって受け取るであろう価格、または負債の移転のために支払うであろう価格と定義されます。公正価値評価基準の比較可能性を向上させるために、以下の階層が公正価値を測定するのに利用される評価手法のインプットの優先順位を決めます。
レベル1-活発な市場における、同一の資産及び負債の取引相場価格。
レベル2-直接的または間接的に観測可能なレベル1以外のインプット(類似の資産もしくは負債の取引相場価格、活発でない市場における取引相場価格、または資産もしくは負債の期間の実質的全体についての観測可能もしくは観測可能な市場データにより裏付けられるその他のインプット)
レベル3-市場データがわずかまたは皆無であり、当社が独自の仮定を確立する必要のある観測不可能なインプット
平成28年12月31日現在の現金及び現金同等物ならびに投資には、現金、マネー・マーケット・ファンド、社債、米国政府機関債、コマーシャル・ペーパー及び預金証書が含まれます。当社はマネー・マーケット・ファンドの公正価値を、活発な市場における、同一の資産または負債の取引相場価格に基づき測定します。当社は、社債、米国政府機関債、コマーシャル・ペーパー及び預金証書への当社の投資は売却可能であると考えています。売却可能有価証券は公正価値で計上されます。売却可能有価証券は、活発ではない市場における直近の取引に基づいて、または類似の商品の取引市場価格及び観察可能な市場データによりもたらされるもしくは裏付けられるその他重要なインプットに基づいて評価されました。当社は平成28年12月31日現在、レベル3に分類される金融商品を保有していませんでした。
以下の表は、平成28年12月31日現在の継続的に公正価値測定された当社の金融資産に関する情報とともに、かかる公正価値の決定に使用された評価要素に関する公正価値ヒエラルキーを示したものです。
(単位:千円)
当連結会計年度
(平成28年12月31日)
償却原価未実現総額公正価値
評価益評価損
(1年未満)
評価損
(1年以上)
現金306,692306,692
レベル1有価証券:
マネー・マーケット・ファンド735,782735,782
レベル2有価証券:
コマーシャル・ペーパー3,027,380113△1,1263,026,367
米国政府機関債3,213,43320△2,243△1,6123,209,598
社債9,023,099708△5,500△6,0129,012,295
預金証書167,746322168,068
16,474,1321,163△8,869△7,62416,458,802

平成28年12月31日現在、社債1,542百万円及び米国政府機関債669百万円が1年超2年未満の期間に満期を迎えます。平成28年12月31日現在において保有されるその他すべての投資有価証券は12か月以内に満期を迎えます。当社は、当該投資を売却する意向はなく、償却原価ベースが回復する(すなわち満期)前に投資を売却しなければならない可能性も50%超にはなりません。
投資ポートフォリオ内の個々の有価証券について市場価値が測定されました。これらの一定の投資価額の減少は主に金利の変動によるものであり、一時的な性質のものであると解されます。当社は、有価証券の公正価値が原価を下回る期間及び程度、発行者の財政状態、ならびに当社の売却意図または償却原価ベースまで回復する前に有価証券を売却する必要が生じる可能性が生じない可能性より高いか否か等を評価します。平成28年12月31日現在、当社はこれらの投資に一時的でない減損が生じているとは考えていません。
注記5.有形固定資産
平成28年12月31日現在、当社の固定資産は、以下のとおりに構成されました。
(単位:千円)
当連結会計年度
(平成28年12月31日)
実験装置及びコンピューター装置340,273
リース物件改良費165,797
オフィス家具及び設備57,905
563,975
減価償却累計額△474,332
有形固定資産(純額)89,643

注記6.株主資本
(1) 普通株式
平成28年12月1日付で、当社は、その本社機能を日本に移転し、当社がワシントン州の会社として設立されたアキュセラ・インクの親会社となり、最終的に上場会社となる本社機能移転取引を完了しました。合併の効力発生時において、アキュセラ・インクを吸収合併消滅会社、アキュセラ・ノースアメリカ・インクを吸収合併存続会社として、アキュセラ・ノースアメリカ・インクは商号をアキュセラ・インクに変更しました。その後、アキュセラ・インクの発行済普通株式の各株式は消却され、当社の普通株式1株を受領する権利に転換されました。当社は証券コード番号を4596として東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。
本社機能移転取引に関連し、アキュセラ・インクの発行済普通株式1株は、当社の普通株式1株を受領する権利に転換されました。
(2) その他の包括利益(損失)累計額の変動(単位:千円)
当連結会計年度
(自 平成28年1月1日
至 平成28年12月31日)
期首残高△65,830
その他の当期包括利益(損失)(税引後)50,783
為替換算調整勘定300,296
期末残高285,249

その他の包括利益累計額の変動は、売却可能有価証券未実現保有損益及び為替換算調整勘定に関連します。
注記7.株式報酬
(1) 株式型インセンティブ・プラン
本社機能移転取引以前において、当社の従業員等は、修正済2014年エクイティ・インセンティブ・プラン、2012年エクイティ・インセンティブ・プランならびに2002年ストック・オプション及び制限付株式プランの3つのエクイティ・インセンティブ・プラン(以下総称して「アキュセラ・エクイティ・プラン」といいます。)に基づき、ストック・オプションを保有していました。本社機能移転取引の完了において、当社が管理する窪田製薬ホールディングス株式会社ストックオプションプラン(2016年~2026年)(以下「窪田製薬ホールディングス・ストック・プラン」といいます。)が効力を発生しました。なお、本社機能移転取引に伴いアキュセラ・エクイティ・プランは失効し、当社は、その保有者に対し、主要な点において同等の内容の新株予約権を以下のとおり発行しております。
・アキュセラ・インクの発行済オプションはすべて消却され、かかるオプションと同一の付与日、行使価格、権利確定条件及び期間による当社の新株予約権が発行されました。これらは第1回新株予約権から第19回新株予約権として登記されています。
・アキュセラ・インクの発行済制限付株式ユニット(RSU)はすべて消却され、権利確定時の行使価格を1円とする当社の新株予約権が発行されました。これは第20回新株予約権として登記されています。
・アキュセラ・インクの発行済制限付株式アワードはすべて消却され、同一の権利確定期間を有する当社の制限付株式アワードが割当てられました。
平成28年12月31日現在当社が有していたのは、窪田製薬ホールディングス・ストック・プランのみでした。これに基づき、将来エクイティ・アワードが付与される可能性があります。当連結会計年度末において、窪田製薬ホールディングス・ストック・プランに基づくストックオプションは発行されておりません。
当社は、当連結会計年度において681百万円であったすべての株式アワードの公正価値を報酬費用として計上しています。
平成28年12月31日現在、普通株式1,513,313株が窪田製薬ホールディングス・ストック・プランに関連する発行のために留保されております。窪田製薬ホールディングス・ストック・プランは、従業員、取締役及びコンサルタントに対するストック・オプションの付与を認めています。米国における従業員に対して付与されたストック・オプションは、米国内国歳入法に基づきインセンティブ・ストック・オプションとして扱われる可能性があります。
(2) エクイティ・アワード
当連結会計年度における本社移転取引前において、旧アキュセラ・インクの取締役会は、同社CEOに対する780,000個のオプション、取締役に対する220,000個のオプション、研究開発担当上級副社長に対する120,000個のオプション及び従業員に対する312,500個のオプションから構成される合計1,432,500個のオプション付与を承認しました。
アキュセラ・インクのCEOに付与されたオプションのうち390,000個は、3年間にわたり権利が確定するものです(そのうち33%が1年後に権利が確定し、残りの67%はその後毎月按分した割合で権利が確定していきます。)。さらに、同氏には平成28年3月31日付ですべての権利が確定した390,000個の株価連動アワードも付与されました。
当社取締役に対する付与は4年間にわたり毎月按分した割合で権利が確定していきます。
研究開発担当上級副社長に対する付与に関し、7,500個のオプションの権利が平成28年9月1日に確定しました。その後、毎月1日に2,500個のオプションの権利が確定していき、平成32年6月1日付で当該オプションの全ての権利が確定します。
当連結会計年度において従業員に付与されたオプション312,500個は、以下の条件に基づくオプションを含みます。
・新規採用従業員に対して付与された104,800個のオプションは、4年間にわたり権利が確定するものです。そのうち25%は1年後の応当日に権利が確定し、残りの75%はその後3年間にわたり毎月按分した割合で権利が確定していきます。
・新規採用従業員に対して付与された14,000個のオプションは、4年間にわたり権利が確定するものです。そのうち25%は1年後の応当日に権利が確定し、残りの75%はその後3年間にわたり3か月ごとに権利が確定していき、平成32年9月16日付で全ての権利が確定します。
・既存の従業員に対して付与された159,700個のオプションのうち16分の1は、平成29年1月11日に権利が確定し行使可能となり、その後3か月ごとに権利が確定し、平成32年10月11日付で当該オプションの全ての権利が確定します。
・昇進により従業員に対して付与された34,000個のオプションのうち16分の1は、平成28年12月16日に権利が確定し行使可能となり、その後3か月ごとに権利が確定し、平成32年9月16日付で当該オプションの全ての権利が確定します。
平成27年において、旧アキュセラ・インクの取締役会は、1,509,872個のRSU、477,061個の制限付株式アワード及び1,500,903個のオプションを、従業員及び上級役員に付与しました。
平成27年において付与されたアワードの確定期間は4年間であり、付与日から1年後の応当日に25%の権利が確定し、残りの75%につきその後3年間にわたり毎月按分した割合で権利が確定していきます。
(3) オプションの概要
以下は、当連結会計年度におけるストック・オプション(第1回新株予約権から第19回新株予約)の概要です。
当連結会計年度(自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日)
ストック・オプション:株式が潜在する
オプション(株)
加重平均
行使価額(円)
本源的価値総額
(千円)
加重平均残存
有効期間(年)
期首現在発行済1,854,030733.89261,404
付与1,432,5001,352.45
行使済△1,235,794764.171,001,232
失権△40,929687.29
失効△219957.55
期末現在発行済2,009,5881,155.58217,2549.1
期末現在権利確定済且つ権利行使可能192,883917.9445,7818.6
権利確定済及び権利確定予定1,827,9181,153.25200,1309.0

補足情報当連結会計年度
(平成28年12月31日)
ストック・オプション:
付与日における1株当たり公正価値の加重平均 ― 付与(単位:円)781.65
行使済オプションの本質的価値合計(単位:千円)1,001,232
権利確定済オプションの公正価値合計(単位:千円)107,171


当連結会計年度において付与されたストック・オプションの公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション価格決定モデルを用い、以下の仮定を適用して計算されました。
当連結会計年度
(自 平成28年1月1日
至 平成28年12月31日)
無リスク金利1.2%-2.0%
予想期間3.5-6.3年
配当利回り―%
予想ボラティリティ率62%-70.6%

無リスク金利 当社のオプション価格決定モデルにおいて使用される無リスク金利は、同等の期間について発行された米国財務省証券のインプライド・イールドに基づいています。当社の株式報奨の予想期間が金利が示される期間に対応していない場合、当社は利率の決定のため入手可能な満期期間から直線補間を行います。
予想期間 当社のオプション価格決定モデルにおいて使用される予想期間は、当社の株式報奨が残存すると予想される期間を表示し、単純化された手法に基づき決定されます。単純化された手法は、権利確定期間及びオプションの契約期間の単純平均を用います。当社におけるストック・オプション行使の実績は、予想オプション期間を見積る合理的な根拠を提供しないことから、当社は単純化された手法を用いて予想オプション期間を決定しています。
配当利回り 当社は過去に現金配当を支払ったことがなく、当面は、将来的に現金配当を支払う意向はありません。従って、当社のオプション価格決定モデルにおいて使用される予想配当はゼロです。
予想ボラティリティ率 当社のオプション価格決定モデルにおいて使用されるボラティリティ要因は、当社独自のボラティリティ率の確率加重平均及び類似の公開会社のボラティリティ率の平均を用いて見積られます。当社の取引の歴史が浅いため、予想ボラティリティ率は、予想期間と同等の過去の期間における当社と類似の公開会社の株価のヒストリカル・ボラティリティの評価に基づいています。当連結会計年度において当社は、評価及び2つのグループの確率加重平均の一部に、当社の株価を追加しました。金融商品の予想残存期間は、経験値及びオプション保有者の一般行動に基づきます。
(4) RSU(第20回新株予約権)及び制限付アワードの概要
以下は、当連結会計年度における当社のエクイティ・プランに基づくRSU及び制限付株式アワードの概要です。
当連結会計年度
(自 平成28年1月1日
至 平成28年12月31日)
RSU及び制限付株式アワード(単位:株)付与日における公正価値の
加重平均(円)
期首現在発行済1,195,931653.51
付与
権利確定済△454,148652.34
失権(注)△309,253641.86
期末現在発行済432,530665.16


平成28年12月31日現在発行済であったアワードの権利確定スケジュールは以下のとおりです。
アワードの種類権利確定スケジュール対象者
ストック・オプション付与日から1年後に25%が確定し、その後毎月按分した割合で残りの75%が確定従業員及び執行役員
ストック・オプション毎月按分した割合で確定取締役
制限付株式ユニット(RSU)毎年25%ずつ、4年間にわたり確定従業員
制限付アワード及び制限付株式ユニット(RSU)付与日から1年後に25%が確定し、その後毎月按分した割合で残りの75%が確定執行役員
ストック・オプション16分の1が平成29年1月11日に確定し、その後3か月ごとに按分した割合で残りの権利が確定し、平成32年10月11日に全ての権利が確定従業員
ストック・オプション16分の1が平成28年12月16日に確定し、その後3か月ごとに按分した割合で残りの権利が確定し、平成32年9月16日に全ての権利が確定従業員
ストック・オプション25%が平成29年9月16日に確定し、その後四半期ごとに按分した割合で残りの権利が確定し、平成32年9月16日に全ての権利が確定従業員
ストック・オプション付与日から1年後に33.3%が確定し、その後毎月按分した割合で残りの66.7%が確定執行役
ストック・オプション株価連動型アワード:株価が①30暦日連続で1,102.32円以上であった場合にアワードの33%の権利が確定②30暦日連続で1,469.76円以上であった場合にさらに33%の権利が確定③30暦日連続で1,837.20円以上であった場合に残りの権利が確定執行役
ストック・オプション7,500株が平成28年9月1日に確定。その後各月初日に2,500株ずつ確定し、平成32年6月1日に全ての権利が確定執行役員

ストック・オプションの権利行使期間は5年間から10年間です。当該期間の終了時点で未行使のオプションは失効します。
平成28年12月31日現在、エクイティ・プランに基づき付与された、未確定のオプションに関連する未認識報酬費用は907百万円であり、制限付株式ユニット及び制限付株式アワードに関連する未認識報酬費用は273百万円でした。かかる費用は、それぞれ加重平均期間である3.0年及び2.4年にわたって認識される予定です。
注記8.法人税
当連結会計年度の繰延税金資産は以下のとおりであります。
(単位:千円)
当連結会計年度
(平成28年12月31日)
繰延税金資産:
繰越欠損金2,020,824
研究開発費用の繰越税額控除119,857
繰延賃借料43,798
有形固定資産17,761
報酬312,178
代替ミニマム税額控除30,144
その他2,063
未実現損失16,367
合計2,562,993
評価性引当額△2,562,993
繰延税金資産(純額)

当連結会計年度末における研究開発費用の繰越税額控除及び繰越欠損金は、それぞれ119百万円及び5,931百万円であります。繰越金の使用は、会社の将来の所得額に基づき制限されています。研究開発費用の繰越税額控除は平成40年に失効が開始し、繰越欠損金の失効は平成47年に開始します。
研究開発費用の繰越税額控除の30百万円が、財務諸表の目的のために認識された金額を上回る課税控除対象の株式報酬に関連しています。研究開発費用の繰越税額控除(認識された場合)が株式報酬に関連する範囲において、それに伴う税務ベネフィットは、損益ではなく株主資本に計上されます。
当連結会計年度における法人税等の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:千円)
当連結会計年度
(自 平成28年1月1日
至 平成28年12月31日)
州税
当期税額41
繰延税額
法人税等41

当社の実効税率に対する法定連邦所得税率の調整は、以下のとおりであります。
当連結会計年度
(平成28年12月31日)
法定税率(日本)33.0%
海外税率差異1.0%
法定連邦税率34.0%
州所得税△0.1%
株式報酬△1.6%
その他の永久差異項目△0.1%
評価性引当額△32.2%
実効税率

将来における課税所得を通じて将来減算一時差異ならびに営業損失(純額)及び繰越税額控除が50%超の可能性で実現されないことが予想されるため、繰延税金資産に対する評価性引当金は全額計上されました。当連結会計年度において、当社は評価性引当金2,563百万円を全額計上しました。
当社は、課税当局による調査において税務ポジションが長期間続く可能性が50%超になる場合にのみ、テクニカル・メリットに基づき、不確実な税務ポジションからの税務ベネフィットを認識します。税務ポジションについて財務諸表上で認識された税務ベネフィットは、最終的な解決において50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。しかし、当連結会計年度末において、当社は重大な未認識の税務ベネフィットを有していませんでした。さらに、今後12か月間において、未認識の税務ベネフィットにおける重大な変化は予想されません。
当社は、法人税費用における不確実な税務ポジションに対する当社の負債に関する利息及び罰金を認識します。しかし、当連結会計年度において、当社は、未認識の税務ベネフィットに関するいかなる利息及び罰金も発生しませんでした。
注記9.提携及びライセンス契約
(1) 大塚製薬との提携
当連結会計年度において、当社は大塚製薬との共同開発契約の遂行に関し、870百万円の収益を認識しました。
① エミクススタト塩酸塩提携
平成20年に当社は大塚製薬と、当社の化合物であるエミクススタト塩酸塩について、米国、カナダ及びメキシコ(以下「共通テリトリー」といいます。)における地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性及びその他の潜在的適応症に関する共同開発及び商業化につき正式契約を締結しました。同契約に基づき、当社は欧州、南アメリカ、中央アメリカ、カリブ諸国及びアフリカ(以下「Acucelaテリトリー」といいます。)において全権利を保持し、大塚製薬はアジア、中東及び世界のその他の地域における特定の市場(以下「大塚製薬テリトリー」といいます。)において同化合物の開発及び商業化に関する排他的権利を取得しました。大塚製薬は同契約締結にあたり、当社に対し、582百万円の払戻不能のライセンス料を前払いで支払いました。
本契約において大塚製薬は、共通テリトリーにおける臨床第2相試験までの全開発活動について最高4,660百万円(40.0百万米ドル)まで資金提供する旨合意しました。平成24年において、開発活動費用は4,660百万円(40.0百万米ドル)を超過し、大塚製薬は契約を継続し、開発費用を当社と均等に負担することに合意しました。平成28年6月に大塚製薬が本契約を解除する以前、当社は、以下の通り、総額9,610百万円(82.5百万米ドル)に上る開発マイルストーンを受領する可能性がありました。
i.第1適応症-6,407百万円(55.0百万米ドル)
a.米国における臨床第2b/3相試験開始により582百万円(5.0百万米ドル、平成25年12月31日終了年度中に受領しました。)
b.米国における臨床第3相試験開始、または臨床第3相試験において臨床第2相試験が不要である場合には、米国におけるFDAに対する新薬承認申請(以下「NDA」といいます。)提出により582百万円(5.0百万米ドル)
c.米国におけるFDAに対するNDA提出により1,747百万円(15.0百万米ドル)
d.米国におけるFDAによるNDA承認の受領により2,330百万円(20.0百万米ドル)
e.日本の規制当局による販売承認申請に対する承認の受領により1,165百万円(10.0百万米ドル)
ⅱ.第2適応症-3,203百万円(27.5百万米ドル)
a.米国における臨床第3相試験開始により582百万円(5.0百万米ドル)
b.米国におけるFDAに対するNDA提出により874百万円(7.5百万米ドル)
c.米国におけるFDAによるNDA承認の受領により1,165百万円(10.0百万米ドル)
d.日本の規制当局による販売承認申請に対する承認の受領により582百万円(5.0百万米ドル)
本契約に基づき、大塚製薬は臨床第2相試験開発費用のうち当社負担分を担保付約束手形の形で資金提供しました。当該約束手形には、(a)利息は日次で発生し、年間360日ベースで計算され、当社に対し貸付けられた全額に対して貸付日から全額支払われるまで発生すること、(b)未払利息は年次で複利となること、(c)適用金利は四半期毎にその時々の実効金利、すなわち各暦四半期の第1営業日にウォール・ストリート・ジャーナル紙の「Money Rates」欄に記載される3か月ロンドン銀行間取引金利(以下「LIBOR」といいます。)に、3%を加えた数字を反映するために調整されること、ならびに(d)全額米ドルにより支払われることが定められています。本契約には、大塚製薬に対し、共通テリトリー及びAcucelaテリトリーの両方における、純利益及びロイヤリティ支払いに対する当社持分、ならびに関連提携化合物及び提携製品の所有権ならびに前提となる知的財産権の当社持分について第一優先担保権を付与する担保権合意が含まれます。
借入金は、提携契約に基づく将来の製品販売または北米及び大塚製薬単独のテリトリー外における契約に基づき開発された提携化合物及び提携製品の販売もしくはライセンスにより収入が発生した場合においてのみ、返済されます。
本契約は資金提供を受けた開発の要素を含んでいたため、担保付約束手形に基づく当社の大塚製薬に対する義務が、借入金返済に関わる債務として計上されるべきか、または契約上の役務を提供する義務として計上されるべきかを判断するため、当社は本契約を評価しました。借入金返還債務が存在しないとの結論に至るためには、当社から大塚製薬への研究開発に関連する財務リスクの移転が、実体的かつ真正である必要があります。当社は、当社の大塚製薬に対する債務は、契約上の役務を提供する義務であると判断しました。何故なら返済は開発結果に将来の経済的便益が存在することのみに依存しているからです。結果として本契約に基づく当社負担分の開発費用として大塚製薬より受領した金額は、収益として認識されました。当連結会計年度までにおいて、約7,392百万円の累積収益を認識しました。平成28年6月、大塚製薬は当社との提携及びライセンス契約を解除しました。今後当社は大塚から受領する収益がゼロになるものと予想しています。平成28年12月31日現在、偶発的返済義務を負う提供資金に対し、823百万円の利息が生じています。
当社と大塚製薬との提携契約は複数要素契約であり、当該契約に含まれる成果物が個別の会計単位と認められるか否かを特定するため、当該契約の分析を行いました。開発に関する活動は大塚製薬にとって単独で価値を有していたため、当社はこれらのサービスが個別の会計単位としての基準を満たすものと判断しました。販売価格の最善の見積り(以下「BESP」といいます。)は、提供するサービスの価値についての当社の分析及び類似の開発サービスを提供する第三販売者により請求される料金の検討に基づいています。研究サービスについて請求される料金は、第三販売者が類似研究サービスについて請求する価格に対し競争力を有すると当社は判断しました。当社の提携契約において返品の権利はありませんでした。もっぱら当社の管理下にない将来の事象により偶発的に発生する支払は、当該偶発性が解消するまでの間、配分可能な契約対価から除外されます。
開発努力に基づく収益は第三者によりサービスが発生した際に認識されます。常勤または非常勤の報酬を受領する従業員によって獲得された収益は、労働時間に基づく比例履行モデルを用いて認識されます。当社が会計単位に基づくサービスの総額を見積もることができ、かかる履行義務が最善の努力に基づき履行される場合、収益は比例履行モデルを用いて認識されます。予想される費用の総額と比較した現在までに発生した費用は、これが完成物の引渡しを表すものとして比例履行の決定に用いられます。各会計単位において要求される努力の水準及び当社の履行義務の完成に予想される期間の決定については、実質的な判断が必要とされます。
当連結会計年度において、当社は868百万円の開発活動関連収益を認識しました。平成28年12月31日終了年度において、マイルストーン支払いは行われませんでした。
② OPA-6566提携
平成22年に大塚製薬及び当社は、緑内障治療に用いられる大塚製薬の専有化合物であるOPA-6566の開発について正式契約を締結しました。
当社は契約を評価し、本契約に基づく開発活動が取決めに基づく唯一の提供物であると判断しました。開発活動による収益は、サービスが実施されるとともに認識されます。当連結会計年度において当社は、本契約の履行による収益を認識しませんでした。
③ 大塚製薬とのエミクススタト塩酸塩契約及びOPA-6566契約の終了
当社は、平成28年6月13日に当社と大塚製薬との間で平成20年9月4日付で締結された共同開発及び共同販売契約(以下「エミクススタト塩酸塩契約」といいます。)ならびに当社と大塚製薬との間で平成22年9月15日付で締結された開発及び提携契約(以下「OPA-6566契約」といいます。)を完全に終了することを決定したとの書面による通知を大塚製薬から受領しました。それぞれの契約に基づく条項にしたがい、エミクススタト塩酸塩契約及びOPA-6566 契約の終了は、平成28年6月27日(以下「契約終了日」といいます。)に効力を生じました。大塚製薬からの書面による通知には、同社の契約終了の決定は、当社が公表した地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の患者に対して実施されたエミクススタト塩酸塩の臨床第2b/3相試験の結果に基づくものである旨が記されていました。大塚製薬によるエミクススタト塩酸塩契約及びOPA-6566契約の終了は、かかる契約における条項に則したものであり、かかる契約には、いかなる修正または改訂も行われておりません。
エミクススタト塩酸塩契約に基づき当社が大塚製薬に付与した権利は、契約終了日付で、当社に返還されました。また、当該契約に基づき、両社は契約終了後も一定の義務を有します。これらの一定の義務のひとつとして、大塚製薬は、契約終了通知日の翌日から6か月間にわたり、開発活動の終了に関する一定の費用に対する責任を引き続き有します。契約終了日付で、大塚製薬は、エミクススタト塩酸塩を開発、製造または販売するために必要または有用な、同社の特定の知的財産及びデータに関する無期限かつ完全払込済の非排他的ライセンス(サブライセンス権を含みます。)を当社に対して付与しました。平成28年12月31日に終了した6か月間における開発活動の終了に関する費用は、総額で139百万円であり、当社は将来的にさらなる収益の発生を見込んでおりません。
エミクススタト塩酸塩契約にしたがい、当社は、契約終了日後において、当社がエミクススタト塩酸塩の開発及び商業化を継続することにより承認される製品の売上高に基づき、大塚製薬に対し一桁台前半のパーセンテージに相当するロイヤリティを支払う必要があります。かかるロイヤリティの金額は、契約終了日前に大塚製薬がすでに資金提供済みの開発費用及び研究費用の合計金額(利息を含みます。)を上限とします。
平成28年3月11日に米国証券取引委員会に提出されたフォーム10-Kによる年次報告書を含め、当社の開示書類において既に公表されているとおり、OPA-6566契約の条項に基づき、同契約により、当社は大塚製薬の専有化合物であるOPA-6566の米国における共同開発及び共同販売について選択権を付与されました。当社は、過去にかかる選択権を行使しておりません。OPA-6566契約に基づき、大塚製薬から当社に対して付与されたすべてのライセンスは、契約終了日付で失効し、同日以降に発生する開発または販売費用について、当社は支払義務を負いません。
上記は、エミクススタト塩酸塩契約及びOPA-6566契約のうち重要な条項の簡潔な説明にすぎず、その完全性を意図するものではありません。エミクススタト塩酸塩契約及びOPA-6566契約はそれぞれ、平成25年12月17日に米国証券取引委員会に提出された当社のフォームS-1による登録届出書(ファイル番号333-192900)の別紙10.9及び別紙10.10を参照することにより、完全なものとなります。
(2) EyeMedics社との提携契約
平成28年12月、当社はEyeMedics社との間で提携契約を締結しました。当該契約の条項に基づき、当社とEyeMedics社は、南カリフォルニア大学からライセンスを取得したバイオミメティック技術に基づく眼科疾患(当初は糖尿病黄斑浮腫に焦点を当てます。)の治療、予防及び診断のための低分子化合物である、ACU-6151に関し、ヒトに対する概念実証(Proof of Concept)を通じて非臨床及び臨床開発を共同で進める予定です。当該契約には、眼科用の最初の低分子化合物候補を含むACU-6151に対する世界的権利を獲得する独占的オプションが含まれています。当社は、概念実証試験及び臨床第2相試験の最終結果に関するEyeMedics社とFDAとの面談の結果が出た後120日以内に、かかるオプションを行使することができます。
EyeMedics社が南カリフォルニア大学よりライセンスを取得した当該専有技術は、加齢黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫及びその他の血管新生を伴う網膜疾患において、初期段階の炎症過程で放出される内因性因子を調節するものです。
アキュセラ・インク及びEyeMedics社は、次年度の予算を決定するため半年に1回開催される共同開発委員会を設置しました。当社はEyeMedics社に対し、共同開発委員会の開催から30日以内に、前の半年間において使われなかった金額を差し引いた資金を前払いしなければなりません。平成28年12月31日現在、研究開発作業は開始されておりません。
当該契約の条項にしたがい、当社は将来の提携活動のための返金不能の資金として平成28年7月に57百万円を、平成28年12月に49百万円を支払いました。当社はこれらの支払金額を、研究開発費用として支出する前払金として認識しています。
(3) YouHealth Eyetech, Inc.とのオプション及びライセンス契約
平成28年3月、当社は、YouHealth社との間で、オプション及びライセンス契約を締結しました。YouHealth社の親会社であるGuangzhou Kang Rui Biological Pharmaceutical Technology Co., Ltd.は、YouHealth社の義務履行に対する保証会社として当該契約の当事者となっております。当該契約の条項に基づき、YouHealth社は、YouHealth社の一定の技術を用いた製品を開発及び商業化する、または中国、台湾及び香港(以下「YouHealthテリトリー」といいます。)を除くすべてのテリトリーにおいて、眼疾患治療のためのラノステロールを含む製品を開発及び商業化する独占的かつロイヤリティを発生するライセンスを獲得するオプションを当社に付与しました。かかるライセンスには、サブライセンスの権利が含まれます。当社は、平成31年6月30日までのオプション期間中いつでも、書面による通知及び1,144百万円の支払いをYouHealth社に提供することで、かかるオプションを行使できます。
当該オプション期間において、当社はYouHealth社に対して、YouHealthテリトリーにおいて、当社の一定の技術を用いたラノステロールを含む製品を開発するための独占的かつロイヤリティを発生しない、全額支払済みのライセンス(サブライセンスの権利なし)を、YouHealth社に対して付与することに同意しました。当社がオプションを行使することを選択した場合、YouHealthテリトリーにおいてYouHealthが開発するラノステロールを含む製品のサブライセンスと商業化が許可されます。当該契約の条項に基づき、当社は、平成28年第1四半期においてYouHealth社に対して572百万円の前払金を支払いました。オプション期間中、YouHealth社は、概念実証を確立する一定の短期開発及び規制マイルストーンの達成時に、追加で最高572百万円を受領する権利を有します。当社がオプションを行使したのち、YouHealth社は、臨床第3相試験の開始及び複数の適応症に関する新薬申請の承認など、当社が一定の規制マイルストーンを達成した際に、追加で最高34,317百万円、そして承認後の販売許可に関するマイルストーンを達成した際には、追加で最高10,295百万円を受領する権利を有することになります。これらの支払いに加え、YouHealth社は年間純売上高に対し一桁台の中盤のパーセンテージに相当する金額を受領する権利も有します(かかるパーセンテージは、一定の年間純売上高が一定の数値を超過した場合、一桁台の中盤の、より高いパーセンテージに引き上げられる可能性があります。)。ロイヤリティは、特定の国における最初の販売日から10年後、または一定のYouHealth社の製品に関する特許クレームが最後に失効する日のいずれか遅いほうまで、製品ごと及び国ごとに支払われます。製品を保護する有効な特許クレームがない場合にはロイヤリティのパーセンテージは50%削減されます。またジェネリック製品との競合が発生した場合には、ロイヤリティが終了される可能性があります。
当該契約の条項に基づき、各当事者は、それぞれのテリトリーにおける製品の開発、製造及び販売ならびに適用ある規制要件の遵守及び関連する費用に対する責任を有します。当社は、YouHealth社及びカリフォルニア大学との間における既存のライセンスに適用される一定のマイルストーンの達成に関し尽力することに合意しました。YouHealth社とカリフォルニア大学との間のライセンスは、かかる契約を通じ、当社が使用可能なYouHealth社の技術の一部により構成されています。
商業化された製品のロイヤリティ期間の終了時またはいずれかの当事者により契約が早期解除された時、当社がオプションを行使しない場合、YouHealth社と当社の契約は平成31年6月30日に失効します。当事者はそれぞれ、相手方当事者により重大な違反行為があった場合、書面による通知及びかかる違反行為を治癒する機会を提供した後、当該契約を解除することができます。当社は、理由を問わず、YouHealth社に対し60日前までに書面による通知を行うことで、いつでも当該契約を解除する権利を有します。当社がオプションを行使しないことを決定した場合、YouHealth社は、眼疾患治療のために開発及び商業化するための当社の一定の特許に基づく独占的な国際的ライセンス(サブライセンスの権利を含みます。)を獲得するための第一交渉権を有することになります。
(4) マンチェスター大学とのライセンス契約
平成28年4月、当社は、マンチェスター大学との間で、網膜色素変性を含む網膜変性疾患の治療に向けた、同大学のヒトロドプシンによるオプトジェネティクス(光遺伝学治療)の開発ならびに商業化を目的とする独占ライセンス契約を締結したことを発表しました。
当社は、当該契約の締結に関連して払戻し不能の手数料25百万円を支払い、かかる手数料は平成28年第2四半期において費用計上されました。
注記10.1株当たり情報
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)は、その期間の普通株主に帰属する当期純利益(損失)を発行済加重平均株式数により除することで算出されます。その期間の希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)は、普通株主に帰属する当期純利益(損失)を、発行済加重平均普通株式数に希薄化効果を有するその他の発行済株式数を加えた数により除することで算出されます。当社普通株式の潜在的希薄化効果を有する株式には、希薄化効果を有する発行済ストック・オプション及び制限付株式ユニットの行使が含まれます。
当連結会計年度において、1,089,606個の株式アワードは、逆希薄化効果を有するため、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純損失の計算から除外されました。
注記11.退職金制度
当社の401(k)プランは、内国歳入法セクション401(k)に基づく繰延給与取決めです。401(k)プランにより、米国従業員は、内国歳入法に基づく年間拠出限度額(平成28年については18,000米ドル)まで、税制適格である報酬に対する課税前及び課税後の繰延べが認められます。当社は401(k)プランに対する各従業員による拠出額(各従業員の報酬額の6%を上限とします。)の50%に相当するマッチングを開始しました。従業員は、常に自身の拠出の100%に対し権利を有しており、当社の拠出に対しては毎年年末に権利が確定します。
当連結会計年度における会社負担の拠出額は20百万円であります。
平成27年1月、取締役会はまた、従業員の雇用日に基づき4年間にわたり権利が確定していく47百万円の雇用者による非選択的かつ任意の拠出も承認しました。かかる金額は、付随する連結損益計算書における一般管理費及び研究開発費に含まれています。
注記12.コミットメント及び偶発事象
(1) リース
当社は、オペレーティング・リース契約に基づき、研究施設及び会社オフィス・スペースを賃借しています。平成28年8月17日、当社はServcorp社との間で、日本の東京都に所在する本社に関しオフィス・スペースのリース契約を締結しました。リース期間は平成28年9月1日に開始し、平成29年6月30日に満了しますが、Servcorp社に対し2か月前までに書面による通知を行わない限り2か月ごとに自動更新されます。
平成26年6月26日、当社はワシントン州シアトルのアキュセラ・インクのオフィス内におよそ38,723平方フィートのオフィス・スペースを賃借する契約を締結しました。リース期間は平成27年1月1日に開始し、リースの条項に従い、平成33年11月30日に満了します。当社は平成27年に当リースの開始に関連して140百万円のリース物件改良費負担金を受領しました。平成29年1月12日、当社はZillow社との間で、サブリース契約を締結しました(以下「Zillowサブリース」といいます)。Zillowサブリースに関する追加的な情報は、「注記15.後発事象」をご参照ください。
アキュセラ・インクは、同社が研究所としてまた研究開発及び一般管理目的に使用する、ワシントン州ボセル市の約17,488平方フィートの研究施設及びオフィス・スペースをリースしています。年間賃借料は47百万円ですが、リース契約の条項に基づき調整される場合があります。平成29年1月4日、当社はボセル市のオフィス・スペースに関するリース契約について改訂契約を締結しました。この改訂は満了日を原リース契約の平成29年2月28日から平成32年2月29日に延長するものであり、当社は書面で通知することによりリース期間の2年間延長を1回行う権利を有しています。ボセル市のオフィス・スペースに関するリース契約の改訂に関する追加的な情報は、「注記15.後発事象」をご参照ください。
リース・インセンティブは、繰延賃借料債務として認識され、リース期間にわたり賃借費用として償却されます。オペレーティング・リースに基づく最低賃借料支払額は、リース期間(フリーレント及び減額賃借期間を含みます。)にわたり定額法により認識されます。
平成28年12月31日現在の、当初または残存リース期間が1年超のオペレーティング・リースに基づく将来の最低リース支払額は以下のとおりです。
(単位:千円)
期間別支払期限
平成29年平成30年平成31年平成32年平成33年それ以降合計
オペレーティング・リース債務122,431112,762117,306121,849115,778590,126

当連結会計年度における賃借費用は、216百万円でした。
上記の表は、Zillowサブリース契約の影響を考慮しておりません。この詳細は、「注記15.後発事象」をご参照ください。
(2) 退職金
当社の前最高事業戦略責任者であるロジャー・ジラルド氏は、平成28年7月10日付で当社との雇用が終了しました。平成28年7月11日、当社は同氏との間に別離契約及び責務の解除を締結しました。かかる契約により同氏は、同氏の年間基本給と同等の金額の雇用終了日より9か月間にわたる継続的な支払い、当社のCOBRAプログラムに基づく健康保険料の最高9か月分の支払い及び雇用終了日において有効な同氏の年間基本給の9か月分の50%に相当するインセンティブ賞与を受領する権利を有すること、ならびに同氏の制限付株式ユニット(以下「RSU」といいます。)が雇用終了日から9か月間にわたり権利が確定することを定めています。平成28年12月31日現在、同氏に対する退職金のうち27百万円が未払いであり平成29年4月までに支払いがなされなければなりません。また、当社は、権利確定が早められた同氏のRSUに関連して、54百万円の株式報酬費用を計上しております。残存する権利未確定のRSUはすべて失効しました。
平成28年7月9日、当社は前ジェネラル・カウンセル兼上級副社長であるジョージ・ラセズキー氏との間で別離契約及び責務の解除を締結しました。当該別離契約及び責務の解除により同氏は、同氏の年間基本給と同等の金額の雇用終了日より9か月間にわたる継続的な支払い、当社のCOBRAプログラムに基づく健康保険料の最高9か月分の支払い及び雇用終了日において有効な同氏の年間基本給の9か月分の35%に相当するインセンティブ賞与を受領する権利を有すること、ならびに同氏の制限付株式ユニット(以下「RSU」といいます。)が雇用終了日から9か月間にわたり権利が確定することを定めています。平成28年12月31日現在、同氏に対する退職金のうち17百万円が支払済みでしたが、20百万円の退職金が未払いであり、平成29年4月までに支払いがなされなければなりません。さらに、当社は、権利確定が早められた同氏のRSUに関連して、17百万円の株式報酬費用を計上しております。残存する権利未確定のRSUはすべて失効しました。
当連結会計年度において、当社は、平成29年4月までに支払いがなされなければならない前従業員に対する退職金のうち73百万円を支払済みです。
(3) 訴訟
当社は、通常の業務過程において訴訟手続及び法的要求の対象となる場合があります。現時点において、当社は重要な法的手続の当事者とはなっておらず、当社の知る限りその恐れはありません。しかしながら、将来において、通常の業務過程その他において発生する法的手続が、当社の財政状態、経営成績またはキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
注記13.関連当事者取引
前ジェネラルカウンセル兼上級副社長のジョージ・ラゼスキー氏が平成28年7月に退職したのち、当社は同氏とコンサルティング契約を締結しました。当該コンサルティング契約に基づき、同氏は当社に対して、事業活動及び戦略的なパートナーシップに関連した助言を提供しております。当連結会計年度において、当社は同氏に対して、コンサルティング料として22百万円を支払いました。当該コンサルティング契約の期限は平成29年4月までとなりますが、現時点において当社は契約を更新をする予定はありません。
注記14.後発事象
平成29年1月4日付で、アキュセラ・インクは、Nexus Canyon Park社との間で米国ボセル市のオフィス・スペースと研究所スペースに関するリース変更契約を締結しました。当該変更に基づき、当該リース契約の期間は平成32年2月28日まで延長されました。アキュセラ・インクは、平成32年2月28日より18か月前以降12か月前までにNexus社に対し書面で通知することにより、リース期間を1回のみ2年間延長する権利を有しています。
平成29年1月12日付で、アキュセラ・インクはZillow社との間で38,723平方フィートの米国シアトルのオフィス・スペースをサブリースする契約を締結しました。
Zillowサブリース契約は、平成29年5月1日に開始し、Boeing社が平成33年11月30日にアキュセラ・インクとのサブリース契約(以下「アキュセラ・サブリース契約」といいます。) を早期解除しない限り、アキュセラ・サブリース契約が平成34年2月28日に満了するまで継続されます。Zillowサブリース契約のリース期間の最初の3か月間において、アキュセラ・インクは、Boeing社に対し賃借料を支払う義務を引き続き有します。かかる3か月間の後、基本賃借料は毎月Zillow社からアキュセラ・インクに対して支払われます。基本賃借料に加え、Zillow社はまた、アキュセラ・サブリース契約に基づきアキュセラ・インクがBoeing社に対して支払う義務がある管理費用及びその他費用に対する責任を有します。Zillowサブリース契約は、アキュセラ・サブリース契約及びシアトルオフィス・スペースの家主とBoeing社との間のリース契約の支配下にあり、それらに従属するものです。Zillowサブリース契約の期間中、アキュセラ・サブリース契約に基づくアキュセラ・インクの義務は引き続き効力を有します。
アキュセラ・インクは、ワシントン州シアトルにおける代替的なオフィス・スペースを検討しており、満足のいくスペースが確保された後、現在のシアトル・オフィスにおける機能を移転する予定です。
平成28年12月、当社は、糖尿病黄斑浮腫を最初の対象とした眼疾患の治療、予防及び診断のために、南カリフォルニア大学から導入されるライセンスにより保護されるバイオミメティック(生物模倣技術)小分子(ACU-6151)のヒトにおける概念実証を通じた臨床及び非臨床開発を共同で行うための提携契約を締結しました。かかる契約には、当該提携契約において予定される開発プログラムに関連するEyeMedics社の資産の取得に関する独占的オプションが含まれます。当社は、かかるオプションを、概念実証の完結ならびにヒトに対する概念実証に関する臨床第2相試験の最終結果についてのEyeMedics社及びFDAとの協議から120日間以内のいつでも行使することができます。平成29年1月、アキュセラ・インクはEyeMedics社に対して、平成29年上半期における提携活動に関する前払金132百万円を支払いました。
ボセル市のオフィス・スペースに関するリース契約の変更、サブリース契約及びEyeMedics社に対する将来の前払金支払いに関する詳細については、上記の注記9「提携及びライセンス契約」ならびに注記12「コミットメント及び偶発事象」をご参照ください。