訂正有価証券届出書(新規公開時)
第1【企業の概況】
(はじめに)
1.株式の非公開化に至った経緯とその目的
当社グループは、1978年9月に石材業を目的に設立された株式会社やすらぎ(2013年7月に商号を株式会社カチタスに変更)を前身としております。当社は、1988年12月に宅地建物取引業の免許を取得して、不動産の売買、代理業を開始し、1998年の民事執行法改正以降に中古住宅を自ら調査・仕入れて、リフォーム、販売までを一気通貫で行う「中古住宅再生事業」のビジネスモデルを確立しております。また、2004年2月には株式会社名古屋証券取引所セントレックス市場へ上場しております。
上場前後においては、不動産競売市場及び不動産買取市場から収益物件を仕入れ、当該収益物件の入居率を上昇させ投資物件として販売する「収益物件運営事業」を営む株式会社プロパティー、各種債権(主に住宅ローン債権)の管理・回収を行うサービサー事業を主たる事業として営む株式会社YUTORI債権回収、当社が中古住宅を販売するにあたり購入者に対して購入代金の融資を行う株式会社バリュー・ローンなどを設立し、業容拡大を行ってきました。
しかしながら、2007年頃からの世界金融危機とそれに続く日本国内における不動産不況の影響を受け、株式会社プロパティーを中心に運営をしてきた収益物件運営事業における収益性の大幅な悪化等を主因として業績が落ち込み、2008年1月期には当期純損失を計上するに至りました。当社グループは、本業である中古住宅再生事業に経営資源を集中し、経営健全化を図る過程で、(ⅰ)株式会社YUTORI債権回収については2008年3月に株式売却を実施し、(ⅱ)株式会社プロパティーについては損失物件の処理後に2009年10月に当社を存続会社とする吸収合併を実施し、また(ⅲ)株式会社バリュー・ローンについては、2011年7月に廃業の届出に基づく貸金業者登録の抹消を受け、貸出債権の回収業務に専念する体制に移行するとともに、状況に応じて同社そのものの売却も含めて検討を行う等の経営再建策を実施しておりました。他方、本業である中古住宅再生事業においては、2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法により競売不動産の公示件数が徐々に減少する影響等もあり、2011年度には仕入れ・販売ともに前年同月比で昨年を割り込む月が継続する等、厳しい経営環境が続いておりました。
このような中で、中古住宅再生事業の中期的な成長を推進するためには、経営資源に対する積極的な投資を行うことが必要不可欠であり、短期的には利益の減少等が起こることも予想されたことから、一般株主への悪影響が及ぶ可能性を斟酌し、また、一般株主の意思を尊重した上で本非公開化を進めることが最良と判断し、2012年7月に上場を廃止いたしました。
上場廃止後には、地域カバレッジの再構築、ブランド力の強化やネットワーク及びチャネルの拡大による不動産流通市場からの仕入れの拡大、リフォームノウハウの蓄積及び人材育成、内部管理体制の更なる強化を行うことで、事業構造の転換に成功しております。現在の当社グループを形成するに至る株式の非公開化以後の取り組みの詳細は以下の通りです。
(1) 日本住宅再生株式会社による公開買付と非公開会社化
上述の通り、世界金融危機とそれに続く日本国内における不動産不況、中小企業金融円滑化法による競売不動産の公示数の減少の影響等により厳しい経営環境に直面する中、当社グループは経営健全化のための経営戦略を検討・模索しておりました。一方で、株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下、「アドバンテッジパートナーズ」という。)は、当社グループが主力事業である中古住宅再生事業の各プロセスにおいて強みを有していると評価した上で、これらの強みを活かすことで更なる事業拡大が見込めるとの考えを有しており、2011年8月頃に、アドバンテッジパートナーズより当社グループに対して株式の公開買付及び非公開会社化に関する提案が行われ、協議を開始しました。
その後、2012年1月26日に、日本住宅再生株式会社(アドバンテッジパートナーズが投資助言を行うファンドが間接的にその株式を保有する株式会社)より当社株式の公開買付が公表されました。当社グループとしても当時直面していた経営環境へ迅速に対応し、新たな成長戦略を推進し企業価値の更なる向上を図るためには、アドバンテッジパートナーズの有する経営ノウハウをもとに、短期的な業績変動に左右されることのない、先行投資実行に向けた環境・体制を整備することが最善の選択であると判断し、アドバンテッジパートナーズによる公開買付に賛同いたしました。公開買付の終了後、2012年3月に当社は日本住宅再生株式会社の子会社となり、2012年7月に上場を廃止しました。
(2) 株式会社やすらぎによる日本住宅再生株式会社の吸収合併
日本住宅再生株式会社による当社株式に対する公開買付及び完全子会社化の実施後、2013年1月に当社(旧株式会社やすらぎ)を存続会社、日本住宅再生株式会社を消滅会社とする吸収合併を行い、2013年7月1日に株式会社カチタスに商号変更いたしました。
(3) 株式会社カチタスによる株式会社リプライスの完全子会社化
当社は、2016年3月30日に、当社と同様に中古住宅再生事業を営む株式会社リプライス(以下、「リプライス」という。)の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。リプライスの完全子会社化に伴い、同社の子会社である総合都市開発株式会社(以下、「総合都市開発」という。)及び株式会社アークティブ(以下、「アークティブ」という。)を連結子会社化しております。リプライスは、当社にて取扱いが少ない都市郊外部や地方都市部における比較的築年数の浅い戸建やマンションを中心に仕入・販売活動を行っており、競合が多い中で年間569件(2015年6月から2016年3月までの10ヶ月決算実績で、うち2016年9月に売却した総合都市開発の販売件数は11件。)の中古住宅を販売しておりました。同社の完全子会社化により、当社グループは比較的築年数の浅い物件から古い物件、都市郊外から地方都市及び郊外、戸建からマンションと、より広いエリアで、より多くの中古住宅の仕入・販売が可能となりました。
(4) 総合都市開発及びアークティブの売却
総合都市開発は中古住宅をはじめとする事業用不動産等の販売、不動産賃貸等を、アークティブは新卒採用の支援サービスを提供しており、中古住宅再生事業とは異なった事業領域で事業を行っていたことから、2016年9月、当社グループの事業内容及び組織の簡素化を目的として、両社の全株式を第三者へ譲渡いたしました。
<当社グループの変遷>2.株式の非公開化以降の経営改革
当社は株式の非公開化における目的を達成するため、中古住宅再生事業の再強化を行う経営改革を行いました。
(1) 地域カバレッジの再構築
① 各店舗のカバレッジエリア適正化と営業人員の強化に伴う既存エリアのカバレッジ深耕
株式の非公開化以前の2012年1月20日時点において、当社は3事業所、全国120店舗を構えており、既に全国展開がなされておりましたが、店舗に属する営業人員445名のうち正社員は196名であり、残りの249名は臨時従業員となっておりました。
非公開化以降は、店舗のカバレッジエリアの見直し及び適正化を図り、2017年9月末時点では株式の非公開化以前より少ない3事業所108店舗となっているものの、店舗に属する営業員数は2017年9月末時点で480名となっており、店舗のカバレッジエリアの見直し及び適正化を図ったことによりカバレッジエリアを維持しつつ、臨時従業員の正社員化に取り組んだことで生産性を向上させております。
また、臨時従業員の正社員化に取り組んだ結果、2017年9月末時点において、店舗に属する営業人員480名の内訳は、正社員・契約社員460名、パート社員20名となっております。正社員とすることで会社に対するロイヤリティは高まり、当社の推進する戦略の浸透速度は早まり、また日常的に当社に蓄積される知見が伝承されるようになることで、下記「(5)人材育成、内部管理体制の更なる強化」で記載している人材の育成と相まって、社員の生産性が向上しております。その結果、カバレッジエリア内でのカバレッジの深耕が進んで、仕入れ・販売は順調に推移しており、当社の販売件数は2012年1月期の2,484件から、2017年3月期には3,451件にまで増加しております。
② 「コア仲介」戦略の推進
流通する不動産情報の多くは、最初に不動産仲介会社へ集まる傾向にあり、良質な不動産情報を他社よりも早く入手するためには、不動産仲介会社に対する認知度の向上と、優先して情報を提供してもらえる関係の構築が重要となっております。また、地方の不動産仲介会社と緊密な関係を築くことにより、当社が日常的にカバーしている範囲外のエリアにおける物件情報の獲得が可能になることから、取引する不動産仲介会社の増加は既存カバレッジエリアの深耕だけではなく、カバレッジエリアの新規拡大に繋がっております。当社にて年間で1回以上の取引を行った不動産仲介会社数は、2013年3月末の248社から、2017年3月末には1,644社へ増加しております。なお、当社では不動産仲介会社の中でも「定期的に仕入れの契約が締結されている」、「定期的に仕入物件の情報を提供してくれる」及び「相場や人気に関する情報の提供や相談に乗ってくれる」といった良好な関係を構築できている不動産仲介会社を「コア仲介」と定義し、「コア仲介」の増加を重要戦略として、対象不動産仲介会社数を重要業績評価指標(KPI)に設定しモニタリングしております。
③ リプライスの子会社化によるカバレッジエリアの拡大
2016年3月に、東海エリアをはじめとして全国1事業所14店舗(営業エリアは細分化して運営し22エリア運営)で事業展開し、特に都市郊外部や地方都市部での販売に強みを持つリプライスを買収したことによって、当社グループのカバレッジエリアは一層拡大しております。加えて、当社が築年数の比較的古い物件を仕入れ、企画力を駆使してリフォームを実施し販売していくことに対し、リプライスは販売効率を重視し比較的築年数の浅い物件を仕入れ、必要最低限のリフォームを実施し販売することから、取扱物件の多様性も生まれております。
リプライスを買収したことにより、当社グループ全体では2017年3月期末で4事業所122店舗、店舗にて従事する従業員数は546名、2017年3月期の販売件数は4,402件となっております(うち2016年9月に売却した総合都市開発の販売件数は4件。)。
なお、リプライスの主要な経営指標等の推移については以下の通りです。
(注)1.リプライスは、2016年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2016年3月期は、2015年6月1日から2016年3月31日までの10ヶ月の数値となっております。
2.上記の金額は、リプライスの単体の数値となっております。そのため、2016年9月2日に株式を売却した総合都市開発及び2016年9月30日に株式を売却したアークティブの数値については含まれておりません。
(2) 不動産流通市場からの仕入れの拡大を実現するための仕入れネットワークの拡大
不動産流通市場からの仕入れ(以下、「買取仕入」という。)を強化するため、店舗を選抜し、買取仕入を短期間に重点的に実施させ、週次で報告を受けることにより、ノウハウ及びナレッジをマネジメントにて把握し、それをタイムリーに全店舗へ展開するプロジェクトを実施致しました。プロジェクトの実施対象を全国展開する過程では、一定程度の買取仕入実績が出た店舗は選抜対象から除外し、対象店舗を入れ替えることにより全店舗に買取仕入の出来る体制を構築して参りました。並行して2013年7月の社名変更を機に、同年10月から三大都市圏を除く31道県で「おうち買い取りのカチタス」を訴求するテレビCMを定期的に継続実施しており、当該エリアでの「家を売る先」としての当社の純粋想起度は順調に高まっています。
上記取組の結果、買取仕入件数は、2013年3月期の810件から、2017年3月期には3,611件へ増加しております(当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。)。
競売物件は、裁判所からの入札情報だけで仕入れを行うのに対して、買取物件は、仕入前に内覧を行うことができます。更に当社は、買取内覧時に自社だけでなく、リフォーム協力会社及び白蟻調査会社の三者による立会検査を行うことで中古住宅の隠れた瑕疵を発見し、リフォーム中の想定外の追加リフォームを未然に防ぐことが可能となり、収益構造も改革され、利益水準は上昇しております。
2013年3月期から2017年3月期までの仕入方法別の仕入件数、販売件数、売上高及び売上総利益の推移は以下の通りであります。
(注)1.当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。
2.上記の件数及び金額は、当社の単体の数値となっております。
(3) リフォーム施工力及びネットワークの強化
これまで事業の中で培ってきたリフォームノウハウの蓄積と企画力を活かし、物件を販売する際に顧客の潜在的ニーズを汲み取り、住宅購入後に必要となるであろう付加的なリフォームを提案する「プラスワンサービス」を展開し、1件当たりの売上高及び売上総利益の向上を行い、1顧客当たりの売上及び利益を最大化していく施策を推進しております。
また、当社の目利力、企画力の前提となる施工力を強化するため、リフォームに関しては、リフォーム協力会社同士の横の繋がりを強化し、他事例を学ぶ機会を提供するため、リフォーム協力会社同士の親睦を深める「カチタスリフォームパートナー会」の開催や、「カチタスリフォーム通信」といった会報誌の作成・配付を行っております。当社が年間で1回以上の取引を行ったリフォーム協力会社数は2017年3月末に745社(防蟻会社を除く)となりましたが、これを一層増加させるべく、リフォーム協力会社のネットワーク強化を通じた更なる施工力の強化を図っております。
(4) リフォーム中契約の促進
当社の物件は、新築分譲販売のように一様に仕様が決まっている訳ではなく、一品物となっております。しかし、設立以来累計4万件をリフォームし販売したノウハウを基にリフォーム品質の統一化を進めるとともに、自社HPにリフォーム過程の写真を着手時から継続的に掲載し、リフォーム完了時には物件紹介写真を30枚以上掲載することを推奨して物件が再生される様子を購入検討段階から見える化することにより、当社のリフォーム品質に対する信頼度の向上に努めております。リフォーム品質への信頼度が向上することにより、リフォーム後の物件を想起させることが容易になり、リフォーム完了前に立地や間取りの確認を行うだけで契約が成立する「リフォーム中契約」を促進しております。
当該リフォーム中契約が促進されることにより、値下げをせずに販売し利益率を高く維持しながら、仕入れから販売までの期間を短縮化することができ、営業人員生産性の向上と在庫回転率の向上に寄与しております。
その結果、当社の平均在庫期間(当社の仕入代金支払日から販売代金受領日までの期間)は、2013年3月期の312日から2017年3月期には186日に短縮したことで全社的に効率化され、2017年3月期のROA(注1)は16.60%となっております。
(注1:ROAは、営業利益を期首及び期末時点の総資産の平均で除しております。)
なお、2013年3月期から2017年3月期及び2018年3月期第2四半期累計期間までの当社営業人員生産性と同在庫回転率の推移は以下の通りであります。
(注)1.営業人員生産性:(販売物件数+買取仕入件数)/((期首営業人員数+期末営業人員数)/2)
2.営業人員は「中古住宅再生事業」に従事する従業員であり、総務及び経理等の管理部門の従業員は含んでおりません。
3.在庫回転率:売上原価/((期首棚卸資産+期末棚卸資産)/2)
4.当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。
5.上記の件数及び回数は、当社の単体の数値となっております。
(5) 人材育成、内部管理体制の更なる強化
当社が持続的な成長を可能とするためには人材採用と社員教育、及び内部管理体制の更なる強化が必要であるという認識のもと、以下の施策を実施しております。
① 新卒採用
優秀な人材を当社の事業内容と経営方針が浸透しやすい新卒のうちから教育し、会社に対するロイヤリティと責任感を高めることが業績の向上と継続的な企業成長に寄与するものと判断しております。このため、2013年4月採用以降、定期採用による新卒採用に注力しており、2017年3月末時点では在籍する新卒入社の従業員数は88名であり、従業員数518名のうち17.0%が新卒定期採用により入社した従業員となっております。
② 週次全社TV朝会
全国展開により幅広い市場をカバーし、競合優位性を築くことができる一方、経営陣の方針が伝わりにくいという状況が生じておりました。そのため、全店舗をオンラインで繋げて経営方針や重要な連絡、全国の店舗から吸い上げられた成功事例、失敗事例等を、経営陣から直接伝える場として毎週全社TV朝会を開催しております。なお、経営陣から一方的に発信するのではなく、全社TV朝会実施後に毎回アンケートを取り、経営方針の理解度の確認を行い現場からの要望を吸い上げ、タイムリーかつ直接フィードバックを行うことで全従業員への経営方針の浸透を図っております。
③ 月次課長会議
店舗マネジメント人材を束ねるエリアマネジメント人材(課長)向けに経営陣が戦略や新しい施策などの浸透を図るため、各エリアを統括する課長全員が東京本部に集まって月次の定例会議を行っております。経営陣と営業現場のマネジメント層がこの場で目線合わせを行った上で、経営方針や新しい施策を現場に浸透させております。また、課長同士のグループワークや事例紹介を通じてマネジメントレベルの底上げを行っております。
④ 基幹システムの導入による迅速なデータ集計と業務フローの整理
2014年4月に新基幹システムの利用を開始しております。ワークフロー・会計システムと連動させることにより、処理工程が増えた場合でも物件別収益管理に係る精度が担保され、従前より堅牢なシステムが構築出来ております。また、新基幹システムにより業務フローが整理されることにより、現場運営の統一化を図ると共に、効率性の向上に寄与しております。
(6) 事業戦略に対する外部からの評価
① 先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞
当社は、経済産業省より、平成27年度の「先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞」を受賞いたしました。「先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞」は、消費者の住まいに関する多様なニーズなどに対応し、独自のビジネスモデルで差別化された強みを有する事業者を表彰する賞であります。
② ポーター賞
当社は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 ポーター賞運営委員会より、平成29年度の「ポーター賞」を受賞しました。「ポーター賞」は、「優れた競争戦略の実践」に焦点を当てた賞であり、製品、プロセス、経営手法にイノベーションを起こし、独自性がある戦略を実行した結果、高い収益性を達成・維持している企業を表彰します。「ポーター賞」は平成13年に創設され、今回で17回目となります。
3.再上場の目的
当社は非公開化の目的を達成するために、中古住宅再生事業の再強化を行う経営改革を中心に様々な経営改革を推進した結果、事業構造の転換に成功いたしました。一方で、中古住宅再生事業を更に拡大するためには、より一層の社会的信用・知名度の向上、優秀な人材の確保及び資金調達の多様化が重要であります。そのためにも、再上場し上場企業として高い透明性を維持してステークホルダーから信頼される企業になることが重要であると認識しております。
(はじめに)
1.株式の非公開化に至った経緯とその目的
当社グループは、1978年9月に石材業を目的に設立された株式会社やすらぎ(2013年7月に商号を株式会社カチタスに変更)を前身としております。当社は、1988年12月に宅地建物取引業の免許を取得して、不動産の売買、代理業を開始し、1998年の民事執行法改正以降に中古住宅を自ら調査・仕入れて、リフォーム、販売までを一気通貫で行う「中古住宅再生事業」のビジネスモデルを確立しております。また、2004年2月には株式会社名古屋証券取引所セントレックス市場へ上場しております。
上場前後においては、不動産競売市場及び不動産買取市場から収益物件を仕入れ、当該収益物件の入居率を上昇させ投資物件として販売する「収益物件運営事業」を営む株式会社プロパティー、各種債権(主に住宅ローン債権)の管理・回収を行うサービサー事業を主たる事業として営む株式会社YUTORI債権回収、当社が中古住宅を販売するにあたり購入者に対して購入代金の融資を行う株式会社バリュー・ローンなどを設立し、業容拡大を行ってきました。
しかしながら、2007年頃からの世界金融危機とそれに続く日本国内における不動産不況の影響を受け、株式会社プロパティーを中心に運営をしてきた収益物件運営事業における収益性の大幅な悪化等を主因として業績が落ち込み、2008年1月期には当期純損失を計上するに至りました。当社グループは、本業である中古住宅再生事業に経営資源を集中し、経営健全化を図る過程で、(ⅰ)株式会社YUTORI債権回収については2008年3月に株式売却を実施し、(ⅱ)株式会社プロパティーについては損失物件の処理後に2009年10月に当社を存続会社とする吸収合併を実施し、また(ⅲ)株式会社バリュー・ローンについては、2011年7月に廃業の届出に基づく貸金業者登録の抹消を受け、貸出債権の回収業務に専念する体制に移行するとともに、状況に応じて同社そのものの売却も含めて検討を行う等の経営再建策を実施しておりました。他方、本業である中古住宅再生事業においては、2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法により競売不動産の公示件数が徐々に減少する影響等もあり、2011年度には仕入れ・販売ともに前年同月比で昨年を割り込む月が継続する等、厳しい経営環境が続いておりました。
このような中で、中古住宅再生事業の中期的な成長を推進するためには、経営資源に対する積極的な投資を行うことが必要不可欠であり、短期的には利益の減少等が起こることも予想されたことから、一般株主への悪影響が及ぶ可能性を斟酌し、また、一般株主の意思を尊重した上で本非公開化を進めることが最良と判断し、2012年7月に上場を廃止いたしました。
上場廃止後には、地域カバレッジの再構築、ブランド力の強化やネットワーク及びチャネルの拡大による不動産流通市場からの仕入れの拡大、リフォームノウハウの蓄積及び人材育成、内部管理体制の更なる強化を行うことで、事業構造の転換に成功しております。現在の当社グループを形成するに至る株式の非公開化以後の取り組みの詳細は以下の通りです。
(1) 日本住宅再生株式会社による公開買付と非公開会社化
上述の通り、世界金融危機とそれに続く日本国内における不動産不況、中小企業金融円滑化法による競売不動産の公示数の減少の影響等により厳しい経営環境に直面する中、当社グループは経営健全化のための経営戦略を検討・模索しておりました。一方で、株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下、「アドバンテッジパートナーズ」という。)は、当社グループが主力事業である中古住宅再生事業の各プロセスにおいて強みを有していると評価した上で、これらの強みを活かすことで更なる事業拡大が見込めるとの考えを有しており、2011年8月頃に、アドバンテッジパートナーズより当社グループに対して株式の公開買付及び非公開会社化に関する提案が行われ、協議を開始しました。
その後、2012年1月26日に、日本住宅再生株式会社(アドバンテッジパートナーズが投資助言を行うファンドが間接的にその株式を保有する株式会社)より当社株式の公開買付が公表されました。当社グループとしても当時直面していた経営環境へ迅速に対応し、新たな成長戦略を推進し企業価値の更なる向上を図るためには、アドバンテッジパートナーズの有する経営ノウハウをもとに、短期的な業績変動に左右されることのない、先行投資実行に向けた環境・体制を整備することが最善の選択であると判断し、アドバンテッジパートナーズによる公開買付に賛同いたしました。公開買付の終了後、2012年3月に当社は日本住宅再生株式会社の子会社となり、2012年7月に上場を廃止しました。
(2) 株式会社やすらぎによる日本住宅再生株式会社の吸収合併
日本住宅再生株式会社による当社株式に対する公開買付及び完全子会社化の実施後、2013年1月に当社(旧株式会社やすらぎ)を存続会社、日本住宅再生株式会社を消滅会社とする吸収合併を行い、2013年7月1日に株式会社カチタスに商号変更いたしました。
(3) 株式会社カチタスによる株式会社リプライスの完全子会社化
当社は、2016年3月30日に、当社と同様に中古住宅再生事業を営む株式会社リプライス(以下、「リプライス」という。)の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。リプライスの完全子会社化に伴い、同社の子会社である総合都市開発株式会社(以下、「総合都市開発」という。)及び株式会社アークティブ(以下、「アークティブ」という。)を連結子会社化しております。リプライスは、当社にて取扱いが少ない都市郊外部や地方都市部における比較的築年数の浅い戸建やマンションを中心に仕入・販売活動を行っており、競合が多い中で年間569件(2015年6月から2016年3月までの10ヶ月決算実績で、うち2016年9月に売却した総合都市開発の販売件数は11件。)の中古住宅を販売しておりました。同社の完全子会社化により、当社グループは比較的築年数の浅い物件から古い物件、都市郊外から地方都市及び郊外、戸建からマンションと、より広いエリアで、より多くの中古住宅の仕入・販売が可能となりました。
(4) 総合都市開発及びアークティブの売却
総合都市開発は中古住宅をはじめとする事業用不動産等の販売、不動産賃貸等を、アークティブは新卒採用の支援サービスを提供しており、中古住宅再生事業とは異なった事業領域で事業を行っていたことから、2016年9月、当社グループの事業内容及び組織の簡素化を目的として、両社の全株式を第三者へ譲渡いたしました。
<当社グループの変遷>2.株式の非公開化以降の経営改革
当社は株式の非公開化における目的を達成するため、中古住宅再生事業の再強化を行う経営改革を行いました。
(1) 地域カバレッジの再構築
① 各店舗のカバレッジエリア適正化と営業人員の強化に伴う既存エリアのカバレッジ深耕
株式の非公開化以前の2012年1月20日時点において、当社は3事業所、全国120店舗を構えており、既に全国展開がなされておりましたが、店舗に属する営業人員445名のうち正社員は196名であり、残りの249名は臨時従業員となっておりました。
非公開化以降は、店舗のカバレッジエリアの見直し及び適正化を図り、2017年9月末時点では株式の非公開化以前より少ない3事業所108店舗となっているものの、店舗に属する営業員数は2017年9月末時点で480名となっており、店舗のカバレッジエリアの見直し及び適正化を図ったことによりカバレッジエリアを維持しつつ、臨時従業員の正社員化に取り組んだことで生産性を向上させております。
また、臨時従業員の正社員化に取り組んだ結果、2017年9月末時点において、店舗に属する営業人員480名の内訳は、正社員・契約社員460名、パート社員20名となっております。正社員とすることで会社に対するロイヤリティは高まり、当社の推進する戦略の浸透速度は早まり、また日常的に当社に蓄積される知見が伝承されるようになることで、下記「(5)人材育成、内部管理体制の更なる強化」で記載している人材の育成と相まって、社員の生産性が向上しております。その結果、カバレッジエリア内でのカバレッジの深耕が進んで、仕入れ・販売は順調に推移しており、当社の販売件数は2012年1月期の2,484件から、2017年3月期には3,451件にまで増加しております。
② 「コア仲介」戦略の推進
流通する不動産情報の多くは、最初に不動産仲介会社へ集まる傾向にあり、良質な不動産情報を他社よりも早く入手するためには、不動産仲介会社に対する認知度の向上と、優先して情報を提供してもらえる関係の構築が重要となっております。また、地方の不動産仲介会社と緊密な関係を築くことにより、当社が日常的にカバーしている範囲外のエリアにおける物件情報の獲得が可能になることから、取引する不動産仲介会社の増加は既存カバレッジエリアの深耕だけではなく、カバレッジエリアの新規拡大に繋がっております。当社にて年間で1回以上の取引を行った不動産仲介会社数は、2013年3月末の248社から、2017年3月末には1,644社へ増加しております。なお、当社では不動産仲介会社の中でも「定期的に仕入れの契約が締結されている」、「定期的に仕入物件の情報を提供してくれる」及び「相場や人気に関する情報の提供や相談に乗ってくれる」といった良好な関係を構築できている不動産仲介会社を「コア仲介」と定義し、「コア仲介」の増加を重要戦略として、対象不動産仲介会社数を重要業績評価指標(KPI)に設定しモニタリングしております。
③ リプライスの子会社化によるカバレッジエリアの拡大
2016年3月に、東海エリアをはじめとして全国1事業所14店舗(営業エリアは細分化して運営し22エリア運営)で事業展開し、特に都市郊外部や地方都市部での販売に強みを持つリプライスを買収したことによって、当社グループのカバレッジエリアは一層拡大しております。加えて、当社が築年数の比較的古い物件を仕入れ、企画力を駆使してリフォームを実施し販売していくことに対し、リプライスは販売効率を重視し比較的築年数の浅い物件を仕入れ、必要最低限のリフォームを実施し販売することから、取扱物件の多様性も生まれております。
リプライスを買収したことにより、当社グループ全体では2017年3月期末で4事業所122店舗、店舗にて従事する従業員数は546名、2017年3月期の販売件数は4,402件となっております(うち2016年9月に売却した総合都市開発の販売件数は4件。)。
なお、リプライスの主要な経営指標等の推移については以下の通りです。
回次 | 第20期 | 第21期 | |
決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | |
売上高 | (百万円) | 9,295 | 16,524 |
営業利益 | (百万円) | 657 | 1,292 |
経常利益 | (百万円) | 494 | 1,221 |
当期純利益 | (百万円) | 669 | 1,020 |
資本金 | (百万円) | 75 | 75 |
純資産額 | (百万円) | 1,683 | 2,703 |
総資産額 | (百万円) | 8,692 | 8,694 |
従業員数 | (名) | 88 | 102 |
[外、平均臨時従業員] | [9] | [10] |
(注)1.リプライスは、2016年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2016年3月期は、2015年6月1日から2016年3月31日までの10ヶ月の数値となっております。
2.上記の金額は、リプライスの単体の数値となっております。そのため、2016年9月2日に株式を売却した総合都市開発及び2016年9月30日に株式を売却したアークティブの数値については含まれておりません。
(2) 不動産流通市場からの仕入れの拡大を実現するための仕入れネットワークの拡大
不動産流通市場からの仕入れ(以下、「買取仕入」という。)を強化するため、店舗を選抜し、買取仕入を短期間に重点的に実施させ、週次で報告を受けることにより、ノウハウ及びナレッジをマネジメントにて把握し、それをタイムリーに全店舗へ展開するプロジェクトを実施致しました。プロジェクトの実施対象を全国展開する過程では、一定程度の買取仕入実績が出た店舗は選抜対象から除外し、対象店舗を入れ替えることにより全店舗に買取仕入の出来る体制を構築して参りました。並行して2013年7月の社名変更を機に、同年10月から三大都市圏を除く31道県で「おうち買い取りのカチタス」を訴求するテレビCMを定期的に継続実施しており、当該エリアでの「家を売る先」としての当社の純粋想起度は順調に高まっています。
上記取組の結果、買取仕入件数は、2013年3月期の810件から、2017年3月期には3,611件へ増加しております(当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。)。
競売物件は、裁判所からの入札情報だけで仕入れを行うのに対して、買取物件は、仕入前に内覧を行うことができます。更に当社は、買取内覧時に自社だけでなく、リフォーム協力会社及び白蟻調査会社の三者による立会検査を行うことで中古住宅の隠れた瑕疵を発見し、リフォーム中の想定外の追加リフォームを未然に防ぐことが可能となり、収益構造も改革され、利益水準は上昇しております。
2013年3月期から2017年3月期までの仕入方法別の仕入件数、販売件数、売上高及び売上総利益の推移は以下の通りであります。
件数 | 仕入れ方法 | 2013年3月期 | 2014年3月期 | 2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 |
仕入件数 (件) | 買取仕入 | 810 | 1,900 | 2,144 | 2,979 | 3,611 |
競売仕入 | 1,816 | 1,385 | 475 | 239 | 88 | |
販売件数 (件) | 買取仕入 | 681 | 1,332 | 2,028 | 2,609 | 3,265 |
競売仕入 | 2,281 | 1,764 | 973 | 425 | 186 | |
売上高(百万円) | 34,858 | 39,716 | 38,638 | 39,337 | 45,206 | |
売上総利益(百万円) | 7,379 | 8,238 | 8,075 | 10,133 | 11,594 |
(注)1.当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。
2.上記の件数及び金額は、当社の単体の数値となっております。
(3) リフォーム施工力及びネットワークの強化
これまで事業の中で培ってきたリフォームノウハウの蓄積と企画力を活かし、物件を販売する際に顧客の潜在的ニーズを汲み取り、住宅購入後に必要となるであろう付加的なリフォームを提案する「プラスワンサービス」を展開し、1件当たりの売上高及び売上総利益の向上を行い、1顧客当たりの売上及び利益を最大化していく施策を推進しております。
また、当社の目利力、企画力の前提となる施工力を強化するため、リフォームに関しては、リフォーム協力会社同士の横の繋がりを強化し、他事例を学ぶ機会を提供するため、リフォーム協力会社同士の親睦を深める「カチタスリフォームパートナー会」の開催や、「カチタスリフォーム通信」といった会報誌の作成・配付を行っております。当社が年間で1回以上の取引を行ったリフォーム協力会社数は2017年3月末に745社(防蟻会社を除く)となりましたが、これを一層増加させるべく、リフォーム協力会社のネットワーク強化を通じた更なる施工力の強化を図っております。
(4) リフォーム中契約の促進
当社の物件は、新築分譲販売のように一様に仕様が決まっている訳ではなく、一品物となっております。しかし、設立以来累計4万件をリフォームし販売したノウハウを基にリフォーム品質の統一化を進めるとともに、自社HPにリフォーム過程の写真を着手時から継続的に掲載し、リフォーム完了時には物件紹介写真を30枚以上掲載することを推奨して物件が再生される様子を購入検討段階から見える化することにより、当社のリフォーム品質に対する信頼度の向上に努めております。リフォーム品質への信頼度が向上することにより、リフォーム後の物件を想起させることが容易になり、リフォーム完了前に立地や間取りの確認を行うだけで契約が成立する「リフォーム中契約」を促進しております。
当該リフォーム中契約が促進されることにより、値下げをせずに販売し利益率を高く維持しながら、仕入れから販売までの期間を短縮化することができ、営業人員生産性の向上と在庫回転率の向上に寄与しております。
その結果、当社の平均在庫期間(当社の仕入代金支払日から販売代金受領日までの期間)は、2013年3月期の312日から2017年3月期には186日に短縮したことで全社的に効率化され、2017年3月期のROA(注1)は16.60%となっております。
(注1:ROAは、営業利益を期首及び期末時点の総資産の平均で除しております。)
なお、2013年3月期から2017年3月期及び2018年3月期第2四半期累計期間までの当社営業人員生産性と同在庫回転率の推移は以下の通りであります。
2013年 3月期 | 2014年 3月期 | 2015年 3月期 | 2016年 3月期 | 2017年 3月期 | 2018年 3月期 第2四半期 累計期間 | |
営業人員生産性(件) | 8.9 | 11.6 | 11.3 | 13.6 | 16.0 | 8.4 |
在庫回転率(回) | 1.72 | 1.94 | 2.01 | 2.18 | 2.17 | 2.10 |
(注)1.営業人員生産性:(販売物件数+買取仕入件数)/((期首営業人員数+期末営業人員数)/2)
2.営業人員は「中古住宅再生事業」に従事する従業員であり、総務及び経理等の管理部門の従業員は含んでおりません。
3.在庫回転率:売上原価/((期首棚卸資産+期末棚卸資産)/2)
4.当社は、2013年3月期に決算期変更を行っております。そのため、2013年3月期は、2012年1月21日から2013年3月31日までの14ヶ月と11日の数値となっております。
5.上記の件数及び回数は、当社の単体の数値となっております。
(5) 人材育成、内部管理体制の更なる強化
当社が持続的な成長を可能とするためには人材採用と社員教育、及び内部管理体制の更なる強化が必要であるという認識のもと、以下の施策を実施しております。
① 新卒採用
優秀な人材を当社の事業内容と経営方針が浸透しやすい新卒のうちから教育し、会社に対するロイヤリティと責任感を高めることが業績の向上と継続的な企業成長に寄与するものと判断しております。このため、2013年4月採用以降、定期採用による新卒採用に注力しており、2017年3月末時点では在籍する新卒入社の従業員数は88名であり、従業員数518名のうち17.0%が新卒定期採用により入社した従業員となっております。
② 週次全社TV朝会
全国展開により幅広い市場をカバーし、競合優位性を築くことができる一方、経営陣の方針が伝わりにくいという状況が生じておりました。そのため、全店舗をオンラインで繋げて経営方針や重要な連絡、全国の店舗から吸い上げられた成功事例、失敗事例等を、経営陣から直接伝える場として毎週全社TV朝会を開催しております。なお、経営陣から一方的に発信するのではなく、全社TV朝会実施後に毎回アンケートを取り、経営方針の理解度の確認を行い現場からの要望を吸い上げ、タイムリーかつ直接フィードバックを行うことで全従業員への経営方針の浸透を図っております。
③ 月次課長会議
店舗マネジメント人材を束ねるエリアマネジメント人材(課長)向けに経営陣が戦略や新しい施策などの浸透を図るため、各エリアを統括する課長全員が東京本部に集まって月次の定例会議を行っております。経営陣と営業現場のマネジメント層がこの場で目線合わせを行った上で、経営方針や新しい施策を現場に浸透させております。また、課長同士のグループワークや事例紹介を通じてマネジメントレベルの底上げを行っております。
④ 基幹システムの導入による迅速なデータ集計と業務フローの整理
2014年4月に新基幹システムの利用を開始しております。ワークフロー・会計システムと連動させることにより、処理工程が増えた場合でも物件別収益管理に係る精度が担保され、従前より堅牢なシステムが構築出来ております。また、新基幹システムにより業務フローが整理されることにより、現場運営の統一化を図ると共に、効率性の向上に寄与しております。
(6) 事業戦略に対する外部からの評価
① 先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞
当社は、経済産業省より、平成27年度の「先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞」を受賞いたしました。「先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞」は、消費者の住まいに関する多様なニーズなどに対応し、独自のビジネスモデルで差別化された強みを有する事業者を表彰する賞であります。
② ポーター賞
当社は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 ポーター賞運営委員会より、平成29年度の「ポーター賞」を受賞しました。「ポーター賞」は、「優れた競争戦略の実践」に焦点を当てた賞であり、製品、プロセス、経営手法にイノベーションを起こし、独自性がある戦略を実行した結果、高い収益性を達成・維持している企業を表彰します。「ポーター賞」は平成13年に創設され、今回で17回目となります。
3.再上場の目的
当社は非公開化の目的を達成するために、中古住宅再生事業の再強化を行う経営改革を中心に様々な経営改革を推進した結果、事業構造の転換に成功いたしました。一方で、中古住宅再生事業を更に拡大するためには、より一層の社会的信用・知名度の向上、優秀な人材の確保及び資金調達の多様化が重要であります。そのためにも、再上場し上場企業として高い透明性を維持してステークホルダーから信頼される企業になることが重要であると認識しております。