有価証券報告書-第11期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 15:30
【資料】
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【項目】
141項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、法改正を含む外部経営環境の変化に応じたコンプライアンスの徹底を前提として、「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というミッションの具現化と、将来にわたりこれらを継承する人財育成の両立により、2030年までに「オートモビリティエコシステムの完成」を目指し、企業価値の中長期的な向上を図ってまいります。
(2) 経営環境
① 事業を行う市場の状況
当社グループの主力事業であるファイナンス事業及び故障保証事業の対象市場である国内中古車マーケットにおいて、中古車の自家用登録台数は横ばい傾向にあります。生活必需品としての色彩が強い自動車は、成熟市場でありながらも、今後もその需要は底堅く安定的に推移するものと考えております。
特にファイナンス事業は、競争環境の面において、新たに事業を開始するためには多額の資金及びシステム投資が必要であるため、新興企業が容易に参入できる事業ではないものと捉えております。一方、オートクレジット市場における当社グループのシェアはまだ低い水準にあり、将来におけるファイナンス事業の成長余地を示すものと考えております。
昨今の金利上昇局面においても、クレジットの貸出及び資金調達の双方が主に固定金利であることや、債権流動化等により影響を適切に抑制しております。
② 当社グループの強みについて
a.独立系であることについて
当社グループは、独立系(注)であることから、オートクレジットの主な取引先である自動車販売店(以下「オート取引先」という。)に対し、法規制を受けることなくオートクレジット以外の複数のサービスを提供することが可能です。
こうした複数のサービスの提供によって、オート取引先ごとのニーズに応えうる「機会」=「取引の接点」を増やすこと、またサービス間の併用割引による「取引回数や利用頻度の向上」=「取引の深化」を進めることが、オート取引先との関係性をより強く・深く・長く・継続しやすくする重要なポイントであると考えております。
(注)当社グループでは、銀行の子会社や関連会社ではないことを「独立系」と表現しております。
b.営業活動における強みについて
当社グループは、複数のサービスを提供しておりますが、主要商品である「オートクレジット」や「故障保証」につきましては、同一の営業担当者が営業活動を行っております。一方、競合他社によっては、各サービス専属の営業担当者を配置し、自動車販売店に対して営業活動を行っております。当社グループは、「オートクレジット」や「故障保証」を並行的に販売することによって、競合他社と比較して営業コストを抑えられることとなり、結果として収益性を高めることが可能であると考えております。
c.ファイナンス事業における強みについて
当社グループにおきまして、オートクレジットの営業担当者は、オート取引先に特化した営業活動を行っており、これを「オート専業」と表現しております。なお、当社グループはオートクレジット以外のクレジットも取り扱っておりますが、オートクレジット以外の営業担当者が営業活動を行っております。
競合他社によっては、営業担当者はオートクレジット加盟店以外の加盟店(例えば呉服や宝飾品類を取り扱う小売店等)も担当しており、並行的に営業活動を行っております。
一方、当社グループは、オート取引先に対してはオート専業の営業担当者が営業活動を行っております。従って、営業担当者は、オートクレジットやオート取引先の特性のみならず、自動車販売業界及び自動車そのものに対する知識・理解を得やすい環境で日々の営業活動を行うこととなり、そうした環境により培われた自動車販売業界全般への見識のもと、オート取引先のオーナーや従業員と円滑にコミュニケーションを行えるようになります。また、オート取引先の資金繰り状況についても同様に理解・把握することで、立替金の振込だけでなく、中古車のオークション開催日を考慮した訪問スケジュールの組立てなど、オート取引先の立場や状況を踏まえた営業活動が可能となると考えております。
また、クレジット契約書や車検証の写し等の各種書類の回収等業務の大部分をオンラインに移行し、効率化を図る一方で、オート取引先とのコミュニケーションの質や頻度に留意し、電話やSNSを通じたフォローを行う等、きめ細やかな対応を継続しております。
このように、自動車販売業界全般への理解と、オート取引先の立場・状況を踏まえた営業活動を通じて、オート取引先との信頼を構築することが、当社グループの強みであると考えております。
d.故障保証事業における強みについて
ア.リクルートとの提携
当社グループは、株式会社リクルートホールディングスの100%子会社であり紙媒体及びWeb媒体において自動車情報を掲載するサービス「カーセンサー」を運営する株式会社リクルートと、中古車修理保証制度「カーセンサーアフター保証」の販売促進を図る目的で業務提携しております。
カーセンサーアフター保証は、当社グループにおいて開発した故障保証商品を一部カスタマイズしたOEM商品であり、株式会社リクルートが展開する中古車情報媒体「カーセンサー」に掲載している車両に付保されております。株式会社リクルートが当社グループの提携先に対し販売促進の営業活動を行う一方で、当社グループは故障保証業務(オート取引先とのカーセンサーアフター保証に係る業務提携契約の締結、お客様との保証契約の締結、保証の履行等)を受託しており、当社グループの故障保証取扱件数の増加に寄与しております。
イ.故障車両に係るデータ保有
故障保証は、お客様から代金を頂戴し、故障が発生したお客様に修理を行うスキームであるため、故障車両の走行距離、経過年数及び修理内容といった実績を蓄積し分析することで、より適切な故障保証商品の設計やプライシングが可能となります。その点、当社グループの累計故障保証契約台数は220万台(2010年4月~2026年3月の累計)を超過し、この契約台数を背景とした故障車両に係るデータを有しております。
ウ.修理対応力
当社グループは、お客様に安心してご利用いただけるよう、整備士資格を保有する従業員を故障保証の受付・審査を行うコールセンターへ配置し、故障内容や修理範囲の直接確認、過去の整備実績や統計情報との照らし合わせ、不必要な修理を未然に防止し、正確かつ迅速な車両修理対応を行っております。また、リサイクル部品及びリビルド部品の活用、当社グループで構築した整備工場ネットワークへの優先入庫の促進及び直営の自動車整備工場の保有などにより、修理コストの削減を徹底しております。
e.オートモビリティサービス事業における強みについて
ア.整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築
当社グループは、整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築しております。故障保証事業で発生した修理車両を、整備工場ネットワーク及び有料会員組織へ優先入庫することで、修理の発注を集約し、修理コストを削減しております。また、自動車整備工場は当社グループの整備工場ネットワーク及び有料会員組織に加入することで当社グループからお客様を獲得することができるため、双方にメリットのある関係性を構築しております。整備工場ネットワーク及び有料会員組織が拡大してくると、当社グループの自動車部品、車両卸、ソフトウェア、サブスク(リース)の販売先が増えることにもつながり、オートモビリティサービス事業の更なる業容拡大が可能となります。
イ.グループ間での車両の有効活用
当社グループは、ファイナンス事業にて一定期間延滞となったお客様の車を引き揚げて、売却することでお客様の債権残高に充当しております。オートモビリティサービス事業では、相見積りを経て引き揚げた車両を購入し、当社グループの有料会員に通常の仕入れよりも安い価格で販売することで、当社グループは利益を獲得しながら、有料会員にもメリットのある関係性を構築しております。
ウ.幅広い商品・サービスの提供
当社グループは、自動車整備工場向けの業務ソフトウェアの販売、サブスク(リース)の提供、及び部品販売など、幅広いサービスを提供しており、モビリティ事業者のニーズに応じた商品・サービスの提案が可能です。モビリティ事業者は当社グループから多様なサービスを受けることができるため、複数の企業と契約する負担を軽減することができます。
f.カープレミア事業モデルにおける強みについて
当社グループは、ファイナンス事業・故障保証事業を通じて構築した自動車販売店及び自動車整備工場のネットワークを基に、会員組織「カープレミアクラブ」を組成し、会員に対しては、自動車の仕入れ支援や経営のサポート等、当社グループが展開する各種サービスを会員限定で提供しております。当社グループは、会員のニーズに沿ったサービスの提供や会員向けに特化した営業組織や企画運営を行う体制を築き、会員個々のLTV(顧客生涯価値)の向上を図っております。会員とより強固な信頼関係を構築し、当社グループが展開するサービスの稼働率の向上や各事業とのシナジーの創造に繋げております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載の経営環境に加え、自動車業界はCASEやMaaSに代表されるようなモビリティ革命の移行期を迎えております。この新しい時代に対応するべく、将来、カーシェアやメンテナンスの拠点となり得る自動車販売店や自動車整備工場とのこれまでに構築したネットワークをさらに拡大し、これらを最大限に活用・深耕していくことが、中長期的に極めて重要であると考えております。
こうした背景のもと、2026年5月に新たに発表した2030年3月期までの中期経営計画「Change & Prove 2030」におきましては、前中計で確立したカープレミア事業モデルを基盤とし、当社グループが金融企業から「プラットフォーム企業」へと変革していくことを基本方針に掲げております。金利動向に左右されない「会費」とストック型ビジネスである「故障保証」を核とした高収益モデルへの構造変革を加速させ、拡大したネットワークの活用を通じて、ユーザーには最高の安心を、モビリティ事業者には経営に不可欠なインフラを提供する「オートモビリティエコシステム」を完成させ、「唯一無二のカープレミア経済圏」への変革を実現してまいります。
なお、中期経営計画「Change & Prove 2030」の重視する財務指標は下表のとおりです。
重視する財務指標2026年3月期
(実績)
2030年3月期
(最終年度計画値)
成長率
(対2026年3月期)
営業収益440億円840億円+90.9%
税引前利益86億円210億円+144.2%
当期利益60億円140億円+133.3%

(注)上表に限り、実績数値は億円未満を切り捨てて記載しております。
上記の方向性のもと、当社グループにおいて優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① オートモビリティエコシステムの完成
当社グループは、2030年3月期を最終年度とする新中期経営計画「Change & Prove 2030」を策定いたしました。中古車小売市場の約5割を占める中小モビリティ事業者の経営インフラとして、以下の重点施策により「オートモビリティエコシステム」の完成を目指します。
1.カープレミアクラブ会員組織の強化
会員組織を3層構造へ再編し、招待制の上位会員を通じてブランド価値の向上を図ります。目標達成を目指し、組織基盤の強化と既存会員の価値向上に努めてまいります。
2.事業者にとっての必須インフラ
中小モビリティ事業者の経営課題解決に向け、「収益が増加するプラットフォーム」の提供を通じて経営を支援し、事業者の競争力最大化を担う必須インフラとしての地位確立を目指してまいります。
3.ユーザーの経済圏への取り込み
ブランド認知の拡大及び会員への送客創出に向け、多角的なPR投資やオンラインサービスの充実を通じたブランド戦略を展開することで、ユーザーに選ばれる「カープレミア」ブランドの確立と経済圏への取り込みを推進してまいります。
4.サービスを支えるIT強化とデータ戦略
AI活用を前提としたシステム開発やデータ利活用の最適化を推進し、「人財×データ×AI」によるコスト削減と付加価値の高いサービス開発を加速させることで、唯一無二のエコシステムを支える強固な経営基盤の構築に注力してまいります。
これらの変革により、2030年3月期に営業収益840億円、税引前利益210億円、時価総額3,000億円の達成を重要な経営目標とし、企業価値の飛躍的な向上に邁進してまいります。
② ファイナンス事業の深化
ファイナンス事業におきましては、オートクレジットの取扱高を伸長させ、業界内シェアを確実に向上させることで経営基盤を一層強固にしてまいります。その中核施策として、カープレミアクラブの会員組織拡大を通じた営業体制の仕組み化を推進し、加盟店エリアの開拓と稼働率の引き上げを徹底いたします。また、債権回収業務ではサービサー子会社のバックヤード体制を強化するとともに、車両卸販売との連携やDX・AI活用を加速させ、グループ全体での業務効率化と資産の健全性確保を図ります。さらに、国内で蓄積したノウハウを基盤として東南アジアをはじめとする海外展開に注力いたします。タイ王国及びフィリピン共和国において事業を開始しており、さらに、伊藤忠商事株式会社との業務連携を最大限に活かし、グローバル市場における新たな収益柱の創出を目指してまいります。
③ 故障保証事業の拡充
故障保証事業におきましては、本市場のさらなる開拓が持続的成長の要であると考えております。そのため、引き続き営業活動の強化と、加盟店・個人のお客様双方のサービス自体の認知度向上に努めてまいります。また、収益のみならず利益の向上を目指し、プロパー商品の取扱件数を増加させること、故障が発生した修理車両をカープレミアガレージの会員加盟店へ優先的に入庫誘導すること、及び当社グループ内で調達した中古部品を修理に利用することで、原価削減も図ってまいります。また、ファイナンス事業と同様に、海外展開にも注力してまいります。既にタイ王国、インドネシア共和国及びフィリピン共和国において事業を開始しており、既存展開先での収益化と新たなニーズの獲得に努めてまいります。
④ オートモビリティサービス事業の拡充
オートモビリティサービス事業におきましては、カープレミア経済圏を盤石にする新たな収益柱の構築と、プラットフォームを通じた安定的な収益化を最優先課題として取り組んでおります。そのため、既存の収益基盤を強化するとともに、ファイナンスや故障保証事業との高いシナジーが見込める新たな事業領域へ積極的に参入し、サービスラインアップを拡充いたします。これにより、モビリティ事業者に対するソリューション提供力を高め、カープレミアクラブを核としたクロスセルを加速させることで、グループ全体の顧客単価向上と「オートモビリティエコシステム」の価値最大化に努めてまいります。
⑤ 組織力の強化
今後も積極的な新卒・キャリア採用の活動を継続するとともに、ダイバーシティの推進、従業員個々の経験値の蓄積や組織としての一体感の維持、マネジメント力の更なる強化が必要であると考えております。そのため、知識・実務に係る社内研修及びOJTのみならず、当社グループの行動規範である「VALUE」という概念に基づいた研修を、執行役員を含む従業員層に対し継続的に実施することで、全従業員が各自の職務の中でその役割を体現できる、「高みを目指す」「最後まで諦めない」「既成概念の打破」といった組織風土を醸成してまいります。
⑥ グループ企業の統括
事業拡大に伴い多角化が進む当社グループにおきましては、優れた事業戦略の構築に加え、グループ全体の「全体最適」に向けたシナジーの創出が重要であると考えております。そのため、各事業の進捗把握や計数管理を徹底するとともに、執行体制と責任の所在を明確化することで、機動的な経営判断を実現してまいります。また、主要KPIのモニタリング体制を強化し、コンプライアンスの遵守と適切なリスク管理を堅持することで、グループ全体でのガバナンス高度化と持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
⑦ 持続的成長へ向けた取り組み
「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」に関する課題に適切に対応するESG経営を推進し、事業活動において策定した持続可能な開発目標(SDGs)を達成することが、企業価値の継続的な向上を図るうえで重要であると考えており、サステナビリティ委員会を設置し、以下の課題に取り組んでまいります。
・E 気候変動への取り組み、資源循環型社会への取り組み、脱炭素社会への取り組み
・S (社会資本)顧客のプライバシー及びデータ保護を徹底、適切な取引・販売プロセスの実施
(人的資本)従業員の働き甲斐の醸成・人財育成、従業員の健康と安全の保護
・G コーポレート・ガバナンス体制の拡充、コンプライアンス強化・リスク管理、規程の整備
・その他競争力強化に向けた取り組み、イノベーション、サプライチェーンマネジメント
⑧ DX推進・AI活用
取引工程や業務のオンライン化を推進して安全かつ効率性の高い手法に移行していくとともに各事業のバックオフィス業務の最適化を図ること、また、DX推進により利益向上の促進かつ新たなビジネスモデルの確立による競争力の強化を行うことが重要であると考えております。2024年9月に当社グループの「DX戦略」を更新し、「個々が輝くチームから成るプラットフォーマーとして、エンドユーザー、モビリティ事業者と『プレミア』なカーライフを共創する」というDXビジョンに基づき、経営陣を責任者とした専門組織による、各子会社・各事業を横断した取り組みを継続し、競争力の強化や更なる企業価値の向上を目指してまいります。また、AI活用を前提としたシステムの高度化やデータ戦略を推進することで、業務効率の抜本的な改善と新たなビジネスモデルの確立を図り、唯一無二のプラットフォーマーとして圧倒的な競争力の獲得と持続的な企業価値の向上に邁進してまいります。
⑨ 基幹システムの安定化及び新基幹システムの再構築
当社連結子会社におけるシステム障害への対応につきましては、旧システムへの切り戻しを完了し、現在は安定的に稼働する体制を構築しております。当社グループは、システムの安定稼働を経営の最優先課題と位置づけ、強固なITガバナンス体制のもとでインフラ基盤の刷新を推進してまいります。具体的には、IT顧問との連携を通じて専門的知見を恒常的に取り入れ、将来の事業拡大に耐えうる高度な管理・運用体制を構築し、安全性と信頼性の確保を徹底いたします。
今後は、新中期経営計画の重要課題であるDX戦略に基づき、AI活用を前提とした次世代基幹システムの再構築を加速させます。処理の高速化や審査の自動化を実現する、業界トップクラスの強固なシステム基盤を確立することで、加盟店及びユーザーの皆様に最高の利便性を提供する「唯一無二のプラットフォーマー」として、持続的な企業価値の向上に邁進してまいります。

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