有価証券報告書-第27期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定め、『オプティカル事業』及び『ライフサイエンス・機器開発事業』を推進しております。
(2) 経営環境等
当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に伴い緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、景気が急速に悪化し厳しい状況となりました。当社の主要取引先である放射光施設を有する世界各国においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく出ており、平常時の経済活動が出来ない状況となり、先行きが非常に不透明な状況となっております。
当社への影響としましては、主に国内販売を行うライフサイエンス・機器開発事業においては軽微と見込まれるものの、大半が海外販売であるオプティカル事業においては、海外への渡航制限が続いた場合や国際学会・展示会等の開催自粛が続いた場合には、営業活動に遅れが生じる可能性があります。しかしながら、研究者からの需要は依然として旺盛であり、商談におけるテレビ会議の活用が浸透しオンラインでの学会・展示会も行われてきていることから、今後は徐々に経営環境が回復してくるものと考えております。加えて、当社主力製品であるX線ナノ集光ミラーは、現地での設置はユーザーにて行うものであり納品時の渡航が必要でないことからも、営業手法の工夫や見直しにより十分対処可能であると考えております。
さらに、当社ミラーが使用される放射光施設や自由電子レーザー施設は、各国の最先端の科学技術の発展に寄与し新型コロナウイルス感染症の各種分析にも用いられるような施設であるため、ミラーの需要が減少するということは考えにくい状況であります。
現在、新しい第4世代の放射光施設の建設またはバージョンアップや、X線自由電子レーザー施設の建設が競い合って進んでいる状況にあり、特に中国において建設ラッシュが続いております。これら次世代の高度化施設の新設に伴い、今後さらに当社が得意とする高精度ミラーの需要増大が予想されます。
また、ライフサイエンス・機器開発事業においては、CELLFLOAT®システムを用いた汎用型機器から機器開発案件への売上構成のシフトが順調に進んでいることから、ライフサイエンス・機器開発事業における新規事業開拓にも注力してまいります。
(オプティカル事業)
世界の放射光施設やX線自由電子レーザー施設は約70か所あり、現在新設や増設等、高度化への投資が盛んに行われております。また施設内にある実験ハッチを有するビームラインの数は1施設当たり平均約30本あり、1つのビームラインでおおよそ4~10枚のX線ミラーが使用されており、これらがX線ミラーの潜在的な市場規模を構成しています。(2015年6月19日、株式会社シード・プランニングによる調査「放射光用X線ミラー市場に関する調査」による)
さらに現在の70か所のほか、新しい第4世代の放射光施設やX線自由電子レーザーなどの施設が約30施設建設中・計画中で順次完成しており、これら次世代の高度化施設の新設に伴い、当社が得意とする高精度X線ナノ集光ミラーの需要拡大が予想されています。今後それぞれの建設中の放射光施設は2~3年ごとに5~6本のビームラインが随時立ち上がる予定であることから、少なくとも新設後20年程度は需要が継続し、市場規模は拡大傾向にあると考えております。
放射光施設やX線自由電子レーザー施設は、基礎科学研究分野から、高度化医療、創薬や材料評価などの応用分野に加えて企業による産業利用にも活用されていますが、最近では新型コロナウイルス感染症に関する基礎研究が積極的に推進されております。これに伴い、より小さな試料やより高い空間あるいはエネルギー分解能による高度な分析が求められる状況が進んでおります。
重点施策としましては、国内外の放射光施設及びX線自由電子レーザー施設向けのナノ集光ミラー、高調波カットミラ-及び回折格子用ミラー等の需要に応えるために、2019年7月1日に完成した新社屋を活用し、従来と比べ生産能力の倍増を推進してまいります。また、次世代放射光施設(第4世代)のための高機能型X線集光ミラーとして開発した形状可変ミラーの拡販を進めるとともに、さらなる次世代向けの製品として、回転楕円ミラー、ウォルターミラー等の開発を推進してまいります。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
ライフサイエンス・機器開発事業は、創業当初から続く当社の根幹事業であり、今後も自動細胞培養装置の事業を継続するためには、これまでのように絶え間ない自動化の技術開発と協力会社との連携による効率の良い生産体制の構築が必要であると考えております。さらに、独自の培養技術の研究開発を推進し、そのキーテクノロジーをもとにした汎用製品の開発が必要不可欠と考えております。
現在、iPS細胞の出現により再生医療や創薬の分野において新しい産業が創出されようとしておりますが、iPS細胞の産業化が進む現状で、その大量培養技術の確立が急務となっております。
そこで、産業技術総合研究所と長年にわたり共同研究を行ってきた当社独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をキーテクノロジーとして「3次元培養技術に関する研究開発」を推進し、短期的には市場規模の伸びが小さいものの、中長期的に急成長が予想される再生医療向けの周辺産業に関する自動細胞培養装置や培養容器などの商品開発を積極的に展開してまいります。
重点施策としましては、中長期的には「CELLFLOAT®」をもとにした汎用型機器の販売を推進するとともに、短期的な戦略としては、水晶振動子ウエハ加工システムの開発をはじめとして順調に進んでいるライフサイエンス・機器開発事業に注力してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業活動に関わる課題
(オプティカル事業)
当社は、世界規模で拡大しております放射光施設並びにX線自由電子レーザー施設向けの高精度X線ミラーの需要に応えるため、生産施設の増強、生産工程の効率化、高精度化を進め、引き続き当事業での重要課題としてとらえております。
このため、独自のEEMナノ加工装置とRADSI及びMSIナノ計測装置等の生産設備の増設を積極的に進め、また海外の競合他社に対する技術的優位性を維持するため、現在のナノ加工技術の効率化、高精度化を図るための研究開発だけでなく、新しい製造技術の実用化開発を推進し、さらに前加工協力会社との技術提携等により生産工程の効率化を目指しております。
また、世界各地で第4世代の放射光施設の新設計画が進み、さらに既存の放射光施設でも第4世代へのバージョンアップにより光源の強化が図られ、それらに対応するための新しい光学系の構築が求められているため、回転楕円ミラー、形状可変ミラー、各種ウォルターミラー等の次世代放射光施設向けの新製品の開発・販売を推進しております。
なお、独自の表面創成技術であるナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI及びMSIは世界に類を見ない高精度な原子レベルの自由曲面の加工を可能にするものであります。最近では次世代半導体や宇宙ビジネス、医療技術分野など成長産業分野で使われる光学素子において、従来の技術では不可能なナノメートルレベルでの高精度化が望まれており、当社の表面創成技術はこれら分野においてビジネスを展開するための技術的ポテンシャルを有しております。
そこで当社では、放射光施設以外への市場開拓を進め、各種産業分野の企業や研究機関との共同開発を積極的に進めて成果を上げつつあり、当社の第3の事業として成長を図ってまいります。
さらに、当社では現在のナノ加工技術EEM以外にも大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMやCARE(触媒基準エッチング法)を技術導入して実用化開発を進めており、また新しい計測技術についても大阪大学と共同開発を積極的に進めております。このように総合的な技術ポテンシャルを上げて選択肢を広げることにより、有効的に新規市場への参入、拡大を図ってまいります。特に当事業年度においてはプラズマCVM加工技術を水晶振動子ウエハの加工に適用し、その量産化システムの事業化に成功しております。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
再生医療の拡大に伴い、その周辺産業の市場規模も拡大傾向にあり、その中で当社の対象市場となる自動細胞培養装置、培養容器(消耗品)及び再生医療・創薬用の各種細胞ソース等の市場も拡大すると予想されております。またiPS細胞による創薬への利用も研究開発が活発にされております。
当社では、設立当初より各種自動細胞培養装置のカスタム製品の製造販売を進めてまいりましたが、現在は汎用機器の製品開発に注力しており、当事業年度においては自動細胞培養装置「KB2000」をリリースいたしました。また、2013年1月に日本で初めてiPS細胞向けの自動細胞培養装置として「CellPet®」を販売いたしましたが、多様化するユーザーニーズに応えるために、後継機種として自動細胞培養装置「MakCell®」を開発いたしました。
さらに、長年にわたり産業技術総合研究所と共同開発してまいりました独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」を用いて再生医療の研究開発を推進し、現在では大阪大学医学部や横浜市立大学医学部と共同研究を進め、臨床研究を目指しております。あわせて、2017年1月に上市したiPS細胞用の回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」や小片化装置「CellPet FT®」をもとに、近年急速に進歩しつつあるオルガノイド培養向け回転浮遊培養装置「CellPet®CUBE」や酸素透過型培養容器などの関連機器を積極的に製品開発し、今後は海外展開も図ってまいります。
このように、独自の製品開発を積極的に進めて顧客を獲得し、市場の拡大に備えるために優秀な技術者の確保、生産体制の強化、保守サービスの構築が重要課題であると認識しております。このため当社では優秀な技術者の確保のために積極的な中途採用活動を展開する一方で、生産体制の強化や保守サービスの構築につきましては、新たな協力会社との関係構築によって対応する方針であります。
② 技術開発体制の構築
当社の顧客の多くは基礎研究に取り組んでいる研究機関・大学・企業の研究者であり、この基礎研究の分野で当社が成長するためには、最先端の技術動向のキャッチアップと継続的な技術開発を可能とする開発体制を構築し、継続的に付加価値を提供することが重要であると考えております。
このような認識のもと、オプティカル事業では国際学会での企業展示だけでなく、当社の製品や最新の技術紹介等を積極的に発信してまいります。また、独自に細胞培養センターを設け、ここをオープンイノベーションの拠点として、最先端の技術開発に取り組んでいる研究機関や大学との共同研究や企業との事業連携を積極的に推進することに努めてまいります。また、その体制のもとで定期的な勉強会や講義を積極的に実施し、当社技術者の技術レベルの向上も図ってまいります。
③ 営業力の強化
当社の両事業において、その事業規模を拡大させるためには営業力の強化が重要であると考えております。しかしながら、当社が取り扱っている製品は、コンサルティング営業ができるような技術知識が必要となるため、即戦力となる営業人材の確保が難しく、継続的な営業人材の確保と強化が特に重要な課題であると考えております。具体的には、技術者の社内ローテーションや物理学等の基礎学力を有している人材の採用活動によって営業人材を確保し、加えて既存営業マンによる継続的な現場教育の推進によって営業力の強化に注力してまいります。
一方で、現在新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため世界各地で外出禁止・制限・自粛要請とソーシャル・ディスタンスの確保が求められ、展示会・学会などが世界中で中止を余儀なくされており、いつ従来どおりの開催ができるのか予測できない状況下ではありますが、オプティカル事業においては、今までの実績をもとにユーザーである世界の研究者とWEB会議などを通じて商談を進めております。また、今まで中止されていた学会においても、WEB配信での開催の検討が増えてきているため、積極的な学会発表や企業宣伝に努めてまいります。
ライフサイエンス・機器開発事業においても、オンライン商談、リモート営業などを推進しておりますが、全てをオンラインに切り替えるのではなく、新規ユーザーへの初回訪問と既存ユーザーへの提案について営業手法を分ける等、訪問とオンラインを組み合わせて有効に営業活動を進めてまいります。
④ 生産管理体制の強化
オプティカル事業において、需要が拡大しグローバルな競争に生き残っていくためには、生産管理の役割が大きくなってまいります。一方、ライフサイエンス・機器開発事業においては、ファブレスによる柔軟な生産体制にて事業を展開しております。
今後の量産化に向けて、それぞれの製造工程、生産管理や品質管理等における最適なチェック体制を構築し、安定した品質を維持する仕組みが必要不可欠となるため、生産管理体制を強化してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
ここ数年の当社の急速な成長に伴い、内部管理に関係する業務が多岐にわたって発生しておりますが、今後のさらなる成長のためには内部管理体制の一層の強化を図る必要があると認識しております。そのためには、内部管理の重要性に対する全社的な認識の強化を図るとともに、内部管理に精通した人材を採用し、また経理・人事・広報・法務等に精通した人材も積極的に採用することによって、業務の有効性と効率性を高めてまいります。
(1) 経営方針
当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定め、『オプティカル事業』及び『ライフサイエンス・機器開発事業』を推進しております。
(2) 経営環境等
当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に伴い緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、景気が急速に悪化し厳しい状況となりました。当社の主要取引先である放射光施設を有する世界各国においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく出ており、平常時の経済活動が出来ない状況となり、先行きが非常に不透明な状況となっております。
当社への影響としましては、主に国内販売を行うライフサイエンス・機器開発事業においては軽微と見込まれるものの、大半が海外販売であるオプティカル事業においては、海外への渡航制限が続いた場合や国際学会・展示会等の開催自粛が続いた場合には、営業活動に遅れが生じる可能性があります。しかしながら、研究者からの需要は依然として旺盛であり、商談におけるテレビ会議の活用が浸透しオンラインでの学会・展示会も行われてきていることから、今後は徐々に経営環境が回復してくるものと考えております。加えて、当社主力製品であるX線ナノ集光ミラーは、現地での設置はユーザーにて行うものであり納品時の渡航が必要でないことからも、営業手法の工夫や見直しにより十分対処可能であると考えております。
さらに、当社ミラーが使用される放射光施設や自由電子レーザー施設は、各国の最先端の科学技術の発展に寄与し新型コロナウイルス感染症の各種分析にも用いられるような施設であるため、ミラーの需要が減少するということは考えにくい状況であります。
現在、新しい第4世代の放射光施設の建設またはバージョンアップや、X線自由電子レーザー施設の建設が競い合って進んでいる状況にあり、特に中国において建設ラッシュが続いております。これら次世代の高度化施設の新設に伴い、今後さらに当社が得意とする高精度ミラーの需要増大が予想されます。
また、ライフサイエンス・機器開発事業においては、CELLFLOAT®システムを用いた汎用型機器から機器開発案件への売上構成のシフトが順調に進んでいることから、ライフサイエンス・機器開発事業における新規事業開拓にも注力してまいります。
(オプティカル事業)
世界の放射光施設やX線自由電子レーザー施設は約70か所あり、現在新設や増設等、高度化への投資が盛んに行われております。また施設内にある実験ハッチを有するビームラインの数は1施設当たり平均約30本あり、1つのビームラインでおおよそ4~10枚のX線ミラーが使用されており、これらがX線ミラーの潜在的な市場規模を構成しています。(2015年6月19日、株式会社シード・プランニングによる調査「放射光用X線ミラー市場に関する調査」による)
さらに現在の70か所のほか、新しい第4世代の放射光施設やX線自由電子レーザーなどの施設が約30施設建設中・計画中で順次完成しており、これら次世代の高度化施設の新設に伴い、当社が得意とする高精度X線ナノ集光ミラーの需要拡大が予想されています。今後それぞれの建設中の放射光施設は2~3年ごとに5~6本のビームラインが随時立ち上がる予定であることから、少なくとも新設後20年程度は需要が継続し、市場規模は拡大傾向にあると考えております。
放射光施設やX線自由電子レーザー施設は、基礎科学研究分野から、高度化医療、創薬や材料評価などの応用分野に加えて企業による産業利用にも活用されていますが、最近では新型コロナウイルス感染症に関する基礎研究が積極的に推進されております。これに伴い、より小さな試料やより高い空間あるいはエネルギー分解能による高度な分析が求められる状況が進んでおります。
重点施策としましては、国内外の放射光施設及びX線自由電子レーザー施設向けのナノ集光ミラー、高調波カットミラ-及び回折格子用ミラー等の需要に応えるために、2019年7月1日に完成した新社屋を活用し、従来と比べ生産能力の倍増を推進してまいります。また、次世代放射光施設(第4世代)のための高機能型X線集光ミラーとして開発した形状可変ミラーの拡販を進めるとともに、さらなる次世代向けの製品として、回転楕円ミラー、ウォルターミラー等の開発を推進してまいります。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
ライフサイエンス・機器開発事業は、創業当初から続く当社の根幹事業であり、今後も自動細胞培養装置の事業を継続するためには、これまでのように絶え間ない自動化の技術開発と協力会社との連携による効率の良い生産体制の構築が必要であると考えております。さらに、独自の培養技術の研究開発を推進し、そのキーテクノロジーをもとにした汎用製品の開発が必要不可欠と考えております。
現在、iPS細胞の出現により再生医療や創薬の分野において新しい産業が創出されようとしておりますが、iPS細胞の産業化が進む現状で、その大量培養技術の確立が急務となっております。
そこで、産業技術総合研究所と長年にわたり共同研究を行ってきた当社独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をキーテクノロジーとして「3次元培養技術に関する研究開発」を推進し、短期的には市場規模の伸びが小さいものの、中長期的に急成長が予想される再生医療向けの周辺産業に関する自動細胞培養装置や培養容器などの商品開発を積極的に展開してまいります。
重点施策としましては、中長期的には「CELLFLOAT®」をもとにした汎用型機器の販売を推進するとともに、短期的な戦略としては、水晶振動子ウエハ加工システムの開発をはじめとして順調に進んでいるライフサイエンス・機器開発事業に注力してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業活動に関わる課題
(オプティカル事業)
当社は、世界規模で拡大しております放射光施設並びにX線自由電子レーザー施設向けの高精度X線ミラーの需要に応えるため、生産施設の増強、生産工程の効率化、高精度化を進め、引き続き当事業での重要課題としてとらえております。
このため、独自のEEMナノ加工装置とRADSI及びMSIナノ計測装置等の生産設備の増設を積極的に進め、また海外の競合他社に対する技術的優位性を維持するため、現在のナノ加工技術の効率化、高精度化を図るための研究開発だけでなく、新しい製造技術の実用化開発を推進し、さらに前加工協力会社との技術提携等により生産工程の効率化を目指しております。
また、世界各地で第4世代の放射光施設の新設計画が進み、さらに既存の放射光施設でも第4世代へのバージョンアップにより光源の強化が図られ、それらに対応するための新しい光学系の構築が求められているため、回転楕円ミラー、形状可変ミラー、各種ウォルターミラー等の次世代放射光施設向けの新製品の開発・販売を推進しております。
なお、独自の表面創成技術であるナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI及びMSIは世界に類を見ない高精度な原子レベルの自由曲面の加工を可能にするものであります。最近では次世代半導体や宇宙ビジネス、医療技術分野など成長産業分野で使われる光学素子において、従来の技術では不可能なナノメートルレベルでの高精度化が望まれており、当社の表面創成技術はこれら分野においてビジネスを展開するための技術的ポテンシャルを有しております。
そこで当社では、放射光施設以外への市場開拓を進め、各種産業分野の企業や研究機関との共同開発を積極的に進めて成果を上げつつあり、当社の第3の事業として成長を図ってまいります。
さらに、当社では現在のナノ加工技術EEM以外にも大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMやCARE(触媒基準エッチング法)を技術導入して実用化開発を進めており、また新しい計測技術についても大阪大学と共同開発を積極的に進めております。このように総合的な技術ポテンシャルを上げて選択肢を広げることにより、有効的に新規市場への参入、拡大を図ってまいります。特に当事業年度においてはプラズマCVM加工技術を水晶振動子ウエハの加工に適用し、その量産化システムの事業化に成功しております。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
再生医療の拡大に伴い、その周辺産業の市場規模も拡大傾向にあり、その中で当社の対象市場となる自動細胞培養装置、培養容器(消耗品)及び再生医療・創薬用の各種細胞ソース等の市場も拡大すると予想されております。またiPS細胞による創薬への利用も研究開発が活発にされております。
当社では、設立当初より各種自動細胞培養装置のカスタム製品の製造販売を進めてまいりましたが、現在は汎用機器の製品開発に注力しており、当事業年度においては自動細胞培養装置「KB2000」をリリースいたしました。また、2013年1月に日本で初めてiPS細胞向けの自動細胞培養装置として「CellPet®」を販売いたしましたが、多様化するユーザーニーズに応えるために、後継機種として自動細胞培養装置「MakCell®」を開発いたしました。
さらに、長年にわたり産業技術総合研究所と共同開発してまいりました独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」を用いて再生医療の研究開発を推進し、現在では大阪大学医学部や横浜市立大学医学部と共同研究を進め、臨床研究を目指しております。あわせて、2017年1月に上市したiPS細胞用の回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」や小片化装置「CellPet FT®」をもとに、近年急速に進歩しつつあるオルガノイド培養向け回転浮遊培養装置「CellPet®CUBE」や酸素透過型培養容器などの関連機器を積極的に製品開発し、今後は海外展開も図ってまいります。
このように、独自の製品開発を積極的に進めて顧客を獲得し、市場の拡大に備えるために優秀な技術者の確保、生産体制の強化、保守サービスの構築が重要課題であると認識しております。このため当社では優秀な技術者の確保のために積極的な中途採用活動を展開する一方で、生産体制の強化や保守サービスの構築につきましては、新たな協力会社との関係構築によって対応する方針であります。
② 技術開発体制の構築
当社の顧客の多くは基礎研究に取り組んでいる研究機関・大学・企業の研究者であり、この基礎研究の分野で当社が成長するためには、最先端の技術動向のキャッチアップと継続的な技術開発を可能とする開発体制を構築し、継続的に付加価値を提供することが重要であると考えております。
このような認識のもと、オプティカル事業では国際学会での企業展示だけでなく、当社の製品や最新の技術紹介等を積極的に発信してまいります。また、独自に細胞培養センターを設け、ここをオープンイノベーションの拠点として、最先端の技術開発に取り組んでいる研究機関や大学との共同研究や企業との事業連携を積極的に推進することに努めてまいります。また、その体制のもとで定期的な勉強会や講義を積極的に実施し、当社技術者の技術レベルの向上も図ってまいります。
③ 営業力の強化
当社の両事業において、その事業規模を拡大させるためには営業力の強化が重要であると考えております。しかしながら、当社が取り扱っている製品は、コンサルティング営業ができるような技術知識が必要となるため、即戦力となる営業人材の確保が難しく、継続的な営業人材の確保と強化が特に重要な課題であると考えております。具体的には、技術者の社内ローテーションや物理学等の基礎学力を有している人材の採用活動によって営業人材を確保し、加えて既存営業マンによる継続的な現場教育の推進によって営業力の強化に注力してまいります。
一方で、現在新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため世界各地で外出禁止・制限・自粛要請とソーシャル・ディスタンスの確保が求められ、展示会・学会などが世界中で中止を余儀なくされており、いつ従来どおりの開催ができるのか予測できない状況下ではありますが、オプティカル事業においては、今までの実績をもとにユーザーである世界の研究者とWEB会議などを通じて商談を進めております。また、今まで中止されていた学会においても、WEB配信での開催の検討が増えてきているため、積極的な学会発表や企業宣伝に努めてまいります。
ライフサイエンス・機器開発事業においても、オンライン商談、リモート営業などを推進しておりますが、全てをオンラインに切り替えるのではなく、新規ユーザーへの初回訪問と既存ユーザーへの提案について営業手法を分ける等、訪問とオンラインを組み合わせて有効に営業活動を進めてまいります。
④ 生産管理体制の強化
オプティカル事業において、需要が拡大しグローバルな競争に生き残っていくためには、生産管理の役割が大きくなってまいります。一方、ライフサイエンス・機器開発事業においては、ファブレスによる柔軟な生産体制にて事業を展開しております。
今後の量産化に向けて、それぞれの製造工程、生産管理や品質管理等における最適なチェック体制を構築し、安定した品質を維持する仕組みが必要不可欠となるため、生産管理体制を強化してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
ここ数年の当社の急速な成長に伴い、内部管理に関係する業務が多岐にわたって発生しておりますが、今後のさらなる成長のためには内部管理体制の一層の強化を図る必要があると認識しております。そのためには、内部管理の重要性に対する全社的な認識の強化を図るとともに、内部管理に精通した人材を採用し、また経理・人事・広報・法務等に精通した人材も積極的に採用することによって、業務の有効性と効率性を高めてまいります。