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有価証券報告書-第33期(2025/07/01-2026/06/30)

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2026/09/28 13:13
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境、及び対処すべき課題は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「オプティカル事業」、「ライフサイエンス・機器開発事業」及び「その他事業(電子科学株式会社を含む)」の3つの事業を有しております。
(1) 経営方針
当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定めております。
(2) 経営環境等
当連結会計年度における世界経済は、中東やウクライナでの地域紛争などによる地政学リスクや持続的なインフレ圧力などの影響を受け、楽観的な予測が修正を迫られる不確実性が高い転換期となり、緩やかな減速傾向にあります。
国内経済は、賃上げの広がりと円安傾向を背景に個人消費と一部輸出が持ち直し、緩やかな回復基調が継続しており、企業業績は自動車・ハイテク分野で底堅さが見られる一方、物価上昇や生活コスト増が実質所得の伸びを圧迫、原材料コスト増や中国経済減速による外需の不安定さも残り、外部環境と物価動向次第で先行きの変動幅が大きくなる可能性を秘めております。
このような経済環境のもと当社グループは、オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業及びその他事業(電子科学株式会社を含む)という独自の技術を利用した3つの事業によって、高品質な製品提供と研究開発活動の強化に取り組み、経営基盤拡充と企業価値向上に努めてまいりました。
オプティカル事業においては、当連結会計年度は、国内市場ではSPring-8、SACLA、NanoTerasu、アジア市場では中国のSHINE(上海)、HALF(合肥)、HEPS(北京)、台湾のTPS、アメリカ市場ではLCLS、欧州市場ではESRF(フランス)、MAX-IV(スウェーデン)、HZB(ドイツ)への売上が中心となり経営成績を牽引しました。世界各国において多くのアップグレードや新設を控えるに伴い、特に高精度ミラーの需要がこれまで以上に増大しており、いずれの施設もより高い精度を実現するための綿密な設計検討を基に受注活動を行っておりますが、これら高額製品のいくつかにおいて契約後の設計変更が顧客都合で生じ、顧客了解のもと、期を跨いだ納期後倒しを余儀なくされました。また、ミラーの基板材料として主に単結晶シリコンを用いておりますが、材料由来の予期せぬ不具合が一部の案件で発生し、複数の製品において製造リードタイムが長期化することになりました。このような不測の事態の影響により、当初計画を下回る出荷数となりましたが、製造リードタイムを大幅に短縮する開発活動を進めたことで、事業としての収益は前期比増収増益を維持いたしました。
営業活動につきましては、国内外の主たる放射光分野の学会での発表を通じて、当社の研究・開発成果の進捗報告することによる当社技術のアピールに加え、光学全般を対象にした展示会においても当社の超精密加工・計測技術のアピールを継続的に展開しております。また、各国施設の研究者の訪日機会も増加し、商談のみならず共同研究の機会も確保され、売上向上を見据えた積極的な営業活動に努めてまいりました。
ライフサイエンス・機器開発事業につきまして、機器開発事業はその重点分野として、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術の装置化及び受注・販売活動を推進してまいりました。従来から継続している「プラズマ化学気相加工法(PCVM)」、「プラズマ援用研磨法(PAP)」、「触媒表面基準エッチング法(CARE)」に「電気化学機械研磨法(ECMP)」を加えた4つの新しい研磨プロセスによる拡販活動、潜在顧客の掘り起こし活動に注力してまいりました。その結果、設備導入を前提にした試作機評価案件は大幅に増加し、その中からプラズマ援用研磨装置2台を受注し、売上に寄与いたしました。
一方、ライフサイエンス事業では「CELLFLOAT®」関連機器や受注生産型装置が売上に寄与しました。自動培養装置や大型の細胞培養システムは顧客の方針変更などにより、期初計画に沿った受注・売上には至らなかったものの、ユーザー用途に合わせたカスタマイズ品の受注生産型装置が売上に寄与いたしました。これらの成果によって、事業としての収益は前期比で増収となり、セグメント損失も縮小いたしました。
機器開発関連の重点新規事業分野として、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術であるプラズマ化学気相加工法(PCVM)、プラズマ援用研磨法(PAP)、触媒基準エッチング法(CARE)、電気化学機械研磨法(ECMP)による表面加工装置の開発、製品化、販売活動を引き続き推進しております。 特に昨今の地政学的事情等によるSiCウェハの国内回帰、ダイヤモンド基板、デバイスの日米間コラボレーションを受けて、業界の再編やベンチャー企業の台頭が盛んになっており、これらを背景にしたPAPや ECMPに対する期待が高まっております。PAPとECMPはともに次世代のパワーデバイス用の基板、データセンター等の高出力デバイスの基板やヒートスプレッダー、量子デバイス用の基板として注目されており、今後大きな市場を形成するものと予想されることから、更なる技術力と販売体制の強化に努めてまいります。
ライフサイエンス関連の市場動向として、他社において再生医療等製品2製品が期限付きで承認されるなど、再生医療市場は活性化しつつあります。加えて創薬の研究開発現場の労働環境改善や動物実験禁止の世界的潮流は、自動細胞培養装置にとって追い風の環境となっております。汎用型の自動細胞培養装置による新規市場開拓だけでなく、市場ニーズが高まっている超大型・全自動の細胞培養システムの受注拡大にも注力してまいります。また、競争的資金活用により成果の出た“幹細胞分離装置”の実用化、事業化を加速してまいります。
その他事業は子会社の電子科学株式会社であり、同社の売上構成は、装置販売(TDS:昇温脱離分析装置)及び大型工事・装置のメンテナンス業務・受託分析業務の3つに分かれますが、装置メンテナンス業務が前期比71.5%増と堅調に推移したものの、受託測定は微減となり、受注金額が大きくなる主力事業の装置販売及び大型工事においては、高い確度で見込んでいた複数の案件が受注に至らず、最終的にTDSの販売は1台に止まりました。そのため売上高は前期比で約52%の水準に止まり、販管費を前期比88%の水準まで削減したものの、セグメント損失を計上する結果となりました。
今後も持続的な成長を実現する経営基盤の強化として、生産体制の最適化とリソースの集中を図り、現在の主力装置の販売を促進するとともに、次世代市場向け新機種を将来の収益の柱として早期に育成し、安定的な収益確保に努めてまいります。
重点施策の推進の効果が徐々に出始め、鉄鋼・部品メーカー各社からの製品仕様に関する問い合わせや引き合
いが増加しております。引き続き、ストックビジネス(メンテナンス・受託分析)を安定した収益基盤としつつ、新製品を含めた装置販売の受注獲得に努めてまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが10~20年先に目指すべき企業像を明確にした長期成長戦略「Innovation2030」の実現に向けて、当社グループが対処すべき課題として認識しています点は以下のとおりであります。
<当社グループ共通>グループ共通の課題として事業成長や収益拡大を一層加速させるため、以下の事項について対処する必要があります。
① 人的資本の向上
2025年7月より新人事制度の役割等級制度へ移行いたしました。従業員の意欲を高める新人事制度の導入によって成長の機会を創出してまいります。新人事制度においては社員の役割と評価基準を明確にし、従業員が自身のキャリアパスを描きやすくすることで、従業員個人のキャリア形成につなげるとともに組織としての人的資本の向上を図り、社員と会社の飛躍的な成長を目指します。
② 業務効率化・DX化
2026年7月より新基幹システム(クラウドERP)を導入し、各種業務の見える化、情報の一元化により業務効率化を進めてまいります。社員数や製造数が増加する中、各種業務と情報管理を効率的に実施することにより、当社グループの強みでもある高精度な製品製造や研究開発に注力できる環境を整備し、経営判断に必要な情報を適時適切に活用することで迅速な意思決定に繋げ、経営効率を高めてまいります。
③ ステークホルダーとの対話
当社グループの事業において取扱う製品は非常に専門性の高い分野で使用されることから広く理解が得られにくい状況であるため、当社グループの事業内容と成長性に対するステークホルダーの理解につながるよう丁寧な対話に努めてまいります。
より多くの個人投資家の皆様に当社ビジネスモデルへの理解を深めていただくため、事業のポジショニングやマーケット環境、当社グループの強みと成長戦略をより分かり易く解説したIRプレゼンテーション動画の配信を実施しております。今後はより一層幅広いステークホルダーとの対話を積極的に進めてまいります。
併せて、サステナビリティを中心とした非財務情報への適切な取組みを進め、不確実性の排除による資本コストの低減を図り、ブランド力強化による競争優位性を高め、当社グループの企業価値向上につなげてまいります。
④ 経営基盤の強化
受注生産型の事業を中心としている当社グループの強みを活かし、新製品・サービス・技術の創出による新規事業の展開と既存事業の深化によって他社との差別化を図り、バランスの取れた成長投資によって、持続的成長と企業価値の最大化を実現いたします。人的資本の強化としては生産性向上への人材育成とその基盤となる人事制度整備などの実施、内部統制を意識したDX化や新基幹システムの導入などIT・デジタル化の推進、新たな収益基盤創出に向けた研究開発投資等を積極的、継続的に実施してまいります。中長期的に資本コストや市場評価を意識して健全な財務基盤を築き、信用力の向上を図ってまいります。
<オプティカル事業>(生産性向上)
ミラーを製造する社内工程を前工程と後工程に明確に分離し、前工程を栃木生産技術センターで、後工程を本社で担えるよう生産体制を最適化してきた結果、社内リードタイムの大幅短縮を実現いたしました。今後も一層の効率化を目指し、積極的に改善を行ってまいります。一方、社外工程の外注加工先におけるリードタイムの改善にはまだ充分に着手できておらず、特に当社の加工工程後に実施する刻線及び成膜の社外工程が全体のリードタイムに影響を及ぼしております。今後は調達先の拡大はもとより内製化も視野に入れ、リードタイムの短縮を図ってまいります。
(製品力・技術開発力の強化)
当社経営理念に基づき、学術機関との共同研究を進め、世の中にない新しい技術の開発とその実用化に取り組んできました。その成果は、放射光市場における最先端の研究領域において既に利用されており、当社でしか実現できない光学理論限界の精度で、様々な種類のミラーを製品として世界中に供給してまいりました。この姿勢は、当社が長年深く関わってきた放射光市場以外の半導体や宇宙分野といった新しい領域でビジネス展開するための推進力となっております。いずれの分野においても、精度と新規性の両観点において比類のない製品を提供することを理念としており、そのためには研究・開発の促進と製造装置の機能性向上が必要となるため、今まで以上に人材と設備の投資を積極的に行ってまいります。
(営業力の強化)
放射光市場においては、常に今より高精度を実現することと、新規性と進歩性を備えた製品を供給することで恒常的に技術優位性を有することで競争力を維持してまいります。一方、現在参入を目指す半導体市場においては、学術機関との共同研究や競争的資金の活用、積極的で効果的な経営資源投入を通して当社のものづくりの範囲を広げ、得られた成果を新規顧客のニーズにマッチした製品の開発につなげ、収益拡大に貢献するアプローチを展開してまいります。
<ライフサイエンス・機器開発事業>(生産性向上)
ライフサイエンス・機器開発事業はファブレスで装置を生産しておりますが、生産台数の増加や装置仕様に対する顧客からの厳しい要求に応えるためにも、新たなアウトソーシング先の開拓と育成に注力し、併せて、安定性、信頼性の向上に向けて、品質管理体制とリスクアセスメント体制の構築と強化を図ってまいります。
海外市場、特に商談数の多い中国、台湾市場への装置納入に備えて、現地でのメンテナンスが重要な業務となりますので、現地の業務パートナー開拓と育成を含めたサポート体制を確立してまいります。
(製品力・技術開発力の強化)
半導体関連のウェハ表面研磨を大学独自あるいは大学との共同研究によって得られる次世代の加工研磨技術の成果をもとに半導体ウェハ表面研磨の工業的実用化、特に大学初のチャンピオンデータを工業的に高く実現できる生産設備の開発を行い、更に機能の拡充を推進してまいります。半導体素材は現在、Si、SiC等のウェハが主流ですが、今後、GaN、Ga2O3、ダイヤモンド等の新たな素材へ変わりつつあり、プロセス開発を大学と共同で推進しております。
ライフサイエンス事業では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトへの参画や製薬・創薬企業とのコラボレーションにより進めてきた脳梗塞治療に寄与する幹細胞分離装置の実用化及び同装置の脳梗塞、認知症治療への適用開発を加速してまいります。
(営業力の強化)
国内外問わず、専門性の高い展示会出展やホームページからのお問い合わせを頂いた顧客への訪問、ウェブ会議でのアプローチなどを積極的に推進するとともに、半導体関連や細胞培養関連に強いサプライチェーンの確立と販売網の強化、成長性高い営業展開を支援する人的ネットワークの構築を進めてまいります。海外市場、特に中国、台湾市場等へのアプローチをより効果的に進めるために現地の商社や代理店等とのコラボレーション強化を図ってまいります。
<電子科学株式会社>(生産性向上)
生産性向上の対策として標準仕様品はアウトソーシング、特殊仕様品は社内生産の並行生産を実施しており、更なる安定的かつ効率的な装置製造体制の構築に向けて新規アウトソーシング先の確保に努めてまいります。また、サービス業務の対象地域拡大による収益拡大に向けた体制作りとして、人材の確保と海外業務に対応するパートナーの開拓及びその育成を強化していきます。
(製品力・技術開発力の強化)
当連結会計年度より、新規開発中の鋼中拡散水素分析装置「ESCO-TDS-100 Cryo H2」を使って、水素脆化に関する共同研究による現有装置の機能強化や新たな機能の開発による付加価値の増大によって製品力の強化を図っており、学会発表を通じてアカデミアにて当社製品の有効性を示しております。
(営業力の強化)
新規市場として中国・米国・欧州での展開を推進しており、経済安全保障の問題への対策を講じながら、特に海外での収益拡大につながる販売チャネルの確保を進めております。台湾・韓国・中国では販売代理店を設置、米国では営業支援員を確保しました。更に、販売促進ツールである製品総合カタログ、ウェブ広告やホームページの刷新に伴い、多言語化対応(日本語・英語・中国語〈簡体字・繁体字〉・韓国語)を進め、広く認知度を高めるなど、営業力の強化に努めております。

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