有価証券報告書-第8期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/25 15:00
【資料】
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【項目】
141項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンにおいて個人間で簡単に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安全・安心なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、これによりオフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2019年に行った当社調査によれば、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、このようなCtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ
出品者・購入者双方に楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」の登録MAUは2020年6月期第4四半期において17.4百万人であり、2019年に実施した当社調査によれば、フリマアプリ及びオークションサイト4社のうち、売れやすさ、使いやすさの利用満足度において、当社サービスの満足度が最も高くなっております。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えて、広範なユーザデータとAI技術を活用していくことで、購入者の嗜好にあわせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等の実現に取り組んでおります。
(注)登録MAUは「登録Monthly Active User」の略であり、「メルカリ」に登録しているユーザのうち、1ヶ月に一度以上「メルカリ」を利用したユーザを集計しております。また、登録MAUの四半期平均を記載しております。
③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品を販売して得た売上金をもとに別の商品の購入が可能な為、「メルカリ」で商品を販売した出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しています。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、日本事業において既に高い収益性を実現しています。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。当初は、オンライン広告やTVCMを通じて市場プレゼンスの拡大を図ったため、広告宣伝費が収益を圧迫し、当社単体ベースで営業損失を計上しました。しかし、日本市場での規模拡大に伴い、コスト効率を向上させながら売上高の急速な成長を実現したことで、当社単体ベースでは採算性を確立しております。米国メルカリ事業及びメルペイ事業への先行投資に伴い、2020年6月期は引き続き連結ベースで営業損失を計上しましたが、今後も、事業の拡大、採算性確保に向けて取り組んで参ります。
⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化
創業者で代表取締役CEO(社長)である山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、ソーシャルゲームなどの革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。当社グループの経営陣は、ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいてユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させることに関する豊富な経験を有しています。
当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、当社グループの採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。当社グループは、日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の戦略的な拡大を継続しています。
当社の具体的な経営戦略
国内メルカリ事業/メルペイ事業/米国メルカリ事業の3本柱に経営資源を集中し、ミッション達成にむけた基盤をさらに強固とすることを当面のゴールと定め、グロースを最優先した投資を継続して参ります。
① 国内メルカリ事業:出品の拡大による更なる成長
2020年6月期第4四半期登録MAU17.4百万人に対し、2019年4月に株式会社電通マクロミルインサイトが実施した調査に基づく分析によれば、「メルカリ」の認知と出品意向はあるが未出品のお客様はおよそ36百万人いると試算されています。この潜在出品顧客に訴求した出品者増加に向けた取り組みを、「メルカリ」の更なる成長のために実施して参ります。
・AIテクノロジーを活用した圧倒的なユーザ体験
例えば、出品予定の商品を撮影するだけでAIによって売れ筋の価格帯が分かる、購入データを出品の際に利用できることでスムーズに出品ができるなど、AIテクノロジーやデータ連携によるUXの向上は出品者拡大施策の1つです。テクノロジーを活用してユーザ体験をより便利に、より快適にし続けることは差別化の源泉であると考えています。
・一次流通、二次流通の連携による新しい売買体験
一次流通企業が保有する商品データ等と、当社が保有する二次流通データを連携することで、商品の検索、比較、出品時の情報入力等がより簡易化するほか、1次流通への購入導線の設置など、よりスムーズでシームレスな売買体験の創造につながると考えています。
・リアルタッチポイントの強化
もう一つの出品者拡大施策は、顧客層とのリアルタッチポイントの強化です。「メルカリ」の利用経験の無いあるいは少ないお客様に対する「メルカリ」の使い方等に関する講習会や、梱包・発送場所の増加などのオフラインUXの進化など様々なオフライン施策を活発化することで、潜在出品顧客の取り込みを狙います。
② メルペイ事業:キャッシュレス市場で確固たるポジション獲得
多くの決済サービスがひしめくキャッシュレス市場の勃興期において、「メルペイ」はそのポジションを確固たるものにするべく、お客様及び加盟店の拡大への先行投資と、「メルカリ」とのシナジー創出に特に注力して参ります。
•また、三井住友カード株式会社が提供を行っている非接触型決済サービス「iD」、株式会社ジェーシービーが推進を行っているコード決済基盤「Smart Code」等とのサービス間連携により、「メルペイ」が利用可能な加盟店を拡大しております。
• 「メルカリ」とのシナジーを最大化しメルカリエコシステムを構築
「メルペイ」のスマート払い・与信の増大により「メルカリ」でのお客様の出品や購買意欲が向上、「メルカリ」での売上金の増加により「メルペイ」で使える残高が増える、といった「メルカリ」と「メルペイ」間のシナジーは、キャッシュレス市場における「メルペイ」の大きな特長であると考えています。今後も「メルカリ」と「メルペイ」で相互に高め合うエコシステムの構築を進めて参ります。
③ 米国メルカリ事業:簡単で安全なサービスとしての差別化による成長拡大
買うこと、売ることをより簡単に、安全に行うことができる取り組みを、米国メルカリ事業の更なる成長に向けて行ってまいります。また、ブランド認知向上や外部コミュニティとの連携強化等により、マーケティングコストの適正化など、利益の改善にも同時に取り組んで参ります。
• 「売ること」を「買うこと」より簡単に、安全に
米国の「Mercari」では「売ること」を「買うこと」より簡単にすべく、売上金の引き出しが数分で可能な「Instant Pay」や、梱包や配送の簡略化、適正価格提案などの出品者向けの機能拡充に一層注力して参ります。
(4)会社の対処すべき課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及につれて、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。
② 人材の育成
サービスのグローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、人材の育成は重要な課題と認識しております。従業員が高いモチベーションをもって働けるよう、育成の仕組みや人事制度の整備、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進等を積極的に進めて参ります。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。
また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは世界中の人々の消費行動の変化を背景とした中古品市場の拡大に対応し、投資の規律を意識しつつも積極的に海外展開を図っていく方針であります。
2014年1月に米国に設立した連結子会社Mercari, Inc.においては、当社グループが保有するノウハウの移管を推し進め、ユーザの獲得を進めて参ります。これまで日本で蓄積したプロダクトとマーケティングのノウハウを活かしながら、現地のユーザ特性とニーズにあわせてサービスをカスタマイズし、まずはユーザ数の拡大を目指していく方針であります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の監視機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレート・ガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、今後もこの基本方針のもと、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めていく方針であります。
⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。

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