有価証券報告書-第8期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」という経営理念のもと、不動産総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の開発・運営を行っております。当社では、“現状”や“常識”にとらわれることなく「ユーザーが未だ体験したことがない、世界を変えるようなサービスを常に創造し、ユーザーに新しい価値を提供する」ことを目指して企業活動を行っております。
(2)経営環境及び経営戦略
① 企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社8社で構成され、不動産総合ブランド「RENOSY(リノシー)」及び中華圏向けの不動産プラットフォーム「神居秒算」の開発・運営を中心として、中古不動産の売買及び仲介、マンション賃貸管理、サブリース、リノベーション、不動産仲介会社及び管理会社向け業務支援システムの開発・運営、高級賃貸用不動産の仲介、銀行ローン申込プラットフォーム等自社プロダクトの開発・運営・外販及び家賃債務保証事業等を主たる業務としており、不動産の各領域(賃貸、売買、リノベーション、投資等)を網羅し、ワンストップでのサービス提供を行っております。
② 競争優位性
不動産業界の多くの会社は、賃貸、売買、リノベーション、投資の不動産の各領域ごとに分業制を取っていますが、当社グループではこれらの領域全てを網羅し、ワンストップでのサービス提供を行っております。これにより、お客様のユーザー体験の向上が図られております。
また、当社グループはRENOSY iBuyer事業、RENOSY Living事業、ITANDI事業におけるBtoC取引で培った様々な事業ノウハウを賃貸仲介会社、賃貸管理会社、売買仲介会社及び投資用不動産販売会社にSaaSで提供(BtoB取引)することが可能となっております。
さらに、RENOSYにおける不動産売買、仲介等においては物件検索から申込・契約、アフターフォローまで、ITANDI BBにおける不動産賃貸仲介会社向けSaaSの提供においては物件検索から内見予約、入居申込・電子契約、更新退去まで、一気通貫でのサービス・顧客体験の提供が可能となっております。
③ 事業を行う市場の状況及び経営戦略
あらゆるものがネットワークに繋がり、それを通じて収集・蓄積されるデータがリアルタイムで解析され、結果としてこれまでに無かった新しいサービスやビジネスが出現する時代が本格到来しつつある中、政府は2016年に発表した「名目GDP600兆円に向けた成長戦略」において、IoT・AI・ビッグデータ等の活用を通じた第4次産業革命の実現で30兆円の付加価値創出を目指すことを示しています。
そのような大きな時代の転換点にあって、2019年のわが国の住宅市場は、90.5万戸の新規住宅着工戸数(国土交通省「2020年版 住宅着工統計」)に対して中古住宅の成約件数は18.7万戸(不動産流通推進センター「2020不動産業統計集」)と、新築に大きく偏った市場構造となっています。一方で、少子高齢化、人口飽和、核家族化、所得の伸び悩み、都市部への人口集中等、様々な社会構造的要因により、中古住宅の有効活用が果たす役割は今後より一層大きくなることが期待されています。2016年に閣議決定された「住生活基本計画」においては、既存住宅流通・リフォームの市場規模を11兆円(2013年)から20兆円(2025年)へと増大させることが目標として掲げられています。
また、住宅の購入層に目を向けると、住宅取得適齢期とされる30~40代は、これまでITリテラシーが限定的な層が主な構成員でしたが、今後はいわゆるデジタルネイティブ世代が占める割合が一気に上昇することが予見されています。
換言すれば、IT活用が最も遅れている市場のひとつと言われる不動産市場において、今後はIT活用が必須となる、あるいはIT活用が競争上の大きな優位性を持ち得る状況となることが予想されます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、①店舗来店不要のセルフ内見、②非対面での賃貸、売買契約、③ワンストップでシームレスな顧客・購入体験、④クラウドファンディングによる世界の不動産の手軽な購入、⑤業界のペーパーレス化へのシフト等、テクノロジーによる変革が起きてこなかった不動産業界が大きく変わろうとしています。このような事業環境はいずれも当社グループの事業を加速するための大きなチャンスととらえております。
なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大により、金融機関の稼働減に伴う販売活動の停滞、管理会社の営業停滞に伴う仲介可能物件数減少及び仲介業界の冷え込みによる電子申込利用減等の影響がありましたが、非対面販売体制の早期確立、自社メディアの強化及び賃貸業界のDXシフト等、従前より長期的な業界変化を見据えたDX推進に注力してきた結果、業績への影響は限定的なものとなっております。
④ 経営戦略
当社グループは以下の戦略のもと業務を行っております。
(a) リアルとテックの融合
RENOSY iBuyer事業及びRENOSY Living事業において、メディア運営から不動産取引までを一気通貫に行うことで、安心した高品質のサービスとなめらかな顧客体験を提供することを目指します。
(b) RENOSYリニューアルとワンストップの追求
従来別々のブランドだったプロダクトをRENOSYにブランド統合することにより、ユーザーの入り口を一本化し、「買いたい」、「貸したい」、「投資したい」、「売りたい」、「借りたい」が全てRENOSYの中で完結でき、RENOSYのエコシステムをなめらかにすることでLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指します。
(c) 認知拡大及びブランド強化
「RENOSY」の認知拡大のため、ブランドムービー制作、エージェントのユニフォーム導入等、リアル接点でのブランド訴求も強化します。
(d) 不動産業界全体のDX推進
自社開発したプロダクトを自社グループ内の不動産取引に実際用いることで、プロダクトのPDCAサイクルを高速化し、価値のあるプロダクトを他の不動産関連企業へ外販促進します。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 「RENOSY(リノシー)」事業の強化
(a) 不動産取引のオンライン化への取り組み
不動産業界はオンライン化が最も遅れている業界の一つであり、今後は「非対面化」や「電子書面化」が加速することが想定されています。特に電子書面化においては、今後法改正により規制が緩和される可能性があり、係る規制緩和をビジネスの機会にしていく必要があると考えております。当社グループは従前から積極的に不動産取引のオンライン化におけるプロダクトの開発・製品化を行っており、今後も競争力の強化を図っていく方針であります。
(b) 安定的収益の確保を実現するSaaS型ビジネスの強化
現在、当社グループは不動産投資事業(いわゆるRENOSY iBuyer事業)からの収益が大きく、当ビジネスは急拡大を続けておりますが、中期的には安定的な収益の確保が可能となるSaaS(Software as a Service)型ビジネスの強化が必要であると考えております。当社グループにおいては、イタンジ株式会社が賃貸領域におけるSaaS型ビジネスを、株式会社RENOSY Xが売買領域におけるSaaS型ビジネスをBtoBビジネスとして手掛けており、SaaS型ビジネスの拡大によりグループ全体の収益の安定性の確保を図っていく方針であります。
(c) 自社プロダクトの開発
不動産業界のIT化は、他業種に比べて極めて低い状況であります。その要因は様々ではありますが、一つとして不動産取引が非常に複雑なことがあげられます(取引に関係者が多い、ペーパーレス化に向けた法令の未対応等)。そのため、このような複雑な取引が理解されないまま実態にそぐわないプロダクトがITベンダー等によって開発されている状況が散見されます。そこで、当社グループが不動産の事業会社であるという強みを活かして、最も効率化の必要性が高い取引のプロセスについて、自社でプロダクトを開発・使用することで改善を重ねています。自社プロダクトの開発力は、当社の競争優位性に大きく貢献していることから、今後更なる業務効率化を図っていく方針であります。
(d) セールスの強化及び自社開発システムによるセールス支援
テクノロジーとリアルとの融合を図っている当社のビジネスモデルにおいて、セールス体制強化による成約件数の増加及び自社開発システムによるセールス支援(1人当たり売上高の増加)が重要であると考えております。人材の採用、育成に加え、業務効率向上のための分業の徹底や不動産ビックデータ、AIを活用したセールス支援体制の構築等、引き続きセールスの強化に取り組んでいく方針であります。
(e) 認知度向上・ブランディング強化及びオープン化
当社グループが今後も事業を拡大していくためには、不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の認知度向上及びブランディング強化による新規会員の獲得が重要であると考えております。当社グループでは、効果的かつ効率的な新規会員の獲得を行うため、インターネット広告からの反響、アポイント、成約実績などの分析を行っておりますが、今後もこれらの活動への取り組みを強化してまいります。ブランディング強化の観点からは、エージェント(セールス)にユニフォームを導入し、RENOSYのブランディングを強化する方針であります。
また、中長期には「RENOSY(リノシー)」をサードパーティーへ開放し、オープン化することで更なる認知度向上を図ってまいります。「RENOSY(リノシー)」はこれまでサードパーティーにサイトの開放をしておりませんでしたが、自社の不動産取引だけでなく、不動産業界全体の取引をなめらかにするために、今後はオープン化を進める方針であります。
(f) 「OHEYAGO(オヘヤゴー)」の強化
OHEYAGO(オヘヤゴー)は、スマートロックを利用し、鍵の受け渡しをすることなくスマートフォンで内見から申込まで即日中に手続きが可能なお部屋探しサービスで、2019年9月にサービスを開始しました。利用者から支持されるためには、掲載物件、内見可能物件の充実が必須であると認識しておりますので、引き続き掲載物件数及び内見可能物件数の増加に注力していきます。掲載物件数の拡大のためには、管理会社にイタンジ株式会社のプロダクトを導入していただくことが重要であり、プロダクトの契約社数は順調に伸びておりますが、今後も契約社数の拡大のための施策に継続して取り組んでいく方針であります。
(g) 海外事業の展開
現在、海外事業を見据えた海外の市場調査をしております。日本人が海外の不動産を手軽に購入できるようになる、海外の方が日本を含め世界の不動産を手軽に購入できるようになる、そんな世界の実現に向けて海外事業にもチャレンジしていく方針であります。
② 新規事業の創出
既存の主な事業である「RENOSY(リノシー)」事業は、コア事業として更に強化を行っていく一方で、新たな収益の柱として、新規事業の創出も必要となってくると認識しております。
不動産領域においては、当社の既存事業とのシナジーが期待できる事業への進出を積極的に検討しております。また、不動産に隣接する新たな領域への進出についても検討を進めていく方針であります。不動産業は、建設、金融、保険等と非常に親和性が高い状況にあります。この隣接領域への取り組みとして、建設領域にはAIを活用し間取り図からCADデータを自動生成できる「BLUEPRINT by RENOSY(ブループリント バイ リノシー)」、金融領域には住宅ローンの効率化システムである「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY(モーゲージ ゲートウェイ バイ リノシー)」等、新規プロダクトをローンチいたしました。今後もこのような社内システムの外部販売や、不動産に隣接する領域に対してテクノロジーで進出するなど新規事業へのチャレンジを進めていく方針であります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループの更なる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題であると認識しております。そのために、当社は、2020年1月28日開催の定時株主総会において監査等委員会設置会社への移行を決議し、監査等委員会設置会社へ移行しました。監査等委員と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。
④ 人材の採用、育成
当社グループは今後の事業の拡大のために優秀な人材の採用、育成が重要な課題であると認識しております。そのため、新卒者の定期的な採用や経験者の中途採用を積極的に実施しております。また、新たに入社した社員に対しては研修を実施する等により人材の育成に取り組んでおります。優秀なエンジニアやセールスの採用は競争が激しくなっておりますが、既存社員の紹介等も積極的に活用することで、当社の成長の根幹を支える人材の採用強化を図っています。今後も積極的な採用を計画しており、社員への研修・教育制度を整備することで、優秀な人材の採用、育成に取り組んでいく方針であります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」という経営理念のもと、不動産総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の開発・運営を行っております。当社では、“現状”や“常識”にとらわれることなく「ユーザーが未だ体験したことがない、世界を変えるようなサービスを常に創造し、ユーザーに新しい価値を提供する」ことを目指して企業活動を行っております。
(2)経営環境及び経営戦略
① 企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社8社で構成され、不動産総合ブランド「RENOSY(リノシー)」及び中華圏向けの不動産プラットフォーム「神居秒算」の開発・運営を中心として、中古不動産の売買及び仲介、マンション賃貸管理、サブリース、リノベーション、不動産仲介会社及び管理会社向け業務支援システムの開発・運営、高級賃貸用不動産の仲介、銀行ローン申込プラットフォーム等自社プロダクトの開発・運営・外販及び家賃債務保証事業等を主たる業務としており、不動産の各領域(賃貸、売買、リノベーション、投資等)を網羅し、ワンストップでのサービス提供を行っております。
② 競争優位性
不動産業界の多くの会社は、賃貸、売買、リノベーション、投資の不動産の各領域ごとに分業制を取っていますが、当社グループではこれらの領域全てを網羅し、ワンストップでのサービス提供を行っております。これにより、お客様のユーザー体験の向上が図られております。
また、当社グループはRENOSY iBuyer事業、RENOSY Living事業、ITANDI事業におけるBtoC取引で培った様々な事業ノウハウを賃貸仲介会社、賃貸管理会社、売買仲介会社及び投資用不動産販売会社にSaaSで提供(BtoB取引)することが可能となっております。
さらに、RENOSYにおける不動産売買、仲介等においては物件検索から申込・契約、アフターフォローまで、ITANDI BBにおける不動産賃貸仲介会社向けSaaSの提供においては物件検索から内見予約、入居申込・電子契約、更新退去まで、一気通貫でのサービス・顧客体験の提供が可能となっております。
③ 事業を行う市場の状況及び経営戦略
あらゆるものがネットワークに繋がり、それを通じて収集・蓄積されるデータがリアルタイムで解析され、結果としてこれまでに無かった新しいサービスやビジネスが出現する時代が本格到来しつつある中、政府は2016年に発表した「名目GDP600兆円に向けた成長戦略」において、IoT・AI・ビッグデータ等の活用を通じた第4次産業革命の実現で30兆円の付加価値創出を目指すことを示しています。
そのような大きな時代の転換点にあって、2019年のわが国の住宅市場は、90.5万戸の新規住宅着工戸数(国土交通省「2020年版 住宅着工統計」)に対して中古住宅の成約件数は18.7万戸(不動産流通推進センター「2020不動産業統計集」)と、新築に大きく偏った市場構造となっています。一方で、少子高齢化、人口飽和、核家族化、所得の伸び悩み、都市部への人口集中等、様々な社会構造的要因により、中古住宅の有効活用が果たす役割は今後より一層大きくなることが期待されています。2016年に閣議決定された「住生活基本計画」においては、既存住宅流通・リフォームの市場規模を11兆円(2013年)から20兆円(2025年)へと増大させることが目標として掲げられています。
また、住宅の購入層に目を向けると、住宅取得適齢期とされる30~40代は、これまでITリテラシーが限定的な層が主な構成員でしたが、今後はいわゆるデジタルネイティブ世代が占める割合が一気に上昇することが予見されています。
換言すれば、IT活用が最も遅れている市場のひとつと言われる不動産市場において、今後はIT活用が必須となる、あるいはIT活用が競争上の大きな優位性を持ち得る状況となることが予想されます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、①店舗来店不要のセルフ内見、②非対面での賃貸、売買契約、③ワンストップでシームレスな顧客・購入体験、④クラウドファンディングによる世界の不動産の手軽な購入、⑤業界のペーパーレス化へのシフト等、テクノロジーによる変革が起きてこなかった不動産業界が大きく変わろうとしています。このような事業環境はいずれも当社グループの事業を加速するための大きなチャンスととらえております。
なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大により、金融機関の稼働減に伴う販売活動の停滞、管理会社の営業停滞に伴う仲介可能物件数減少及び仲介業界の冷え込みによる電子申込利用減等の影響がありましたが、非対面販売体制の早期確立、自社メディアの強化及び賃貸業界のDXシフト等、従前より長期的な業界変化を見据えたDX推進に注力してきた結果、業績への影響は限定的なものとなっております。
④ 経営戦略
当社グループは以下の戦略のもと業務を行っております。
(a) リアルとテックの融合
RENOSY iBuyer事業及びRENOSY Living事業において、メディア運営から不動産取引までを一気通貫に行うことで、安心した高品質のサービスとなめらかな顧客体験を提供することを目指します。
(b) RENOSYリニューアルとワンストップの追求
従来別々のブランドだったプロダクトをRENOSYにブランド統合することにより、ユーザーの入り口を一本化し、「買いたい」、「貸したい」、「投資したい」、「売りたい」、「借りたい」が全てRENOSYの中で完結でき、RENOSYのエコシステムをなめらかにすることでLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指します。
(c) 認知拡大及びブランド強化
「RENOSY」の認知拡大のため、ブランドムービー制作、エージェントのユニフォーム導入等、リアル接点でのブランド訴求も強化します。
(d) 不動産業界全体のDX推進
自社開発したプロダクトを自社グループ内の不動産取引に実際用いることで、プロダクトのPDCAサイクルを高速化し、価値のあるプロダクトを他の不動産関連企業へ外販促進します。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 「RENOSY(リノシー)」事業の強化
(a) 不動産取引のオンライン化への取り組み
不動産業界はオンライン化が最も遅れている業界の一つであり、今後は「非対面化」や「電子書面化」が加速することが想定されています。特に電子書面化においては、今後法改正により規制が緩和される可能性があり、係る規制緩和をビジネスの機会にしていく必要があると考えております。当社グループは従前から積極的に不動産取引のオンライン化におけるプロダクトの開発・製品化を行っており、今後も競争力の強化を図っていく方針であります。
(b) 安定的収益の確保を実現するSaaS型ビジネスの強化
現在、当社グループは不動産投資事業(いわゆるRENOSY iBuyer事業)からの収益が大きく、当ビジネスは急拡大を続けておりますが、中期的には安定的な収益の確保が可能となるSaaS(Software as a Service)型ビジネスの強化が必要であると考えております。当社グループにおいては、イタンジ株式会社が賃貸領域におけるSaaS型ビジネスを、株式会社RENOSY Xが売買領域におけるSaaS型ビジネスをBtoBビジネスとして手掛けており、SaaS型ビジネスの拡大によりグループ全体の収益の安定性の確保を図っていく方針であります。
(c) 自社プロダクトの開発
不動産業界のIT化は、他業種に比べて極めて低い状況であります。その要因は様々ではありますが、一つとして不動産取引が非常に複雑なことがあげられます(取引に関係者が多い、ペーパーレス化に向けた法令の未対応等)。そのため、このような複雑な取引が理解されないまま実態にそぐわないプロダクトがITベンダー等によって開発されている状況が散見されます。そこで、当社グループが不動産の事業会社であるという強みを活かして、最も効率化の必要性が高い取引のプロセスについて、自社でプロダクトを開発・使用することで改善を重ねています。自社プロダクトの開発力は、当社の競争優位性に大きく貢献していることから、今後更なる業務効率化を図っていく方針であります。
(d) セールスの強化及び自社開発システムによるセールス支援
テクノロジーとリアルとの融合を図っている当社のビジネスモデルにおいて、セールス体制強化による成約件数の増加及び自社開発システムによるセールス支援(1人当たり売上高の増加)が重要であると考えております。人材の採用、育成に加え、業務効率向上のための分業の徹底や不動産ビックデータ、AIを活用したセールス支援体制の構築等、引き続きセールスの強化に取り組んでいく方針であります。
(e) 認知度向上・ブランディング強化及びオープン化
当社グループが今後も事業を拡大していくためには、不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の認知度向上及びブランディング強化による新規会員の獲得が重要であると考えております。当社グループでは、効果的かつ効率的な新規会員の獲得を行うため、インターネット広告からの反響、アポイント、成約実績などの分析を行っておりますが、今後もこれらの活動への取り組みを強化してまいります。ブランディング強化の観点からは、エージェント(セールス)にユニフォームを導入し、RENOSYのブランディングを強化する方針であります。
また、中長期には「RENOSY(リノシー)」をサードパーティーへ開放し、オープン化することで更なる認知度向上を図ってまいります。「RENOSY(リノシー)」はこれまでサードパーティーにサイトの開放をしておりませんでしたが、自社の不動産取引だけでなく、不動産業界全体の取引をなめらかにするために、今後はオープン化を進める方針であります。
(f) 「OHEYAGO(オヘヤゴー)」の強化
OHEYAGO(オヘヤゴー)は、スマートロックを利用し、鍵の受け渡しをすることなくスマートフォンで内見から申込まで即日中に手続きが可能なお部屋探しサービスで、2019年9月にサービスを開始しました。利用者から支持されるためには、掲載物件、内見可能物件の充実が必須であると認識しておりますので、引き続き掲載物件数及び内見可能物件数の増加に注力していきます。掲載物件数の拡大のためには、管理会社にイタンジ株式会社のプロダクトを導入していただくことが重要であり、プロダクトの契約社数は順調に伸びておりますが、今後も契約社数の拡大のための施策に継続して取り組んでいく方針であります。
(g) 海外事業の展開
現在、海外事業を見据えた海外の市場調査をしております。日本人が海外の不動産を手軽に購入できるようになる、海外の方が日本を含め世界の不動産を手軽に購入できるようになる、そんな世界の実現に向けて海外事業にもチャレンジしていく方針であります。
② 新規事業の創出
既存の主な事業である「RENOSY(リノシー)」事業は、コア事業として更に強化を行っていく一方で、新たな収益の柱として、新規事業の創出も必要となってくると認識しております。
不動産領域においては、当社の既存事業とのシナジーが期待できる事業への進出を積極的に検討しております。また、不動産に隣接する新たな領域への進出についても検討を進めていく方針であります。不動産業は、建設、金融、保険等と非常に親和性が高い状況にあります。この隣接領域への取り組みとして、建設領域にはAIを活用し間取り図からCADデータを自動生成できる「BLUEPRINT by RENOSY(ブループリント バイ リノシー)」、金融領域には住宅ローンの効率化システムである「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY(モーゲージ ゲートウェイ バイ リノシー)」等、新規プロダクトをローンチいたしました。今後もこのような社内システムの外部販売や、不動産に隣接する領域に対してテクノロジーで進出するなど新規事業へのチャレンジを進めていく方針であります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループの更なる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題であると認識しております。そのために、当社は、2020年1月28日開催の定時株主総会において監査等委員会設置会社への移行を決議し、監査等委員会設置会社へ移行しました。監査等委員と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。
④ 人材の採用、育成
当社グループは今後の事業の拡大のために優秀な人材の採用、育成が重要な課題であると認識しております。そのため、新卒者の定期的な採用や経験者の中途採用を積極的に実施しております。また、新たに入社した社員に対しては研修を実施する等により人材の育成に取り組んでおります。優秀なエンジニアやセールスの採用は競争が激しくなっておりますが、既存社員の紹介等も積極的に活用することで、当社の成長の根幹を支える人材の採用強化を図っています。今後も積極的な採用を計画しており、社員への研修・教育制度を整備することで、優秀な人材の採用、育成に取り組んでいく方針であります。