有価証券報告書-第11期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/24 17:02
【資料】
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【項目】
123項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。
(2)経営戦略等
屋内外の3次元空間を制約なく自由に移動できるロボティクス技術であるドローンの潜在的な利用可能分野は広範であり成長力は非常に高いと考えております。当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクトスタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。
産業用ドローン市場が「実証実験期」から「社会実装期」へと移行する中で、当社グループは2022年1月に2022年度~2025年度を対象とした中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」をローリング方式により発表いたしました。「ACSL Accelerate 2022」では、当社グループが「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するため、従来、進めております4つの用途特化型機体の量産化と社会実装の推進に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応、インド市場への本格進出及びESG施策への取り組みの推進を主な事業戦略の柱として進めてまいります。加えて、現在は産業用ドローンの領域にて展開している、当社グループのコア技術である独自開発の制御技術について、新たな適応可能性の検討を行い、他分野への展開も進めてまいります。高い技術力により顧客の要望に応えるビジネスモデルを確立することで、高い水準の収益性を実現し、持続的な成長、継続的な企業価値向上を目指してまいります。
(3)経営環境
現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。省人化・無人化を推進することは社会的な要請であり、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による、リモートワーク・非接触・遠隔操作など新たな生活様式の広がりに伴い、省人化・無人化に対する市場要求は、より一層顕在化しております。
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社グループのコアである独自開発の制御技術とそれを利用した産業用ドローンの社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。
当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーとして、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、量産機の開発、量産体制の構築・販売を行っております。
国内ドローン市場を取り巻く環境は、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから経済安全保障への関心が強くなっており、日本政府はドローンの調達にあたり、2020年9月に公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達は、セキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表しております。
また、2022年6月7日に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想基本方針において、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決の方法として、農業分野や物流でのドローンの活用が示された他、災害発生時のドローンを利用した情報収集や点検でのドローンの活用などの取り組みに言及がなされ、社会課題を解決する新たな方法としてドローンに注目が集まっております。全国各地にて、デジタル田園都市国家構想の事業費を活用した、ドローンによる地方創生が加速しており、具体的には福井県敦賀市、茨城県境町、北海道上士幌町などの自治体でドローンの社会実装に向けた実証実験が始まっております。
ドローンを取り巻く法制度は、日本政府が2022年度を目途としている「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)の実現に向けて、2021年6月に航空法改正案が成立し、2022年12月5日には航空法施行規則等の一部を改正する省令が施行されるなど、規制を含めた法整備が着実に進んでおります。当社グループでは、航空法施行規則等の一部を改正する省令の施行日において、レベル4に対応したドローンの第一種型式認証の申請を実施し、2023年3月13日に無人航空機の型式認証制度において、第一種型式認証証書を日本で初めて取得しております。今後、レベル4相当の飛行が可能となることで、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。
当社は2022年1月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」で掲げた「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するための取り組みを推進してまいりました。
直近の国内事業の進捗として、用途特化型機体の量産化と社会実装については、大部分の機体が先行的な開発投資のフェーズから、上市・初期市場対応(顧客フィードバックへの対応)を実施するフェーズへ移行しつつあります。
国産の高セキュリティ対応の小型空撮ドローン「SOTEN」は出荷を2022年3月に開始し、2022年12月までに645台を出荷いたしました。SOTENは引き続き、ドローンの利活用にあたりセキュリティ対応が求められる顧客から多くの引き合いを頂いております。また、リリース後もグローバル大手のPix4D社のソフトウエアへの対応やLTE通信対応を開始するなど、継続的な機能アップデートを実施して需要創出を図っております。
物流用ドローンについても、物流専用ドローン「AirTruck」の量産及び出荷を開始しており、2022年12月期において15台を出荷し、さらに15台の受注を頂いております。全国自治体におけるデジタル田園都市国家構想に関連した事業で、AirTruckならびにセイノーHD社・エアロネクスト社が推し進めるSkyHub®が採用されるなど社会実装を進めております。加えて、KDDIスマートドローン社とエアロネクスト社が地域配送を効率化・省人化するドローン配送パッケージ組成に当たり、AirTruckが採用されております。また、日本郵便株式会社が実施する「ドローンによる郵便物などの配送試行」に国産ドローンを提供し、運航の支援を実施するとともに、2023年度以降の実用化を目指すレベル4対応の物流専用機を2022年12月に披露いたしました。日本郵政グループとは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。
新用途開発とセキュア対応について、プラットフォーム機体であるPF2をセキュア対応させたPF2-AE(Advanced Edition)をリリースし、セキュリティ対応ドローンを求める顧客要望に応えてまいります。また、既に開発や量産などを行っている4つの用途以外においても、実証実験を進めており、風力発電設備の点検や測量の分野において、用途特化型機体の開発に着手しております。
ESGの取組みについては、投資家、顧客、パートナー企業など多様なステークホルダーに対して、当社グループのヴィジョンと取り組みを体系的に紹介し、発信するために、当社初となる統合報告書を和文・英文で刊行いたしました。人材面においては様々なバックグラウンドを持った人材の採用を継続的に進め、ダイバーシティのさらなる強化を図っております。2022年12月末時点において、全従業員に対する外国籍の従業員の比率は約22%となっており、研究開発部門においては約50%のメンバーが外国籍となっております。今後も多様な働き方やキャリア形成を尊重し、多様性を活用し、競争力の強化を図っていきたいと考えております。
自律制御システムの他分野への展開については、地上走行ロボットの開発を行っているREACT株式会社(旧アイ・イート株式会社)への出資を行い、REACT株式会社が有しているロボット開発技術と当社グループが有している自律制御関連技術を組み合わせることで、より付加価値の高い製品開発を効率的かつ早期に実現し、製品技術の向上と事業の拡大を目指します。
海外ドローン市場においては、国内以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の経済安全保障の状況により転換期を迎えております。特に当社グループが展開を進めているインドでは海外製のドローン完成品の輸入が禁止、アメリカではロシアや中国製のドローンが規制されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。当社グループはセキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することができる可能性が高く、需要の拡大を見込んでおります。
インド市場への進出については、現地パートナー企業との合弁会社(ACSL India Private Limited)にて、現地の生産拠点の整備、機体の販売に関する許認可の申請を進めております。2022年12月期において8,000万インドルピー(140,000千円相当)の大型案件を受注しており、今後も事業拡大を見込んでおります。
アメリカ市場では2022年にAUVSI XPONENTIAL 2022、Commercial UAV Expoの2つの世界最大規模の展示会に出展いたしました。展示会では、SOTENが経済安全保障ニーズに応え、点検・測量などで活用できると高評価を頂きました。また、展示会での顧客との関係構築により、2022年10月にGeneral Pacific, Inc.社など複数顧客先でロードショーを実施し、潜在顧客より実務適用が可能という評価とともに、購入意思が示されました。
また、当社は、2022年11月には国連専門機関である万国郵便連合(Universal Postal Union:UPU)の諮問委員会(Consultative Committee)に、ドローン関連企業として世界で初めて加盟するなど国際的なプレゼンスを高めてまいります。
このような中、当社グループは、2023年1月20日にCVI Investments, Inc.に対する第三者割当により、総額3,564,087千円(うち、2023年2月6日に新株式の発行により339,349千円、新株予約権付社債の発行により1,389,500千円及び新株予約権の発行により8,045千円の払込完了)の資金調達を決議しており、今後も新たな製品の開発や新たな市場への展開といった事業の成長に合わせて、継続的な資金調達を行っていくとともに、金融機関とも逐次協議を行い、事業の成長に伴い拡大する運転資金の確保に努めてまいります。第三者割当により調達した資金については、ドローン機体の開発・評価、海外事業の拡大及びソフトウエア開発に投資してまいります。
当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行ってきました。
また、海外展開に向けた投資としては、現地規制に対応する機体のカスタマイズおよび輸出規制への対応、加えて、販売体制の構築などを積極的に進めていく予定です。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。
① 開発戦略
用途特化型機体の開発として小型空撮、閉鎖環境点検、煙突点検、中型物流の4つの用途にあわせた機体開発を進めてまいりました。用途特化型機体の大部分は開発投資が先行するフェーズを抜け、上市・初期市場対応を実施するフェーズに移行しつつあります。また、プラットフォーム技術の強化として、これまで取り組んできた自律制御技術の強化を引き続き進めるとともに、レベル4への対応として、無人航空機の安全性と均一性を確保するための認証制度である第一種型式認証取得を目指した取り組みを進めてまいりました。加えて、操作性を向上させる地上局のアップデートや外部ソフトウエア連携の開発などを行ってきました。今後は、既存製品の原価低減・品質改善に向けた開発を行いつつ、海外進出を目指し、輸出許可の取得や現地法規に対応可能となるための開発として積極的な先行投資を進めてまいります。
② 生産体制
当社は安全品質を最優先事項と位置づけ、品質向上を目指して、社内体制の強化を進めてまいりました。機体の量産について、国内における高品質な組み立て供給が可能なパートナー企業との連携により、販売を開始した用途特化型機体の量産体制を構築しております。今後もパートナー企業との連携を進め、高品質かつ安定的な量産体制の構築を目指します。製品品質においては販売開始した製品について顧客からのフィードバックを受け継続的な改善を目指します。調達戦略としては、高騰している半導体・電子部品価格への対応として安価な半導体・電子部品へ設計変更などを実施することにより、価格高騰の影響を一定程度削減できる見込みです。
③ 営業戦略
販売においては、セキュアな環境下での飛行を想定した国産の小型空撮機体を中心に、販売代理店網の構築を進め、用途特化型の機体の販売を軸に出荷機体の増加を目指します。また高品質、セキュリティ対応をしたプラットフォーム機体の販売拡大に加え、引き続き大企業を中心とした各分野の顧客に対し、業務効率化・無人化を目指した実証実験・カスタム開発の提供を推進してまいります。
海外市場については、経済安全保障による需要の増加を受けて、本格的な海外進出を展開いたします。インド市場においてはインドにおけるパートナー企業と連携し、日本メーカーである優位性を活用するとともに、政策に合致するよう現地生産を行い、インドでのマーケティングを本格化させていきます。また、アメリカ市場についても、極めて強い経済安全保障ニーズに応えるべく本格進出に向けた市場調査や規制対応などの準備を進めてまいります。
④ 規制への対応
ドローン関連業界を取り巻く大きなトレンドとしてのレベル4の規制整備、セキュリティへの対応について、規制の変化に対応し、拡大が見込まれる需要に対応すべく、規制整備に関連する国土交通省、経済産業省などの行政機関と引き続き、密な連携を図ってまいります。
加えて、海外市場への進出においては現地規制当局との連携も進めてまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社は、取締役会の監査・監督機能をより一層強化し、更なるコーポレートガバナンスの充実を図っていくため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行いたしました。監査等委員である取締役、内部監査室及び監査法人とより密接な連携を図ることで、内部統制システムの適切な運用を進めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、研究開発費を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、用途特化型機体の量産モデルを想定した上で、用途特化型機体の用途数、出荷台数、また、ソリューションの作りこみとして、概念検証(PoC)及びカスタム開発におけるプロジェクトの案件数、機体の出荷台数があげられます。研究開発費においては、外部パートナーを有効活用することにより、当社グループとしてのコア技術であるSLAMを含めた大脳・小脳の自律制御開発を推進するとともに、今後のレベル4対応等に向けた開発投資を積極的に進めていく予定です。

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