有価証券報告書-第13期(2023/04/01-2024/03/31)
3.重要性のある会計方針
以下に記載されている会計方針は、本連結財務諸表に記載されているすべての期間に継続して適用しております。
(1) 連結の基礎
子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。
当社グループ会社間の債権債務残高及び取引高、並びに当社グループ会社間取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しております。
(2) 企業結合
企業結合は支配獲得日に取得法を用いて会計処理しております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社グループが発行する持分金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しております。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、のれんとして認識しております。反対に下回る場合には、差額を純損益として認識しております。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が生じた連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。測定期間中、取得日時点で存在し、それを知っていたならば取得日時点で認識した金額の測定に影響したであろう事実及び状況について入手した新しい情報を反映するために、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及修正しております。新たに得た情報が資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。測定期間は1年を超えない期間であります。
仲介手数料、助言、法律、会計、評価、その他の専門家又はコンサルティングの報酬等の取得関連コストは、発生してサービスが提供された期間に費用として処理しております。
(3) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成しております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループは金融資産を、当社グループがその金融資産に関する契約の当事者となった時点で当初認識しております。
当社グループは、金融資産について、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引コストは、純損益で認識しております。
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合に償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
公正価値で測定する金融資産のうち、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の選択をした資本性金融資産につきましては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
償却原価で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(b) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しております。利息は金融収益として当期の純損益に認識しております。
(ⅱ)公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。ただし、資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については、金融収益として当期の純損益に認識しております。
(c) 認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しております。当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産と関連する負債を認識しております。
(d) 減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しております。当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を損失評価引当金として認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びその他債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を認識しております。
② 非デリバティブ金融負債
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、金融負債について、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融負債に関する契約の当事者になった時点に当該金融商品を認識しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、金融負債の発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
(b) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(ⅰ)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。
(ⅱ)償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価により測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得については金融収益の一部として、損失については金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(c) 金融負債の認識の中止
金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
(5) 有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定については、原価モデルを採用しており、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連するコスト及び資産の原状回復コストが含まれております。
各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
建物 3~15年
工具、器具及び備品 3~10年
機械装置 13年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
処分時又は継続した資産の使用から将来の経済的便益が期待できなくなった時点で、有形固定資産の認識を中止しております。有形固定資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、処分対価と帳簿価額との差額として算定され、純損益として認識しております。
(6) のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、注記「3.重要性のある会計方針 (2) 企業結合」に記載しております。
のれんは、当初認識時においては、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しております。のれんの償却は行わず、各連結会計年度における一定時期及び減損の兆候がある場合に減損テストを実施し、該当する場合は減損損失を認識しております。なお、のれんの減損損失の戻入は行いません。
(7) 無形資産
無形資産については、原価モデルを採用し、無形資産を取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
企業結合により取得した無形資産は当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しております。
各資産の償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。なお、耐用年数を確定できない無形資産はありません。
ソフトウエア 5年
商標権 12年
顧客関連資産 4~10年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8) リース
借手としてのリース取引については、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。リース負債は未払リース料の現在価値で、使用権資産はリース負債の当初測定額に当初直接コスト等を加えた額で測定しております。
使用権資産は、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しております。リース料は、利息法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しております。金利費用は、金融費用として純損益で認識しております。
ただし、リース期間が12ヵ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
貸手としてのリース取引については、ファイナンス・リース取引においては、リース開始日に、正味リース投資未回収額を債権として計上しております。
(9) 非金融資産の減損
繰延税金資産及びのれんを除く当社グループの非金融資産については、各報告期間の末日現在ごとに資産が減損している可能性を示す兆候の有無を検討しております。そのような減損の兆候のいずれかが存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれんについては、減損の兆候の有無に係わらず各連結会計年度における一定時期に回収可能価額を見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額とされます。使用価値の算定においては、将来キャッシュ・フローの見積りは、貨幣の時間価値及び当該資産固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引きます。
個別資産の回収可能価額の見積りが可能でない場合は、当該資産を含み、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資産グループである資金生成単位について、回収可能価額を見積ります。のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ることが期待される資金生成単位に配分しております。
全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを発生させないため、全社資産が減損している可能性を示す兆候がある場合は、全社資産が属する資金生成単位について回収可能価額を算定しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に、純損益として認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額し、次に、当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額に基づいた比例按分によって当該資産の帳簿価額を減額するように配分しております。
のれんについて認識した減損損失は戻し入れません。その他の資産について過去に認識した減損損失は、連結会計年度末日において、もはや存在しないか又は減少している可能性を示す兆候の有無を検討しております。回収可能価額の算定に用いた見積りに変更があった場合は、減損損失を戻し入れております。この場合には、減損損失がなかったとした場合の(償却又は減価償却控除後の)帳簿価額を超えない金額を上限として、純損益として戻し入れております。
(10) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。
貨幣の時間価値の影響が重要な場合には、引当金額は債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定しております。現在価値の測定には、将来キャッシュ・フローの発生期間に応じた税引前の無リスクの割引率を使用しており、引当対象となる事象発生の不確実性については、将来キャッシュ・フローの見積りに反映しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
資産除去債務
賃借契約終了時に原状回復義務のある賃借物件の原状回復費用見込額について、各物件の状況を個別に勘案して将来キャッシュ・フローを見積り、認識しております。
(11) 従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
有給休暇については、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時点で負債として認識しております。
(12) 収益認識
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」という。)に基づく金融収益を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に又は充足するにつれて収益を認識する
具体的な収益認識の基準は注記「18.売上収益」に記載しております。
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、連結財政状態計算書上は「無形資産」として表示しております。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものであります。
(13) 金融収益及び金融費用
金融収益は主として、受取利息等から構成され、受取利息は実効金利法に基づき発生時に認識しております。
金融費用は主として、借入金に対する支払利息等から構成され、支払利息は実効金利法に基づき発生時に認識しております。
(14) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金費用及び繰延税金資産及び負債の変動である繰延税金費用から構成されております。これらは、企業結合に関するもの、及び直接資本又はその他の包括利益に認識する項目を除き、純損益に認識しております。
当期税金費用は、当期の課税所得について納付すべき税額で測定しております。これらの税額は期末日において制定、又は実質的に制定されている税率に基づき算定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異等に対して認識しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金や繰越税額控除のような、将来の税務申告において税負担を軽減させるものについて、それらを回収できる課税所得が生じる可能性の高い範囲内で認識しております。一方、繰延税金負債は、将来加算一時差異に対して認識しております。ただし、以下の一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を認識しておりません。
(ア)のれんの当初認識から生じる一時差異
(イ)企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
(ウ)子会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
子会社に係る将来減算一時差異については、当該将来減算一時差異が予測し得る期間内に解消し、使用解消となる課税所得が稼得される可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定、又は実質的に制定されている法人所得税法令に基づいて、繰延税金資産が回収される期又は繰延税金負債が決済される期に適用されると見込まれる税率に基づいて算定しております。
繰延税金資産及び負債は、当社グループが当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又はこれら税金資産及び税金負債が同時に実現することを意図している場合には、連結財政状態計算書において相殺して表示しております。
(15) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益及び発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。
(16) 資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に認識し、直接発行コスト(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しており、自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失を純損益として認識しておりません。なお、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(17) 株式報酬
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブ制度として持分決済型のストック・オプション制度を導入しております。株式報酬の付与日における公正価値は、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり、人件費として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、モンテカルロ・シミュレーション等を用いて算定しております。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
なお、当社グループは、IFRS第1号の免除規定を採用し、移行日(2020年4月1日)より前に権利確定したストック・オプションについて、IFRS第2号「株式に基づく報酬」を遡及適用しておりません。
以下に記載されている会計方針は、本連結財務諸表に記載されているすべての期間に継続して適用しております。
(1) 連結の基礎
子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。
当社グループ会社間の債権債務残高及び取引高、並びに当社グループ会社間取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しております。
(2) 企業結合
企業結合は支配獲得日に取得法を用いて会計処理しております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社グループが発行する持分金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しております。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、のれんとして認識しております。反対に下回る場合には、差額を純損益として認識しております。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が生じた連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。測定期間中、取得日時点で存在し、それを知っていたならば取得日時点で認識した金額の測定に影響したであろう事実及び状況について入手した新しい情報を反映するために、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及修正しております。新たに得た情報が資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。測定期間は1年を超えない期間であります。
仲介手数料、助言、法律、会計、評価、その他の専門家又はコンサルティングの報酬等の取得関連コストは、発生してサービスが提供された期間に費用として処理しております。
(3) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成しております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループは金融資産を、当社グループがその金融資産に関する契約の当事者となった時点で当初認識しております。
当社グループは、金融資産について、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引コストは、純損益で認識しております。
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合に償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しております。
公正価値で測定する金融資産のうち、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の選択をした資本性金融資産につきましては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
償却原価で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(b) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しております。利息は金融収益として当期の純損益に認識しております。
(ⅱ)公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。ただし、資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については、金融収益として当期の純損益に認識しております。
(c) 認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しております。当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産と関連する負債を認識しております。
(d) 減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しております。当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を損失評価引当金として認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びその他債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を認識しております。
② 非デリバティブ金融負債
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、金融負債について、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融負債に関する契約の当事者になった時点に当該金融商品を認識しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、金融負債の発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
(b) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(ⅰ)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。
(ⅱ)償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価により測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得については金融収益の一部として、損失については金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(c) 金融負債の認識の中止
金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
(5) 有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定については、原価モデルを採用しており、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連するコスト及び資産の原状回復コストが含まれております。
各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
建物 3~15年
工具、器具及び備品 3~10年
機械装置 13年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
処分時又は継続した資産の使用から将来の経済的便益が期待できなくなった時点で、有形固定資産の認識を中止しております。有形固定資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、処分対価と帳簿価額との差額として算定され、純損益として認識しております。
(6) のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、注記「3.重要性のある会計方針 (2) 企業結合」に記載しております。
のれんは、当初認識時においては、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しております。のれんの償却は行わず、各連結会計年度における一定時期及び減損の兆候がある場合に減損テストを実施し、該当する場合は減損損失を認識しております。なお、のれんの減損損失の戻入は行いません。
(7) 無形資産
無形資産については、原価モデルを採用し、無形資産を取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
企業結合により取得した無形資産は当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しております。
各資産の償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。なお、耐用年数を確定できない無形資産はありません。
ソフトウエア 5年
商標権 12年
顧客関連資産 4~10年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8) リース
借手としてのリース取引については、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。リース負債は未払リース料の現在価値で、使用権資産はリース負債の当初測定額に当初直接コスト等を加えた額で測定しております。
使用権資産は、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法により減価償却しております。リース料は、利息法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しております。金利費用は、金融費用として純損益で認識しております。
ただし、リース期間が12ヵ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
貸手としてのリース取引については、ファイナンス・リース取引においては、リース開始日に、正味リース投資未回収額を債権として計上しております。
(9) 非金融資産の減損
繰延税金資産及びのれんを除く当社グループの非金融資産については、各報告期間の末日現在ごとに資産が減損している可能性を示す兆候の有無を検討しております。そのような減損の兆候のいずれかが存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれんについては、減損の兆候の有無に係わらず各連結会計年度における一定時期に回収可能価額を見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額とされます。使用価値の算定においては、将来キャッシュ・フローの見積りは、貨幣の時間価値及び当該資産固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引きます。
個別資産の回収可能価額の見積りが可能でない場合は、当該資産を含み、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資産グループである資金生成単位について、回収可能価額を見積ります。のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ることが期待される資金生成単位に配分しております。
全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを発生させないため、全社資産が減損している可能性を示す兆候がある場合は、全社資産が属する資金生成単位について回収可能価額を算定しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に、純損益として認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額し、次に、当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額に基づいた比例按分によって当該資産の帳簿価額を減額するように配分しております。
のれんについて認識した減損損失は戻し入れません。その他の資産について過去に認識した減損損失は、連結会計年度末日において、もはや存在しないか又は減少している可能性を示す兆候の有無を検討しております。回収可能価額の算定に用いた見積りに変更があった場合は、減損損失を戻し入れております。この場合には、減損損失がなかったとした場合の(償却又は減価償却控除後の)帳簿価額を超えない金額を上限として、純損益として戻し入れております。
(10) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。
貨幣の時間価値の影響が重要な場合には、引当金額は債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定しております。現在価値の測定には、将来キャッシュ・フローの発生期間に応じた税引前の無リスクの割引率を使用しており、引当対象となる事象発生の不確実性については、将来キャッシュ・フローの見積りに反映しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
資産除去債務
賃借契約終了時に原状回復義務のある賃借物件の原状回復費用見込額について、各物件の状況を個別に勘案して将来キャッシュ・フローを見積り、認識しております。
(11) 従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
有給休暇については、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時点で負債として認識しております。
(12) 収益認識
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」という。)に基づく金融収益を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に又は充足するにつれて収益を認識する
具体的な収益認識の基準は注記「18.売上収益」に記載しております。
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、連結財政状態計算書上は「無形資産」として表示しております。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものであります。
(13) 金融収益及び金融費用
金融収益は主として、受取利息等から構成され、受取利息は実効金利法に基づき発生時に認識しております。
金融費用は主として、借入金に対する支払利息等から構成され、支払利息は実効金利法に基づき発生時に認識しております。
(14) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金費用及び繰延税金資産及び負債の変動である繰延税金費用から構成されております。これらは、企業結合に関するもの、及び直接資本又はその他の包括利益に認識する項目を除き、純損益に認識しております。
当期税金費用は、当期の課税所得について納付すべき税額で測定しております。これらの税額は期末日において制定、又は実質的に制定されている税率に基づき算定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異等に対して認識しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金や繰越税額控除のような、将来の税務申告において税負担を軽減させるものについて、それらを回収できる課税所得が生じる可能性の高い範囲内で認識しております。一方、繰延税金負債は、将来加算一時差異に対して認識しております。ただし、以下の一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を認識しておりません。
(ア)のれんの当初認識から生じる一時差異
(イ)企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
(ウ)子会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
子会社に係る将来減算一時差異については、当該将来減算一時差異が予測し得る期間内に解消し、使用解消となる課税所得が稼得される可能性が高い範囲でのみ繰延税金資産を認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定、又は実質的に制定されている法人所得税法令に基づいて、繰延税金資産が回収される期又は繰延税金負債が決済される期に適用されると見込まれる税率に基づいて算定しております。
繰延税金資産及び負債は、当社グループが当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又はこれら税金資産及び税金負債が同時に実現することを意図している場合には、連結財政状態計算書において相殺して表示しております。
(15) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の期中平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益及び発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。
(16) 資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に認識し、直接発行コスト(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しており、自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失を純損益として認識しておりません。なお、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(17) 株式報酬
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブ制度として持分決済型のストック・オプション制度を導入しております。株式報酬の付与日における公正価値は、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり、人件費として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、モンテカルロ・シミュレーション等を用いて算定しております。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
なお、当社グループは、IFRS第1号の免除規定を採用し、移行日(2020年4月1日)より前に権利確定したストック・オプションについて、IFRS第2号「株式に基づく報酬」を遡及適用しておりません。