有価証券報告書-第7期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/08/15 15:15
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127項目

事業等のリスク

[リスク管理体制]
当社グループでは、リスク管理体制の基本事項を「リスクマネジメント規程」として定め、当社CAOを委員長とするリスクマネジメント委員会を三箇月に一回開催し、リスク管理に関して審議しております。
[個別のリスク]
当社グループの事業内容、経営成績及び財政状態等に関するリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。但し、すべてのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。なお、本項における将来に関する事項については、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)競合に関するリスク
当社グループは、情報通信ネットワークを構築・展開し、当該ネットワークを活用した情報通信サービスを提供しております。もっとも、当社グループの競合企業には、大手電気通信事業者等が存在します。これらの事業者の中には、当社グループと比べて、大きな市場シェアや顧客基盤、多くの財務・技術・マーケティング資源、高いブランド認知度、広範なネットワーク網並びに多様な戦略計画や提供サービスを有する事業者も含まれています。また、当社グループは、その他のネットワーク及びISPとも競合しており、新規参入者による競争激化のおそれがあります。さらに、当社グループは国内マンション一括型インターネット接続サービスにおいて最大のシェアを有していますが、分譲及び賃貸マンション向けISPと競合しています。既存または新規の競合企業は、当社グループの競争力に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、近年、ネットワーク及びインターネットサービスにおいて価格の下落及びマージン縮小に直面しています。競争の激化により、将来も、この傾向は継続すると考えています。価格下落圧力は、技術変化、市場シェア拡大のために短期的にマージンを縮小する一部の競合企業の存在等、多数の要因によって生じてきました。競合企業は、提供するサービス全体のコストを圧縮するためサービスの一括化を図る可能性がありますが、これにより当社グループのサービスにさらなる価格下落圧力がかかり、新規顧客獲得能力を損なうおそれがあります。当社グループの属する業界において価格下落圧力が発生した場合、当社グループの収益性に悪影響を及ぼし、低価格の競合企業に比べて市場シェアを失うおそれがあります。
当社グループでは、競合他社及び市場状況の動向を把握することにより、価格下落圧力に対する適切な対応を進めておりますが、上記記載の要因に加えて、当社グループの属する業界に影響のあるその他の競争要因により、当社グループの事業及び経営成績が、悪影響を受ける可能性があります。
(2)ネットワーク障害等に関するリスク
当社グループの事業において、特に、一部の専用線サービスのように一定レベルのサービスを保証している場合には、サービスの中断または品質低下を最小限にとどめた信頼できる高品質サービスを提供することが、重要です。当社グループは設備更改・点検、予備品の確保等に鋭意努めておりますが、理由のいかんにかかわらずサービスの中断または性能上の問題が生じた場合、当社グループのサービスに対する信用が損なわれ、顧客を失いまたは新規顧客の獲得が困難になるおそれがあります。さらに、当社グループの多くのサービスは、顧客の事業において極めて重要なものであるため、大規模なサービスの中断または品質低下は、顧客に減収その他の損失をもたらすおそれがあります。当社グループのネットワークの複雑性を考えると、データの喪失や破損が生じる可能性、または検証・評価を行ったにもかかわらず適時に発見することができなかった未検知の設計不良及びソフトウェアエラーが発生する可能性があります。ネットワークに係る機器または設備の故障は、必要な修理若しくは更改を行いまたは代替機器を設置するまで顧客サービスの中断を招くおそれがあります。そのため、このような事態が生じた場合、当社グループは顧客に対する賠償責任を問われる、または高額な費用を要する変更を求められる可能性があり、その結果、当社グループの事業に重大な悪影響を生じさせるおそれがあります。
(3)法的規制等について
① 電気通信事業法に基づく規制について
当社グループは、「電気通信事業法」による電気通信事業者として、総務省へ届出及び登録を行っております。また、同法に基づく規制を受け、これらの規制事項を遵守しております。
取得年月2004年4月
許認可等の名称電気通信事業者登録全部認定
所管官庁等総務省
許認可等の内容電気通信事業法第9条の規定に基づく電気通信事業の登録
有効期限-
法令違反の要件
及び主な許認可取消事由
法令違反の要件:電気通信事業法第14条
取消事由:通信事業者としての欠格要件に該当

現時点で、同法に基づく規制の強化等が行われるという認識はありません。もっとも、規制が変更され、または新たな法令が適用されることにより、事業に対する制約が強化された場合、事業活動が制限され、またはコストの増加につながる可能性があります。現時点で、上記登録または認定の取消し等の懸念は生じておりませんが、それらの事象が生じた場合、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報保護
当社グループは、法人向けサービスから集合住宅向けサービスまで幅広くサービスを提供しているため、多くの顧客情報を蓄積しております。このため当社グループには、「個人情報の保護に関する法律」に定められた個人情報取扱事業者としての義務が課されております。当社では、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格である「ISO/IEC27001:2013」、並びに国内規格である「JIS Q27001:2014」の認証を取得し、個人情報の保護に関してもISMSに則った情報管理体制を構築・運用しております。加えて、従業員への教育や情報セキュリティシステムの更新・強化等、個人情報漏洩防止の施策の強化に努めております。上記対策にもかかわらず、当社グループが保有する個人情報が社外に漏洩した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償金の支払等によって、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、当社グループは、雇用、労働条件、消費者保護、環境及びリサイクル、独占禁止並びに貿易に関するものを含め、他の法令及び規制の適用を受けています。これらの規制が強化された場合や当社グループにおいて規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。
(4)技術変化に関するリスク
情報通信産業は、これまで重要な技術変化(5Gの導入等の高度ワイヤレスサービスの開発、クラウドサービス、人工知能、ビッグデータ及びIoTの拡大並びに現在進行中のIPv4からIPv6への移行等を含みます。)による影響を受けており、今後もその影響を受けることになります。ワイヤレスデータ技術が継続的に改善したことにより、ワイヤレスキャリアは当社グループと競合可能な商品及びサービスを提供できるようになりました。技術変化により、ワイヤレスキャリアが、より大量のデータをより高速にかつ遅延を最小限に抑えた状態で伝送できるようになり、その結果、当社グループが提供する光ファイバーネットワークの競争上の優位性は減少すると予想しております。さらに、こうした技術変化に伴い、顧客が、当社グループのネットワークを利用せず、あるいは、利用頻度を減少させ、当社グループ以外のサービスを利用する可能性があります。加えて、急速な技術変化は、当社グループの事業に競争圧力をかけ、競合商品若しくはサービスの開発または新たな競合企業の市場への参入を可能にしてきました。
当社グループは、技術変化に対応するため、技術開発の状況・動向を調査・分析し、適切な対応を進めております。もっとも、当社グループの想定とは異なる環境の変化が起こる場合や、当社グループが環境の変化に対応できない可能性があります。また、こうした変化等により、当社グループのサービスの魅力が低下し、当社グループの市場シェア及び収益が低下するおそれもあります。こうした変化等に対応するため、当社グループが、他社に先行して、新たな商品やサービスを開発・提供する目的で現在の想定を超える水準で資本その他の資源を投じる場合、当社グループの経営計画、企業戦略または資本配分計画等を変更せざるを得ず、この結果、当社グループの経営及び収益性に悪影響が生じるおそれがあります。さらに、旧式かつ不採算の技術やサービスを随時、段階的に廃止することが必要となる可能性がありますが、そのような場合に、当社グループが技術面及び費用面において効率的に対応することができなければ、当社グループの競争力及び財務状況に悪影響が生じるおそれがあります。
(5)サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループの事業活動にとって、ネットワーク及び情報システム等の技術は極めて重要です。セキュリティ侵害等の悪意ある行動(サイバー攻撃、コンピューターハッキング、コンピューターウイルス、ワームまたはその他の有害若しくは破壊的ソフトウェア、プロセス破損、サービス妨害による攻撃を含みます。)により、当社グループのサービスの品質低下や中断、財産・機器・データの損傷、当社グループまたは顧客の個人情報や機密情報の漏洩が生じるおそれがあります。当社グループは、過去にシステムへの攻撃を受けたことがあり、今後も、こうした攻撃を受ける可能性があります。また、従業員の過失、違法行為等によって、当社グループのセキュリティを侵害される可能性だけでなく、外部の者が、当社グループまたは顧客のデータ(データ保護に関する法令の対象となる情報を含みます。)にアクセスするため、不正に当社グループの従業員または顧客のセンシティブ情報を漏洩させようと企てる可能性もあります。さらに、当社グループは、再販業者等の第三者パートナーと一定の情報を共有しているため、当該情報は、こうした第三者のシステムを通じて不正アクセスを受ける可能性があります。当社グループは、事業を行うために必要な一定の情報をインターネットに接続したサーバー上にデジタル形式で保管して保持しているため、こうしたシステム関連事象及びセキュリティ侵害の発生リスクは、より大きなものとなっております。
当社グループは、システム関連事象及びセキュリティ侵害の発生防止システム及びプロセスを導入・維持しています。しかし、こうしたシステム及びプロセスの開発・維持には費用がかかり、技術の変化により、セキュリティ対策を破ろうとする試みはより高度になっていくため、継続的なモニタリング及びアップデートが必要です。当社グループの努力にかかわらず、今後、不正アクセスやセキュリティ侵害が発生しない保証はありません。さらに、システムへの不正アクセス、サービスの停止若しくは品質低下またはシステム妨害に使用される技術は、頻繁に変更され、かつ標的に対して発動されるまで認識されないことが多いため、当社グループはこうした技術を予想しまたは適切な予防措置を講じることができない可能性があります。
セキュリティ侵害または不正アクセスは、法律上及び財務上の重大な悪影響(事業中断による減収、セキュリティ対策に係る支出増加、金銭的損害、規制上の強制措置、罰金またはその他の制裁を含みます。)をもたらすおそれがあります。また、これに関連して当社グループの社会的信用が損なわれることにより、当社グループは顧客を失うおそれがあります。さらに、不正アクセスまたはセキュリティ侵害による損失に備えて当社グループが保有している保険の金額及び範囲が、損失の補填等を適切に補償するために十分でない可能性があります。
(6)自然災害等に関するリスク
当社グループのネットワークは、インターネットトラヒックが大量に通過する一定の地域(当社グループが他のキャリアとトラヒックを交換する設備、エリア横断トラヒックが通過する設備及びネットワークハブサイトとして機能するデータセンターを含みます。)に依存しています。その結果、当社グループのネットワークは、当社グループの重要な設備に被害をもたらすおそれのある自然災害等の災害事象による悪影響を強く受けることになります。具体的には、当社グループの大量のネットワークトラヒックが集中する東京、大阪、名古屋または福岡エリアにおいて当社グループの主要なネットワークインフラが被害を受けた場合、多数のユーザーに対するサービスが悪影響を受けるおそれがあります。さらに、当社グループがコントロールできない事由(意図的なサボタージュ行為または人為的・機器的エラーによる火災及び爆発等の工業災害等。)により、営業が停止しまたは当社グループの一部の設備に悪影響が生じ、さらには当社グループの従業員に対する被害を招くおそれがあります。
大規模な自然災害その他の管理不能の事象または事故が発生した場合、当社グループの重要な設備が破壊され深刻な被害を受けるおそれがあり、その結果、ネットワークトラヒックの大規模な中断その他の事業上の支障が発生する可能性があります。サービス回復には相当の時間及び資源が必要となる可能性があり、またネットワークを回復することができたとしても、他のキャリアのネットワークが、長期にわたりサービスを大幅に縮小するおそれがあります。こうした中断が発生した場合、当社グループの信用が毀損することにより、既存の顧客を失い、また、新規顧客を獲得できなくなる可能性があり、これにより、当社グループの事業及び経営成績に悪影響が生じることになります。また、損傷を受けたネットワークインフラの修理または顧客による損害賠償請求等、相当の費用を負担しなければならない可能性や、被害を受けた地域の顧客について料金の請求放棄または割引を行うことにより損失が発生する可能性があります。
当社グループは、大規模災害に備えて災害時の回復計画を策定しています。危機管理対策本部の運営を含めた危機管理規程、危機管理初動対応要領書、災害対策マニュアル、BCPマニュアルを整備し、経営危機が発生した際の各部門に於ける役割及び行動を明確化しております。しかしながら、災害時の回復手続及び保険内容は生じうるすべての損失及び費用を補填するために十分ではない可能性があります。これらの結果として、災害等が当社グループの事業及び経営成績に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。
(7)他の通信事業者への依存に関するリスク
当社グループが、自社のネットワークにて直接カバーしていない一定の地域においてサービスを提供するため、また、当社グループのネットワークに直接接続することができない顧客に対してサービスを提供するためには、他の通信事業者のインフラとの相互接続が必要となります。しかしながら、このような通信事業者は、通常、当該市場において当社グループと競合しています。例えば、当社グループは、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社との間で相互接続協定を締結しておりますが、これらの企業は共に日本で最大の光ファイバーネットワークを運営しています。当社グループが提供するサービスの品質に関しては、当社グループ内で取り得る品質向上対策を行っておりますが、相互接続により他の通信事業者のインフラを利用する場合、その利用条件は相互接続協定に依拠することになり、サービスの品質管理が制限され、また、通信事業者の計画または特性の変更によって、サービス販売が悪影響を受ける可能性があります。また、他の通信事業者は、将来、当社グループに有利な条件で、これらの協定を継続しない可能性があります。他の通信事業者が競合他社であり、協定を終了させることにより利益を得る可能性がある場合、この可能性はより高まります。当社グループがこれらの協定を維持できず、適時に代替先を確保することができない場合、当社グループの事業が、重大な悪影響を受ける可能性があります。また、他の通信事業者が、ネットワーク接続料を増額した場合やその他取り決めを当社グループにとって不利な内容に変更した場合、当社グループが提供するサービスに関する費用が大幅に増加し、その結果、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材確保に関するリスク
当社グループの成長のために、従業員(経営陣を含みます。)を確保し、かつモチベーションを与えることは、極めて重要です。特に、当社グループは、全体的な事業戦略の策定及び実行について経営陣に大きく依存しています。重要な経営陣を失った場合、当社グループの事業に悪影響が生じ、経営に重大な混乱が生じるおそれがあります。また、有能な後任者を採用できる保証もありません。
さらに、当社グループの事業を支えるために必要なスキルとノウハウを持つ有能なエンジニア及び技術スタッフ等の数は限られています。当社グループが属する業界内外を問わず、幅広い企業(当社グループより規模が大きく、資金力が豊かである会社や、高いブランド認知度を有する企業を含みます。)との間の、有能な人材の獲得競争は、近年ますます激しさを増しております。有能な人材の流出・不足に備え、適正な評価・処遇、人事制度の拡充、適正配置、充実した教育・研修の実施、働きやすい職場環境の提供を進めておりますが、競争の激化により、有能な人員を採用することはより困難となるおそれがあります。さらに、当社グループがより高額の報酬等を提供したとしても、人材流出のおそれもあります。事業の拡大に伴い、当社グループの事業を支える技術等を有する従業員を採用・育成できない場合、当社グループの事業及び戦略実行能力に悪影響が生じるおそれがあります。
(9)減損会計の適用に関するリスク
当社グループは、2022年3月31日現在、有形固定資産(主に当社グループの光ファイバーネットワークに関連する資産が含まれます。)として41,775百万円、のれんとして12,646百万円及び無形資産として15,052百万円を計上しています。当社グループは、有形固定資産、のれん及び無形資産、並びに棚卸資産及び繰延税金資産を除くその他の非金融資産について、減損の兆候が存在する場合には減損テストを実施しており、のれん及び耐用年数を確定できないブランドについては、少なくとも年1回、毎年1月1日時点での減損テストを実施しています。減損は、とりわけ、性能の悪化、厳しい市場環境、適用法令における不利な変更(当社グループの活動を制限しまたは当社グループが提供する商品及びサービスに影響を与える変更を含みます。)、一定の登録済み知的財産権の有効性に対する異議申立て、グループ資産の処分及びその他の多様な要因により生じる可能性があります。影響の大きいのれんを含む資金生成単位の回収可能価額は、2022年1月1日時点で実施した減損テストによると、割引前将来キャッシュ・フローの見積額が60.8%程度毀損した場合、あるいは割引率が9.4%上昇するような状況が生じた場合において、回収可能価額が大幅に減少することで、のれんを含む資金生成単位の帳簿価額がその回収可能価額を上回り、当社グループは当該資産について減損損失を計上する可能性があります。このように、有形固定資産、のれん及び無形資産の減損の決定は、当社グループの経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)主要なサプライヤーへの依存に関するリスク
当社グループの事業は、光ファイバー、サーバー、通信機器及び関連部品の第三者サプライヤー、並びに当社グループのネットワークを構成するネットワークコロケーション設備及び線路敷設権の提供事業者に依存しており、その一部は事業運営に不可欠なものです。これらの重要な関係のいずれかが終了した場合、サプライヤーが経済状況を理由として事業から撤退し若しくは事業を縮小した場合、サプライヤーが重大な使用権、サービスまたは設備の提供を怠った場合、またはサプライヤーが法律上の制約(特許侵害等)によりサービス提供の中止を余儀なくされた場合に備えて、当社グループでは、上記物品・サービス採用にあたり複数サプライヤーを比較検討し、また選定したサプライヤーの不測事態に備え、事前に代替品または後継品の検討を行っております。しかし、これらの事態が生じた際に、当社グループが速やかに代替となる適切な契約を締結することができない場合には、多額の追加費用を被る可能性、または顧客に対して一定のサービスを提供することができなくなる可能性があります。
(11)第三者パートナーに関するリスク
当社グループは、社内の営業及びマーケティングスタッフに加えて、重要な顧客及び販売チャネルとして、再販業者、販売仲介業者、システムインテグレーター、不動産デベロッパー及びその他のパートナーを活用しています。特に、以下の事業において第三者のパートナーの存在が重要です。
・ネットワークサービスに関し、重要な販売チャネルとして、多数のシステムインテグレーター、ネットワークインテグレーター及びその他の再販業者の存在が重要です。
・インターネットサービスに関し、インターネット接続サービスの主たる再販チャネルである株式会社USEN-NEXT HOLDINGSを含め、多数の販売パートナーの存在が重要です。また、IP電話サービスについては、主たる再販チャネルとして株式会社フォーバルテレコムが存在します。
・マンションインターネットサービスに関し、とりわけ物件の開発段階におけるマンション管理組合への紹介にあたり、当社の子会社である株式会社つなぐネットコミュニケーションズの株主である三菱地所株式会社及び東京建物株式会社等の大手不動産デベロッパーの存在が重要です。さらに、賃貸マンション管理会社との関係性も重要です。
当社グループは、これらの重要顧客及び第三者パートナーとの関係を維持及び強化するため相当の資源を充てています。しかしながら、これらの関係を、永続的に継続し、さらなる成長を支え続けられる保証はありません。当社グループが既存の関係を失った場合、新たな顧客または第三者パートナーを確保できない可能性があります。当社グループの重要顧客及び第三者パートナーが、当社グループの競合企業との取引を増やし、当社グループの競合企業と提携することを決定し、または当社グループに価格を引き下げ若しくは手数料を引き上げるよう圧力をかけてきた場合、当社グループの売上高及び収益性に悪影響が生じるおそれがあります。さらに、当社グループは、多くの商品及びサービスについて、販売・マーケティングチャネルとしての重要顧客及び第三者パートナーに依存しており、それらの者が財務的その他の困難に陥った場合、商品及びサービスの販売は重大な影響を受ける可能性があります。こうした要因により、当社グループの経営成績が悪影響を受ける、または当社グループの社会的信用及びブランドイメージが損なわれる可能性があります。
(12)パンデミックに伴うリスク
未知のウィルス等によるパンデミックにより、経済・生活環境に大きな制限が課せられることも想定され、これにより、当社の業績に重大な影響が及ぼされる可能性があります。
なお、2020年以降に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、当社グループは感染症の流行によるインターネットトラヒックの増加による輻輳対策のための設備増強や従業員の感染予防等の対応を行っておりますが、今後も流行が継続した場合、顧客企業の事業活動の停滞、伝送機器などの納期遅れによるサービス開始の遅延、輻輳対策のためのさらなる設備投資などにより、当社グループの収益性に悪影響を与えるおそれがあります。
(13)半導体不足に伴うリスク
世界的な半導体不足の影響で、当社グループが仕入れる通信機器の一部について、納期の遅延や価格上昇が発生しております。当社グループではサプライヤーの多様化や代替品の確保、先行一括発注等の対策によりリスク低減に努めておりますが、半導体不足がさらに深刻化した場合、サービス開始の遅延や仕入価格の更なる上昇等により、当社グループの収益性に悪影響を与えるおそれがあります。
(14)ロシア・ウクライナ情勢に伴うリスク
2022年2月から発生したロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴い、円安の進行、原材料高による仕入機器の価格上昇や納期遅延、及び電気料金の高騰リスクの増加等により、当社グループの事業に悪影響が生じるおそれがあります。
(重要なリスク)
(1)中期経営計画等に関するリスク
当社グループは2021年5月に「2021年度–2025年度 中期経営計画」を公表しております。しかしながら、当社グループが中期経営計画の業績目標を達成することができるか否かは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。
中期経営計画を策定する中で、当社グループは、新規契約獲得数、販売単価の推移、コスト変動等、様々な前提を置いております。このような前提は必ずしも正しいという保証はなく、当社グループは前提が誤っていたことによる影響に対応して成長戦略または事業運営を適時に変更することができない可能性があります。
また、当社は、中期経営計画期間中または同期間後に、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略 (経営戦略)③その他」に記載のとおり、様々な施策を通じて、更なる成長余地を模索してまいります。しかしながら、当社が将来的にこれらの施策を通じて成功を収める保証はありません。
(2)設備投資等に関するリスク
当社グループの事業は、ネットワークインフラを維持し、事業活動を拡大するため、多額の資金を必要とします。当社グループは、主としてネットワークの維持並びにエリア及び能力の拡大に関連した設備投資に、当連結会計年度の有形固定資産の取得による支出8,910百万円(前連結会計年度は7,080百万円)、無形資産の取得による支出1,121百万円(前連結会計年度は976百万円)の合計10,032百万円(前連結会計年度は8,057百万円)を支出しました(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤連結キャッシュ・フロー計算書」)。当社グループは、増大するネットワークトラヒック需要に対応するためネットワーク設備をさらに拡大・更新する等、一定規模の設備投資を継続的に実施する必要があると考えています。また、ネットワークトラヒックが当社グループの想定を上回るペースで増加した場合、サービスの品質を維持するため、さらなる設備投資を行うこと、また、第三者に支払うネットワーク使用料の増額を余儀なくされる可能性があります。加えて、当社グループのバックボーンネットワークの大部分は長期にわたって稼働してきたため、老朽化したネットワーク設備の修理または代替のために想定外の設備投資を行う可能性があります。さらに、当社グループは、当初設備投資を将来的に回収ができない可能性があります。当社グループのマンションインターネットサービスにおいては、例えば、建物にアクセス回線及びその他のネットワークインフラを設置する際の当初費用の回収には通常数年を要しますが、想定された期間内であるか否かにかかわらず、かかる当初費用を回収できる保証はありません。
当社グループは、従来、営業活動及び設備投資に係る資金調達を、当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローに依存してきました。当社グループは将来においてキャッシュ・フロー不足に陥り外部からの資金調達を必要とする可能性があり、また、想定を上回る設備投資の増加分の補填、他の事業や会社の買収、事業環境の変化や想定外の競争圧力への対応のための資金調達が必要となる可能性があります。しかしながら、必ずしも望ましい条件での資金調達ができない可能性や、当社株主に希薄化をもたらす株式発行が行われる可能性があります。当社グループが十分な追加資金を調達できなかった場合、当社グループの事業を支えかつこれを成長させるために必要な設備投資を行うことができない可能性があり、これにより当社グループの競争力に重大な影響が生じるおそれがあります。また、当社グループは、将来の支出計画または現在の営業活動の一部を遅延または放棄しなければならない可能性もあります。
(3)既存顧客の維持または新規顧客の獲得に関するリスク
当社グループは新規顧客の獲得に加え、既存顧客を維持し、追加サービスの購入や、利用度及びARPU(注)増加を促さなければなりません。当社グループの売上高の大部分は既存顧客から発生するリカーリング型の月次請求売上であることから、当社グループの事業及び財務成績にとって顧客の維持及び顧客の定着率は非常に重要です。顧客が、当社グループのサービスが高品質・高付加価値なソリューションを提供するものであると認識しない場合、当社グループは、既存顧客維持や新規顧客獲得ができない可能性があります。当社グループの顧客は、当初契約期間の終了後にサービス契約更新の義務はなく、これらの契約が同価格またはサービス水準では更新されない、または契約が継続されない可能性があります。当社グループは、インフラサービス提供のために先行して費用を支出しているため、顧客が当社グループとの契約を解約し若しくは更新しない場合、または当社にとって不利な条件で契約を更新した場合、追加インフラの稼働に関連する当初費用を回収することができない可能性があります。
(注)1契約あたり月間売上高(Average Revenue Per User)
当社グループの顧客の更新率は、以下を含む多くの要因により、減少または変動する可能性があります。
・当社グループによるサービスへの満足度
・顧客が必要とする機能を当社グループが適時に提供できるか否か
・競合他社と比較した当社グループによるサービスの価格競争力
・顧客が当社グループによるサービスを使用せずにニーズを満たすことを可能とする競合サービスまたは技術の進歩
・顧客が当社グループによるサービスより優れたまたは費用対効果の高い内部ソリューションの開発を選択すること
・顧客の支出水準の低下または経営状況の悪化
顧客が当社グループとの契約を解約し若しくは更新しない場合、またはより不利な条件で契約を更新した場合には、当社グループの収益が減少し、事業に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4)消費者ニーズに関するリスク
当社グループは、市場の変化に応え、既存顧客のニーズに対応し、新規顧客の獲得に向けて競争し、かつ新たな分野に事業を拡大するため、新サービスを継続的に開発し、検証・評価を行った上で、導入しています。当社グループが適時かつ効率的に新たなサービスを導入できるか否かは、必要とされる資本、重要な技術スタッフ等の人員の確保能力、法規制、知的財産上の制限、検証・評価のスピード、技術上の限界等、多数の要因による制約を受けるおそれがあります。さらに、新サービスは、既存及び潜在的な顧客から広く受け入れられない可能性があります。その場合には、かかるサービスの提供が終了し、サービスの開発若しくは提供に使用した資産若しくは技術を損なうおそれや、かかるサービスに関する開発費用がこれに対応する売上高の増加を上回り、当社の収益性に悪影響を及ぼすおそれがあります。この結果として、当社グループの事業は重大な悪影響を受けるおそれがあります。
(5)買収その他の戦略的投資及び提携に関するリスク
当社グループは、その成長戦略の一環として買収に携わってきており、今後も、新たな買収その他の戦略的投資を推し進める可能性があります。例えば、2017年3月にはマンションインターネットサービス事業を強化する目的で、マンションインターネットサービスの主要プロバイダーの一つであった株式会社つなぐネットコミュニケーションズを連結子会社化し、また2022年3月には、D2C事業参入の一つの施策としてゲーム攻略サイト運営やeスポーツ事業を推進する株式会社GameWithと、eスポーツ大会用の配信スタジオ事業運営やオンラインゲーマー向け通信サービス通信サービス事業等を推進するGameWith ARTERIA株式会社を合弁で設立いたしました。現時点において当社グループがその他の買収に関与する具体的な計画はありませんが、将来的に追加的な買収を検討する可能性があります。例えば、マンションインターネットサービス事業をさらに強化するため、マンション向けISPの買収や、D2C事業の推進及びサイバーセキュリティ等の新しい成長分野を取り込むための検討及び評価を行う可能性があります。潜在的な成長機会の評価には、広範囲にわたるデューディリジェンスが伴います。当社グループは、買収その他の戦略的投資を検討の際は、外部の専門機関によるデューディリジェンスを実施し、その評価に漏れがないよう取締役会等での審議を行います。しかしながら、当社グループが潜在的な成長機会について得ることができる情報量は限られる可能性があり、買収その他の戦略的投資が当社グループの財務実績に好影響を与え、または計画通りに機能すると保証することはできません。加えて、当社グループが将来において望ましい買収機会を得る保証はなく、また、十分な融資が利用できないこと、必要となる規制上の承認を得られないこと等の理由により、当社グループが希望した買収機会を実現できない可能性があります。
また、当社グループは、買収先企業を経営統合する過程で、様々なリスクにさらされます。具体的には、買収先企業(その人員、情報技術システム、財務システム、経営及び一般的な業務手続を含みます。)と適切に統合することができない可能性、また期待される事業シナジー効果を達成できない可能性があります。買収による経営統合を行う際は、統合委員会を立ち上げ、買収後、期待する効果の達成に向けたモニタリングを実施することで、事業シナジー効果の達成を推進する予定ですが、買収先企業と適切に統合することができない場合、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。同様に、当社グループが買収先企業と適切に統合し、または買収対象企業を適切に管理することができない場合、関連するのれん及び無形資産の将来の減損につながる可能性があります。合弁事業及びその他の事業提携についても、第三者パートナーとの関係が悪化する可能性、またはパートナーの事業若しくは財政状態が衰退する可能性があり、このことが合弁事業に悪影響を及ぼし、また当社グループの社会的信用に直接影響する可能性があります。
(6)借入金及び財務制限条項への抵触に関するリスク
当社グループには、金融機関からの借入金があり、今後も資金調達戦略の一環として借入れを継続すると予想しています。当社グループの借入金は、以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
・将来の運転資本、資本的支出、事業機会その他企業として必要とするものについて資金調達するための追加的な融資を得ることが制限されること。
・借入金の返済に一定の現金が必要となるため、当社の普通株式に対する配当金の支払いが制限されること。
・当社グループの事業または経済・市場の低迷に対する当社グループの脆弱性が増すこと。
・営業活動によるキャッシュ・フローの一部を借入金の利息及び分割払いの元本の支払いに充てることが必要となり、経営、資本的支出その他の企業目的のための資金調達に利用可能なキャッシュ・フローが減少すること。
・借入金は、現在デリバティブ商品を用いた金利ヘッジ等を行っておらず、既存の変動金利すべてについて、また既存の借入金を借り換えるために行う新規借入れについて、市場金利の変動による支払利息の増加にさらされること。
・2023年3月に満期が到来する借入金の償還にあたり、新たな資金調達を行う必要があること。
・当社グループの事業または競争環境の変化に応じた計画または対応の柔軟性が制限されること。
・借入れに基づく財務制限条項を遵守する必要があること。
なお、当社の既存の借入れに基づく財務制限条項の主な内容は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しております。これらはいずれも、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があり、また、同様の影響を受けない競合他社と比べて当社グループが競争上不利な立場に置かれる可能性があります。
(7)インターネットに関するリスク
当社グループの将来の成功は、インターネットがコミュニケーション媒体として、またデータの販売及び消費の市場として発展・拡大を続けること、並びにインターネットその他のネットワークを通じたトラヒック量が増加し続けることに一部依存しています。しかしながら、インターネットの使用及びネットワークトラヒックは、当社グループが予想する速度で成長及び拡大しない可能性があり、また以下を含む多くの要因により制限される可能性があります。
・ISPまたはアクセス網の所有者による措置により、当社グループが当社グループの顧客のトラヒックを当該ネットワークのユーザーに届けることが制限されること
・インターネットの利用に影響を与える将来の規制
・予想される技術革新及び採用がないこと
・顧客の嗜好またはデータ利用の変化
(8)ブロードバンドの利用の増加に関するリスク
動画ストリーミングサービス(特に高品位フォーマットに対応しているもの)、ゲーム、ピアツーピアのファイル共有アプリケーション、クラウドベースのサービス、IoTサービス及び5Gテクノロジーは、ウェブブラウジング及び電子メール等の他のインターネット利用より著しく多い帯域幅を使用することが予測されます。より新しいサービスの利用が増加し続けた場合、当社グループの顧客が、より多くの帯域幅を使用する可能性が高くなります。この場合、当社グループは、サービスの停止、劣化または顧客の通信速度の低下を避けるため、ネットワーク容量を増加させるための多額の設備投資を行う可能性があります。また、当社グループは、輻輳が発生している市場において、一定期間中にネットワーク容量を減少させるための管理手法を実施する可能性がありますが、これにより、対象市場における顧客維持または獲得に悪影響が及ぶ可能性があります。これらのサービスへの需要により、高速化のために、顧客がより多くの支払いを行う可能性があると考えておりますが、競争上または規制上の制約により、当社グループにおいて必要となるネットワーク投資の費用回収が妨げられる可能性があります。これらの結果、当社グループの営業利益率、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)経済情勢に関するリスク
当社グループの事業は、ネットワーク及びインターネットサービスに対する顧客の支出、並びに日本の主要な大都市圏における新規のマンション開発等に依存しています。特に、当社グループの顧客は首都圏に集中しています。結果として、首都圏または日本全体に影響を与える好ましくない一般的な経済状況(企業による設備投資の削減並びに不動産及び金融市場の不安定化を含みます。)は、当社グループのサービスへの需要に悪影響を及ぼす可能性があります。また、経済状況、実勢金利の水準及び金融市場、雇用及び賃金の水準、並びに人口動向における悪化は、住宅用不動産開発に悪影響を及ぼす可能性があり、これがさらにマンション向けサービスへの需要を低下させ、当社グループのマンションインターネットサービス事業に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの顧客が当社グループに対して期限通りの支払いを行う能力が低下する可能性があります。結果として、経済状況の悪化は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)ブランドに関するリスク
当社グループは、「UCOM光」及び「e-mansion」ブランドを含む多くのブランドを事業に使用しています。当社グループは、ブランドを維持し強化することが事業や成長戦略の実施にとって不可欠であると考えております。当社グループのブランドを維持・強化するためには、潜在的な顧客にブランドを紹介するよう努めつつ、マーケティング及び広告への投資を行い続けること、また当社グループの商品及びサービスの品質及び信頼性の維持に投資することが必要となります。当社グループは、定期的に市場及び取引先からの評価を調査する取り組みを行い、当社のブランド維持に影響するサービス品質や各種対応におけるリスクを抽出し、リスク低減に向けた改善対応に努めます。しかしながら、新たな商品、サービスその他の事業が当社グループのブランドを維持または強化することができない場合、または当社グループが商品及びサービスの品質を高い水準で維持することができない場合、当社グループのブランドイメージが損なわれる可能性があります。また、当社グループにおいては、経営陣及び従業員に向けたコーポレートガバナンス及びコンプライアンス研修を継続して行い、法令違反行為の防止を図っておりますが、当社グループのブランドが、法令の不遵守、従業員による違法行為、サービスの停止、または当社グループ若しくは当社グループの商品に関する悪評による影響を受ける可能性があります。当社グループの社会的信用は、第三者再販業者またはその他のパートナー若しくはサプライヤー、及び現在は筆頭株主及び支配会社である丸紅株式会社が関わる不祥事によっても影響を受ける可能性があります。当社グループのブランドの強力な認知度及び市場の認識を維持することができなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(11)知的財産権の保護に関するリスク
当社グループは、その所有する商号、商標その他の知的財産を保護することが当社グループの成功に不可欠であると考えております。しかしながら、当社グループの知的財産の不正使用を完全に取り締まることは困難です。当社グループは、知的財産の不正目的使用を防止するための措置(既存商標の日本における登録を含みます。)を講じておりますが、かかる保護措置は、その不正使用を防止するために十分ではない可能性があります。当社グループの事業において使用されている知的財産権(当社グループに対してライセンスが付与されているか当社グループが所有するかを問いません。)の不正目的使用は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。将来において、当社グループは、知的財産権を行使するために訴訟手続によることが必要となる可能性がありますが、これにより多額の費用が発生する可能性があります。
当社グループの知的財産を保護する手段が適切であるという保証、または競合他社が類似の技術若しくはアプリケーションを独自に開発しないという保証はありません。さらに、当社グループが知的財産権を行使しようとした場合、その有効性及び権利行使可能性を否定する主張をされる可能性があります。これらの知的財産を保護する手段は、当社グループの知的財産を保護するために不十分である可能性があります。当社グループが権利を行使することができない場合、または不正使用を検知し若しくは不正使用に対して防御しない場合には、当社グループは知的財産権を保護することができないこととなります。
(12)知的財産権侵害に関するリスク
当社グループが属する業界では、多数の特許、著作権、商標または企業秘密を所有する会社が存在し、知的財産権等の侵害、企業秘密の不正目的使用その他の権利侵害等に対する訴訟が頻繁に提起されています。当社グループは随時、新サービスを導入することを検討していますが、これにより、競合他社等からの特許その他の知的財産権等に関する請求を受ける可能性があります。第三者の知的財産権等を侵害することなく当社グループの事業を行うことができることが、当社グループの成功の一因です。しかしながら、当社グループのサービスの機能及びコンテンツは成長を続けているため、第三者の特許、著作権若しくは商標の侵害、またはその他の知的財産権の違反に関する訴訟の対象となる可能性は増しています。当社グループに対する既存のまたは将来の請求(認容されるか否かを問いません。)は、解決に時間がかかり、費用がかかる可能性があります。知的財産権に関する訴訟または請求は、侵害されたと主張される知的財産権が組み込まれた商品若しくはサービスの運用若しくは使用を中止すること、または侵害された知的財産権の保有者からライセンスを取得することを当社グループに強いる可能性がありますが、当社にとって不利な条件を強いられ、または、ライセンスを取得できない可能性があります。また、対象サービスの再設計を余儀なくされる可能性があり、これにより追加費用が発生したり、導入の遅延または対象サービスの商業上の魅力の低下につながる可能性があります。
(13)訴訟に関するリスク
当社グループは、通常の営業過程において、顧客、サプライヤー及び従業員を含む第三者からの訴訟のリスクにさらされています。訴訟は本質的に予測不能であり、法的手続の結果及びその他の不測事態により、当社グループがその事業に悪影響を及ぼす措置を取ることを余儀なくされる可能性があります。また、不利な判決または和解の場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(14)丸紅株式会社との関係
当社は、丸紅株式会社から出資を受け入れており、本書提出日現在、丸紅株式会社は当社発行済株式総数の50.0%を保有し、当社は丸紅株式会社の連結子会社となっております。丸紅株式会社は、今後も当社株式を安定保有する意向を有しておりますが、将来、何らかの要因により丸紅株式会社が経営方針や営業戦略(当社株式の保有方針も含む)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、丸紅株式会社が相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等、当社の株主総会決議の結果に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、丸紅株式会社との間で、「グループ内部統制システム等に関する協定書」を締結しており、同協定に基づき、当社の経営方針、事業展開及び重要な業務執行の決定等にあたっては、丸紅株式会社に対して事前に資料提供及び説明を行い、同社の意見を伺うものとしています。もっとも、かかるプロセスにおける同社の意見は、当社を拘束するものではなく、当社は、丸紅株式会社の意見を参考に自らの責任と判断により意思決定を行うものと定められています。
当社と丸紅株式会社との人的関係及び取引関係については以下のとおりです。
① 丸紅株式会社との人的関係について
本書提出日現在、当社の取締役である大久保修及び監査役である柴崎秀紀の2名は、丸紅株式会社に所属しております。これは、丸紅株式会社における経験に基づいた経営的視点、知見を得ることを目的としております。なお、当社の経営方針及び事業展開について、丸紅株式会社の事前承認を要するものはなく、独自の意思決定によって進めております。
② 丸紅株式会社との取引関係
当連結会計年度における当社グループと丸紅グループとの主な取引は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
取引先取引内容取引金額
丸紅情報システムズ株式会社伝送装置購入1,115
丸紅ネットワークスソリューションズ株式会社専用線・VPNサービス売上754
株式会社イーツデータセンターサービス売上・原価549
丸紅ITソリューションズ株式会社データセンターサービス売上・原価287

上記取引は、いずれも取引条件については市場の実勢価格を勘案して、取締役会で決定の上行われております。
支配株主との取引等については、取引の合理性及び取引条件の妥当性を確認し、法令及び社内規程に基づき取締役会の承認を得ることとしております。また、年に一回状況の調査を行っております。
当社と丸紅グループ全体との間での取引高の割合は、売上、仕入ともに1割に満たない程度であります。但し、今後潜在的な事業機会を捉える中で、丸紅グループのネットワークを通じて、顧客及びパートナー企業にアクセスし、また、丸紅グループとの協業を進める中で、丸紅グループに対する事業上の依存度が増して、結果として丸紅株式会社が当社に与える影響力が高まる可能性があります。
(15)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に関するリスク
当社は、2019年4月16日付で当社及び当社の子会社である株式会社つなぐネットコミュニケーションズ(以下「TNC」という。)において、TNCの競合他社との間で、独禁法に違反する可能性のある行為(本件行為)を行った疑いがあることを公表しました。当社は、独禁法に基づく課徴金等の支払いに備えるため、2019年3月期連結会計年度において引当金180百万円を計上済です。
本件行為及びその後の一連の対応について、当社に独禁法・金融商品取引法その他の法令上の課徴金等が課せられ、また、損害の賠償を求める民事訴訟等が提起される可能性があります。