有価証券報告書-第13期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 9:54
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ORIGIN -社名由来-
「応えるプロ、コプロ」
コプロで働く私たちは、高い志を持つプロフェッショナルな組織として一丸となり社会へ応えていきます。
皆様からのご期待に応えていく覚悟と決意を社名由来に込めました。
理念体系
MISSION -社会での役割-
人が動かす 「ヒューマンドライブ」な社会をつくる
VISION -目指す姿-
一人ひとりの心に点火する「人づくり」企業になる
VALUE -理念-
志をもって事を成す
目標にコミットし、プライドをかけて全力で共に成し遂げる。
そんな「志事」を通して、全社員で成長する。
ブランドタグライン
Go Beyond,Go Together.
人の無限の能力を信じ、その熱源になる
コプロは、さらにその先へ、共に越えて行くことを目指します。
人の無限の能力を信じ、その可能性を引き出すために人の情熱の炎を着火する
その熱源であり続けるという想いを、ブランドタグラインへ込めました。
当社グループの事業会社は建設業界を中心とした人材派遣事業を行っており、各顧客からの需要に応じて人材を派遣するビジネスモデルとなっております。従って、優良な派遣先からの受注ルートを確立できるかどうか、また、受注できたとしてもスキルのある人材を派遣できるかがポイントとなります。当該受注ルート、採用ルートの確立は一朝一夕に構築できるものではなく、派遣先及び派遣技術社員との間で時間をかけて築き上げた信頼関係によるところが大きいため、当社グループの企業理念を徹底し、派遣先及び派遣技術社員との間での信頼関係構築に努めております。
建設技術者派遣事業の具体的な展開方針といたしましては、大型案件受注等に向けたスーパーゼネコンをはじめとする大手建設事業者への営業拡大及びスキルのある派遣技術社員の配属による当社グループからの派遣シェアの拡大を図っております。
また、具体的な派遣先の業種として、建築・土木・設備・プラントにおける現場監督やCADオペレーターとなっております。
当社グループは、派遣技術社員一人ひとりを大事にし、向き合うことを徹底しております。具体的には各支店にサポート担当者を配置し、派遣技術社員が派遣先へ配属された後も定期的なアフターフォロー、健康管理、メンタルヘルス管理、スキルアップ支援を行うとともに、定期的な安全大会(来賓として取引先も参加する集合研修)及び懇親会の開催などを行っております。
顧客満足度向上への取り組みについては、派遣技術社員が現場でいかに貢献できるかを重視し、配属後もサポート担当者が積極的に現場へ顧客訪問し、派遣技術社員の評価や要望のヒアリングを行うとともに、派遣技術社員とのヒアリング内容の共有をおこない、派遣先(顧客)、派遣技術社員、サポート担当者がチームの一員として取り組むことで、より良い職場環境づくりと、顧客満足度の向上を図っております。
(2)目標とする客観的な指標等
当社グループは、売上高の中長期的な成長を重視しております。また、安定的な利益確保を目指し、売上高経常利益率を客観的な管理指標とし、10%を目標値としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
①主力事業である建設技術者派遣事業の拡充
当社グループの主たる人材派遣先である建設業界については、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後、業界再編が加速すると考えられます。その中で、当社グループとしては、スーパーゼネコンを中心とした企業への営業を徹底して強化しており、経験者のみにとどまらず、初期教育を施した新卒及び中途(未経験者)社員を継続的に派遣することにより、中長期の安定的な収益基盤を築くことを計画しております。
この戦略を進めるにあたり、最も重要なのが、付加価値の高いエンジニアとなり得る人材の採用となります。採用の面で当社グループと競合となるのは、同業他社のみではなく、建設業界の全ての企業であるため、それらと比較し、応募者に選んでいただけるような「企業ブランディング」と、志向性や年齢とともに変化する家庭環境にあわせ、応募者自身の未来をフレキシブルに設計できるよう、「人事制度構築」や「働き先の創出」に取り組んでまいります。
②プラント向けエンジニア派遣の拡大、人材開発機能の外販
プラント向けエンジニア派遣に関しては、建設向け派遣でのスキルを活かしプラント向けに展開が可能であり、今後さらに事業を拡大してまいります。なお、プラント企業で必要とされるスキル・経験値は多岐にわたるため、大手企業に対しアライアンスを組む形での営業を強化し、クライアント1社に対し熟練者と若手社員を組み合わせて派遣する営業手法等も活用します。これにより、プラント企業との継続的・安定的な取引拡大と、それを担う人材の育成を図ります。東京・名古屋・大阪にプラント向け専門の支店を設置し、積極的に推進してまいります。
また、人材開発機能としては、新卒及び中途(未経験者)採用の規模拡大に伴い、東京・名古屋・大阪に設置している研修施設「監督のタネ」の講義回数を増やしこれに対応します。
派遣先企業との関係が深まるのに伴い、企業ニーズに即した(特定のスキルに特化した)人材を派遣するため、紹介予定派遣(注)に注力します。当社グループで採用した人材を社内の人材開発部門で教育し、紹介予定派遣として継続的に人材を送り出すことにより、派遣先企業の採用・人材開発機能の一部を当社グループが担うことを目指してまいります。
(注)紹介予定派遣とは、就職を希望する人材と、採用を予定している企業とを引き合わせ、社員雇用を前提として行う人材派遣であります。
③人材派遣事業における新たな展開
大きく分けて、1)人材育成事業、2)高齢者等雇用活性化事業、3)海外人材育成派遣事業の3つの分野において、高付加価値人材派遣事業の取り組みを今後計画してまいります。
1)に関しては、前述のプラント企業への人材供給と同じコンセプトで、建設分野以外へも提携先企業の幅を広げ、採用・教育・派遣・人材紹介を収益の柱とする人材ビジネス事業に取り組んでまいります。2)に関しては、IT等を活用し、女性や高齢者が活躍できる場の創出を目指します。結婚や出産で退職した女性人材や、定年を迎えるスキルを持ったシニア人材の受け皿として、働き続けたいと考える社員の未来を担保することを目指してまいります。3)に関しては、技術者派遣事業の分野で海外拠点を設けるとともに、拠点が定着した後、海外の豊富な人材を日本国内でも活用するよう取り組んでまいります。
以上の事業展開を組み合わせ、当社グループ全体で蓄積した採用・教育・派遣・人材紹介のビジネスモデルを進化させることにより、ワンストップで顧客の様々なニーズに応えることができる人材ビジネス事業を目指してまいります。
④買収・合併、業務提携、新規事業の開拓
当社グループは今後、人材ビジネス事業及びその周辺事業等の事業拡大や新規事業分野の開拓のため、買収・合併、新会社設立、業務提携等も重要な手段の一つとして位置づけ、積極的に活用していく方針であります。
(4)経営環境
当社グループの事業会社は建設業界を中心とした人材派遣事業を行っておりますが、建設業界としては企業収益の改善により設備投資が増加しており、良好な受注環境にあります。特に、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック、2025年開催の大阪・関西万博、2027年のリニア中央新幹線(品川・名古屋間)開業等、当該建設プロジェクトに付随した開発工事等により、今後も堅調な需要が見込まれます。
他方、近年の労働人口の減少に加え、建設業界の安全面に対する取り組みの強化や残業に対する考え方の変化により、今までは一人で行ってきた業務が細分化されるなど、人材不足が一層深刻となっております。また、人材需要が高いため、人材を確保するための求人力や採用力が必要不可欠となっており、スキルのある人材確保の競争が同業他社との間で激化している状況にあります。
(5)対処すべき課題
当社グループは、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
①人材確保及び育成
人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに付加価値の高いエンジニアとなり得る人材を獲得していくか、また、いかに在籍する派遣技術社員のスキルを高めていくかは重要な課題の1つです。エンジニアの採用は売り手市場となっているため、主力のWeb媒体に加え、在籍する社員からの紹介等も活用し、スキルを保持するエンジニアの獲得を推進してまいります。また、自社運営求人サイト「現キャリ」の更なる集客強化・機能性向上を図ってまいります。あわせて、中長期的な事業成長を担う人材の確保を目的として、引き続き新卒採用にも注力いたします。
人材の育成については、東京・名古屋・大阪の全国3拠点で運営する教育施設「監督のタネ」において、より実践的な研修プログラムの開発・導入を進め、また技術者人事制度の充実や技術者満足度調査等を通じて、派遣技術社員としてのキャリアアップを促進いたします。
また、派遣技術社員に対するより一層のフォローを行うため、2019年4月よりコンプライアンス部を設置し、派遣技術社員への各種施策を通じて定着率の向上を図ってまいります。
なお、当社グループの期末に在籍する派遣技術社員数は下表のとおりであります。
期間2017年3月期2018年3月期2019年3月期
派遣技術社員数1,168人1,297人1,591人

②法改正への対応
2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法の主要改正点は下記となります。
・特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。
・これまで派遣期間を制限する区分として政令26業務・自由化業務の区分が設けられていたが、それを廃止し、全ての業務に共通する派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)を設ける。但し例外として無期雇用労働者や雇用の確保が困難な者には上限はない。
・派遣元事業主に計画的な教育訓練等の実施を義務付けること等により、派遣労働者のキャリアアップを推進する。
上記改正への対応は中小零細の競合派遣会社においては大きな負担となり、今後淘汰が進む可能性があります。当社グループは、今後も法改正に伴う経営環境の変化に適切に対応しつつ、事業の安定・拡大に努めてまいります。
③営業力強化
継続的な成長のためには、既存取引の維持・拡大に加えて、顧客企業の新たなニーズを引き出して常に新規の案件を開拓し続ける必要があります。
このために当社グループは、重点企業へのアプローチを集中して行い、多くの案件を常時有することで稼働人員数の増加、100%近い稼働率の維持だけでなく、派遣技術社員のスキル向上やキャリアに応じた高単価な就業先へのシフトが臨機応変に実施できるよう取り組んでまいります。
④長時間労働の抑制
昨今の労働行政においては、働き方改革関連法案の施行により長時間労働に対する指導・監督が強化されており、企業側に従業員へのきめ細かな労務管理と安全配慮を求めるものとなっております。派遣元である当社は、派遣先に対して当社グループ派遣技術社員が当社グループの36協定の範囲を超えて時間外労働を行うことがないよう、各派遣技術社員の時間外労働時間の累計に応じ、派遣先に対して段階的な改善を要請する通知を提示する等、適宜適切な措置を講じ、労働環境の改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでまいります。