有価証券報告書-第27期(2022/09/01-2023/08/31)

【提出】
2023/11/28 15:00
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針・経営戦略
当社グループは、設立初期から大切にしている “Creating Life of Your Dreams“ ~半歩先の技術で人々の生活を豊かに~ を実現することで、未来社会が抱える課題を解決し、貢献したいと考えております。
そして、人々の生活の便利を実現するために、“世の中のニーズを敏感に察知し、半歩先のソフトウェア技術で「未知の課題」を解決すること”が、当社グループの使命であり、存在意義であると考えております。
この使命を達成するために、当社グループは社会に存在するニーズを適時、的確に察知し、そのニーズに応えるために必要なソフトウェア技術の習得や高度化を実践するとともに、役職員が誇りを持ち活躍し続けられるような「社員が幸福を実感できる企業」を目指し、その実現に向けて努めてまいります。
また、未来社会に貢献し企業を持続的に発展させていくには、より一層のソフトウェア技術の発展と、ソフトウェアの価値向上が重要であると認識し、“ソフトウェアの価値を高め、収益構造を変革する企業”として活躍できるよう努力いたします。
中長期的な経営戦略といたしましては、将来的に必要とされるソフトウェア技術の高度化に加え、近年のエンジニア不足と少子化に向けた収益構造の変革に注力してまいります。これまでのモノづくりは当社グループ従業員の労働に対する対価が多くを占めておりましたが、今後は、知財や製品、さらには新たなサービスによる収益の比率を増加させ、労働対価と労働量に依存しないサービス収益の最良なバランスにより、「次世代事業の創生」と「収益性の向上」を実現したいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは安定的な経営と収益構造の変革を実現するために、目標とする経営指標として営業利益及び売上総利益率を重要な経営指標としております。
当社グループにとって重要な活動である研究開発費、採用教育費、営業費等を控除した残利益である営業利益は、将来に向けた活動を行いながら安定的な経営が実現できているかを測定するための指標として重要であると認識しています。また、売上総利益率は、収益構造の変革を行うことにより労働力に依存しない高付加価値のサービス事業の成長度合いを測定するための指標として重要であると認識しております。
(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
政府は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会「Society 5.0」を我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱しており、当社の技術は、これを実現するために必要な基本技術(自動車のCASE対応、仮想環境、製造業DX、AI安全活用、Safety & Security )で優位性があると考えております。そのため、当社の技術に対する需要は今後も継続するものと見込まれ、持続的な成長を実現することが可能な環境にあると考えております。
一方で、開発技術者は不足しており、需要に見合ったリソースを確保することが困難な状況にあります。今後
もこの状況は続き出生率低下の傾向と相俟って、人財の確保に関する課題は長期にわたるリスクになるものと考
えております。また、技術面においては、生成AIの活用により自律化システムの急速な技術革新が進むものと見
込んでおります。
このような経営環境の下、当社グループは以下のものを課題として認識し、対処してまいります。
①経営基盤の強化
政府は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会「Society 5.0」を我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱しております。当社グループは、これを実現するために必要な基本技術を強化するとともに、その強化体制を支援するため、情報システムの充実とセキュリティ対策の強化をあわせて推進していくことが、当社グループの中長期的な成長にとって重要であると考えております。
a.持続可能な未来社会「Society 5.0 」の実現に向けた技術の強化
当社グループは、「Society 5.0 」の実現に向けて以下の技術の強化を推進してまいります。
ⅰ.CASE (Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)技術を活用した次世代のモビリティへの対応
生活の質の向上と環境への配慮を共に目指す未来のモビリティ開発において、CASE技術は必要不可欠であります。当社グループは、特に「コネクテッドカー(Connected)」と「自動運転(Autonomous)」技術の進化に重点を置いております。コネクテッドカーはICT端末としての機能を有する自動車のことであり、車両のインターネット接続や他の車両・デバイスとの連携により利便性の向上と新しいサービスの提供を可能にします。その一方で、これらの進展にはセキュリティ上のリスクも伴うため、自動車のセキュリティ技術の強化も同時に推進しております。また、自動運転の普及に伴い、安全かつ効率的な自律走行システムの重要性が増しており、これを支えるための仮想空間サービスや安全基準の開発にも注力してまいります。
ⅱ.デジタルトランスフォーメーションによる製造業の革新
少子高齢化による労働人口の減少、労働者の安全な作業環境の確保は製造業における重要な課題であります。当社は、デジタルトランスフォーメーションの手法の一つであるデジタルツイン技術を利用し、現実に即した仮想工場モデルを通じて、作業効率の向上と事故のリスク等を低減し、より効率的で安全な工場運営を支援してまいります。
ⅲ.AIと安全・セキュリティ技術の統合
「Society 5.0 」の実現に向けて、人工知能(AI)の安全な活用も必要不可欠な技術と考えております。当社は、自律システムの安全性に関するガイドラインの提供はもちろんのこと、人間と機械の共進化を考慮したシステム開発にも注力しています。また、製品の安全性やセキュリティを高めるための教育プログラムやコンサルティングサービスも提供し、AIと安全・セキュリティ技術の統合を推進してまいります。
b.情報システムの充実
今後、事業規模の拡大に伴い、業務処理量、管理コストが増加していくものと予想しております。当社グループは、そのような経営環境の変化に対応する情報システムの充実を図ることを重要な経営課題の一つとして、情報システムの拡充による業務処理の効率化を推進しております。
c.セキュリティ対策の強化
顧客が要求する組織単位(部署)でのセキュリティ対策(セキュリティルーム、入退室管理、データへのアクセス制限など)を実施しております。
社員のセキュリティ教育とセキュリティインフラを強化し、顧客及び 一般社会に影響を及ぼすことのないセキュリティ対策強化を実施いたします。
②人財の確保
当社グループの発展には、優秀な人財の確保と活躍が必要不可欠であります。しかし、ソフトウェア技術者の不足は深刻であり、当社の需要に見合った人材の確保が困難な状況にあります。
採用の強化、人事・賃金制度の改定により、人財の確保と従業員の定着率向上を図り、企業成長に資する人材確保に対処します。
また、事業拡大および業務の高度化に対応できる組織力を構築するための教育およびリスキリングに注力いたします。
さらに、飛躍的な事業規模拡大を目的とした、企業買収も実施し、事業規模および人材確保に努めます。
③コーポレート・ガバナンスの充実と内部管理体制の強化
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠であると認識しております。また、子会社経営及び関連会社の管理、当社運営管理のためには社内の体制強化が必要であり、人員増強とともに、ガバナンス強化のための教育研修を行ってまいります。
さらに、2021年に改定されたコーポレートガバナンスコードに対応するために、取締役会が備えるべきスキルと各取締役のスキルとの対応関係の公表、独立社外役員比率の向上、多様性を確保した女性、外国人、中途採用者の登用、サスティナビリティへの取り組みなどに対処し、健全で成長力のある経営を目指してまいります。