有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/01/06 15:00
【資料】
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【項目】
151項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「All Satisfaction~すべての人に満足を~」を経営理念として、顧客に価値ある住まいを提供することで、CS(顧客満足度)、ES(従業員満足度)の観点にてバランスよく満足を創造することができ、CSR(企業の社会的責任)の観点から社会全体にも大きな利益をもたらすことができる、社会貢献度の高い企業を目指しております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、売上高に関連するより具体的な事業展開上の指標として、注文住宅と分譲住宅の「販売件数」も重要な指標と考えております。
(3) 中長期的な経営戦略
当社グループは、業界として歴史の長い住宅・不動産業界に属しております。このような住宅・不動産業界には、住宅又は不動産のいずれかに特化した会社が多数存在しておりますが、当社グループは、「デザイン力・商品力×不動産情報力×集客力×販売力」を強みとすることで、「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のビジネス展開(ワンストップ・プラットフォーム戦略)が可能となっております。
当社グループの「ワンストップ・プラットフォーム戦略」は、「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のシナジーを最大限活用することができるように、「注文住宅」を提供する場としての住宅展示場、「分譲住宅」及び「不動産仲介」を提供する場としての不動産店舗を同一エリアに開設することで、顧客の門戸を広くするよう取り組んでおります。
今後は、以下の成長戦略にて、これまでの事業展開で培った「ワンストップ・プラットフォーム戦略」をもとに、さらなる事業拡大を図ってまいります。
① 首都圏(1都3県)への進出・拡大
当社グループではこれまで愛知県を地盤に事業を拡大してまいりましたが、「ワンストップ・プラットフォーム戦略」を他のエリアでも展開していくことで、事業規模のさらなる拡大を目指します。主要マーケットである愛知県に加えて、東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の首都圏エリアでの展開を強化してまいります。首都圏(1都3県)は、注文住宅及び分譲住宅(一戸建)の新設住宅着工戸数が全国で上位1位~5位を占める、優良な市場であります(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)。2019年10月に首都圏への進出となる東京支店(東京都武蔵野市)を開設いたしました。その後、当該拠点を吉祥寺オフィスとし、東京支店は2020年8月に東京都新宿区へ移転し、同拠点に新宿ショールームを開設しております。また、2020年6月には東京都立川市に新たな住宅展示場(立川展示場)を開設いたしました。
当社グループの「ワンストップ・プラットフォーム戦略」の強みは、東海エリア以上に多様な顧客が存在する首都圏エリアでも十分発揮し得るものと考えております。今後は当社グループの強みをこれまで以上に発揮できるように、首都圏エリアでのさらなる不動産店舗の開設や住宅展示場の出店を強化してまいります。
(首都圏エリアの状況)
2020年1月期
第3四半期
会計期間
2020年1月期
第4四半期
会計期間
2021年1月期
第1四半期
会計期間
2021年1月期
第2四半期
会計期間
2021年1月期
第3四半期
会計期間
受注件数(件)1551014
営業人員数(名)12346

(注) 1.受注件数は、戸建住宅事業のうち、注文住宅の受注件数を記載しております。
2.営業人員数は、各四半期会計期間末の人員数を記載しております。
② 東海エリアでのシェアアップ
当社グループの主要マーケットである愛知県は以下の特徴があります。
(a) 新築戸建市場は、注文住宅:全国第1位(13年連続)、分譲住宅(一戸建):全国第4位(4年連続)(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2007年から2019年までの年次データ)であり、従来から新築戸建市場としては盛況な市場であること
(b) 住宅地平均地価全国第6位(出典:国土交通省 令和元年都道府県地価調査)に対し一人あたり所得は全国第2位(出典:内閣府平成28年度県民経済計算)であり、住宅地価水準に対応する経済力があること
(c) 一戸建住宅比率が全国第41位(出典:総務省統計局 社会生活統計指標 ―都道府県の指標― 2020 2018年データ)と低く、戸建住宅の潜在需要が大きいこと
当社グループの愛知県内における主な営業拠点は、住宅展示場:9拠点、ショールーム:2拠点、不動産店舗:9拠点(2020年11月30日現在)でありますが、現在の販売網では愛知県全域をカバーできていない状況と認識しております。当社グループは、東海エリアでのさらなる成長が盤石な収益基盤確保につながることから、今後、愛知県内の空白エリア及び愛知県以外の東海エリア(岐阜県・三重県・静岡県)への出店を行い、東海エリア全域におけるシェアアップを目指してまいります。
③ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
コロナ禍においてデータとデジタル技術を活用した経営全般の変革、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」があらためて注目されております。
当社グループでは、従来からDX推進のための取組みを強化しており、オンラインでの商談、ウェビナー(Web上で開催するセミナー)の開催、デジタルマーケティング、『人財』教育でのオンラインの活用等を推進してまいりました。また業務のオンライン化も進めており、今後もDX推進によって事業の効率化だけでなく事業規模の拡大にも注力してまいります。
特に集客面においては、従来の紙媒体や住宅展示場等の利用に加えてオンライン広告や顧客管理ツールを組み合わせることで、費用対効果の高い集客を可能にしているだけでなく、自社Webサイト、SNS、Web広告によって接点を持つことができた潜在顧客をシステムにて一元管理することで、見込み客数の増加につなげております。
④ 『人財』採用・育成の強化
当社グループは、ビジョン・理念に共感した『人財』を新卒採用及び中途採用にてバランスよく採用してきたことで、企業規模が拡大していく中、従業員が豊富な経験を積むことができ、従業員の成長とともに当社グループも成長を続けてまいりました。中長期的な経営戦略の中で、東海エリア、首都圏エリア及び新市場での住宅展示場及び不動産店舗の開設を進めることから、さらなる『人財』の確保及び育成が必要となります。また、住宅は生活経験と多様な検討要素からなる商品であるため、デジタル化が進む中でも最終的には人間による接客対応と販売力が不可欠な商品であります。そのため、知識面の習得とOJTでの実務経験の両軸からなる教育プログラムを導入して『人財』採用・育成に努めてまいりました。今後もこれまでに培った『人財』採用・育成のノウハウを活用し、住宅展示場及び不動産店舗の開設予定エリアにおける『人財』の採用・育成を進めることで、当社グループの経営理念に即した『人財』の早期戦力化と当社グループのビジネス展開の拡大を図ってまいります。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う国内外の経済活動の停滞や縮小により、景気は急速に悪化したものの、緊急事態宣言の解除後は、徐々に経済活動が再開し、段階的に景気持ち直しの兆しも見られます。
当社グループの活動拠点である愛知県は、都道府県別の新設注文戸建住宅着工戸数が全国第1位であり、新設分譲戸建住宅着工戸数も全国第4位という比較的恵まれた地域ではあるものの(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)、2011年より人口減少は続いており、新築住宅需要の減少という構造的な課題にも直面しております。
このような状況のもとで、当社グループは、今後のさらなる成長に向けて、以下の事項を対処すべき課題として認識し、着実に取り組んでまいります。
① 品質の向上
顧客に安心できる住環境を提供することが当社グループの使命であり、その中で当社グループは良質な住宅を適正な価格で提供しております。価格を追求することで低品質の住宅を提供することがないよう、施工管理を担う部署を中心として徹底した品質管理を行い、安心できる住環境を提供すべく、品質の維持に努めてまいります。
② 首都圏(1都3県)への進出・拡大
当社グループは、愛知県を中心とした東海エリアで、戸建住宅事業等を行っております。愛知県の新築住宅需要は盛況ではありますが、当社としてはさらなる発展を目指し、首都圏へ進出しており、さらなる事業拡大を計画しております。首都圏の中でも、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県は、注文戸建及び分譲戸建の新設住宅着工戸数が愛知県とともに全国で上位1~5位を占める、優良な市場であります。このような市場に本格的に参入することで、企業価値のさらなる向上に寄与するよう努めてまいります(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)。
③ 生産性の向上
わが国が働き方改革の実現を2016年に唱えてから、当社グループにおいても従業員が各自の能力を最大限発揮することで生産性の向上にも寄与できるよう、デジタルトランスフォーメーション(DX)の積極的な活用も含めた働き方改革に積極的に着手しております。今後も、健全な職場環境への改善を推し進めることで、さらなる生産性の向上に努めてまいります。
④ 『人財』採用・育成の強化
当社グループは、従業員を『人財』として位置付けており、重要な経営資源として認識しております。さらなる企業成長を推し進めるうえで、優秀な『人財』の確保・育成は必要不可欠であると考えております。潜在能力の高い新卒採用及び即戦力となる中途採用を同時に進めることで、適材適所に従業員を配置できるようになり、業務の効率化に寄与することとなります。また、能力を高める研修制度を設けることで、従業員の能力を向上させ、企業価値の向上に取り組んでまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、2017年10月より取締役会設置会社となり、2018年7月に監査役会を設置しております。また、2018年1月には内部監査室を設置しております。当社としましては、組織的なコーポレート・ガバナンス体制の整備・運用が、企業価値向上の一翼を担うものであると認識しており、今後も管理部門の強化に努め、さらなるコーポレート・ガバナンス体制の強化に努めてまいります。