有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/18 15:00
【資料】
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【項目】
98項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「All Satisfaction~すべての人に満足を~」を経営理念として、顧客に価値ある住まいを提供することで、CS(顧客満足度)、ES(従業員満足度)の観点にてバランスよく満足を創造することができ、CSR(企業の社会的責任)の観点から社会全体にも大きな利益をもたらすことができる、社会貢献度の高い企業を目指しております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、売上高に関連するより具体的な事業展開上の指標として、注文住宅と分譲住宅の「販売件数」も重要な指標と考えております。
(3) 中長期的な経営戦略
当社グループは、業界として歴史の長い住宅・不動産業界に属しております。このような住宅・不動産業界には、住宅又は不動産のいずれかに特化した会社が多数存在しておりますが、当社グループは、デザイン力×不動産情報力×集客力を強みとすることで、注文住宅事業と不動産事業(「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」)の両方のビジネス展開が可能となっております。
当社グループの「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」というビジネスモデルは、時代のニーズに応える新しい価値を創造すると考えており、顧客に満足してもらえる新しい価値を生み出したいという高い志を起点としております。従来にない強みとして、注文住宅事業×不動産事業のシナジーを最大限活用することができるように、「注文住宅」を提供する場としての住宅展示場、「分譲住宅」及び「不動産仲介」を提供する場としての不動産店舗を同一エリアに開設することで、顧客の門戸を広くするよう取り組んでおります。
今後は、以下の成長戦略にて、これまでの事業展開で培った「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のビジネスモデルをもとに、さらなる事業拡大を図ってまいります。
① 東海エリアでのシェアアップ
当社グループの主要マーケットである愛知県は以下の特徴があります。
(a) 新築戸建市場は、注文住宅:全国第1位(13年連続)、分譲住宅:全国第4位(4年連続)(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2007年から2019年までの年次データ)であり、従来から新築戸建市場としては盛況な市場であること
(b) 住宅地平均地価全国第6位(出典:国土交通省 令和元年都道府県地価調査)に対し一人あたり所得は全国第2位(出典:内閣府平成28年度県民経済計算)であり、住宅地価水準に対応する経済力があること
(c) 持ち家比率が全国第41位(出典:総務省統計局 社会生活統計指標 ―都道府県の指標― 2020 2018年データ)と低く、戸建住宅の潜在需要が大きいこと
当社グループの愛知県内における営業拠点は、住宅展示場:8拠点、ショールーム(天白展示場を含む):4拠点、不動産店舗:8拠点(2020年2月29日現在)でありますが、愛知県全域をカバーできていない状況であります。今後、愛知県内の空白エリア及び愛知県以外の東海エリア(岐阜県・三重県・静岡県)への出店を行うことで、東海エリア全域におけるシェアアップを目指してまいります。
② 首都圏(1都3県)への進出
東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県は、愛知県とともに、注文住宅及び分譲住宅(一戸建)の新設住宅着工戸数が全国で上位1~5位を占める、優良な市場であります(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)。東海エリアでのシェアアップを目指すと同時に、このような市場においてもシェアを獲得するために、2019年10月に首都圏(1都3県)への進出となる東京支店(東京都武蔵野市)を開設し、2020年4月には東京都立川市に新たな住宅展示場を開設する予定であります。今後は、注文住宅事業と不動産事業のシナジーをこれまで以上に発揮できるように、さらなる不動産店舗の開設や住宅展示場の出店を行ってまいります。
③ リフォーム事業及び中古住宅再生事業の強化(ストックビジネスの強化)
住宅購入から一定期間が経過すると、リフォームの需要が大きくなります。当社グループでは、住宅の販売を開始してから10年以上経過していることから、当社グループから住宅を購入した顧客においても、潜在的なリフォーム需要が一定程度存在していると考えております。それらの潜在的なリフォーム需要を取り込めるよう、購入者のアフターサービスの充実を図るとともに、創業当初から手掛けているリフォーム事業のさらなる強化を進めてまいります。また、リフォーム事業の強化は、中古住宅のリノベーションにも活用することができるものであり、中古住宅再生事業への展開を進めることが可能であると考えております。
④ 『人財』採用・育成の強化
当社グループは、ビジョン・理念に共感した『人財』を新卒採用及び中途採用にてバランスよく採用してきたことで、企業規模が拡大していく中、従業員が豊富な経験を積むことができ、従業員の成長とともに当社グループも成長を続けてまいりました。中長期的な経営戦略の中で、東海エリア及び新市場での住宅展示場及び不動産店舗の開設を進めることから、さらなる『人財』の確保及び育成が必要となります。これまでに培った『人財』採用・育成のノウハウを活用し、住宅展示場及び不動産店舗の開設予定エリアにおける『人財』の採用・育成を進めてまいります。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
わが国経済は、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、金融・資本市場の変動の影響に留意する必要があったものの、企業収益や雇用・所得環境の改善傾向が継続しております。
一方で、2011年より人口減少が続いており、新築住宅需要の減少という構造的な課題に直面しております。このような状況の中、当社グループの活動拠点である愛知県は、都道府県別の新設注文戸建住宅着工戸数が全国1位であり、また、新設分譲戸建住宅着工戸数は全国4位となっており、依然として新築住宅市場需要は盛況であります(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)。
当社は、今後のさらなる成長に向けて、以下の事項を対処すべき課題として認識し、着実に取り組んでまいります。
① 品質の向上
顧客に安心できる住環境を提供することが当社グループの使命であり、その中で当社グループは良質な住宅を適正な価格で提供しております。価格を追求することで低品質の住宅を提供することがないよう、施工管理を担う部署を中心として徹底した品質管理を行い、安心できる住環境を提供すべく、品質の維持に努めてまいります。
② 新規市場への進出
当社グループは、愛知県を中心とした東海エリアで、注文住宅事業及び不動産事業を行っております。愛知県の新築住宅需要は盛況ではありますが、当社としてはさらなる発展を目指し、首都圏への進出を計画しております。首都圏の中でも、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県は、注文戸建及び分譲戸建の新設住宅着工戸数が愛知県とともに全国で上位1~5位を占める、優良な市場であります。このような市場に本格的に参入することで、企業価値のさらなる向上に寄与するよう努めてまいります(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2019年 年次データ)。
③ 生産性の向上
わが国が働き方改革の実現を2016年に唱えてから、当社グループにおいても従業員が各自の能力を最大限発揮することで生産性の向上にも寄与できるよう、ITの積極的な活用も含めた働き方改革に積極的に着手しております。今後も、健全な職場環境への改善を推し進めることで、さらなる生産性の向上に努めてまいります。
④ 『人財』採用・育成の強化
当社グループは、従業員を『人財』として位置付けており、重要な経営資源として認識しております。さらなる企業成長を推し進めるうえで、優秀な『人財』の確保・育成は必要不可欠であると考えております。潜在能力の高い新卒採用及び即戦力となる中途採用を同時に進めることで、適材適所に従業員を配置できるようになり、業務の効率化に寄与することとなります。また、能力を高める研修制度を設けることで、従業員の能力を向上させ、企業価値の向上に取り組んでまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、2017年10月より取締役会設置会社となり、2018年7月に監査役会を設置しております。また、2018年1月には内部監査室を設置しております。当社としましては、組織的なコーポレート・ガバナンス体制の整備・運用が、企業価値向上の一翼を担うものであると認識しており、今後も管理部門の強化に努め、さらなるコーポレート・ガバナンス体制の強化に努めてまいります。