有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/05/20 15:00
【資料】
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【項目】
131項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、『「家がほしい」すべての人のために。』という企業理念の下、マイホームを持つことにより、より多くのご家族の皆様が幸せを感じ取って頂けるように、価格を抑えながらも、デザイン性・品質・性能・居住性に優れた住宅を供給する事を目指しております。
このコストとデザイン・品質・性能・居住性を両立させた商品群が当社の戸建分譲事業の基盤であり、競争優位の源泉であると認識しています。顧客層に関しては、従来の主要顧客層に加え、昨今のデザイン性向上により、所得のより高い層への訴求が可能になったものと認識しています。
(2) 経営戦略等
当社は、上記の企業理念を念頭にデザイン性の高い良質で周辺相場等を意識した合理的な価格で住宅の提供を全国に供給することを目指すなかで、今後の事業規模の飛躍的な拡大を目指してまいります。
そのために既存の事業地域での積極的なシェア拡大を図ることはもとより、戸建分譲事業において市場性のあるエリアへの新規出店と早期収益化を併せて行うことで、安定した収益基盤の確保による着実な企業体力の強化を推し進めてまいります。
具体的には東海エリアの既存の事業地域においては、静岡支店及び浜松支店による静岡県内でのシェア維持・拡大、名古屋支店及び浜松支店による愛知県及び岐阜県でのシェア及びエリアの拡大、関東エリアでの既存の事業地域においては、横浜支店、神奈川支店及び相模原支店による神奈川県及び周辺エリアでのシェア及びエリアの拡大、大宮支店による埼玉県でのシェア及びエリアの拡大、城東支店による東京都でのシェア及びエリアの拡大を図ります。
また、特に、分譲戸建住宅の新設住宅着工戸数が全国で上位1~6位を占める(出典:国土交通省 建築着工統計調査)、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏(1都3県)及び、愛知県において、今後も新規出店を進め、地盤の静岡県以外でも、東海エリア及び関東エリアにおいて事業基盤の拡充やシェア拡大の布石を着実に打ってまいります。
東海エリア/静岡県の深耕
当社が創業来地盤としてきた静岡県の分譲戸建住宅市場は、静岡市内でのトップ・シェアを維持しているものの、市場規模は縮小傾向にあります。静岡支店、浜松支店においては、周辺相場等を意識した合理的な価格帯の商品を販売促進での訴求力で販売してシェアを拡大してきたこれまでの戦略を転換し、デザイン性をより高めた商品で差別化を図り、全面的な価格競争を回避して、シェア維持、市場の深耕開拓に取り組んでおります。
東海エリア/愛知県(岐阜県含む)の事業領域拡大
名古屋支店が愛知県だけでなく岐阜県へ進出したり、浜松支店が静岡県西部だけではなく愛知県東部(豊橋市・豊川市など)にも進出したりするなど、仕入れを強化することで、新たな東海エリア/愛知県(岐阜県含む)における事業エリアの拡大にも取り組んでおります。
中期的には、3年以内にもう1拠点を新設し、当エリアでの事業拡大を進める予定です。
関東エリアでの拡大
横浜支店、神奈川支店、相模原支店、大宮支店、城東支店による神奈川県、埼玉県、東京都、千葉県のシェア拡大を図り、エリアの特性とコストを意識した商品企画により、今後更なるシェア拡大を積極的に推し進めてまいります。
また中期的には毎年1店ペースで拠点を開設していき、新たな関東エリアにおける事業エリアの拡大を推し進めていく予定です。
最近5年間の地域別事業所数の推移
期 別
エリア
2017年8月期末2018年8月期末2019年8月期末2020年8月期末2021年8月期末
国内事業所
東海エリア23333
関東エリア(※1)23455
46788

(※1)関東エリアには東京オフィスを含む。
(※2)2021年8月期末には相模原支店(2021年12月開設)は含まない。
今後3年間の地域別事業所数の推移(予定)
期 別
エリア
2021年8月期末2022年8月期末2023年8月期末2024年8月期末
国内事業所
東海エリア333(※3) 4
関東エリア(※1)5(※2) 678
891012

(※1)関東エリアには東京オフィスを含む。
(※2)関東エリアの2022年8月期に増加予定の1支店は、2021年12月に相模原支店を開設済み。
(※3)東海エリアの2024年8月期に増加する1支店は、愛知県内の予定。
施工能力の強化
施工においては、既存拠点のシェア拡大及び新拠点の開設に対応するため、各拠点への施工責任者配置と施工人員増員を行いつつ、既存業者との関係深化や新規業者の開拓を続け、施工能力の強化を図っております。
販売促進のデジタルシフト
販売促進においては、自社販売を行う支店(東海エリア)において、紙媒体及びWEBサイト内で当社スマートフォンサイトへの誘導などを積極的に行っておりますが、さらにLINEなどSNSを積極的に活用して告知等を強化し、デジタルマーケティングの強化を図っております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の行う戸建分譲事業では、今後の事業の拡大のために積極的なシェア及びエリアの拡大と人員の確保が必要であり、その手段として着実な利益計上による財務基盤の強化が必要であることから、当社は収益性指標として売上高営業利益率を重視してまいります。
(4) 経営環境
新型コロナウイルス感染症により世界経済の先行き不安から、企業部門や家計部門の景気の現状判断が低下しており、企業収益の伸び悩みも含め、これからの景気の回復傾向に弱さが見られる状況となっております。しかしながら住宅市場では政府及び日銀の低金利政策による住宅ローン金利水準の低位安定や政府による住宅取得支援制度もあり、新設住宅の着工は底堅く推移しております。
当社の主要事業が属する住宅市場は、中長期的な世帯数の減少による市場縮小、新規参入による競合他社との競争激化、中古住宅やリノベーション等の需要の増加が予測されます。また、施工関連人材の高齢化に伴う人材不足や運送業界における人材不足に伴う輸送コストの上昇等による建築コストの上昇が懸念されているものの、一方足元では、2021年4月頃からの世界的なウッドショックの発生以降、建築コストは当初急激に上昇した後、その後は供給不安は後退したものの価格は高止まりしております。
当社が主戦場とする郊外の分譲戸建住宅は、ウィズコロナ下での新しい生活様式の拡大を背景に需要が高まっており、デザイン重視の商品戦略との相乗効果もあって当社の新築分譲戸建住宅が選ばれています。
少子高齢化の進む状況にあって新設住宅着工数(総戸数)は減少傾向にあるものの、分譲戸建住宅市場は過去10年間でも12.2万~14.1万棟/年(出典:国土交通省公表 建築着工統計調査)で比較的安定して推移しております。コロナ禍を通じて分譲戸建住宅が見直されることで、新設住宅に占める種別では分譲戸建住宅の比率は益々高まるものと期待しており、当社国内分譲戸建住宅市場におけるシェアは未だ1%にも満たない水準であることから、シェアを拡大する余地は十分にあるものと考えております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①事業エリアにおけるシェアの拡大
当社は静岡県に本社(静岡支店併設)及び浜松支店、神奈川県に横浜支店、神奈川支店及び相模原支店、愛知県に名古屋支店、埼玉県に大宮支店、東京都に城東支店を置き、戸建分譲事業を行っております。横浜支店は2010年11月、名古屋支店は2014年5月、浜松支店は2018年6月、神奈川支店は2019年3月、大宮支店は2020年8月、城東支店は2020年10月、相模原支店は2021年12月に開設いたしました。静岡県における分譲戸建住宅の着工棟数においてシェアは2位(出典:2020年4月~2021年3月株式会社住宅産業研究所調べ)となっておりますが、愛知県、神奈川県、埼玉県、東京都、千葉県においてはシェアが低いため、今後シェア拡大に取り組んでまいります。
②プロジェクト用地取得の強化
当社の行う戸建分譲事業においてプロジェクト用地の仕入は最も重要な施策であると認識しております。プロジェクト用地の仕入には仲介業者を通じた仕入を多く行ってきておりますが、常に新規の仲介業者の開拓を行い、既存の仲介業者との密接な関係を継続的に構築していきながら、不動産情報についてもより多方向から取得していく仕組みを築き上げ、用地取得強化に向けて取り組んでまいります。
③原価低減
当社の企業理念である『「家がほしい」すべての人のために。』を実現すべく、周辺相場等を意識した合理的な価格で、デザイン性・品質・性能・居住性に優れた住宅を提供する上で原価低減の不断の努力は欠かせません。原価低減の施策として、プロジェクト用地の取得についてもより安く仕入を行うことが重要であります。また、建築コストについても材料費、外注費に関して、今後の当社の事業拡大に合わせたスケールメリットを生かし、品質を維持しながらも更なる建築コストの低減に取り組んでまいります。
④プロモーション施策
当社は自社販売を行う支店(東海エリア)では、自社による販売促進活動にも注力しており、ホームページ上において自社販売物件については詳細な情報が誰でも自由に閲覧できるようにしております。現在は紙媒体による広告活動の他にスマートフォンサイトに注力しており、分かりやすさ見やすさの向上に取り組んでいます。また、紙媒体ではLINEなどのSNSツールへの誘導に取り組んでおります。今後の事業拡大及びシェアの拡充に伴い、顧客ニーズや地域特性に合わせたプロモーションを企画し、当社の物件を顧客に訴求していくことは重要であり、より一層当社の物件の魅力が伝わるよう取り組んでまいります。
⑤人材確保
当社が今後規模を拡大する上で、人材の確保は重要であります。シェア拡大に伴う営業職、設計及び施工技術者、管理系人員と様々な職種で人員確保が課題であると認識しております。また、既存社員のスキル向上に伴う生産性向上も重要であると考えております。当社としても今後は積極的な人材採用活動並びに研修活動を通じ、人材の維持、確保に努めてまいります。
⑥資金調達
当社のプロジェクト遂行には資金力が不可欠であり、現在は各金融機関よりプロジェクト毎に規模、期間を考慮しながら機動的な資金調達をしております。今後の当社の規模拡大に伴い、安定した調達力の維持のみならず、資金効率の最適化を図り、金融費用の低減を図っていくことは今後さらに重要となっていくことから、より一層在庫管理及び財務管理に取り組んでまいります。