有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/11 15:00
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」を企業理念としております。
この企業理念は、エニタイムフィットネスの世界共通の理念であった「Get to a Healthier Place!」を日本語で表現したものですが、そこには、「ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けたい」という強い想いが込められています。
当社グループは、エニタイムフィットネスが24時間年中無休・マシンジム特化型等の特徴的なフィットネスクラブを運営することで利用者の健康増進に寄与していることに深く共感し、日本でのエニタイムフィットネスのビジネスを開始しました。
当社グループは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」を実現するために、ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けることを経営方針としております。
(2) 経営環境と中期的な経営戦略
①経営環境
当社グループの属するフィットネス業界におきましては、2021年に開催が延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた健康意識の高まりや、政府主導の働き方改革等によるライフスタイルの改善などにより、健康・スポーツに対する関心も高まってきております。特に、当社をはじめとする小規模フィットネスやヨガスタジオ等の増加によって、全国のフィットネスクラブの店舗数、市場規模ともに伸びておりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の集団感染が発生した場所としてスポーツジムが取り上げられ、緊急事態宣言発令により各都道府県から休業要請を受ける等、フィットネスクラブ業界に対して一時的に逆風が吹いており、当業界の事業への影響は避けられないものと予想しております。
当社グループが運営するエニタイムフィットネスに代表される24時間セルフサービス型ジムは、集団感染が発生したとされるスタジオ等が併設される総合型スポーツクラブ等に比して、感染リスクは少ないと考えておりますが、「3密」にならない対策を強化し、エニタイムフィットネスが「安心」で「安全」なジムであることを訴求し、競合他社との差別化を図っております。
これらの点も含め、フィットネス業界における当社グループの企業構造、サービスの内容・特徴、顧客基盤、競争優位性等については、以下の認識をもっております。
ア)企業構造
当社グループは、エニタイムフィットネスの日本におけるマスター・フランチャイジーとして、フランチャイズシステム全体を運営する当社と、FCの1社としてエニタイムフィットネスの店舗を運営する連結子会社によって構成されています。
そのため、当社グループは「フィットネスクラブ運営事業」の単一セグメントであるものの、フランチャイズビジネスの性質を有し、各FCから各店舗毎に毎月一定額のロイヤリティ等の収入を得ており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による個人消費の変動に一定の抵抗力を保持しているものと考えております。
イ)サービスの内容・特徴
当社グループが運営するエニタイムフィットネスは、24時間年中無休(※)、マシンジム特化型、低価格、世界全店利用可能という特徴を有しております。
(※)改装、停電、検査等のため休業する場合があります。
ウ)顧客基盤
エニタイムフィットネスは、24時間営業していることから授業や仕事のない早朝や夜間・深夜帯の利用が可能となることもあり、学生や働く現役世代等、男女とも比較的若い世代からの支持を多く集めております。また、男女比率は男性の比率が高い傾向にあります。これは、男性の場合、ヨガやピラティス等、主に女性を対象とした他のサービスとの競合が少ないことが一因であると認識しております。
エ)店舗網
エニタイムフィットネスは、2020年4月に初めて高知県(高知本町店)に出店したことにより、全47都道府県への出店を達成しております。エニタイムフィットネスのサービスの1つである世界全店利用可能という特徴は、店舗網を充実させることで、より会員様の利便性が向上するものと認識しております。
②中期的な経営戦略
当社グループは、新しい日常にふさわしいフィットネスジムとはどんな場所なのかを共に考え、「これからのあたりまえ」を会員の皆様と一緒につくっていきたいとの想いから、「NEXT STANDARD FITNESS これからのあたりまえを、一緒に!」のスローガンを掲げております。「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」の理念を、「Withコロナの時代」に実現し続けるため、会員の皆様、スタッフ、さらには地域コミュニティの皆様の安全を第一に考え、安心して安全にワークアウトができるフィットネスジムを実現し、地域社会と健康を志向する人々の期待に応えることが求められていると考えております。
当社グループでは、ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届け、会員様の利便性をさらに向上させるための経営戦略として、i)積極的な出店の継続、ii)FCオーナーとの関係強化及び店舗クオリティの維持・改善・向上、iii)企業の成長性と健全性のバランスがとれた企業価値の最大化、を掲げており、株主の皆様をはじめとしたすべてのステークホルダーと社会から高い信頼と評価を得られることを目指してまいります。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的に事業を拡大していくために成長性と収益力を重視しており、FCから1店舗毎に所定の金額を店舗数に応じて得ているロイヤリティ収入と、直営店における会費収入という主に2つの大きな収益源を有していることから、成長性を示す指標として出店数、会員数及び売上高対前年比を、収益力を示す指標として売上高営業利益率を重視しております。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
上記のような状況を踏まえ、当社グループは、「いつでも、どこでも、安心安全にトレーニングできる場とスタイルを提供し続ける」というミッションのもと、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。
① 「安心」「安全」「清潔」「快適」な店舗クオリティの維持・改善・向上
当社グループは、「24時間年中無休」を支える安心安全の仕組みを継続するため、店舗クオリティに係る「ハード」(内外装)と「ソフト」(現場力)の維持・改善・向上を課題と認識しており、経営戦略の1つとして「FCオーナーとの関係強化及び店舗クオリティの維持・改善・向上」を掲げております。
この課題に対応するため、ハードについては、顧客ニーズに対応した店舗のリノベーション、リニューアル及びトレーニングマシンの更新等、施設面の充実を図っております。また、ソフト面では直営店については、経験豊富なエリアマネージャーが担当店舗に勤務又は巡回することなどにより、マニュアルに沿った店舗運営を行き届かせる体制を構築し、FC店についてはFCオーナーとの関係を強化し、FCオーナーに当社グループの企業理念・運営方針を理解して頂きながら、FCオーナーから各店舗への運営指導を十分に行き届かせるための体制を構築して頂いております。また、直営店を含む店舗スタッフを対象とした各種研修・育成プログラム等を実施してきております。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、「入館ルールの設定・告知」、「パーティション設置又はスペース確保(社会的距離の確保)」、「入館・利用制限・利用時間制限」、「マスク着用」、「マシン間隔の確保」等の新しいルールを制定し、会員の皆様のご協力を得ながら、これらの取り組みを徹底することにより、「3密にならないフィットネスクラブ」を実践し、「安心」「安全」「清潔」「快適」なジムを会員の皆様と一緒につくってまいります。
② 店舗数の更なる拡大
当社グループは、成長性を示す指標として出店数を重視しており、店舗数の更なる拡大を課題と認識しており、経営戦略の1つとして、「積極的な出店の継続」を掲げております。
この課題に対応するため、都心型(昼人口が多い)、マーケット潤沢型(住民が多い)、ロードサイド型(駐車場が併設されている)という区分を設け、継続的に出店の検討を進めており、都心部だけではなく、全国各地における未出店エリアへの出店を目指しております。
また、継続的に店舗数を拡大していくためには、当社グループの業態に適した店舗物件の確保が重要な課題であります。当社グループとしては、店舗物件情報の入手ルートを拡大するとともに、店舗物件のマーケット分析等をさらに強化しております。これらの対策を行うことにより、未出店エリアへの出店を進め、顧客ニーズに迅速に対応できる体制を整えてまいります。
③ 会員数の更なる拡大
当社グループは、成長性を示す指標として会員数も重視しており、店舗数の維持拡大とともに、会員数を更に拡大すること、解約率を抑制することを課題と認識しております。
この課題に対応するため、認知度向上やブランド力の向上のための各種施策に加え、安心安全の徹底的な追求のほか、他店舗の利用に係る追加手数料が不要であるメリットを活かしたドミナント展開をし、顧客にとっての更なる利便性の向上に取り組んでまいります。
④ 収益性の維持・向上
急速に出店してきているため、業務運営及び業績が良好ではない店舗が発生し、その結果として、会員数が十分に確保できないことに加え、カニバリゼーション、店舗間格差及び(店舗に係る)減損損失の発生等により、当社グループの収益性が悪化してしまうことを課題と認識しております。
経営戦略の1つとして、「企業の成長性と健全性のバランスがとれた企業価値の最大化」を掲げており、この課題に対応するため、直営店舗数とFC店舗数のバランスに配慮した、効果的な出店戦略を当社が主導するとともに、出店の意思決定を、社内ルールに従って適切に実行することを徹底する方針です。
⑤ 新しい事業領域の開拓
当社グループは、エニタイムフィットネスの日本におけるマスター・フランチャイジーとして、フィットネスクラブの運営を通じた収入を主たる収益源としております。事業運営の基盤を安定させるため、フィットネスクラブ運営事業に軸足を置きつつ、収益源を多角化するための新しい事業領域の開拓を課題と認識しております。
この課題に対応するため、現在、新規事業について検討を進めております。当社グループの企業理念に賛同する健康志向の高い55.0万人(2020年9月30日時点)の会員様に対して「健康」をテーマにした事業を構想しており、新たな収益源の獲得を目指します。
⑥ 内部統制の強化
企業の社会的責任を積極的かつ十分に果たしていくためには、法令順守にとどまらない内部統制の強化が重要であります。当社グループの急速な事業規模の拡大に伴い、従来にも増して各種事業リスクの発生が想定され、これらのリスクを未然に防ぐ必要があります。そのために、社内においては規程類の見直しや内部監査機能の強化を行うとともに、監査法人や顧問弁護士等の社外専門家との連携をより一層密にすることで、リスクの防止に努めてまいります。なお、取締役会にて「業務の適正を確保するための体制及び当該体制の運用状況」を定め、当該基本方針に基づいた内部統制システムの運営を行っております。
⑦ 情報管理体制の強化
当社グループは、フィットネスクラブ運営事業を行っており、その事業の特性上、多数の会員様の個人情報を有しているため、情報管理が最重要課題であると認識しております。当社グループにおいては、個人情報管理規程に基づいた個人情報管理体制を構築し運用しております。特に、会員管理システムにおける個人情報の取り扱い等において厳格なルールを定め、当社の従業員の役割に応じて、アクセス出来る個人情報についても制限を設けております。
今後も、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティーシステムの整備等を実施し、情報管理体制の維持及び強化を図ってまいります。
⑧ 社会への貢献
当社グループは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」という企業理念を掲げており、ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けることを経営方針としております。そのためには、 店舗を創るだけでなく、いろいろな形で積極的に社会に関わっていくことが重要であると考えております。
そのため、2018年10月に積極的に社会とつながるべく『社会とつながろう!OPENフィットネス宣言』を発表し、国連の「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals:SDGs)」に即した企業活動を行うことを宣言しました。これは、4%台前半と言われている日本のフィットネス参加率(注)を、欧米並みの10%台(注)に近づけ、フィットネスを日常的でスタンダードなカルチャーにするために、エニタイムフィットネスがもっと社会に開かれたフィットネスクラブになることを目指して宣言したものです。
その取り組みの一環として、店舗リニューアル時に発生する入替マシンを日本全国の離島に寄贈する『Healthier Islands Project(ヘルシア アイランド プロジェクト)』を開始し、第1弾として、2019年3月に沖縄県島尻郡座間味村にトレーニングマシンを寄贈しました。加えて、小児がんと闘病しているお子さんやそのご家族への支援を行っている公益財団法人「がんの子どもを守る会」へも協賛しております。
(注)出典:株式会社クラブビジネスジャパン発行「Fitness Business」HPより。2018年時点。