有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/12 15:00
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
エニタイムフィットネスは、世界共通の理念として「Get to a Healthier Place!」を掲げ、24時間年中無休・マシンジム特化型等の特徴的なフィットネスクラブの運営により、利用者の健康増進に寄与しております。
当社グループは、この「Get to a Healthier Place!」というエニタイムフィットネスの理念に深く共感し、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」と日本語で表現して、「ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けたい」という強い想いで日本でのエニタイムフィットネスのビジネスを開始しました。
当社グループは、この理念をより具現化する意味も込めて、2018年10月に積極的に社会とつながるべく『社会とつながろう!OPENフィットネス宣言』を発表し、国連の「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals:SDGs)」に即した企業活動を行うことを宣言しました。これは、3%台と言われている日本のフィットネス参加率(注)を、欧米並みの10%台(注)に近づけるべく、エニタイムフィットネスがもっと社会に開かれたフィットネスクラブになることを目指して宣言したものです。
その取り組みの一環として、店舗リニューアル時に発生する入替マシンを日本全国の離島に寄贈する『Healthier Islands Project(ヘルシア アイランド プロジェクト)』を開始し、第1弾として、2019年3月に沖縄県 座間味村にトレーニングマシンを寄贈しました。加えて、小児がんと闘病しているお子さんやそのご家族への支援を行っている公益財団法人「がんの子どもを守る会」への協賛も開始しております。
今後も当社グループでは、“ヘルシアプレイスをすべての人々へ!”という企業理念のもと、フィットネスが非日常ではなく日常に、そしてステイタスではなくスタンダードになり、「誰もが健康的に暮らせる心豊かな社会を実現すること」を目指して出店を継続し、企業の成長性と健全性のバランスをとりながら、企業価値の最大化及び株主の皆様をはじめとしたすべてのステークホルダーと社会から高い信頼と評価を得られることを目指してまいります。
(注)出典:株式会社クラブビジネスジャパン発行「Fitness Business」HPより。2016年時点。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的に事業を拡大していくために成長性と収益力を重視しており、成長性を示す指標として出店数と売上高対前年比を、収益力を示す指標として売上高営業利益率を重視しております。
また当社グループでは、直営店がFC店を指導する体制としているため、店舗数に占める直営店の割合についても重視しております。
(3) 経営環境
当社グループの属するフィットネス業界におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催等による健康意識の高まりや、政府主導の働き方改革等によるライフスタイルの改善などにより、健康・スポーツに対する関心も高まってきており、成長の機会を迎えております。特に、当社をはじめとする小規模フィットネスやヨガスタジオ等の増加によって、全国のフィットネスクラブの店舗数、市場規模ともに伸びています。
中でも当社が運営するエニタイムフィットネスに代表される24時間セルフサービス型ジム等の出店が増加しており、異業種からの新規競合クラブの出店等もあり、サービス面や価格面でもより一層の競争の激化が予想されます。
また、国内の雇用環境の改善傾向が継続する一方で、国内の労働人口が減少しており、多くの業界が人材確保に苦慮するなか、コスト上昇の影響も懸念されております。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
上記のような状況を踏まえ、当社グループは、「いつでも、どこでも、安心安全にトレーニングできる場とスタイルを提供し続ける」というミッションのもと、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。
① 店舗クオリティの維持・改善・向上
当社グループは、「24時間年中無休」を支える安心安全の仕組みを継続するため、店舗クオリティに係る「ハード」(内外装)と「ソフト」(現場力)の維持・改善・向上を課題と認識しております。
この課題に対応するため、ハードについては、顧客ニーズに対応した店舗のリノベーション、リニューアル及びトレーニングマシンの更新等、施設面の充実を図っております。また、ソフトについては、直営店がFC店の運営指導を行っていますが、運営指導を十分に行き届かせるための直営店舗数の確保、店舗巡回の強化を図っています。また、直営店を含む店舗スタッフを対象とした各種研修・育成プログラム等を実施してきております。
② 店舗数の更なる拡大
当社グループは、成長性を示す指標として出店数を重視しており、店舗数の更なる拡大を課題と認識しております。
この課題に対応するため、都心型(昼人口が多い)、マーケット潤沢型(住民が多い)、ロードサイド型(駐車場が併設されている)という区分を設け、継続的に出店の検討を進めており、都心部だけではなく、全国各地における未出店エリアへの出店を目指しております。
また、継続的に店舗数を拡大していくためには、当社グループの業態に適した店舗物件の確保が重要な課題であります。当社グループとしては、店舗物件情報の入手ルートを拡大するとともに、店舗物件のマーケット分析等をさらに強化しております。これらの対策を行うことにより、未出店エリアへの出店を進め、顧客ニーズに迅速に対応できる体制を整えてまいります。
③ 会員数の更なる拡大
当社グループは、店舗数の維持拡大とともに、会員数を更に拡大すること、解約率を抑制することを課題と認識しております。
この課題に対応するため、認知度向上やブランド力の向上のための各種施策に加え、安心安全の徹底的な追求のほか、他店舗の利用に係る追加手数料が不要であるメリットを活かしたドミナント展開をし、顧客にとっての更なる利便性の向上に取り組んでまいります。
④ 収益性の維持・向上
急速に出店してきているため、業務運営及び業績が良好ではない店舗が発生し、その結果として、会員数が十分に確保できないことに加え、カニバリゼーション、店舗間格差及び(店舗に係る)減損損失の発生等により、当社グループの収益性が悪化してしまうことを課題と認識しております。
この課題に対応するため、直営店舗数とFC店舗数のバランスに配慮した、効果的な出店戦略を当社が主導するとともに、出店の意思決定を、社内ルールに従って適切に実行することを徹底する方針です。
⑤ 新しい事業領域の開拓
当社グループは、エニタイムフィットネスの日本におけるマスター・フランチャイジーとして、フィットネスクラブの運営を通じた収入を主たる収益源としております。事業運営の基盤を安定させるため、フィットネスクラブ運営事業に軸足を置きつつ、収益源を多角化するための新しい事業領域の開拓を課題と認識しております。
この課題に対応するため、現在、新規事業について検討を進めております。当社グループの企業理念に賛同する健康志向の高い約55万人(2019年12月31日時点)の会員様に対して「健康」をテーマにした事業を構想しており、新たな収益源の獲得を目指します。
⑥ 内部統制の強化
企業の社会的責任を積極的かつ十分に果たしていくためには、法令順守にとどまらない内部統制の強化が重要であります。当社グループの急速な事業規模の拡大に伴い、従来にも増して各種事業リスクの発生が想定され、これらのリスクを未然に防ぐ必要があります。そのために、社内においては規程類の見直しや内部監査機能の強化を行うとともに、監査法人や顧問弁護士等の社外専門家との連携をより一層密にすることで、リスクの防止に努めてまいります。なお、取締役会にて「業務の適正を確保するための体制及び当該体制の運用状況」を定め、当該基本方針に基づいた内部統制システムの運営を行っております。
⑦ 情報管理体制の強化
当社グループは、フィットネスクラブ運営事業を行っており、その事業の特性上、多数の会員様の個人情報を有しているため、情報管理が最重要課題であると認識しております。当社グループにおいては、個人情報管理規程に基づいた個人情報管理体制を構築し運用しております。特に、会員管理システムにおける個人情報の取り扱い等において厳格なルールを定め、当社の従業員の役割に応じて、アクセス出来る個人情報についても制限を設けております。
今後も、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティーシステムの整備等を実施し、情報管理体制の維持及び強化を図ってまいります。