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有価証券報告書-第14期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/28 15:44
【資料】
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【項目】
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有報資料

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」をコンセプトとしたサービスを提供しております。
(2) 当社グループの強み
① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション
国内企業の99.7%を占める中小企業(注1)は大企業と比べて生産性が低く、テクノロジー活用において大きな成長ポテンシャルが存在しております。当社グループは、個人事業主をはじめ、従業員規模別に法人顧客を区分したSmall(従業員19名以下)及びMid(従業員20名以上1,000名以下)の3領域に対して、それぞれのニーズに即したソリューションを提供しております。(注2)
当社グループは、スモールビジネス向けのクラウド会計ソフト及びクラウド人事労務ソフトのTAM(注3)について、合計で約1.7兆円と推計(注4)しております。また、国内の中小企業におけるバックオフィス向けクラウドソフトの利用率は47.7%(注5)、個人事業主におけるクラウド会計ソフトの利用率は38.4%(注6)であり、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。また、大企業よりも深刻な採用難(注7)や高い離職率(注8)等、人材確保が喫緊の経営課題である中小企業において業務効率化ニーズがますます高まっています。加えて、中小企業の事業承継の活発化(注9)や新設法人数の増加(注10)といった企業の新陳代謝も、スモールビジネスにおけるクラウド浸透の追い風になっていると考えております。
前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由」にて記載のとおり、当社グループの提供するサービスは、従来型の会計ソフト・人事労務ソフトを単にクラウド化したものとは異なる統合型の経営プラットフォームであり、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化、及び経営者の意思決定のナビゲーションにも寄与するものです。こうしたユニークなサービス設計・顧客価値により、成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場において当社グループのユーザー規模は創業以来順調に拡大しており、マーケットリーダーとして業界を牽引しております。
(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2026年版)」
2.個人事業主、Small及びMidにおける潜在企業数と出所は下表のとおり。尚、Midの潜在企業数については、「令和3年 経済センサス 活動調査」における雇用者規模20~999名の企業数を参考値として使用。
顧客セグメント潜在企業数出所
個人事業主4,488,359国税庁令和5年調査
Small(従業員19名以下の法人)1,768,899令和3年
経済センサス 活動調査
Mid(従業員20名以上1,000名以下の法人)291,957

3.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではない。各プロダクトのTAMは、一定の前提の下、外部統計資料をはじめ、プロダクトラインナップ拡充やプラン改定等の当社ビジネスの取り組み状況も踏まえ、国内における全潜在ユーザー企業において各プロダクトが導入された場合の年間支出総金額を当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性がある。
4.国内の潜在ユーザー企業に対し、「freee会計」「freee人事労務」及び隣接領域プロダクトが導入された場合に想定される年間支出総金額。潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員1,000名未満の法人の合計(潜在ユーザー企業数(国税庁「令和6年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 「freee会計」「freee人事労務」及び隣接領域プロダクトの従業員規模別の想定年間課金額)
5.令和7年通信利用動向調査(総務省情報流通行政局)より、従業員数100名以上999名以下の企業における財務会計・人事・給与向けクラウドソフトの利用率を当社にて推計。
6. クラウド会計ソフトの利用状況調査(2026年3月末)(株式会社MM総研)
7. リクルートワークス研究所(2025)、「ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」。従業員300名以上の企業における大卒求人倍率は約0.9倍である一方、従業員300名未満の企業における同倍率は約9.0倍。
8. 厚生労働省「雇用動向調査(2025年版)」。従業員1,000名以上の企業における離職率は12.5%である一方、従業員100~299名の企業における離職率は17.9%。
9. 中小企業庁「中小企業白書(2026年版)」。事業承継・引継ぎセンターにおける事業承継の成約件数は、2021年度から2024年度にかけて約1.5倍に増加。
10.「国税庁法人番号公表サイト」より、各年に新たに法人番号が指定された法人を新設法人として抽出し集計。2016年から2025年にかけて新設法人数は約4割増加。
② スモールビジネス向けクラウドERP市場及びアウトソース市場における更なるTAMの拡大
当社グループは、従来の会計・人事労務ソフトの枠を超え、バックオフィス全体の効率化に資する統合型業務ソフト(ERP)を志向してサービスを提供しております。今後もプロダクトラインナップを継続的に拡充し、スモールビジネス向けERPとして提供価値の強化を目指してまいります。バックオフィス全体の効率化に資するERP市場として捉えた場合、当社グループが狙うTAMは合計で約3.7兆円(注1)に達すると試算しており、持続的な事業成長の強固な基盤として捉えています。さらに当社グループは、AI活用の加速によりアウトソースビジネスの事業拡大を推進しております。人材確保が喫緊の課題であるスモールビジネスのバックオフィス人件費の市場は約33.5兆円(注2)と推定しており、同市場に対するアウトソースサービスの浸透を進めてまいります。
(注)1.国内の潜在ユーザー企業に対し、「freee会計」「freee人事労務」「freee販売」「freeeサイン」「freee業務委託管理」及びファイナンスサービス(カード・ファクタリング)等が導入された場合に想定される年間支出総金額。潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員1,000名未満の法人の合計。(潜在ユーザー企業数(国税庁「令和6年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 各プロダクト及びサービスの従業員規模別の想定年間課金額)
2.常用雇用者数×バックオフィス人員比率×平均人件費により算出。常用雇用者数は、総務省統計局「令和3年 経済センサス活動調査」の中小企業の常用雇用者数を参照。バックオフィス人員比率は、総務省統計局「令和4年 就業構造基本調査」をもとに中小企業の事務従事者の割合を推計。平均人件費は、国税庁「令和6年 民間給与実態統計調査」の中小企業の平均給与をもとに推計。いずれのデータも、従業者数999名以下の企業を対象とする。
③ AIエージェント時代に強くなるSaaSとしての競争優位性
当社グループは、AIエージェントの進展に伴う事業環境の変化に対し、以下4つの要素を軸とした強固な競争優位性を構築しております。第一に、「System of Record(企業活動の正しい記録)」としてのデータ基盤と完全性です。会計申告や人事労務等、制度上の確定データが不可欠な領域において、すべての取引証憑や仕訳履歴を「Single Source of Truth(真実の唯一のソース)」として一元管理・蓄積する構造を有しており、AIエージェントが正確な判断・処理を行うための前提となるデータの正当性と整合性を担保します。第二に、End-to-Endの統合型プラットフォームである点です。単一機能の提供にとどまらず、証憑回収から決算・申告に至る一連の業務プロセスを横断的に統合しています。さらに国内の法規制や独自の商習慣に準拠した統合ワークフローエンジンを備えることで、AIエージェントによる業務全体の自律的な完遂を可能にします。第三に、AIエコシステムにおける高いアクセシビリティです。創業後早期からのパブリックAPI公開を通じてオープンエコシステムを推進しており、汎用AIエージェントや各種アプリケーションとの円滑な連携を可能にする技術的基盤を有しております。第四に、ガバナンスと説明責任(アカウンタビリティ)を担保する証跡基盤です。権限設定や監査ログによりAIの適切な挙動とトレーサビリティ(追跡可能性)を保証するとともに、会計士・税理士等のプロフェッショナルとの強固なエコシステムを確立することで、実務における最終的な信頼性を担保しております。
④ 高い安定性を誇る財務モデル
当社グループは、統合型プラットフォームの価値向上を見据えプロダクトラインナップの拡充を推進しており、クロスセルによる収益拡大のポテンシャルを継続的に高めております。また、人事労務領域のプロダクトを中心に従業員数に応じた課金モデルを導入することで、顧客企業の成長に伴う従業員数の増加により自動的に収益が拡大する仕組みを構築しております。さらにカスタマーサクセスの取り組みにも注力し、2026年6月期における月次平均解約率(注1)は約1.0%となりました。スモールビジネスは大企業と比して廃業率が高く、また他社のソフトウェアへの乗り換えも多い傾向にあるなか、当社グループは継続的な解約率の低減を実現しております。このような取り組みを通じて顧客生涯価値(LTV)(注2)の長期的な最大化を図り、高い安定性を誇る財務モデルを実現しております。
(注) 1.(当該月に有料課金ユーザーでなくなったユーザーに関連するARR÷前月末ARR)の過去12ヶ月平均。当社の全顧客領域を対象に集計。
2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期間×MRR×売上総利益率によって算出。
⑤ 企業文化
「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションの実現に向け、当社グループは「マジ価値を届けきる集団」であると自己定義し、「本質的な価値(マジ価値)をユーザーに届けきること」を世の中へのコミットメントとして位置づけております。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする」という意味であり、当社グループが創業以来、大切にしている考え方です。同時に、これは届いてこそ意味があるという考えから、マジ価値を届ける共通基盤である全役員及び全従業員が持つべきマインドとして「マジ価値2原則」を、マジ価値をチームとして届けるために大切にしたい行動として「マジ価値指針」を全役員及び全従業員で議論し浸透させております。
また、当社グループは原則全日出社の方針を設け、働き方の柔軟性を担保しながら「一緒に出社」することで高いスピード感で事業を推進しております。
当社グループは、ミッションやコミットメントに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感・カルチャーを持つ組織を実現しています。
マジ価値2原則
・「社会の進化を担う責任感」:社会をよい方向へ進化させる責任を有するという自負をもって、あきらめずに挑戦する姿勢。また、世の中を変えうるよい事例は率先してつくるという姿勢
・「ムーブメント型チーム」:目指すべき世の中の方向性に共感し、自律的にアクションを起こす姿勢
マジ価値指針
・「理想ドリブン」:理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける
・「アウトプット⇒思考」:まず、アウトプットする。そして考え、改善する
・「Hack Everything★」:取り組んでいることや持っているリソースの性質を深く理解する。その上で枠を超えて発想する
・「ジブンゴーストバスター」:フィードバックを貪欲に求めることで、自分が認識出来ていない自分を知る。強み・弱みと向き合い、自分を進化させ続ける。
・「あえて共有」:人とチームを知る。知られるよう共有する。オープンにフィードバックをしあうことで一緒に成長する
(3) 経営環境
我が国は、少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口の減少が見込まれております。また、2017年3月に政府から「働き方改革実行計画」が発表されて以降、労働環境の規制が強化されています。加えて、最低賃金も上昇するなど、労働生産性の向上が益々要求される局面を迎えております。生産年齢人口が減少する一方で、新設法人数や副業者数は増加傾向にあります。こうした独立を志向した生き方に対するニーズが時代に合わせて大きくなることで、スモールビジネスの裾野は広がりを見せております。
当社グループでは、このような環境下において、スモールビジネスは労働力への依存から脱却し、テクノロジーに代替可能な作業を積極的に置き換える必要があるほか、だれもが自由に経営できる社会をつくり、新しい生き方のニーズに対応することが重要であると認識しており、スモールビジネスが強くスマートになることに貢献するサービスの開発、提供を目指してまいります。
また、(2) 当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジションに記載がある通り、現状の我が国における会計ソフト及び人事労務ソフトの普及余地は多分に存在するものと考えております。
(4) 中長期的な経営戦略
上記の経営環境を前提とし、今後も継続的な成長を実現することを目的として、中長期成長戦略のもとで事業を推進しております。現在推進している中長期戦略においては、2028年6月期に、成長性と収益性を一体で捉える財務目標として対前期比売上高成長率と調整後営業利益率(注1)の合計で40%(Rule of 40)に到達することを掲げております。このうち、調整後営業利益率については15%以上に向上させ、高成長と収益性向上の両立を図ってまいります。また、キャッシュ創出力の重要指標である調整後フリー・キャッシュ・フロー(注2)についても、2028年6月期に調整後営業利益と同水準に拡大すると見込んでおります。
(注) 1.売上高に対する調整後営業利益の比率。調整後営業利益:営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他の一時費用
2.調整後フリー・キャッシュ・フロー:一般的なフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+ 投資活動によるキャッシュ・フロー)に対して、クレジットカード事業で発生する立替金の増減及び、ファクタリング事業で発生する買取債権の増減が営業キャッシュ・フローに与える影響と、M&Aに伴う支出及び収入が投資キャッシュ・フローに与える影響を調整したもの。
① ユーザー基盤の更なる拡大
当社グループの2026年6月期末における有料課金ユーザー企業数は694,586件であり、創業以来順調に拡大し続けております。これまでは、WebマーケティングやSNS経由で流入した顧客の自発的なユーザー登録をはじめ、インサイドセールス(注1)及びフィールドセールス(注2)経由での獲得が中心でした。近年では、これらのダイレクトチャネル経由での顧客獲得に加えて、会計事務所とのパートナーシップ拡大により会計事務所経由での顧客獲得が大きく伸長しています。これは、会計ソフトと申告ソフトの双方を提供し一気通貫でオンライン完結できるプラットフォームとしての価値が会計事務所及び顧問先から高く評価されているものと考えております。
今後もスモールビジネスへのタッチポイントの深化、多様化を進めることで、ユーザー基盤の更なる拡大を進めてまいります。
プラットフォーム事業の有料課金ユーザー企業数推移(件)(注3)
顧客セグメント2022年6月期末2023年6月期末2024年6月期末2025年6月期末2026年6月期末
全社379,427452,923534,819609,292694,586
個人事業主249,762292,951336,398374,222419,957
法人129,665159,972198,421235,070274,629

(注)1.メールや電話等を活用し、非対面で実施する営業活動
2. 見込み顧客を直接訪問し、対面で実施する営業活動
3. 当事業年度より開示区分を見直し、サブスクリプションサービスの利用顧客を対象とする従来の区分から、クレジットカード等のトランザクションサービスの利用顧客も対象に含めたプラットフォームユーザーとしての開示に変更
② 顧客価値の最大化
当社グループは継続的に新規サービスをリリースしてきたほか、既存サービスの機能改善などにより、顧客価値の向上に努めております。また、プロダクト価値の向上に応じた機動的なプラン改定の実施や、複数プロダクトの利用を促すクロスセルを推進した結果、ARPU(注)の上昇を実現してまいりました。
今後は、収益の中心である会計・人事労務領域に留まらず、「freee販売」をはじめ高い成長ポテンシャルを有する新規事業領域にも注力し、スモールビジネスの業務の効率化と可視化をより幅広い領域で実現することで統合体験を強化していきます。
真にスモールビジネスに必要とされる既存サービスの改善や新規サービスのリリース等を通じて、顧客価値の最大化を目指してまいります。
(注)ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出。
③ 金融サービスの拡大
当社グループは、新規事業領域の1つとして金融サービスに注力しております。2022年1月には、Midセグメント(注1)を中心とした顧客の成長資金ニーズに対応すべく「freeeカード Unlimited」をリリースし、2023年2月にはSmallセグメント(注2)にも提供範囲を拡大いたしました。また、M&Aも積極的に活用しながら金融サービスのラインナップ強化に取り組んでおり、即日払いのファクタリング等の金融支援サービス「FREENANCE」を提供するGMOクリエイターズネットワーク株式会社を2025年9月に完全子会社化いたしました。
今後もスモールビジネスにとって大きな課題である資金繰りに対して、これらの改善を進めるとともに、データとテクノロジーの力を活用することで、あらゆる経営課題の解決に貢献するサービス開発及び提供を目指してまいります。
(注)1.従業員が20名以上1,000名以下の法人を指す。
2.従業員が19名以下の法人を指す。
④ AI活用の推進
当社グループは、プラットフォームの価値強化と社内業務の生産性向上の双方においてAIの活用を進めております。プラットフォームの価値強化においては、AI時代における顧客体験として、業務そのものをAIエージェントに任せきる「Done for You」体験の実現を目指しております。こうした中、顧問先業務に最適化した統合型AIエージェント「freee Agent Hub」を会計事務所向けに、自社の業務フローに合わせてAIエージェントを作成できる「freee AIアシスタント」を法人顧客向けに提供開始するなど、AI関連プロダクト・サービスの市場浸透を推進しております。
また当社グループは、全社的なAI活用を通じた更なる業務効率化・生産性向上を重点施策として推進しております。研究開発をはじめ、セールス、マーケティング、カスタマーサクセスを含む全社的な生産性向上を通じて、売上高成長に対する費用増加ペースを抑制しオペレーティングレバレッジを最大化させ、持続的な事業成長と利益拡大を実現してまいります。
(5) 対処すべき課題
① スモールビジネス向けクラウドERP市場の拡大
当社グループは、スモールビジネス向けのクラウド会計ソフトとクラウド人事労務ソフトのTAMについて、合計で約1.7兆円と推計(注)しております。また、国内の中小企業におけるバックオフィス向けクラウドソフトの利用率は47.7%(注)、個人事業主におけるクラウド会計ソフトの利用率は38.4%(注)であり、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。
当社グループは、スモールビジネス向けクラウドERP市場におけるリーディングカンパニーとして、市場を引き続き牽引することが重要であると認識しております。
(注)前記「(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照。
② 持続可能な社会の実現と、そのための組織体制の整備
「freee会計」、「freee人事労務」をはじめとする各サービスの提供により、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくることで、ユーザーの皆様を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要と考えております。また、当社グループが持続可能な組織であるために、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。
上記をはじめとするサステナビリティ推進活動の詳細に関しては、当社グループWebサイト内の「サステナビリティ」コーナー、及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 情報管理体制の強化
当社グループは、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、専任の情報セキュリティチームを設置しております。また情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。
④ 新規事業の展開とAIイニシアティブの推進
現在、当社グループの収益の大半が「freee会計」や「freee人事労務」等のSaaSサービスから成り立っております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存サービスの伸長に加えて、金融サービスや取引プラットフォームにおける新規事業の展開を積極的に検討してまいります。さらに、統合型経営プラットフォームへのAIエージェントの導入を加速させ、AIに安心して任せきれる「Done for You」体験を実現することで顧客満足度の向上を図ってまいります。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社グループの収益の中心であるSaaSビジネスは、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。一方で、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。当社グループは、2025年6月期に創業以来初となる営業利益の黒字化を達成し、続く2026年6月期においても高成長及び収益性の向上を継続しております。
SaaSビジネスにおいては、投資効率を計る指標として顧客生涯価値(LTV)(注1)と顧客獲得コスト(CAC)(注2)のバランス(LTV/CAC)が重要であるため、これを重要指標の一つとして顧客獲得活動における投資判断を行っております。さらに、既存顧客からの収益拡大の状態を示す重要指標としてNet Revenue Retention Rate(注3)を定めており、収益獲得の効率性を測っております。これらの指標を基準として成長投資を継続することが中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。
現在推進している中長期戦略においては、2028年6月期に、成長性と収益性を一体で捉える財務目標として対前期比売上高成長率と調整後営業利益率(注4)の合計で40%(Rule of 40)に到達することを掲げております。このうち、調整後営業利益率については15%以上に向上させ、高成長と収益性向上の両立を図ってまいります。また、キャッシュ創出力の重要指標である調整後フリー・キャッシュ・フロー(注5)についても、2028年6月期に調整後営業利益と同水準に拡大すると見込んでおります。
(注)1.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期
間×MRR×売上総利益率によって算出。
2.CAC:Customer Acquisition Costの略称。顧客の獲得に要するコストであり、セールス活動及びマーケティング活動に係る費用が該当。
3.Net Revenue Retention Rateは、該当期間中に、前期の同期間において顧客であったユーザーの該当期間における売上を前期の同期間における売上で除して算出。会計事務所の売上増分には、会計事務所の顧問先の増加に伴う売上増加を含む。
4.売上高に対する調整後営業利益の比率。調整後営業利益:営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他の一時費用
5. 調整後フリー・キャッシュ・フロー:一般的なフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+ 投資活動によるキャッシュ・フロー)に対して、クレジットカード事業で発生する立替金の増減及び、ファクタリング事業で発生する買取債権の増減が営業キャッシュ・フローに与える影響と、M&Aに伴う支出及び収入が投資キャッシュ・フローに与える影響を調整したもの。

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