有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/01/24 15:00
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「私たちの使命」として以下の二つを掲げています。
・教育を通じて社会に貢献する。
・未来に輝く子どもたちを育てる。
この使命を果たすにあたり、「私たちの約束」として「共に育つ」を掲げております。
これは職員・保護者・子供たちが共に育つ環境を整え、実践していくことが「私たちの使命」の達成に不可欠であると考えるからです。
当社グループの企業ビジョンは以下の二つです。
① 教育を通じて社会に貢献し、「世界中の人々から最も必要とされる教育関連企業グループ」を目指します。
国内においては外国人の方にも選ばれる園を目指します。国外においても当社の幼児教育サービスを提供することを目指していきます。
② 一人一人に寄り添うサービスを通じて、未来に輝く子どもたちを育てていきます。
この実現に向け、最先端の教育理論とテクノロジーに、上質なデザインを重ね合わせて、最も優れたサービスモデルを構築します。
具体的には実際に施設を利用・使用する子どもたち、保護者、職員の機能性に加え、感性に寄り添うデザインを施しております。従来の保育施設に比べ彩り豊かなライティングや壁紙、また施設内の照度を高めに設定した照明計画により明るさと暖かさを兼ね備え、子どもに加え大人たちもが穏やかな気持ちで過ごすことのできる空間を目指しております。
また認可外保育施設においては、前日正午まで新規予約・変更を行うことのできる仕組みをはじめ、保護者様の利便性という点からも優れた選ばれるサービスモデルを追求してまいります。
また、レッジョ・エミリア・アプローチや非認知能力育成のプログラム開発等常に最新の幼児教育理論を導入してまいりましたが、今後もその研究・実践を継続してまいります。保育現場の安全性・保育の質の向上、利用者様にとっての利便性向上、保育士の働き方改革等を目的に業務支援ICTツールをはじめ最新テクノロジーも積極的に導入してまいります。
上質なデザインは園児の成長のみならず、保護者・保育者の満足度、当社や園のブランディングにも寄与していくものと考え丁寧に取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の増大を図っていくための成長性・収益性の経営指標として、以下の項目を重視しております。
施設数
売上高
経常利益
売上高経常利益率
事業活動の全体の成長の指標となる施設数及び売上高、また事業活動の成果及び収益性を示す経常利益を重視する指標としております。
また、当社においては、営業外収益に計上される新園開設に伴う自治体からの補助金が大きく寄与するために、特に経常利益及び売上高経常利益率を重要な指標として捉えております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループが属する保育市場は、共働き世帯は年々増加しており、内閣府の「平成30年版男女共同参画白書」によると2018年の共働き世帯数は1,219万世帯となり、女性の社会進出を背景とした保育需要が増加し、待機児童問題は引き続き深刻な状況にあります。政府は2017年6月に新たな「子育て安心プラン」を公表し、2020年度末までに32万人分の受け皿を整備すべく、保育施設の整備と保育士確保のための様々な方針を示しました。また、2019年10月には幼児教育・保育の無償化がスタートしました。幼児教育・保育の無償化には年間8,800億円規模の公費投入が想定されており(※1)、対象家庭の可処分所得の増加にも直接つながることから、幼児教育市場規模の拡大も期待されます。こうした方針を受け、これまで保育所を利用していなかった潜在需要が顕在化すると予想されており、引き続き保育市場の拡大が見込まれております。
上記の見通しを踏まえ、当社グループでは、持続的な成長のために中長期的に以下の基本戦略に取り組んでまいります。
※1 財務省の「令和2年度予算のポイント」において、全ての3~5歳児、住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に、幼稚園・保育所・認定こども園等の費用を無償化する予算として、公費8,858億円が記載されています。
<基本戦略>① 幼児教育を提供する場としての認可保育所の拡大に注力
東京都を中心とした新規開園戦略により、年間10施設前後を目途とした施設拡大を継続することにより、幼児教育を提供する場としての認可保育所の開設を進めます。加えて当社グループオリジナル教育プログラム「KID'S PREP. PROGRAM」の提供品質向上等保育サービス内容の充実により定員充足率の向上を図ってまいります。
② 事業領域の拡大
未就学児を対象とする認可保育所・幼稚園以外の民間教育サービスについては、2018年4月からの保育所保育指針の改訂や、2019年10月からの幼児教育無償化に伴い年間8,800億円規模の公費投入が想定されており、対象家庭の可処分所得の増加にも直接つながることから、需要は益々高まるものと思われ、市場の拡大も期待されます。既存のプレスクール一体型保育所のノウハウを活かし、英語やモンテッソーリ、体操、受験対策に力を入れた幼児教室の新展開や、就学児を対象とする学童・アフタースクールの展開等対象年齢層の拡大等を進めていきます。2019年9月に恵比寿に新展開した幼児教室「KIDS GARDEN CLASSROOM EBISU」では、当社グループ初となる親子参加によるベビーモンテッソーリクラスを開講いたしました。このような親と子が「共に育つ」クラスをはじめ、当社グループの「約束」である「共に育つ」を体現する新たな教育サービスの展開も行ってまいります。
また、地方展開を視野に入れた既存事業のフランチャイズ化による提供サービスの拡大、海外展開、同業のみならずインターナショナルスクール・学童・幼児教室・シッター派遣等の関連業種とのアライアンスやM&Aも検討してまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループはさらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。
① 人材の確保・育成・労働環境整備による保育の質の向上
質の高い保育サービスを提供し、保育施設を継続して開設していくためには、保育士資格等を有する優秀な人材の確保が不可欠であります。
当社グループでは、通年採用活動を行うとともに、従業員の給与の改善や人事評価制度の構築・見直し、各運営施設に対する本部運営機能・管理体制の強化による現場保育士へのケア、安全管理体制、働き方改革等の徹底を推進する等働きやすい環境づくりに注力しております。
また、モンテッソーリ、前述の「KID'S PREP. PROGRAM」をはじめとする教育プログラムの導入や、教育研修制度の充実を図り、保育の質向上に向けて取り組んでまいります。
② コンプライアンスへの取り組み
保育事業は許認可事業であります。従いまして、児童福祉法等の関連法令の遵守が事業継続の大前提であります。また、サービス利用者の個人情報を有しており、当該情報を取り扱うことも多いことから、個人情報の管理は重要なものであると認識しております。コンプライアンスの徹底が求められる中で、当社グループでは、適宜改正される法令に対応すべく、諸規定等のルールや社内管理体制を整備・徹底し、役職員全員に対する研修等により、日常的にコンプライアンスに対する意識を高め、適正に業務を遂行してまいります。
③ 収益基盤の多様化
当社グループの運営する施設の多くは国や自治体からの補助金を基盤として運営されており、事業が安定的に推移する一方、政策や制度変更の影響を受け易い傾向があります。一方、幼児教育無償化により可処分所得の増加による影響も伴い民間教育サービスの市場は拡大すると見込んでおります。このような環境を踏まえ当社グループでは、補助金に頼らない民間教育サービスの展開に重点を置き、既存のプレスクール一体型保育所のノウハウやブランド力・知名度を活かした学童やインターナショナルスクール等新サービスの展開・海外展開・フランチャイズ化・他社とのアライアンス等収益基盤の多様化に取り組んでまいります。
④ 認可保育所開園用不動産の確保
当社グループが開園する認可保育所は、不動産所有者から土地や建物を賃借いたします。自治体のニーズや保護者の期待に応えられる候補地を短期間で探し出すためには、不動産開発業者や不動産所有者とのネットワークが重要になってまいります。当社グループでは金融機関や不動産開発業者等と常に必要な不動産情報が交換できる関係を構築しており、金融機関は取引実績によるものから、不動産開発業者とは過去の成約実績からその関係を強固なものにしております。今後におきましても、広域での不動産情報の入手のため、関係強化に努めてまいります。