有価証券報告書-第15期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:00
【資料】
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【項目】
111項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
人間と物があらゆる情報とつながり始めたこの世界において、高機能汎用技術である半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。当社は「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもとに、世界の人々の生活を安全で豊かなものにし、幸福と平和に貢献する企業を目指すことを経営方針としております。
経営方針に基づく重点施策として下記の5点を掲げております。
● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化
● 納期遵守による顧客満足度の向上
● 顧客要求を充足する信頼性の確立
● 製品検査レベルでの品質向上
● 従業員の継続的スキル向上
当社の属する「半導体レーザ」業界の経営環境は、世界的にもニーズが高まり光通信・インターコネクト、ディスプレイ、バイオセンサ、スマートフォン顔認証、自動運転レーダ、精密加工、プリンタ、照明等、順調に市場は伸長しております。その市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。
① ファブレス製造
自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。
② 幅広い波長領域のレーザの開発、量産化
532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。
③ 量子ドットレーザ量産技術のシリコンフォトニクス展開
光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは、高温度動作(200℃以上)、温度安定動作(-40℃から125℃)、極低ノイズ特性(既存光通信デバイスと比較して)によって、シリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの超小型化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組合せてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。
5G時代の到来で世界規模のデータ量増加とそれに伴う消費電力の増加が見込まれ、世界のデータ総量は2018年33ZBが2025年175ZB、消費電力は2016年1,170TWhが2030年42,300TWhと予測されていることが、シリコンフォトニクスが求められる背景です。(IDC「Worldwide Global DataSphere IoT Device and Data Forecast」、国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響」より抜粋)
④ 最終製品展開
「人の可能性を照らせ。」を具現化するため、従来の部品事業にとどまらず、半導体レーザの可能性を具現化する消費者向け製品事業を展開しております。そのひとつが、網膜走査型レーザアイウェアであります。この装置は人間の水晶体のピント調整能力に依らず、またピント調整位置に依らず、鮮明な画像を網膜に描画できる、フリーフォーカスと拡張現実という画期的な特徴を有しております。現在、民生用、医療用網膜走査型レーザアイウェアの生産販売を開始しており、今後も世の中に光の可能性を提案する製品開発を行ってまいります。
⑤ 医療機器展開
網膜走査型レーザアイウェアのピント合わせ不要という画期的な特徴を眼科医療機器に展開し、ロービジョンの方の生活の質の向上と就学、就業機会を実現する視覚型ロービジョン支援機と、眼疾患の早期発見が可能な新しい検眼機を目指して製品開発を進めております。視覚型ロービジョン支援機では、日本における医療機器としての臨床試験は2018年10月に終了し、2019年2月に製造販売承認申請を行い、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を得、2021年3月に網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® メディカル」を販売開始しました。また、視野検査と眼底撮影を一台の装置で同時に、簡便に自己診断できる新しい検眼機を、国内医療機器メーカと受託型での共同開発を進めております。
網膜走査型レーザアイウェアの民生品展開は、網膜走査技術の市場認知と普及、製品低コスト化の両面で医療機器への波及効果が期待できるとともに、民生品自体も作業支援やエンターテインメント等の分野において大きな潜在需要を見込んでおります。
(2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等
企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、当社は売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しております。現時点では数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は認定顧客数の毎年20%増加とし、レーザアイウェア事業は累計販売10万台・年間生産5万台と定めております。
(3) 対処すべき課題
今後の世界経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響拡大による経済活動の減速が懸念される等、先行き不透明な環境になっておりますが、当社におきましては、従業員及びステークホルダーの皆様の安全優先を前提に、以下の課題に対する諸施策を講じることで、事業の強化を図ってまいります。
①レーザアイウェア事業の確立
当社が開発した網膜走査型レーザアイウェアは、これまでの世の中に無い製品であるため市場の形成、拡大が課題であると考えております。
具体的には、a.生産性向上・高度化、b.各種認証取得、c.商流構築の3点であり、当社の成長エンジンである網膜走査型レーザアイウェア事業を進めていく中で、民生用「RETISSA® Display」においては販売代理店とECサイトを通した国内外販路の拡充、開発提携先と連携したユーザビリティ向上と低コスト化を進め、医療用「RETISSA® メディカル」においては医療業界提携先と連携した眼科医会への浸透を図ってまいります。
②レーザデバイス事業の成長
加工、センサ領域では、既存製品の受注継続と拡大、新規品開発と製品化、高付加価値モジュールの製品化を進め、年率25%の安定的な事業成長を図ります。光コネクタ、チップ間インターコネクト、LiDAR向けシリコンフォトニクス用量子ドットレーザについては、国内外のお客様からの受託開発と低コスト量産化を進め、2023年3月期以降の本格量産への準備を行い、量子ドットレーザ事業の強化を図ってまいります。
③検眼機の開発と製品化
レーザ網膜投影技術を活用した新しい検眼機について、提携先と上市にむけて原理検証・試作を進め、製品化への道筋を明確にしてまいります。
④マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化
当社では売上増大、利益確保のため、定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、代理店との密な連携に加え、簡便で有効な製品説明資料の拡充を行っておりますが、今後、売上の更なる増大のため、案件管理・分析、販売戦略策定、広報活動、プロモーション、価格戦略等、マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化が課題と考えております。
市場・業界・顧客分析及び、分析に基づく戦略的営業活動をさらに充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、オンラインミーティング、オンラインを含めた展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力の強化を図ってまいります。
⑤水平分業パートナーとの協業体制の維持と発展
当社はファブレス製造の方針を採用しているため、半導体チップの製造・組み立て企業との連携は当社の重要な経営課題の1つであります。チップ作製・モジュールアッセンブリ・レーザアイウェア生産提携先と、年間計画・各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、オンラインを含めた定期的な訪問、打合せ等を行い、日々の開発・生産活動でビジネス上の信頼を醸成するとともに、新規の協力企業の開拓を進め、垂直統合企業群に対抗しうる新しい水平分業の協業体制を構築、常に将来ビジョンを共有した連携に努めてまいります。
⑥研究開発、製品開発基盤の維持・発展とマーケティングとの連動
当社が開発している量子ドットレーザ技術を応用して、市場のニーズに合う製品を開発することが重要だと考えております。当社は、日米の複数の企業との共同開発に基づいて、シリコンフォトニクスに最適な量子ドットレーザの開発を進めるとともに、東京大学を研究開発のパートナーとしております。
グローバル市場で真に必要とされる製品を継続提供できるように、開発とマーケティングを連動させ、社内外の有機的な連携の仕組みを作ってまいります。既存製品の高性能化(高出力化、高速化)及び新規波長ラインナップの拡充を行い、企業価値向上に努めてまいります。
⑦高品質・安定した製品の供給
高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行ってまいります。
品質トラブルに関しては、情報入手から状況把握、対策実施等最優先にて対応し、お客様より信頼されうる企業になるべく努力を継続してまいります。
⑧医療機器販売許可取得
当社は、日本国内において、網膜走査型レーザアイウェアを医療機器として展開するために医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき、医療機器として製造販売承認を取得しておりますが、今後は医療保険等の早期適用を目指します。
また、医療機器販売の世界展開を確立するため、米国でのFDA承認の取得、欧州でのCEマークの取得を目指しております。
⑨内部管理・IR体制強化及び人材の育成
開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築することが重要な課題と考えており、今後の事業拡大に合わせて、十分な内部管理・IR体制を維持するため、高度で幅広い専門知識や経験を有する人材の育成を進めてまいります。

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